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numero  作者: 夢幻
異世界召喚
3/5

自己紹介

話、長くなっていますかね?

読んで下さっている皆様、これからもよろしくお願いします!

私は彼の視線を辿った。

すると…王が、いた。


「王…?」


思わず声に出してしまう。


王。

国を束ね、国民を守る。

国の最高地位であると同時に、最高責任者である。

常に国と国民の為を思って行動し、その為には人の心すら捨てる為政者。


これが私に中の王像です。


「王、なんだろうな。」


私の疑問とも言えぬ、不思議な呟きに燈夜さんが答えました。


私の王像と一致し、彼も肯定しました。

私達が「王」と認めた人物は…


10代自己紹介前半と見られる外見。

少し垂れ目ぎみなアクアブルーの目。

少しカールしている、肩辺りで綺麗に切り揃えられているパールホワイトの髪。

優しそうに見えますが、若いながらも額に刻み込まれた皺の所為で少し厳しそうにも見えます。

幼い頃から困難を乗り越えて来たであろうその姿には、誰もが従いたくなるようなカリスマ性と王者の風格が身に付いています。


そして最後に、周りにいる3人の臣下だと思わしき方々から向けられている、尊敬と敬愛の目。


それらは、私達にその少年がこの場の最高権威を持っていることを理解させるのに十分でした。


「さて、おふたりさん。話しは済んだのかな?」


重々しく口を開けた、と思ったら、満面の笑みを浮かべ、フレンドリーな口調で話しかけてきました。


燈夜さんも困惑した様子です。


「あの、私達は今、どのような状況なのですか?」


取り敢えず、何かを知らなきゃ始まらない、ということで、私が状況を聞いてみました。


「えっとね。君達は今、僕達に召喚されたところだよ。目的は…あとで話すとして、勝手にここへ連れてきた件については、謝罪するよ。すまない。」


召喚…勝手に連れてこられた…王からの謝罪…?


「召喚…異世界転移か⁈」


一瞬固まった後、燈夜さんが素っ頓狂な声で叫びました。


「異世界転移って…?」


異世界転移ー私は、言語の面で思い出せないものは無いと思っていましたが、それは違ったようです。


自分でも気づかずに、不安な顔をしていたのでしょうか。

燈夜さんは焦ったように説明をしてくれました。


「あっ。異世界転移っていうのは、異世界に転移することだ。異世界、つまり元の世界とは違う世界になんらかの力で移動する、させられることだな。主にラノベーライトノベルの題材になることが多いな。ラノベを生まれてから一度も読んでない、っていう人も普通にいっぱいいるから、白姫が不安がる必要はないぞ。」


成る程。それが、異世界転移ですか。え、異世界⁈なんらかの力⁈


「今、異世界にいるって本当ですか、陛下?」


異世界にいるなんて、そんなファンタジー、あり得るわけ無いです!笑って否定して欲しい、そんな私の期待を陛下はあっさりと裏切ってくださった。


「あぁ。本当だよ。召喚する際に、異世界からという条件を付けたからね。陛下…陛下か…良い響きだな、特にゴニョゴニョ…」


?後半は聞き取れませんでしたが…あまり重要そうでは無いので、きっと大丈夫でしょう。ですが、本当に異世界に来ているとは…


心なしか、燈夜さんが陛下を睨んでいるような気がしますが、きっと気のせいですね。


さて…これから如何するのでしょうか?


「…陛下。取り敢えず、私達の自己紹介をさせて頂いてよろしいでしょうか?」


やっぱり、まずは自己紹介ですよね!

