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世界を救う巫女になったのだけれど、仲間が堕天使と神官と踊り子ってどうなんでしょうか?  作者: 釧路太郎
女子会編

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占い師と女たち

 私達がどうやってこちら側に戻ってきたのかはわからないけれど、ルシファーの力が働いたのは間違いない事だ。

 ミサキたちはまだ戻ってきていないようだったけれど、ただ黙って待っているのも何なので占い師のいる部屋へと向かったのだが、部屋にはカギがかけられていたので占い師はどこかへ出かけているようであった。

 しばらく待ってみても戻ってくる気配がなかったのでロビーで待つことにしたのだけれど、夜になっても占い師が戻ってくることは無かった。


「ねえ、なんだかお腹が空いちゃったんだけど、何か食べるもの探しに行かない?」

「そうね、サクラとアイカは何か食べたいものあるかな?」

「えっと、女子が三人集まったってことは、肉しかないっしょ」

「やっぱ肉だよね。肉がないとやってられないわ」


 私達は三人とも進んでお酒を楽しむタイプではなく、本格的に食事を楽しむ人種である。酒飲みの人には「酒の楽しさを知らないなんて人生の半分は損している」などと言われることもあるのだけれど、私に言わせてもらえるのなら「酒なんてなくても人生は豊かに過ごせる」のだ。実際に、私はお酒での成功体験は全くなく、これっぽっちもお酒を飲めないことで損を感じてはいなかった。むしろ、次の日の朝が辛かったりするのでお酒を飲めないことは私にはいいことにしか思えなかった。


 食堂らしき場所にたどり着いてみたものの、勝手に食糧庫をあさるような真似は出来ないし、本当に誰か帰ってきてほしいと心から三人で祈ることにした。

 その願いは無事にかなえられたのだが、占い師の方は私達とは違ってお酒がない人生は終末世界よりも恐ろしいとのことだった。

 女性は私達に食卓に着くように促すと、よくそんなに抱えることが出来るなと感心するくらいの酒を両手に持って席に着いた。


「さあ、仕事は終わったし今日はみんなの歓迎会を込めて飲むわよ。あなた方はどれを飲んでみたいのかしら?」

「すいません。せっかく用意していただいたお酒ではあるんですけど、私は体質的にお酒を飲むことが出来ないんですよ。私の事は気にしないでお酒を楽しんでください」

「あ、私もお酒はちょっと飲めないんですよ。それなんで、二人で楽しんでくれていいですから」

「申し訳ないですが、私もお酒は弱いのであんまり飲めないんですよ。今日は色々あって疲れていて体調的にもダメっぽいのでごめんなさい」

「何よ、三人ともお酒飲めないの?」

「そうなんです。本当に申し訳ないです。せっかく用意してくださったのに」

「もう、三人が飲めないって知らなかったから、お酒を四本開けちゃったじゃない。これって、一度開けたら飲まなきゃいけないんだけど、三人が飲めないっていうならどうしたらいいんだようね?」


 そう言いながらも占い師は私達の方をチラチラと見ていた。四人で飲むにしても、あの量のお酒を一度に四本も開けておく必要があったのだろうか。きっとそんなことをする意味なんて何もないのだろう。単純にたくさん飲みたいだけなのかもしれない。


「せっかくご用意してくださったのに申し訳ございません。私達の分も飲んでくださるような方はこの辺りにはいらっしゃらないですよね」


 何かを感じたらしいアサミがそう言いながら占い師をチラチラ見ていた。アサミの言葉と態度で何かを理解した占い師は嬉しそうな顔で私達に話しかけてきた。


「私もね、お酒は好きなんだけど、一気に四本も飲めるかは心配なのよね。でも、この辺りって住んでいる人もいないし、占いもさっき閉店しちゃったから誰かが来ることなんてないのよね。あなたたちの仲間もうちのマヤさんもしばらくは戻ってこないだろうし、都合よくお酒を飲んでくれるような人ってどこかにいないかしらね?」


 占い師はそう答えながらも私達をチラチラ見て何かのアピールを忘れてはいなかった。それを見てちゃんと感じ取ったアイカが答えをさらに返していた。


「そうですよね。私達が飲めれば一番いいんですけど、私達はお酒が飲めなかったり苦手だったりするんですよね。そこでなんですが、開けてしまったお酒を捨てるのは作った方に申し訳ないですし、よろしければ飲める範囲で結構ですので私達の分も召し上がっていただけないでしょうか?」

「この近くに誰もいないし、お酒が飲めるのが私だけってなるとそうなるわよね。でも、マヤさんにお酒を控えるように言われているから悩ましいわ」

「確かに、お酒は控えめに飲んだ方がいいと思うんですけど、今はこの開いているお酒が空気に触れて酸化しているようだし、開いているのに飲まれていないなんてかわいそうなんで、出来る範囲でお酒を楽しんでいただけないでしょうか?」

「そうね、そこまで言われたら私も頑張らないといけないわね。でも、こんなにたくさん飲めるかしらね」

「そうですよね。ちょっと私達も無理を言ってしまったと思います。せめて、もう一人くらいお酒に強い人がいればいいんですが、今時点では他に見当たらないですし、占い師のお姉さんの力でどうにかしていただけませんでしょうか?」

「捨てるのももったいないし、お酒を捨てるなんて人としてやってはいけないことだと思うのよ。きっと、マヤさんも今の状況を見たら同じことを言うと思いますよ」

「そうよね。私は頑張ってここにあるお酒を飲み干すことにするわね。よかったらなんだけど、お酒に合いそうなつまみを用意してもらってもいいかしら。食糧庫にあるものだったら何でも使っていいんで、おつまみをよろしくね」


 お酒を楽しんでいる占い師とお酒を飲めない我々三人の闘いの幕が切って落とされたのだった。

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