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ササミのタタキと焼き鳥屋の年齢、種族不詳の従業員



「なぁ愛満、これから暑くなるにつれて何かオススメな冷たくて食欲が出る『おつまみ』てないかなぁ~?」


店の休みを利用して万次郎茶屋に遊びに来ている。

『焼き鳥』をメインに扱う居酒屋を営んでいる兎族のラトスが、愛満から出された。冷たく美味しいサイダーをチビチビ飲みながら、夏にオススメなお酒に合う料理がないかと質問する。


「そうだね。…………夏も近い事だし、冷たくてアッサリ食べれて、お店の冷蔵庫に仕込んでおける簡単なつまみ料理だと、前に教えた『冷奴』や『枝豆』、『トマトの冷やし煮浸し』、『南蛮漬け』何かがあるかなぁ。

ラトスやムツ、ウナ、クウは、他にどんな『おつまみ』が出したいの?」


考えがまとまらない愛満は、ラトスやラトスのお店で最近住み込みで働く事になった。

ラトスが私用で立ち寄った街で、ひどく衰弱して痩せ細った3人が倒れてる所を発見、保護して助けた事ですっかりなつかれ。

助けてもらった恩を返すまでは離れないと朝倉村まで付いて来た。

見た目10~3才なのだか、本人達は38才と言い張る。自称38才で、種族を聞いても解らないのか、あえて教えてくれないのか、どっちらかか不明の元自称孤児のムツとウナ、クウの3人にも意見を聞いてみる。


「う~ん……俺が出したい冷たい『おつまみ』ねぇ。

愛満が教えてくれた『冷奴』、『枝豆』、『トマトの冷やし煮浸し』、『南蛮漬け』どれも美味しそうだし。これと言って俺が出したい冷たい『おつまみ』は思い浮かばないんだよなぁ。

それに俺は親父や兄貴達が汗水垂らして、真心込めて育てた鶏肉を使い。お客さんが喜ぶ旨い焼き鳥を焼けたら、それだけで満足だし。

………あっ!けどササミが好きだから、ササミを使った冷たいつまみが食べてみたいかなぁ。

愛満、ササミを使った冷たいおつまみ出来るか?

ムツとウナとクウの3人も、何か食べてみたい冷たいおつまみとか有るか?」


ラトスが話しかけるのだが、ムツ達3人は愛満が振る舞ってくれた冷たい『サイダー』やお茶菓子のきな粉と黒蜜がたっぷりかかった『わらび餅』を食べたり、飲んだりするのに夢中で、まったくラトスの話を聞いておらず。

ラトスに肩を軽く揺すられ、やっと話しかけられた事に気付いた様子の3人は


「えっ?ラト兄、何か言いましたか?」


「ラト兄、この菓子旨いな!俺こんな旨い菓子初めて食ったぜ!

ラト兄が言うように、生きてりゃこんな旨いもんが食えるんだなぁ。儲けもんだぜ!」


「ラト兄、サイダーって美味しいね!甘い匂いと味にシュワシュワした喉ごしがたまらなく癖になるね!

この見た目じゃエールが飲めないから毎日苦痛だったけど、今じゃこのサイダーが飲めるから、この見た目でもプラマイゼロかなぁと感じ始めてるよ。」


完全に愛満とラトスの話を聞いて無く、思い思いの事を口にするムツ、ウナ、クウ達3人にラトスは思わず苦笑いとため息が出てしまう。


「………お、おめえ達………はぁーーー………。」


「あっ!ラト兄、何ため息ついてんだよ!

ため息ついたら幸せが一個逃げるってラト兄が教えてくれたんだろう!」


「そうですよ、ラト兄!」


「ラト兄、いくら老後は僕達3人が見てあげるからと言って安心してボケるには早過ぎるよ。しっかりしなきゃ!」


「…こ、こ

(こんちくしょ!フゥーーー……落ち着け自分!

相手はまだ子供で、体調の万全じゃないなんだから、大人の俺が折れてやらなきゃないけないんだ!…………あぁーーー!!けど、やっぱコイツら小生意気過ぎて口が達者で、たまに無性に腹が立つぜ!)…………………そうだったなぁ。ごめん、ごめん。」


軽く怒りを抑えてながら、大人の対応でラトスが3人に謝る。


「幸せは大切なんだぜ!気をつけろよ、ラト兄」


「本当ですよ。ラト兄の幸せが僕達の幸せに繋がるんですから、気をつけて下さいね。」


「ラト兄、どんまい。」


口々に好き勝手言うムツ達を横に、ラトスとムツ達の一連のやり取りを一部始終見ていた山背が、ムツ達が元気になったとは言え。

まだまだ頬は少しこけ、痩せ細った3人の体に、保護した時の痛々しい様子を思い出したりと、強く言えない様子のラトスの姿を見て


「……うぅ~~、う~~~~、ラ、ラトス、お主も苦労しておるのじゃ!しかし立派じゃったぞ。

そうじゃ、もう少しの辛抱じゃ。こやつらがもう少し太り、大きくなれば、ガツンと教育的拳を降り下ろせるのじゃ。

今は我慢じゃ!我慢なのじゃ!そして心を強く持ち頑張るのじゃぞ!」


目に涙をためながら激励の声をかけ、愛満は苦笑いするしかなかったのであった。


そうしてその後、ラトスが食べてみたいと話す、ササミを使った冷たいおつまみの作り方を愛満が教えてくれる事になる。



◇◇◇◇◇



「と氷水につけて冷やした後、水気をきったササミをそぎ切りにして、醤油、みりん、柚子胡椒、砂糖を混ぜ合わせた特製タレと合えたらお皿に盛り付け。

くぼみに卵の黄身と小口切りした小ネギを散らしたら完成だよ。

どう?どこか解らなかった所ある?ラトスでも作れそう?」


ラトスが好きなササミを使った冷たいおつまみの『ササミのタタキ』を教えていた愛満がラトスに聞く。


「おう!新鮮なササミを使う事と、酒の入った沸騰させたお湯でサッと湯引きするとを気をつける意外は特に難しくないから大丈夫だと思うぜ!」


ラトスが返事しながら、今度はラトス本人が『ササミのタタキ』を愛満に習ったとおりに作り始める。


すると日曜日にある学校主催の運動会の出し物の1つ、躍り(ダンス)の練習を花夜達としていたタリサ達やお昼休みの美樹や黛藍もお腹を空かせて帰って来て


「愛満ーただいま~!タリサが帰って来たよ~♪あぁーお腹空いた!」


「よしみちゅ、ちゃじゃいまー!マヤラもかえちぇきちゃよー!」


「愛満ーただいまでござる!拙者、お腹が空いたでござるよ♪今日のお昼ご飯は何でござるか?」


「ただいま~。帰ったぜ。」


「お腹空いたアル~。」



お腹空いたコールがあちらこちらから上がるなか、ラトスやムツ、ウナ、クウの4人も交えた。

ササミを使った冷たいおつまみの『ササミのタタキ』の試食会も兼ねたお昼ご飯の時間が始まるのであった。




ブックマーク、お気に入り、評価をしてくたざった方、本当にありがとうございます。

誤字、脱字が多々ある作品ですが、これからもよろしくお願いします。



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