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5:5年後、職業は傭兵です。

5話:5年後、職業は傭兵です。



~5年後~




「...ト...マ...ウマ...トウマ殿!」



「!?すまない!ボーっとしてたらしい」



俺に話しかけてきたのは商人だ。俺は今、商団の護衛として雇われている。



この商人の一団はオルレアンとバルドフェールを往来しており、オルレアンの王都に店を構えるブロア商会だ。



この商団の代表であり、ブロア商会の若頭をしているのが、今回護衛の依頼を請け負ったニール殿だ。



「トウマ殿、そろそろオルレアン王国の王都に着きますよ。あれが王都です」



ニール殿が前を指さした。俺は差された方角を見る。



「あそこが王都...」



帝国の帝都も大きかったが、ここの王都も負けず大きい城壁が見えていた。



「ワォンッ!」



「グルルゥ!」



虎徹こてつ白狼しろう!ハハハッ、くすぐったいぞお前たち!」



この2匹は俺が王族から追放されて城から出た後、傭兵として活動し始めたころに、オレに襲ってきた魔物の虎と狼だ。



まさに前門の虎後門の狼だった。意味は違うが文字通りといった具合だった。



俺はちょうどいいと思い、この二匹相手に重力魔法を仕掛けた。父だった王に重力魔法を仕掛けられたことがあったからな。



この二匹に仕掛けた重力魔法は《加重》だ。相手の重さを2倍・3倍と増やしていったんだ。最初は耐えてそのまま襲って来ようとしたが、じきに敵わないと判断したのか、横たわって腹を見せてきた。



降参、服従のサインだ。



この時、数日前に従魔契約魔法を使える旅人に見せてもらったことがあったため、模倣魔法で従魔契約を試してみたのだ。



そして虎を虎徹こてつという名に、狼は白狼しろうと名付けた。それ以来、この2匹はオレに付き従うようになった。


出会ったころはまだ小さかったが、今は大型犬ぐらいのサイズだ。




そして何故、俺が商団の護衛をしているかというと、数日前に遡る。ただその切っ掛けは5年前に遡る。





~5年前~




王族から追放された俺は金を稼ぐため、そして腕を磨くために傭兵となった。



この世界には傭兵ギルドというのがあり、実力さえあれば身分を問わず傭兵になることができる。



俺はすぐさま傭兵ギルドへ登録し、拠点を持たないフリーの傭兵として活動することにした。



最初は子供を雇うような依頼がなかったので、修練のついでに魔の森で魔物狩りをして、ギルドで買い取ってもらっていた。



そんな生活を続けていた時に、虎徹と白狼に会ったということだ。そんなある日、俺の知名度が一気に上がることになった事件があった。



事件といってもそんな大したことじゃない。傭兵なら誰しもが通ることになるアレだ。そう、新人狩りだ。



俺が魔の森で魔物を狩っていることを知った、他の傭兵が俺から金や魔物を奪おうと襲ってきたのだ。



虎徹と白狼は俺の従魔として、ともに行動していたから、すぐに二匹が反応してくれた。



襲ってきた傭兵共は五人だったが、虎徹たちと一緒に返り討ちにさせてもらった。



あの頃は手加減というのが出来るような実力はなかったから、俺たちそれぞれが一人ずつ殺してしまい、残った二人を証人としてギルドへ突き出した。



剣を抜いてきたんだ。抜くということは殺される覚悟を持つということだ。それで初めて人を殺したが、思う所はなかった。



弱肉強食の世界だ。それはもちろん傭兵同士であっても。




そして襲ってきて生き延びた二人のうち、一人は収納魔法を持っていたのがわかった。許す代わりに収納魔法を見せてもらうことにした。



収納魔法は異空間にモノを収納できる魔法で、出し入れが可能。さらに異空間の中は時間経過がない。生物を入れることは不可能である。



この収納魔法は襲われた報酬と考えることにした。




ちなみに今使える魔法は、重力魔法・雷系統魔法・収納魔法・従魔魔法の4つだ。



ただ重力魔法は滅多な事では使わないようにしている。現在、重力魔法を使えるのはバルドフェール王と第二王子(今は第一王子)だけだからだ。



俺が重力魔法を使うところを見られれば余計な勘繰りをする者が出る可能性もなくはないからだ。



そもそも魔法が扱える人間は少ない。傭兵になるような連中は特に。魔法が使えるというだけでも国や大商会が人材を確保するからだ。



話が逸れたが、その事件以降、俺の話を聞いた商人や村や街からの依頼が少しづつ来るようになった。





それから俺は、もう誰だったのかも覚えていないが、夢で会った師匠から教わった雷系統魔法の修練を魔の森の外周部でしながら月日が経った。



魔の森はオルレアンとバルドフェール国の間に位置する広大な森だ。



魔の森を直線ルートで突っ切れば互いの国までの移動時間は短くて済む。といっても徒歩で二日ほどかかるが。



魔の森は中央に近づけば近づくほど、非常に強い魔物が出るため、傭兵であっても外周部を通るくらいで、商人などは普通は迂回ルートを通る。



迂回ルートは魔の森と比較しても安全だが、到着までに七日ほどかかる。






そして時は戻り、数日前の出来事だ。




俺はバルドフェールとオルレアンの都市を往来していた。魔の森での活動は外周部がメインだったが、最近は直線ルートを通ることができるぐらいの実力を持てるぐらいになったからだ。



もちろん、虎徹と白狼の協力もあってだが。この2匹も俺と出会ったころに比べて遥かに強くなった。特に夜間の警戒は非常に助かっている。



その日もオルレアンからバルドフェールの都市までの緊急配達依頼を受けていたので、魔の森の直通ルートを通っていた。




キンッ!ガキンッ!



ザシュッ!ガッ!!



「隊列を組みなおせ」



「怪我人は中に入れるんだ」



「若頭と荷を守るんだ!」




その道中で、魔物の集団に襲われている商団がいたのだ。珍しくはあるが、極たまに実力を過信して通る連中もいるから不思議ではなかった。



緊急の依頼を遂行中だったから、無視しても良かったんだが、劣勢だったのと見過ごすのも後味悪いと思った為、商団を襲っている魔物たちを討伐するため乱入した。




「邪魔だから乱入させてもらうぞ」



「「「!?」」」



「誰だ!?」



「誰でもいいだろ。とりあえず、あなた方の敵じゃない。引っ込んでてくれ!」



「なにを!?」



「邪魔だから引っ込んでろって言ってるんだ!」



ちょっと口調は悪いが許してほしい。なにせ殺されそうな奴もいるからな。



虎徹こてつ白狼しろう!右側を頼む!」



「ワォンッ!」



「ガゥッ!」



「全力で行かせてもらおう!《雷を纏い一迅の光となり敵を滅ぼす【建御雷タケミカヅチ】》



バリバリバリバリッ!



シュンッ!



雷を纏った俺は一瞬のうちに熊の魔物の懐に入った。



「《敵へ放ち撃ち倒す【鳴神なるかみ】》」



バリバリバリッ!



gugyaaaaaaaa!




熊の魔物は一瞬にして絶命した。



そのままの勢いで、他の魔物たちも討伐していった。

本話を最後まで読んでいただきありがとうございます。


「面白い」「次話も楽しみ」など思っていただけたら、とても励みになるので、

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