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死に戻りの魔法銃士(マジックガンナー) 出稼ぎオッサン異世界記  作者: 長野文三郎


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19/60

3-5

 あー、びっくりした。

背後から襲われたのは初めての経験だったから驚いたよ。

まあ、前から襲われても驚くんだけどね。

 倫子の暮らすアパートのエントランスに戻った俺は、自分の体の隅々をチェックした。

魔法によって時間が戻ったらしく、体だけでなく服にも破損の痕はない。

いきなり飛び掛かられたからよく見えなかったけど、相手は虫だった気がする。

 今回は死ぬまでに数秒の時間がかかった。

痛みと恐怖が残っちゃった……。

そのうちに慣れるかな? 

死ぬのに慣れるのも生命体としてはどうかとは思う。

自己の継続こそが本能の基本命題だぜ。

死に慣れたら危なっかしくてしょうがない気がする。

向こうで死んだら戻れるけど、こっちで死んだらお終いだもん。

……お終いだよな? 

こっちで死んだら向こうで生き返る? 

後でエルナに確認してみよう。



 中央線で新宿まで戻る間に木更津駐屯地のことをスマホで調べた。

木更津駐屯地は千葉県の木更津市にあり、陸上自衛隊第一ヘリコプター団の本部がある場所だそうだ。

もしかしたら倫子はここのヘリに乗せてもらったのかもしれない。

すぐにでも木更津駐屯地へ行きたかったけど、今から向かうとなると夕方を過ぎてしまうだろう。

電気のない世界で夜の調査は難しい。

碌な捜索もできないうちに魔物に殺さてしまう恐れもある。

今日中の移動を諦めてアパートに戻るべきだと思う。

倫子が心配でも、慌ててはいけないのだ。

それよりはしっかりとした装備を揃えるのが先だ。

幸い、高円寺駅周辺のレジから集めた金が5万円を超えたので金銭的には余裕がある。

エルナの引っ越し代の足しにもなりそうだ。

さっそく新宿でいろいろと買い込むことにしよう。


装備

頭  :なし   → ニット帽

上半身:ジャージ → 吸湿速乾に優れた運動用ジャージ(+同アンダーウェア)

下半身:ジャージ → 吸湿速乾に優れた運動用ジャージ(+同アンダーウェア)

左手 :鉄パイプ → バール+トレッキング用グローブ

右手 :――   → トレッキング用グローブ

足  :壊れかけのサンダル → 防水トレッキングブーツ


 少しだけ装備がレベルアップした。

でも、ちゃんとしたジャージがこんなにお高いなんて驚きだぞ。

インドア派で、運動に縁なんてなかったからちっとも知らなかったよ。

危うく予算をオーバーするところだった。

エルナの引っ越しは遠のいてしまったな……。


 武器は鉄パイプからバールに変更した。

これは戦闘のためじゃなくて、見つけたレジをこじ開けるためだ。

レジって床に叩きつけたくらいじゃ壊れないんだよね。

意外と頑丈なのだ。

売り場で一番大きかった900㎜のものを購入した。

これで仕事もはかどるというものだ。


 帰る前に懐中電灯を買うことを思いついたのは、俺にしてはファインプレーだったかもしれない。

これまでの人生において、本気になって懐中電灯を選んだことはないのだが、こんなにも種類がある物なのだな。

値段もピンキリで、それによって明るさが違ったり、防水仕様だったりする。

充電式の物もあった。

形も普通の手に持つタイプだけでなく、ヘッドランプ、床に置くランタンタイプと様々だ。

とりあえず3種類の懐中電灯を買ってアパートに戻ることにした。


 そういえば、塚本さんはどうしているだろうか? 

今日一日で少しはお金が集まったかな? 

俺も結構な額を稼いだけど、さっきの買い物でほとんど使い果たしてしまった。

明日は千葉まで行くから、資金を得るためにも今日中に回収に行こうかな? 

考えてみれば今日の八波コミュニティーの奴らにも物品購入を持ち掛ければよかった。

倫子のことで頭がいっぱいで、そこまで気が回らなかったのだ。

いきなり襲ってこなかったんだから、交渉の余地はあったと思う。

いずれ、改めて出向いてみるとするか。


 トレード用の食品は近所のスーパーで買い込んだ。

ひょっとしたら喜ばれるかもしれないと100円ライターを箱買いしたら、レジの人に変な目で見られたぞ。

放火魔じゃないので通報は勘弁してください。

僕はただ、このライターでぼろ儲けをしたいだけです。

100円が10万円。

こんな錬金術は並行世界でしか成しえない。


 こうやって見ると、この世の中は便利だったり美味かったりする物で溢れている。

100円ライターも然り、ガスカートリッジ、日持ちのする食品、酒、日用雑貨……。

実は恵まれていたんだと実感する。

そうじゃなければ腹に贅肉はつかないか。

向こうの人はみんな痩せていたもんな。

 溢れる物資に感謝しながら買い物を続けた。

今夜は豚しゃぶにしよう。

エルナはしゃぶしゃぶ好きかな? 

異世界人の食の好みはよくわからない。

牛丼は美味しそうに食べていたから多分大丈夫だと思う。

俺は肉と米があれば幸せになれるタイプだ。

普段は買わないような、高級ブランド豚のバラ肉をしこたま買い込んだ。


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