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2:職業は王子です。

2話:職業は王子です。



オギャー!オギャー!



「生まれたか!男か女か?」



「陛下!男の子でございます」



「出かした!よし、早速こいつを魔力測定せよ!」



そういって陛下の傍にいた男が一歩前にきて何やら機械を赤ん坊に取り付け機械音が鳴り響く。



「%$#&!ピー!」



魔力測定機の結果が出たようだ。



「どうだ?」



「陛下、これをご覧ください」



男が陛下に測定結果を見せる。




魔力測定結果:D



「魔力持ちではあるようだが、Dランク、低いな。我が国が求めているのは唯一無二の強さだ。そして王族に求められるのは一流のみ。Dランクなど我が王族の恥だ!」



この部屋の空気が陛下の言葉で重くなる。空気だけじゃない。実際にこの場にいる者たちの身体が重くなったようだ。




「へ、陛下!お気を鎮めくださいませ!それであっても陛下のお子であることには変わりございません。そ、それに5歳の適性魔法結果によっては...」



「...うむ、確かにそうであったな。それなら、こやつが動けるようになったら指導員をつけて訓練を始めさせろ。よいな?」



「ハハッ!」




陛下と呼ばれた男は部屋を出る。部屋に充満していた重い空気と自分たちに掛かった重圧が解けたようだ。



「陛下の魔法はいつ見ても凄まじいな」



「あれが歴代最強と謳われている重力魔法...」



「王族の子供と言えども、容赦はしない...か」



「側妃様もお可哀そうに...せっかくお子をお産みになったのに、陛下のお目にかなわないとは」



「この国の王族は強さこそが全てよ。私たちが何を言っても意味はないわ。私たちは私たちの仕事をするだけよ」









それから5年の歳月が流れた




僕の名前は【トウマ】。父上は、ここバルドフェール帝国の王様だ。そして僕が第一王子というわけだ。



母上は身体が弱かったようで、僕を生んだ1年後に亡くなってしまったみたいだ。【トウマ】と言う名は母に貰った名前ということを3歳のときに教わった。



それから僕は王の名に恥じないよう、日々勉強と訓練に励んでいる。



そんなある日、指導員をしてくれている人から話があった。



「殿下、今日は適性魔法を調べます」



「適性魔法?」



「はい。5歳で、その者にあった魔法を調べるのが慣例となっているのです」



「なぜ5歳なのですか?もっと早く知ることはできないのですか?」



「5歳になるまでは魔力が安定していないため、適性魔法が正確にわからないのです」



そう言われ、指導員がついてくるよう言ってきたので、後ろをついていく。



5分ほど歩くと、一つの部屋に辿り着いた。そこには王である父上もいた。



「父上!父上も来ていたのですね!」



僕は父上の方に走り寄ろうとした。だが...



「トウマよ。早く魔法陣の中に入れ。私も暇ではないのだ」



なぜ父上はこうも僕に冷たいのだろうか?物ごごろ着いた時から今まで、父上と話す日と話さない日は圧倒的に話さない日の方が多い。むしろ顔を見ない日も多い。



「...わかりました」



僕は部屋の中央に書いてある魔法陣の中に入る。



父上の隣にいた神官風の男が前に立ち詠唱を始めた。すると魔法陣が光り、文字が浮かび上がった。




魔法:模倣魔法

   

※模倣・真似する魔法




それを見た父上が神官へと話を振る。



「模倣魔法?知らぬな。知っておるか?」



「いえ、私も初めて聞きました。しかし模倣・真似する魔法ということですから、恐らくコピー系の魔法であると推測されます」



「なるほど。トウマよ、我の魔法を模倣してみよ。既に使い方は理解しておるはずだからな。跪け!」



ズンッ!



いきなり身体が重くなって立つことすらできず、地面に跪く格好になった。



「クッ!お、重い」



しかし、僕の目が捉えたことで模倣魔法の使い方を理解した。その時、僕にかけられた重さが消えた。どうやら父上が解いたようだ。



そして僕にやって見せろと言う顔をしてきた。僕は魔法を父に向かい発動させたが、父は気にすることもなく動いていた。



すると、僕の中の魔力が一気に無くなり、立つことすらできなくなってしまった。



それを見た父上は僕を心配する様子はなかった。むしろ蔑んだ視線を僕に向けていた。すると父上が僕に向かって言葉を投げかけた。




「我が国は代々強大な力を持って、この国を治めてきた。求めているのは唯一無二の強さであり、王族に求められるのは一流のみだ。貴様の模倣魔法は他人の魔法を真似する魔法のようだが、その力は脆弱だ。しかも使用する魔力が高すぎて、貴様の魔力量では効果時間も短く連発もできないときた。所詮は猿真似魔法か...もう良い。余計な時間を使った」



そう言って父上は、部屋を出ていった。なぜ僕はこれほどまでに父上に嫌われているのか?



魔力量が低いのがいけなかったのか?それとも適性魔法が模倣魔法だったのがいけなかったのか?



薄れゆく意識の中で自問自答をしていた僕だったが、そのまま気を失った。






それから僕は日々、魔法の訓練に励んでいた。そんなある日のことだった。



「弟ができた?」



「そうです!先ほど正妃様が陛下のお子をお産みになりました。トウマ様は兄になられたのですよ。おめでとうございます!」



王家に仕えている女中の一人がそう僕に教えてくれた。それを聞いた僕は弟と義母上がいる部屋へと向かった。



正妃である義母上も僕を嫌っているようだから、近づかないようにしていたけど、僕は弟を一目見たかったのだ。



そして目的の部屋の前についたとき、中から父上の声が聞こえてきた。扉が少し空いていたので、隙間から見ることにした。



「魔力値が【S】だと!?さすが我が息子だ!よくやったぞサリーヌよ!」



「ええ!これで私の息子が次代の王ということね。あなた!」



「あぁ。この国が建国して以来、初のSランクだ。これは5年後の適性魔法調査が楽しみだ。大事に育て上げるのだぞ。わかったなお前たち!」



「「「ハッ!」」」



嬉しそうな声色と笑顔、そして慈しむように赤ん坊を抱き上げる父上。どれも僕には一度も見せたことのない姿だ。



子供心にわかってしまった。僕は要らない人間だということが。それに追い打ちをかけるような言葉が耳に入った。



「陛下、第一王子であるトウマ様はいかがなさいますか?」



「そうだな。まだ奴には第一王子として表立ってもらう。この子が5歳の適性魔法診断で判明した段階で世間に向け発表することにしよう。それまでトウマには、この子の盾になってもらうとしよう」



「身代わり...ということですわね。確かにそれがいいですわ!」




身代わり。僕は弟の身代わりとして、この世に生まれたというのか...毎日必死に勉強や訓練をしたというのに...滑稽だ。



僕は誰にも気づかれぬよう、自分の部屋へと戻り、そのまま眠りについた。


本話を最後まで読んでいただきありがとうございます。


「面白い」「次話も楽しみ」など思っていただけたら、とても励みになるので、

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