2章
妹の生気のない様子に心臓が鈍痛を、ハンマーで殴られた様にドクンドクンと頭でうるさく響いていく。
俺が性悪なのはいい、どうせあの母親にこの子有りだ、仕方ない。
だって俺はそれだけの事をした。
俺は父親の愛情さえをカサにきて他の義兄弟を殴って殴った手が痛いと母親に泣きつき、我が家のカトラリーの鋭さの試し切りに大笑いした。
そうだ、俺は激悪の塊だ。
しかし妹は何をした?
否、俺が激悪の塊なら
妹は真っ白な善意の塊だった。
生まれついた病弱を誰も恨まず、他人の悪意に自分の悪い所を探す様な妹だった。
見つけた妹に近寄りたいのに、脈拍すら聞こえなさそうな妹の生死を知ってしまうのが俺には………怖かった
今更俺が俺の性悪を改心しても妹は救われないだろう、だから人生ってなんの願いも叶わないモノが俺は嫌いなんだ。
絶望感しかない俺を押しのけ、妹に向かったのはヤオラ王子だった。
奴は倒れている妹のそばにひざまずき何やら、妹の口や心臓近くに顔を寄せブツブツと呟き始め妹の顔を見て何かを、振り切るような顔をして
上着を脱ぎ始め、胸元の裏地を何を思ったのか切り裂いた。
そして一気に口に含むと妹の唇にヤオラは唇重ねた。