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死に戻りの魔法銃士(マジックガンナー) 出稼ぎオッサン異世界記  作者: 長野文三郎


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8-3

 九段下、神保町と抜けて秋葉原の近くまでやってきた。

向こうの世界だったら寄りたい店の一つや二つや四つや七つはあるのだけど、ディストピアの世界では仕方がない。

荒廃した馴染みの店の様子を見るのも忍びなくて、神田川は渡らなかった。


「それにしても、レベルとは上がらんものなのじゃのぉ……」


 さっきから20体ほどの魔物を倒しているのだが、エルナのレベルは一向に上がる気配を見せない。


「もうそんだけ強いんだから、気長に上がるのを待てよ」


 単純な戦闘力だけだったら、エルナの方が俺より断然上だろう。

そんなことはあり得ないけど、直接対決だったらどうなるかな? 

魔弾丸マジックバレットの威力が上がれば俺にもチャンスは来ると思う。

距離を詰めさせずに遠距離からの攻撃を続ければ勝てそうだ。

ただ、エルナはそこいらの瓦礫を盾にできるからなぁ……。


「人の欲望に限りはないのじゃ。私は4歳にして魔導の力に触れ、そこから25年の歳月を知識の吸収と応用に費やしてきた。今は少しだけそれを休んで力のもたらす快感に身を委ねたいのじゃ」


 エルナの蹴りで、転がっていたコンクリートの塊が爆砕する。

非力な人間があれだけのパワーを授かったら使ってみるのが楽しくて仕方がないだろう。

今のエルナは新しいおもちゃを貰った子どもみたいなものだ。


「あの、もしかしてエルナ殿は29歳ということなのですか?」


 クォーターエルフは耳が長くないので、見かけはただの外国人だもんな。

葛城ちゃんの驚きももっともだ。


「うむ。若く見られるのじゃが、ぴちぴちの29歳じゃ」


 永遠の美少女の発言に、戦国美少女は茫然と見つめ返すだけだった。

きっと自分より年下だと思っていたのだろう。


「エルナ、次は俺が魔物の相手をするよ。そろそろレベルが上がりそうなんだ」

「よかろう、次は寛二に任せるとしよう」

「葛城ちゃんもそれでいい?」

「はい。私は既にレベル20の上限に達しておりますから、遠慮なさらずにどうぞ」


 レベル20の上限?


「もしかしてレベルって20までしか上がらないの?」

「一般的なスキルはそうだと言われています。ただ、新王様の持つ『覇王』などの上級スキルは更なる高みを目指せるとか」


 俺のマジックガンナーはどうなるんだろう? 

どうせなら限界突破できるスキルであってほしいな。

とりあえずレベルを10にしてみよう。


バババシュッ! バババシュッ!


 三点バーストで2回撃ちこむと、現れた魔物はその場に倒れた。

巨大なカメムシみたいな形をしていているから死体を確認する気にもなれない。

きっとこいつも臭いのだろう。

魔物の骸から浮かび上がった白い光が俺の体内に入った瞬間にレベルが上がった。


レベル :9 → 10

弾数  :10発 → 12発

リロード:8秒 → 7秒

射程  :28メートル → 30メートル

威力  :18 → 21

命中補正:10% → 15%

モード :三点バースト、??? →三点バースト、フルオート


 予想通りに新たなモードが加わったぞ。

フルオートは一回の射撃で全弾を撃ち尽くす能力だ。

弾数も12発に増えているから、使いどころの幅も大きくなっていると思う。

的の大きいのとか、動きの緩慢な敵には有効な攻撃だろう。


「あの、反町殿……」


 怪訝そうに葛城ちゃんが話しかけてきた。


「反町殿のスキルは『召喚』ではないのですか?」


 そういうことになっていたよな。

あれはスキルじゃないけど、死に戻りのことはまだ秘密にしておきたい。


「なんというか俺は……イレギュラーなんだよ」


 本来はこの世界の住人じゃないもんな。


「イレギュラー……。なるほど、それが反町殿の持つスキルの本当の名前ですか。おそらく『覇王』と同じ上級スキルですね!」

「ふっ……」


 なにやら盛大な勘違いをしているようだが、特に正すことはしなかった。

ニヒルな笑みをにじませて、イチゴグミをモグモグと噛むだけだ。

それがいけなかったのかもしれない。

のちに俺は、スキル「イレギュラー」を持つ不確定要素として、各コミュニティーのリーダーから恐れられる存在になってしまう。

もう少し先の話だが。



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