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フィフスグラウンド・オンライン13

影狼が僕を真正面に捉えた。

機体に取り付けられた、レーザー掃射口が向けられている。

僕は避けない。

と、言うよりも避ける事が出来なかった。

圧倒的な力の差、とでも言うべきであろうか。

距離にして5メートル程。

影狼を見上げる様に僕は視線を向ける。

白銀色に塗装された機体と同様に、操縦者の服と、ヘルメットも白を基調としている。

と、ヘルメットのバイザー横に、マークがあるのに気が付く。

黒く塗られた片翼だった。

何処かで見たような気がする。

しかし、一体何処だったか。

その考えに至る前に、閃光がこちら目掛けて迸る。

シールドを全開にしていた。

筈だと言うのに、まるでそれが無い様に錯覚させられる。

レーザーはまず、機体の動力部を貫いた。

と、続けざまに僕の胸部を貫く。

ゲームである以上は、死ぬ事は無い。

ただ、ペナルティーを科せられて、再びゲームをプレイ出来る。

だが、レーザーを貫通した場所は現実に撃たれたものと同様では無いにしても痛点を刺激して、疼く。

堕ちた他のプレイヤーや【KOM】や【RINA】はどんな気持ちで墜ちて行ったのだろうか。


そう言えば、と思い出す。

この影狼と言う機体。

そして、急旋回、急加速の機体の動き。

ヘルメットに描かれた片翼のマーク。

やはり何処かで見たのだろう。

既視感。

何処だったか。


そうだ。

確かあれは――。


その考えにたどり着くよりも早く機体が爆砕する。

僕の身体は宙を舞って、海上へと墜ちて行く。

その衝撃が徐々に薄れて、視界が真っ白く塗り替えられた。

視界の中心に、文字が浮かび上がる。

『GAME OVER』

『システム、チェック中……。』

『これより24時間のペナルティー期間となります。

再びフィフスグラウンド・オンラインでの活躍を期待しています。

            フィフスグラウンド・オンライン運営』


文字の羅列が並ぶ。

そして、装置の電源を切り、取り外す。

大きく息を吸い込み、吐き出す。

コーヒーの香りが混じった部屋の香り。

現実に還ってきたのだ。

仲間を全滅させられて、ではあるが。

「あの影狼。

だけど、何故」

僕は上半身を起こして、携帯端末機を取り出す。

素早くボタンを押して、通話ボタンを押す。

相手が名前を名乗る前に言う。

「あ、悪いけど、今すぐに調べてほしい事があるんだ。

大至急」

睨み付ける様に窓の外に視線を向けた。



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