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ポテトコロッケと魔法機術師のピルク


「ふぅー、かなり遠くまで来てしまったなぁ~」


王都で泣かず飛ばずの万年貧乏の魔法機術師のピルクが少々大きな独り言を呟く。


「しかしベル先生があんなに誉める朝倉村とは、どんな所なんだろう~、楽しみだなぁ~。」


このけだるげに語尾をのばして喋る癖を持つピルク。こう見えて平民ながら幼い頃から普通の人より多い魔力を持っており。


それを旅回りしていたベルが発見し、ベルの支援で王都の学園に通ったベル財団の足長会の恩恵を受けた1人なのだが、学生中に生活雑貨に魔方陣を書き込み。

収容した物の時が止まる魔法袋や箱に入れた物が長持ちし、ひんやり冷たくなる魔法箱。

昔 異世界からやって来た者が発明したと言われる汚れた衣服と水、洗剤を入れ、スイッチを押すと独りでに綺麗になる洗箱などの市民の生活を助ける魔道具を作るクラブに加入すると、その面白さにハマり。

卒業後に副業で働く者しかいない魔法機術師を本業にしてしまった、少々変わり者なのだ。


なので副業で働く者が多い魔法機術師を本業にしているピルクが毎日真面目に仕事をしていても年中貧乏生活になってしまい。たびたび栄養失調で倒れる事等が多々あり。


そんなピルクを心配したベルが、村人も優しく、物価も安く、食べ物が美味しい朝倉村ならピルクが飢え死にする事はないだろうと考え、朝倉村への移住を進めたのだ。



そうしているとピルクが乗る朝倉村と近くの町を行き来している乗り合い荷馬車が目的地の朝倉村へも着くのであった。



◇◇◇◇◇



チリーン、チリーン♪


「すいません~。ベル先生の紹介でやって来たピルクと言いますが、愛満さんはいらしゃいますか~。」


ベルから朝倉村に着いたら必ず最初に訪ねなさいと言われた愛満を訪ね、ピルクが万次郎茶屋にやって来る。


「は~い、いらしゃいませ。僕が愛満ですが…………もしかしてベルさんの手紙に書いてたピルクさんですか?」


奥の台所で作業していた愛満が出て来てピルクを出迎える。


「はい~。ベル先生の手紙にどんな風に書かれているか解らないですが僕がピルクです~。

それから僕の事はピルクと呼び捨てに呼んでいいですよ~。」


「そうですか、なら僕も愛満と呼んで下さいね、ピルク。よろしくです。」


ピルクと愛満が話をいていると昨日の夜からお金が無く、何も食べてないピルクのお腹が大きな音で鳴り響く。


キュルルル~~~!


「あっ!……………エヘヘへへ~。」


「お昼近くだからお腹が空きますもんね。僕もさっきお腹が空いてお腹が鳴っちゃたんですよ。

それにこの季節は何をしていてもお腹空きますもんね。あっ!僕だけか、イヒヒヒヒ。

そうだ!僕達今からお昼ご飯なんですけど、良かったらピルクも一緒に食べましょうよ。そうです!そうしましょう!ご飯は皆で食べる方が美味しいですもんね。」


大きなお腹の音にピルクが恥ずかしそうに苦笑いしているなか、そんな事気にしてない様子の愛満が自分もお腹をが鳴ったと話し。ピルクが断る暇も無く、お昼ご飯の参加を決めてしまう。


そんな愛満の何気ない気遣いに、王都ならばこんな大きなお腹の音を鳴らすと、良くてマナーが悪いと不機嫌な顔で睨まれ、舌打ちされたり。

悪くて笑われ、陰口を言われたり。馬鹿にされたりとそんな経験しかしてこなかったピルクは、ピルクの事を笑う人が1人もいない事に驚き。

愛満に頼まれ、やって来た愛之助達に手を引かれるままに座り心地の良いテーブル席へと腰掛けるのであった。



◇◇◇◇◇



「みんな~お待たせ!

