部屋の外への一歩
更新遅くなりましたぁぁぁ!
すみません!
あと、今回は短めです...
「「「「「おーーーーっ!」」」」にゃんっ!」
さて、志を共にして気合いを入れた私達ですが、具体的には次、何をしなければならないのでしょうか。
「陛下。その神降ろしの儀?をやるんですよね、私達。えっと、神殿で行うんですか?」
当人である私達が予定を把握しないと、何も始まりませんよね。
「あぁ。まずは、神殿で神降ろしの儀を行うよ。神殿は王宮の敷地を出て直ぐのところにある。王都内にあるから馬車で行くよ。2人は乗り物酔いは大丈夫?あ、僕のことはムートとかムートンでいいよ。ほら、だって仲間でしょ?」
仲間を強調するへい…ムート様。仲間ができたことが嬉しいのでしょうか?確かに王族という高位の立場だと、何事も損益を重視して、仲間という存在ができにくそうですね。
「馬車ですか。前の世界では馬車が殆ど無かったと思うので、楽しみです!あと、乗り物酔いに関しては…燈夜。どうでしたか?」
やはり、自分については燈夜さんに聞くのがベストですよね。
「ん。ああ。白姫の言う通り馬車は見たことがなかったな。白姫が乗り物酔いしたところは見たことないな。ただ、馬車との相性が最悪、という可能性も考慮した方がいいかもな。まぁ、でも白姫は乗馬を習っていたから、揺れには慣れていると思うよ。因みに俺はめっちゃ乗り物酔いしやすい体質だぜっ!ドヤァ!ってことで、めっちゃ吐きそうになると思いけど、そこんとこヨロシクな、ムートンっ!」
かなり明るめのトーンでそう教えてくれる燈夜さん。
ドヤ顔で言うことでは無い気がしますが…
初めて見るという馬車に興奮しているのでしょうか…?
「ははは…ヨロシクできるかは保証しないけど…まぁ、馬車を汚さないように最善を尽くして貰えればそれでいいよ。」
「ちぇっ。そこはせめて『僕に任せてくれ』とか言ってくれよ!」
苦笑しながらも軽口を叩くムート様。そしてそれにノリノリで答える燈夜さん。
微笑ましいです。
「お二人とも仲がよろしいようで、羨ましいです。」
「んあっ?そんなわけねーだろ!ムートンと俺は仲間だが!仲間だが、仲良くないっ!それに…白姫のことさっきからどんな目で見てんだよ…白姫は俺の…ゴニョゴニョ」
「ははっ!シラキの言う通り、僕達は仲が良いみたいだね。あれ?トウヤ。シラキが君の何だって?」
素直に感想を述べると何故かムキになって噛みつく燈夜さんと、良い笑顔で茶々を入れるムート様。
それにしても最後の部分は何だったのでしょうか?トウヤさんが顔を赤くしていますが…重要なことでは無さそうなので放っておきましょう。
「こほん。それではムート様。センザキ殿とササハラ嬢を馬車乗り場へとお連れしましょう。此処で話していても時間が過ぎるばかりです。」
咳払いをなさった後、少し諌めるような口調で先を急がせるシュヴァルツ様。
流石は年長者ですね。周りをリードする厳格な風格をお持ちです。
あれ…?これって、本当はムート様の役目なのでは…?
「シラキ。今、失礼なこと考えたでしょ?」
無駄にキラキラした全てを見透かすかのように澄んだ瞳で此方を見るムート様。
「なんでもありませんよ。それよりも、シュヴァルツ様が仰る通り、案内して頂けると幸いです。」
まるで何もなかったかのように振る舞う私。
そんな私を訝しむかのように眺めた後、ムート様はリター様にお声をかけました。
「リター。もう行くから、案内してね。」
その声に、まるで事前に打ち合わせたかの様に洗練された動きで此方へ来るリター様。
って。え??よくは知りませんけど、こういうのって主を優先するものなのでは?
同じことをムート様も感じたようで...
「ちょ、ちょっと待って!」
焦って呼び止めるムート様。
そしてそれに対して涼しい顔で答えるリター様。
「ムート様。如何なさいましたか?」
「いや。如何なさいましたかって、主は僕だよ?僕王様だよ?」
するとやはり涼しい顔で返すリター様。
「ええ。承知しておりますよ。私の主は貴方様のみですからね。」
落ち着いて話すリター様にムート様は面喰ったご様子。
「あのさ。普通こういうのって主をエスコートするよね?っていうか今までそうだったよね?」
あ。やはりそれが普通なのですね。
驚いてしまいました。
ですが、そうするとリター様の行動の意図とは?
「ええ。確かに今までは主であるムート様を最優先にエスコートして参りました。ですが、それはムート様がその場において一番非力だった為、護衛の意を込めていたのです。ですが、シラキ様とトウヤ様は女神に選ばれし方々。ましてや女性であるシラキ様を最優先にエスコートするのは至極当然では?」
当たり前のことを言っている、といった様子のリター様。
ティアとシュヴァルツ様、ムート様さえも今のお言葉で納得されたよう。
...って!
えぇーーーー!!!
「女神に選ばれると、王族よりも偉いんですかぁっ????」
「「「「そうだよ」ですよ」」にゃんよ」
「じゃあ、私達ってもしかして、すっごく高い地位に今いるんですか?」
コクコク
皆さん一斉に頷かれました...
「ついでに、そのことを良く思わない輩をいるかもしれないから、2人には彼らを〆てもらわないといけないね。」
〆るって何ですか!
〆るって...
「ムート様!私達、そんな物騒なことは...「やったるぜ!楽しそうだしなっ!」
え...
「燈夜!本気ですか?〆るって...」
怒鳴ろうとしたんですけど...
「おぉよ!当然だな!女神に選ばれし英雄にいちゃもんつける奴らはぶちのめしてやんなきゃだろ?」
はぁぁぁ
まるで秘密基地を作っている小学生の悪ガキみたいな生き生きした表情...
諦めました。
「はぁ。ぶちのめしてやるかは別としても、私達を害そうとする人達に、武力行使も躊躇わない、という点は譲歩しますよ。でも、変なことは絶対にしないでくださいね。」
「わぁーってるよ。はいはい。」
どうしましょう...
不安過ぎます...
「ごちゃごちゃやってにゃいで、早く神殿に行こうにゃ!」
結局リター様は私をエスコートすることになったようです。
...はっきり言って、どうでも良いですね...
「それではシラキ様。こちらへ。」
リター様が差し出した手を取り、私は部屋の外へと一歩を踏み出しました。
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