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フィフスグラウンド・オンライン2

何故このような事が起こるのか、不思議でならなかった。

アルファテストで使用可能となった機体は次のものになる。

第1世代ヴューレ封華ふうか那由華なゆか

第2世代ヴューレ彩華さいか鋼華こうか秀華しゅうか

第3世代ヴューレ仄華ほのか

第4世代ヴューレ煉華れんか閃華せんか零羅れいらと、なっている。

ベータテスト時には第4世代ヴューレの改良型凛滅りんめつ虚穿こはく詩暮しぐれ迫尽せりつき鎖以さゆき無螺公むらまさが追加予定だ。

だと言うのに、機体の画像と、性能のみしか開示していない第5世代以降のヴューレを所持しているとは考えにくい。

ともすれば、これはシステムエラーであると言う考えが妥当だろう。

すぐさま、システムエラーの修正プログラムを起動させ修正した、筈だった。

だと言うのに、以降も影狼の目撃情報が後を絶たず、また撃墜されるプレイヤーも続出し始めたのだ。

兎に角、実際に見てみないと分からないだろう。


楽な姿勢で横たわり、装置を装着する。

起動スイッチを押し込む。

一気に視界が光で満たされ、真っ白な中に文字が浮かび上がる。

『オンラインシステムチェック中…』、『オンライン』、『ようこそオンラインの世界へ』

視界が次々と切り替わり、フィフスグラウンド・オンラインの精緻に描かれる空と、そして大地の上に降り立った。

空には白い雲が流れ、鳥が優雅に羽ばたいている。

大地を踏みしめる度に草や花の香りが漂っているようだ。

これこそ、フルダイブ式のゲームの醍醐味だと言える。

夢ではない、現実と変わらない世界。

いや、現実に似てはいるもののそれを更にふるいに掛けて美しさを引き立たせているかのようだ。

これが現実かそれとも架空の世界なのか判別が難しい時がある。

体験している事は、夢ではなく事実で、それは肉体を通してみる現実ではない。

現実に似て非なるものと呼ぶのが相応しいのか、それとも。


時折思うのだ。

例えば、このまま永遠にこの場所にいる事が出来たとしたら、その人にとって果たして、現実に似て非なるものであるのだろうか、もしかしたらこの場所こそが紛れもなく現実になるのでは無いだろうかと。


すぐ前にあるメニュー画面に僕のプロフィールが表示される。

このゲームの運営用のアバターを指でタッチし掛けて、個人的に作った別のアバターを見る。

運営用のアバターには各種能力、例えば機体の性能など規定値に加算されての操縦が可能であったり、装備品、アイテム、国の所属や地位の変更が行える権限が備わっている。

が、僕はどうもこう言う物に慣れる事が出来ず、いつも個人的に取得したアバターでゲームをするのが常だった。

それに、運営用のアバターが都市や空域を飛び回っているようであれば、テストプレイヤーにとっても良いとは限らないだろう。

常に監視されているという良からぬ不信感や、不安が募って本来のゲームを楽しむ事が出来なくなってしまうのではないかと言うのが持論ではある。

個人的なアバターであれば、他のプレイヤーに気付かれることは無く、ごく自然なゲームプレイを見れると言う訳だ。

システムエラー時にはしぶしぶ運営用のアバターで問題の個所を確認しに行くのだが、今回は個人的なアバターで向かうとしよう。

運営用アバターの隣に並んだ個人的なアバターにタッチする。

すると再び視界が切り替わり、周囲の様子を一変させた。


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