※注意 製作中につき後程改めます。
あなたの身の回りにある物。
当たり前のことですが、誰かが作ったものですよね。
最近は工業の充実によって機械化が進んでいますが、身の回りのいたるところに職人が作った機械では真似できないような物がいっぱいあるのです。
この物語はそんな職人たちに焦点を当てた作品なのです。
西暦四三八二年
この世界は崩壊寸前だ。
かつての便利だった機器は消え、中世期まで人間の技術は退化していた。
原因は遡る事一四〇〇年前、二九〇〇年代まで遡る。
人工知能などを駆使し人間は知能、機械、科学、技術の四面で最盛期を迎えていた。
全世界から飢餓が消え、子供はちゃんとした教養を受け、差別がなく皆が笑って生活する社会だった。
一人の男が現れるまで…。
その男の名はアラン・リックマン。
科学者だ。
彼は野心が強く己の名誉と己の科学が満足するまで実験を重ねる。そういう男であった。
故に妻子も友人も部下もいない。
そんな男はある日、本来科学と相まってはいけないものを発見したのだ。
それは、【人ならざる者】の発見である。
見なかったものにすればよかったものを…。
彼は欲に目がくらみその【人ならざる者】を利用し学会に大きな名を残し、のちの世を考えぬままこの世を去った。
時が経つにつれ【人ならざる者】は姿を変え一般社会にも溶け込むようになった。
その者らは裏世人と呼ばれ人型の者、犬や鳥、昆虫などに形を変え今日まで進化してきた。
人間とは比べ物にならないスピードで…。
だが力量や知能も個体差があり裏世人の食物連鎖は人間と変わりない。
ただ一つ違うのは裏世人は人を食べることがあるという所だ。
過去には裏世人狩りと称して何人もの裏世人が惨殺された。
現在では裏世人による人間への被害件数(逆もまた然り)は減ってきてはいるものの、やはり人間は一線を引いて裏世人を恐れながら生活している。
だが、そんな世の中の風潮に反するように一つの町が誕生した。
それが【鍛冶屋町】である。
この町では裏世人と人間が争うことなく人間界と何ら変わらぬ生活を日々営んでいる。
日本にして日本でないような、国も干渉できぬほどの大きな町となりもはや都市国家だ。
そんな鍛冶屋町の片隅からキンキンとて金属をたたく音がする。
「よし、綺麗にできた。我ながらだな。どうだい?椿」
見るに十五ほどの少年少女が黒く汚れた袴を着て大鎚で赤く高熱を帯びた玉鋼を付いている。
鍛冶屋鋼
年は十五になり父も母もいない。
口うるさい祖母が一人、鋼を育て上げてきた。
名前の通り鋼も家も鍛冶屋一筋、現代日本に数少ない職人気質の持ち主だろう。
そしてその横に居るのが椿である。
裏世人だけに姓はなく出自も不明。
ただ一つ分かっているのは鋼を実の兄のように慕っているということだけ。
「こらぁ‼ 鋼‼ また三日三晩も鍛冶場で刀打ちやがって‼」
(ゲッ‼…ババア…。)
こっちは鋼の祖母である鍛冶屋梗
自称、「仕方なく孫を育てる親代わり」。
なぜ鋼に親がいないのかを知っているたった一人の人物。
だがそれはまだ後の話。