きっと、私達が召喚されたのには、深い理由がある筈です。その理由を話すかは、私達のことを知って頂いてから判断して頂きましょう。


と、いっても私、一人では自己紹介すら出来ないんですよね…


「まず、私は笹原白姫です。こちら風に言うと、白姫 笹原、ですかね?笹原が苗字です。というか、そうらしいです。というのも、私、実は召喚された際に記憶を失ってしまったらしく、一般常識等以外は忘れてしまいました…」


心なしか、トーンが沈んでしまいました。駄目ですね、これじゃ…燈夜さんに負担をかけない為にも、ポジティブでいなくては。


「記憶を失う…記憶喪失、か。もしもこれが召喚の副作用ならば、本当にすまない…暗くなってしまったが、白姫、よろしく頼むな!あ、名乗り方は苗字が後、で良いぞ。」


努めて明るく振る舞って下さる陛下。これも、カリスマ性が為せる技なのでしょうか?


「あー次は俺の番か?俺は、仙崎燈夜だ。そこの白姫の幼馴染だから、現時点での白姫よりかはずっと白姫のことを知ってるな。白姫についてのことは、俺に聞いてくれれば殆ど答えられる。俺は、記憶を失っていないので、安心してくれ。あ、俺たちはどっちも12歳だ。誕生日は、俺が3月14日で白姫が2月14日だ。暦がこっちと違うかもだが。」


「暦?こっちでは一年が365日。4年に一度、366日の年がある。一年は12ヶ月あって、睦月、如月、弥生、卯月、皐月、水無月、文月、葉月、長月、神無月、霜月、師走と呼ばれている。1から順番に言うとね。それから、睦月、弥生、皐月、文月、葉月神無月、師走が31日まである月。卯月、水無月、長月、霜月が30日まである月。如月は基本的に28日までだが、さっき言った4年に一度の年は、29日まである。因みに、366日ある年は、閏年と呼ばれているよ。1日は24時間。それが7日で1週間という括りになる。」


「成る程。和風月名か…」


燈夜さんの疑問に詳しく答えてくださる陛下。

少なくとも、悪い人ではなさそうですね。

よかったです。流石に、召喚されたら直ぐに権力者に利用されーという流れは嫌ですからね。


燈夜さんも心なしか安心した様子です。


「…そういえば、僕がまだ自己紹介をしていなかったね。僕は、この国、ヌンマー王国の現王、ムート・フォン・ヌンマーだよ。因みに称号は、アインツだ。改めてよろしくね。僕は、両親が数年前に死去したことから王になったから、まだ

14歳なんだ。戴冠したのは、4年前、10歳だった時だね。あとは…うん。僕の臣下達を一部、最重要な人だけでも紹介しようかな。」


陛下がそう言った途端、まるで打ち合わせでもしていたように見計らったタイミングで、周りにいた人達が前に出て来ました。


それにしても、称号…?


「初めまして。」


最初に話し始めたのは、70歳前後と思われる男性です。

目の色は藍利休です。

全てが白くなっていながらも退化だけはしていないその頭と同様に、年齢相応以上の皺が刻み込まれている顔の中でも、目の輝きだけは失われていない、不思議な方です。

背広を自然に着こなしていますね。


「儂はトロイエ公爵家の前当主兼現宰相のシュヴァルツ・フォン・トロイエと申します。称号はフィーアです。公爵家当主の位は降りた老いぼれの身ながらも、宰相としての務めは果たさせて頂いております故、どうぞお見知り置きを。」


多少しゃがれていながらも、確かに力強いその声は、なんとしてでも陛下をお支えする、といった心意気が見て取れました。


「次はティアの番にゃん?」


次の方は、とても可愛らしい容姿と声をお持ちの少女です。

純真な猫耳を付けていらっしゃり、シュヴァルツさんのパワフルな目の輝きとはまた違う、まるで悪戯を思いついた少年のような目をしていらっしゃいます。

髪の色は、チャイニーズピンクですね。腰程までの髪をとても低い位置で二つに分けています。

目の色はアメジストですね。

服装は、パステルカラー+虹をモチーフとしているドレスで、ゆめかわです。

夢見る少女、という外見ですね。

年齢は…わかりにくいです。

身長は130cm程度ですが、8歳程度とは到底思えません。

彼女は、人を惹きつける才能があるのでしょうか。

何故か目が離せない。そんな魅力をお持ちです。


「にゃあ、自己紹介するにゃんね!ティアの名前は、ティアにゃん。ヴァル爺みたいな立派な苗字はないにゃん。称号はツヴァイにゃん。ティアは、小さい時、ムートンに拾われたにゃん!にゃから、ムートンを絶対守るにゃん!あ、ティアは魔力いっぱいあるにゃんから、宮廷魔術師筆頭として働いてるにゃん。よろしくしてにゃん!」


