鯵フライ・らっきょうタルタルソースとらっきょうの塩漬け
その日 晴れ晴れした天気の中、万次郎茶屋の漬物部屋の作業場では、万次郎茶屋のメンバーがある作業を黙々としていた。
◇◇◇◇◇
「愛満、全部のらっきょうの泥や汚れ、綺麗に洗い終わったでござるよ。」
「こっちも、らっきょうの薄皮はがし終わったぜ。」
らっきょうのひげ根を切る下処理をしている愛満に愛之助や美樹が声をかける。
「ありがとう。なら美樹と黛藍は僕と山背がやっている、ひげ根切り作業にチェンジしてもらって、愛之助とタリサとマヤラと光貴は、美樹と黛藍がやってくれていた薄皮はがしをしてもらえるかな?」
「うん!」
「あい!」
「解ったへけっ!」
「了解したでござる!らっきょうの薄皮を1つずつ、丁寧にはがすでござるね!」
愛之助達がヤル気ある返事をしながら、らっきょうの薄皮はがしの作業にとりかかってくれる横で、美樹や黛藍達も
「愛満、らっきょうのひげ根や先は、どれくらい切っていいんだ?」
「らっきょうのひげ根や先はね、ひげ根はギリギリのところで、茎はなるべく長く残して切って欲しいんだ。
じゃないと切り口から水分が含み過ぎて、しなしなの歯ごたえが無いらっきょうになっちゃうんだよ。
やっぱりらっきょうて言えばカリッとした歯ごたえが美味しいでしょう!」
「あっ!だから愛之助達にもらっきょうを長時間水につけないようにって洗う時に言ってたアルね!」
「へぇー自分達でらっきょうを漬けるだけでも驚きなのに、らっきょうの下処理だけでも、いろいろ考えられてるんだなぁー。」
らっきょう作りの奥深さに美樹と黛藍が感心していると話を聞いていた愛之助が
「それだけではないでござるよ!
このらっきょうを選ぶ時も、カリカリとしたらっきょうを作る為に!愛満が1パック、1パック吟味して、土きの新鮮で、眼がのびてないものを選んでいたでござるよ!
それにらっきょうは生命力が強いでござるから、直ぐに芽が伸びて鮮度が落ちてしまうでござるよ。
だから買ったその日に早目に漬けるが基本でござるから、このらっきょう達も、忙しいなか愛満が朝一番に仕入れてきてくれたでござるよ。」
らっきょうの話で盛り上がりながら、らっきょうの漬物の第一段階『らっきょうの塩漬け』作業が終わるのであった。
◇◇◇◇◇
「くぅ~!終わった、終わった。」
「ふぅーーよちき、たのちかちゃね。こんにゃがんばちゃひのちごとおわりゅのいっぴゃいは、おいちいね~!
うんうん。やっぴゃりチャイダーはチュワチュワちて、おいち~♪」
「そうだな!頑張った後の1杯は美味しいなぁ~!俺もビールが旨いぜ!」
らっきょうの塩漬け作業を終え。風呂上がりの美樹とマヤラの2人が、まったりとした雰囲気のなか、仕事終わりの1杯を飲んでいた。
すると気の早いタリサが愛之助へと話しかけ。
「らっきょうの塩漬け楽しみだなぁ~♪
ねぇ愛之助、愛満は『らっきょうの塩漬け』いつ食べれるて言ってた?」
「えっ!まだ食べれないでござるよ。らっきょうの塩漬けは10から14日ぐらい漬かるのにかかるでござるし。
そもそもらっきょうの塩漬けは、そのまま食べる事はあまりないでござるよ。
塩漬けから甘酢漬けや醤油漬け等を作るでござるから、まだまだ日にちもかかるでござるし。
塩漬けは前処理として作るものでござるから…………タリサ、残念でござるね。」
「えぇー!そうなの~~!」
タリサがらっきょうの塩漬けが直ぐに食べられないという新事実を知り、ショックを受ける。
そうしているとお昼ご飯を作ってくれていた愛満と黛藍、山背達3人がワゴンいっぱいに出来立てのお昼ご飯をのせて戻って来て
「みんな お待たせ~!お昼ご飯が出来たよ。」