今日のお昼ご飯は、新じゃがと新玉ねぎを使った『ポテトコロッケ』だよ。

お代わりも沢山有るからピルクも遠慮しないで、お腹いっぱい沢山食べてね。

それから揚げたて熱々だから口の中火傷しないように気を付けて食べて!」


お皿いっぱいに揚げたてのコロッケを乗せた愛満や愛之助達が戻って来て、みんなの前に種類豊かな料理を置いてくれながら、お昼ご飯の時間が始まる。



「…ハフハフ…ハフ……ゴックン、はぁぁ~~美味しい!!

コロッケ熱々だけどサクサクほっくりで、本当に美味しいね!僕 何個でも食べれちゃうよ♪」


「…熱!ハフハフ…ハフハフ……ハァ~美味しいへけっ!」


「……ハフハフ……ハフハフ………う~ん!本当に美味しいでござるね。

クリーミーな新じゃがと新玉ねぎの甘みが、甘辛く味付けされた鶏そぼろと合わり。滑らかな舌触りにサクサクなパン粉の食感がグーでござるよ!」


「…ハフハフ…おいちい!けじょ、あちゅいね。」


「……ハフハフ…ハァ~、コロッケ旨いのう~。揚げたてじゃから、なおさら熱々サクサクで旨いのじゃ!

それに愛満お手製のソースもポテトコロッケに良く合い。コロッケの旨味を引き出していて旨いのう~。」


揚げたて熱々の山盛りのコロッケをハフハフ言いながら食べる愛之助達が、その美味しさを何時ものように愛満に伝えていると同じように夢中で食べているピルクも


「…ハフハフ……ゴックン。

本当に美味しいね~。王都でも油で揚げる料理を食べていたけどスゴく油ぽくって、次の日には胃が痛くなるから僕苦手だったんだ~。

けど愛満が作ってくれたこのコロッケは、サックリしていて全然油ぽくなくて、本当に美味しいねぇ~。」


ニコニコと美味しそうにコロッケを食べるピルクがコロッケの感想を伝えてくれるのであった。



◇◇◇◇◇



「あれ!そう言えば美樹と黛藍は?」


お腹いっぱい食べて一息ついたタリサが、いつもお昼ご飯を食べに帰ってくる美樹と黛藍がいない事に気付き。不思議に思い愛満に訪ねる。


「あれ?タリサ、朝伝えてなかったっけ?

美樹はお昼過ぎまで予約のお客さんがいっぱいで帰って来れそうに無いから、今日はお弁当の日なんだよ。

それから黛藍はお姉さんが足を挫いちゃって動けないから、昨日からお姉さん家族のお手伝いに出掛けて留守なんだよ。」


「あっ!そうだったね。忘れてた!」


「わしゅれちぇた、わしゅれちぇた。」


タリサと愛満が話しているのを聞きながら、お腹いっぱいにポテトコロッケを食べ。

ここ何年か味わえなかったお腹いっぱいの満腹感に夢見心地で微睡んでいるとピルクは、そのままソファーで眠り込んでしまい。気が付くと薄手のブランケットをかけてもらっていた。


知らず知らずのうちに長居してしまったとお礼を言いながら、宿泊のため学校時代の恩師リーフを訪ねに行こうとすると愛満が、先程の用にピルクを晩ご飯へと誘い。

お昼ご飯に引き続き、美味しい晩ご飯もごちそうになり。

その後、ずるずると愛満宅の檜風呂を堪能して、気が付くと愛満宅に泊まることが決まっていた。



◇◇◇◇◇



そうして、てっきり朝倉村の朝倉学園で雑用か用務員として働くものだと勘違いしていピルクは、次の日にはピルクの要望が沢山つまった魔法具を販売する店舗や作業場、自宅の兼ね備えた店舗兼自宅の一軒家を愛満の(チート)を使って建ててもらい。


もう栄養失調で倒れる事の無い、朝倉村で毎日温かく充実した日々を過ごす事になるのであった。





ブックマーク、お気に入り、評価をしてくださった方、読んでくださってる方、本当にありがとうございます。

誤字、脱字が多々ある作品ですが、これからもよろしくお願いします。



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