元気いっぱいな少し高めの甘えた声で挨拶をしてくださったティアさんです。

でも、「にゃん」とか猫耳は何でしょうか?

よく見たら、尻尾もあるようです。


ついついジッと見てしまうと、


「シララはティアの耳と尻尾と語尾が気になるにゃん?これは、ティアが猫の獣人だからにゃ!」


ティアさんは気がついて答えてくださりました。


「有難う御座います、ティアさん」


ごく普通にお礼を言った私ですが…


「ブッブーにゃん!敬語は駄目にゃん!ノーにゃんNGにゃん!さん付けもめっにゃん!」


まるで嵐のように捲したてるティアさ…ティアです。


「わかったよ、ティア。これでいい?」


苦笑しながらもタメ口で話すと、満足そうに頷いてくれました。


「…………うおぉぉぉぉ!」


きゃっ!


今まで黙っていた燈夜さんが、急に叫び出しました。

如何したのでしょう?


「じ、獣人だとっ!魔力、魔術師だとっ!ファンタジーだぁぁぁぁぁぁぁ!」


どうやら、急にファンタジー要素が増えた為、興奮したようです。


「こほん。僭越ながら、私にが少しお話ししても?」


燈夜さんの魂の叫びを咳払い一つでスルーした男性。

20歳くらいでしょうか。

如何にも自分に厳しく、他人にも厳しく、を再現したような方です。

ロイヤルブルーの髪は、無造作なように見えて、キチッとセットされています。

深緋の目は、正義感に溢れ、周囲の人を勇気付ける力がありそうです。


「私は、リター・フォン・シュヴェアト、ムート様の近衛騎士でございます。ドライの称号を授かっております。また、次期シュヴェアト侯爵という役目を、恐れ多くも担っております。どうぞ、お見知り置き下さい。トウヤ様、シラキ様。」


平坦ながらも何処か丸みを帯びている声と無表情なのを必死に解そうと努力をしている表情。

どうやらこの方も悪い方ではなさそうですね。

本当に、良かったです。


この場にいる全員の自己紹介が終わりました。

次は、何でしょうか?


「さて、此処にいる全員の自己紹介が終わったな。それでは、シラキ嬢とトウヤ殿を召喚した理由を説明しようと思う。これは、本当に此方側の勝手だから、話しが終わった後、僕を殴ってくれても構わないよ。」


私が求めていた事を話してくださった陛下ですが、最後の「殴っても構わない」発言は正気でしょうか?

まさか、一国の王を殴るなど、とんでもありません。


そう思ったのが顔に出ていたのか


「あはは。信じられない、といった顔だね?でも、それくらい君達には申し訳ない事をしていると思っている。僕だって、王としての責任や立場は充分理解しているさ。けど…」


そこで、陛下は今まで笑ってフレンドリーに接してくださっていたのがまるで嘘のようにガラリと雰囲気を変えました。

いつの間にか、ティア、シュヴァルツさん、リターさんの態度も真剣なそれに変わっています。

一瞬で空気が張り詰め、つい私は背筋を伸ばしてしまいます。


「けど、時にはその責任を果たす為に、如何なる罰でも受けないといけない。それが、王というものの役目だから。」


それを言い終わると同時に、また和やかな雰囲気に戻りました。

ムートン=ムート

シララ=白姫

ヴァル爺=シュヴァルツ

です。


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