「今日のお昼ご飯も美味しそうアルよ。しかも揚げたての『鯵フライ』アル!」
「はぁ~♪本当に旨そうな匂いじゃ!早く食いたいのう~。
食事の準備は出来ておるかのう?」
「う~ん♪良い匂い!お腹すいた~♪」
「マヤラもおにゃかちゅいた~♪」
「愛満、黛藍!テーブルの準備バッチリでござるよ!」
朝早くからお手伝いして、お腹がペコペコのタリサとマヤラ達が喜ぶなか、皆が楽しみのお昼ご飯の時間が始まる。
◇◇◇◇◇
「うわー本当に旨そうだな!……………けど、あれ?今日のタルタルソース、いつもと何か違うくねぇ?」
テーブルに並ぶ料理の数々を見ながら、いつもと違うタルタルソースに目ざとく気付いた美樹が質問する。
「あっ、気付いた!実はね、らっきょうの塩漬けを漬けた事を記念して、普段は胡瓜や乾燥パセリを加えて作ってるんだけど、今日のタルタルソースは、らっきょうと茹で玉子だけでシンプルに作くったんだ。」
愛満が美樹の質問に答える横では、我慢できなかったタリサや山背達が揚げたて熱々の鯵フライを食べ。その美味しさに悶絶して
「鯵フライ美味しい~♪揚げたて熱々だからサクサクしてて、少し甘酸っぱいタルタルソースと良く合うね。」
「本当に旨いのう~♪ワシは愛満が揚げてる時から今か今かと食べれる時を待っておったのじゃ!」
鯵フライやらっきょうのタルタルソースを絶賛する。
そんな様子に愛之助達も我慢できず、食事の挨拶をすると一斉に鯵フライを食べた始め。
「本当に美味しいでござる!鯵フライもカラリと揚がっておるでござるし。
肉厚の鯵の身とらっきょうのシャキシャキした食感がするタルタルソースが合っていて、実に美味しいでござるよ!」
「おいちいね~♪マヤラ おにくもおちゃかにゃもどっちもちゅきよ~♪」
「……モグモグ……モグモグ……モグモグ……喋ってる時間が惜しいほどの美味しさへけっ!」
「……モグモグ……うんうん♪黛藍も三枚下ろしした鯵フライはサクホクで美味しいアルね。
それにらっきょうが入ったタルタルソースがサッパリしていて鯵フライと良く合うアルよ!」
皆が鯵フライに夢中のなか、小さめの天ぷら用の竹ザルに盛られた天ぷらに気づき、食べた美樹が
「おっ!なんだコレ?ニンニクの天ぷらか?…………………おぉー!ホクホクしてスゲー旨いな。ビールにも合うし、病み付きになる旨さだぜ。」
その見た目からニンニクの天ぷらを食べたと思った美樹が話し、モリモリ天ぷらを食べ進めていると愛満が
「美樹、それニンニクの天ぷらじゃなくて生のらっきょうを揚げた『らっきょうの天ぷら』なんだよ。」
「えっ!らっきょう?ニンニクの天ぷらじゃないのか?」
「うん。生らっきょうが出回る今の時期しか食べれない『らっきょうの天ぷら』だよ。
塩漬けするらっきょうを少し取り分けていて、生のらっきょうに天ぷら衣をからめて揚げたんだ。美味しいでしょう。
美樹が勘違いするように揚げたらっきょうの天ぷらは、調理したニンニクみたいにホクホクして、うちの爺ちゃんが大好きでね。この時期になるとお酒のつまみによく揚げてあげてたんだ。」
「へぇーーー生のらっきょうの天ぷらな!
俺が知らないだけで、この世界にはまだまた沢山の旨い食べ物が有るんだな!」
愛満の話に美樹が何やら納得して大きく頷くのであった。
◇◇◇◇◇
こうして、その日の万次郎茶屋では皆で力を合わせて大量のらっきょうの塩漬け作業を行い。
美味しい食べ物を食べ、いつものように平和な時間が過ぎていった。
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脱字、誤字が多々ある作品ですが、これからもよろしくお願いします。




