反吐が出るほど、大嫌い。
他人が嫌いだ、信用もできないやつが吐いた息を今吸っている。
何度死にたいと思っただろう、もう両手では収まらない。細胞の数ほど、思っているかもしれない。それくらい毎秒死んでしまいたいのに、私はいつまでも自殺志願者のまま留まっている。
他人が羨ましい。その笑顔、発する音すべてが忌々しい。
死んでしまいたい。私は人ではない。外が明るいことを、良いことだと捉えられる人間すべてが死んでしまえばいい。ついでに、そのついでに私のことも殺してくれればいいのに。いっそ、誰かを殺せば憎まれるだろうか。
生まれてきたくはなかった。こんなにも望まれないのなら、本当の自分を望む人がこんなにもいないなら。
飾りたくて飾っているわけではない、着たくて着ているわけではない。
「生きてほしい」
その言葉は重い。今の私にはあまりに重い。それは、着飾った私に言っている言葉ではなかったか。
思い出して、涙が出た。悲しいのか汚いのか嫌なのか、嬉しいのかきれいなのか好きなのか。もう、わからなくなってしまった。もうわからなくなってしまったのに、今更私のことを見ようとしないでほしい。暴いて、暴いて、そしてそれがあなたの望むものじゃなかったらきっと捨てるのだろう。捨てられて、そうしたら……。
「大丈夫だよ」
その手を、取ってしまいたい。
他人が嫌いだ。あなたが何を考えているのかわからない。覗いて確認することができない。できたなら、手を取らざるを得なくなるのに。酷い、酷いことを迫る。大丈夫じゃないようじゃないか、今の私が。
羨ましい。その手を取りたいからと取れる、そんな手が欲しい。目も耳も足も心臓でさえ切り取って構わない、差し出してしまえるから、交換してほしい。この手とその手は何が違うのだろう。
「人だよ」
見た目が同じだけだ。私はあなたと同じ人ではない。
死にたい。自分の存在を認められないなら、他人にも認めさせてはいけないだろう。
「そうしてしまったら、どちらかが間違っていることになる」
「間違っているかどうかは、これから試そう」
もう、一歩踏み出した後だ。もうどうにもならない。私は病気だ、私は人ではない。私は人ではない。今更、何が言いたいのだろう。
「残酷だ」
そう思うのに、ここから走り出してしまえない。逃げてしまえない。望んではいない、望んではいない。手を取るはずがない。手を取れるはずがない。
いっそ、ここで死んでしまいたい。
「あぁ、泣かないで。可愛い顔が台無しだ」
醜い私に触れないでほしい、あなたまで汚れてしまいそうだ。愛をささやくその口から出た二酸化炭素を混ぜた空気を今、私は吸っている。
「遅くなったね」
遅すぎるよ。遅すぎるから、私はどうしていいかわからない。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
評価もお待ちしてます。
人の手を取るのって難しい、ですよね。
まだ君が僕を呼んでいる、という現代恋愛に少しだけファンタジーを足したようなお話を書いています。もしよければ。
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