目が覚めた…と思ったら…?
長く書くことが難しいですっ!
これから頑張って、少しずつ長くしていこうと思います!
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「…!…き…ろ…!お…!」
ん。何でしょうか?とてもうるさいです。でも…とても心地よいうるささです。
きっと、ここは天国ですね。だから心地よいのですね。
「おいっ!白姫起きろ!」
何故でしょうか?なんだか懐かしい声です。
これは確か…?あれ、誰の声だか思い出せません…
ん…あれ?瞼がゆっくりと開いていきます…意識していない筈なのに何故…?
ぱちっ
視界が晴れます。
すると、何故か男の子…私と同年代くらいの男性の顔がドアップで見えます。
あれ?私の年齢って…?
「きゃーーーーーーーーーー!」
男の子の顔面ドアップに驚いた私は、思わず叫んでしまいます。
ついでに、跳び起きようとして、男の子の顔と私の顔が触れてしまいました…!
何か柔らかいものを唇に感じて……はいません。
ただ…
「痛っ!ちょ、何してくれんだよ、この馬鹿白鬼!」
おでこ同士がぶつかってしまいました…
所謂「頭突き」した状況ですね…
男の子は赤くなったおでこをさすり、私を睨んでいます。
ですが、一つ気になる事があります。
「貴方、何故私を[白姫]と呼ぶのですか?それに、幾ら何でも初対面相手に馬鹿呼ばわりは失礼だと思いますが?」
何故彼は私のことを[白姫]と呼ぶのでしょうか?
初対面の彼が私の名前を知っている筈がありませんし、私の名前は…
え?えっと…私の名前は…?
思 い 出 せ な い … ?
そういえば、アクシデントで忘れてたけど、私は私の年齢を知らない…?
いいえ。きっと… 知らないのでは無く、忘れたんですね…
「…白姫?何を言ってるんだ?冗談にしちゃ面白くねぇぞ。お前の名前を知ってんのは当たり前だろ?物心ついた時からずっと一緒にいるんだぞ?それに初対面って何だ?わけわかんねぇ。お前を馬鹿呼ばわりすんのは日常茶判事だろ?」
これは…
もしかしなくても…
「あの、私… 記憶喪失したみたいです…」
記憶喪失…
ちらっと耳にしたことしかない馴染みのない単語ですが、意味は大体わかります。
ー記憶を喪失するーそれは、文字通り記憶を失うという事です。どの様な原因が考えられるとか、そういう詳しい事は知りませんが…その恐ろしさは今、身をもって知りました。
「は?記憶喪失?よりによってこの状況で?まじかよ…嘘だろ?嘘と言ってくれよっ!だって、お前… お前は、今までずっと一緒にいた俺のことを忘れちまったのか…?」
彼はとても動揺しているみたいです。
彼は私の何だったのでしょうか?
少なくとも、他人というわけでは無さそうですが…
申し訳ないです…
「ごめんなさい。私は貴方が誰だか思い出せません。それどころか、私が誰かも知りません。言語はわかるのですが…本当に、ごめんなさい…」
そう告げる私に、彼は感情を押し殺すように拳を握りながらも、笑顔を顔に貼り付けました。
「いや、大丈夫だ。まぁ、仕方ないのかもしれないしな。取り敢えず、俺の自己紹介をしておく。
俺の名前は仙崎燈夜。千紫中学校、通称千中の1年生だ。お前とは、物心ついた頃からの幼馴染だ。」
努めて自然に振る舞おうとする彼の姿を前に、罪悪感が込み上げてきます。
何故、私は記憶喪失などしてしまったのでしょうか…?
「御紹介、ありがとうございます。あの…よろしければ、私のことも少しばかり教えて頂けないでしょうか?」
そう言った瞬間、彼は悲痛な面持ちで顔を歪めました。
もしかしたら、長い時を共にしていた人間のことを、その人自身に伝えなければならないことが辛いのかもしれません…
「あのっ!その、負担であれば、結構ですので… えっと、燈夜さん…?」
何故でしょうか…
覚えていない筈なのに、懐かしくて…
そんな人が顔を歪めている姿を我慢して見てることなんてできません…
「燈夜、で良い。それに、別に負担じゃない。」
何故か少しむくれたように彼が言いました。
「まず、お前の名前は笹原白姫だ。俺と同じ千中に通っている。幼稚園からずっと同じクラスで、まぁ、仲が悪いと言えば嘘になるな。お前は、一人っ子で、お前の両親はお前が小さい頃から共働きだ。でも、二人ともお前にめっちゃ愛情注いで可愛がってる。お前は、文武両道と言えるな。偶に、男っぽかったり、怒ると怖かったりするけど、基本的にみんなから好かれてる。ファンクラブなんてのがあるくらいだな。あと、お前は幼稚園の頃からヴァイオリンを習っていて、数多くのコンクールで金賞を取ってるレベルだな。歌も上手い。あとは………………」
白姫さんことを話している彼は気づいていないみたいですけど、白姫さんを褒めることしか言っていませんね…
ひょっとして彼は白姫さんことを…
…これは、自覚しない方が良いですね…
延々と続く彼の褒め言葉を殆ど聞き流していたら、ふと気付きました。
周りは、金でできた数々の装飾品や絵画に囲まれ、頭上には所々に宝石と思われる飾りをつけた豪華なシャンデリアがかかっています。
どう考えても、普通の一般人が関われる場所ではありませんね…
私はお金持ちの家の娘だったのでしょうか?
「あのっ!お話し中失礼しますが、私の家はお金持ちなのですか?」
ただひたすらに白姫さんへの褒め言葉を紡ぐ彼を中断して、私は尋ねました。
「?いや、特別裕福なわけでは無いと思うぞ?かと言って貧乏なわけでもないが… 食い物に困らず、偶に服とかアクセサリーで贅沢する程度だな…」
私の質問の意図が理解できない、と言った口調で彼は答えました。
「そうですか…では、ここはどのような場所なのですか?私の家でなければ、あな…燈夜さ…燈夜の家なのですか?」
私の言葉を聞き、はっと我に返ったように周りを見渡し、とある方向に視線を定めた後、また私の顔を見ました。
「あー。ここはだな、はっきり言って、俺も知らない場所だ。どうやってここに来たのかもわからない。かくいう俺も、今さっき目を覚ましたばっかだからな。」
気まずそうにそう言った彼は、また先程の方向へと目を向けました。
私もそれに習って、その方向へ目を向けると…
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