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和菓子『大学バナナ』と猿族の菜緒弥



その日 万次郎茶屋には、天丼屋を営む猿族の篤森が甥っ子の菜緒弥を連れて遊びに来ていた。



◇◇◇◇◇



「篤森も菜緒弥も久しぶりだね。お店の方はどう?今日は休み?それに伯楽は?今日は一緒じゃないの?」


いつものように仲良くなると気になる事はズバズバと聞いてしまう性質の愛満からの矢継ぎ早の質問に篤森がクスクス笑い。


「うん。お店の方は伯楽と2人になってからお客さんへの対応も早く出来て、お陰さまで客足も延び。有り難い事に毎日仕込んだネタが綺麗に無くなっちゃうぐらい繁盛させてもらってるよ。

それに伯楽は今日はリーフさんとの用が少し有るみたいで遅れて後から来るって言ってたよ。」


「そうなんだ。お店の方も伯楽との仲も問題無いみたいで良かった。あの後なかなか篤森と話せなかったから心配してたんだ。」


篤森と話しながら、篤森の横にちょこんと座る。篤森の甥っ子になる猿族の菜緒弥へと話しかける。


「菜緒弥も久しぶりだね。体調の方はどう?熱は下がった?」


この前の大雨で濡れ、熱が出た菜緒弥の体調を気にしていた愛満が訪ねる。

すると菜緒弥は嬉しそうに元気良く返事をして


「うん!お母さんと一緒にね、病院に行ってリサ先生に見てもらったんだ。」


「そうそう、それで病院で貰った甘いシロップを毎日飲んで熱も下がって、この通り元気になったんだよね。

それに今日は念の為に休ませてるだけだから、明日には学校にも通える予定だし。

今日は熱の間大人しくしていた菜緒弥のご褒美と気分転換を兼ねてとの桃花のお願いで、菜緒弥のお守りに休みの僕がかりだされた訳なんだよ。」


「あらー、桃花さんのお願いじゃ断れないね。」


「うん。桃花の頼みじゃね………断れないんだ。」


「そうじゃのう~。桃花の頼みを断るのは命懸けじゃからのう。」


愛満や篤森の話を聞いていた山背がポツリと呟き。


「菜緒弥 久しぶりじゃのう~。学校の方はどうじゃ?友達できたかのう、楽しいかのう?」


愛之助達が仲良しそうに遊んでいる小上がりの畳コーナーへと菜緒弥を連れて移動する。


「うん!勉強も面白いし、友達も沢山出来て楽しいよ!それに給食がすっーごく美味しいんだ!

熱のせいで何日間学園休んじゃったけど熱も下がったし。明日からはまた学校に行っていいってお母さんが言ってたから、明日が楽しみなんだ!」


「そうか、そうか。友達も出来て学校も楽しいか!それはほんに良かったのう~♪」


山背が菜緒弥の友達も出来て、学校が楽しいと言う言葉に嬉しそうに答える。



◇◇◇◇◇



実は菜緒弥、今まで住んでいた近くに学校が無く。

毎日仕事している父親や母親に引っ付き虫で、年の近い子供達と遊ぶ機会がほとんど無く。

朝倉村に引っ越して来てから突然、村の学園へと通える事になり。

始めて接する事になる、年の近い沢山の子供達に囲まれ。不安やストレスで毎朝登校の時間になると大泣きして、学校に行くのを嫌がっていたのだ。


そんな菜緒弥の様子を愛満を通じて茶飲み友達になった篤森から聞いていた山背は、菜緒弥の事が心配で、心配で

何か菜緒弥の助けになる事が出来ないかと考えてしまうほどに日々悩んでいたのであった。

なので先程の菜緒弥の言葉が、まるで自分の事のよのうに嬉しく。力をいれていなければ、瞳から涙がこぼれそうになっていた。



◇◇◇◇◇



そうしていると前にストレスで落ち込む菜緒弥を元気づけるために愛満が作ってあげてから、菜緒弥が来ると必ずリクエストする。猿族の篤森と菜緒弥、そして亀族の山背も大好物の『アル』お茶菓子を持ち。

愛満が山盛りに盛られたそのお茶菓子を持って台所から戻って来る。


「みんなお待たせ~『大学バナナ』が出来たよー♪」


「ヤッター大学バナナだ!僕、大学バナナ大好き!」


「僕も大学バナナ好き!美味しいもんね!」


「マヤラもちゅきよ♪あまくちぇ、おいちいね。」


「僕も大学バナナ好きへけっ!パリパリしっとりして美味しいへけっ!」


「拙者は愛満が作ってくれるおやつなら何でも好きでござるよ!」


チビっ子組が出来立ての『大学バナナ』が山盛りに盛られたお皿に群がるなか。山背や篤森の大人組は、愛満が気をきかせて1~2人分の量を小山に盛ってくれたお皿を受け取り。


「はぁ~♪大学バナナは、いつ食べても美味しいね。

それにしてもこのバナナと言う果物を始めて食べた時は、涙が出るほど美味しくて、朝倉村に移住して来た事を改めて感謝してしまったぐらいだよ。

………うんうん………栄養満点で美味しいなんて、本当にバナナは最高の果物だね。」


「本当に旨いのう~♪ワシはそのまま食べるバナナも好きじゃが、やっぱり一番は『大学バナナ』になったバナナが好きじゃ!

大学芋と同じとろ~り甘いタレと、表面だけがほんのり温かいバナナが絡まり。実に病み付きになる旨さなのじゃ!」


口々に『美味しい、美味しい』と言いながら、美味しそうにパクパクとハイスピードで皆『大学バナナ』を食べ進めていく。

そんな自身が作った『大学バナナ』を美味しそうに食べてくれている皆の様子に、愛満が嬉しそうに微笑みながら質問する。


「みんな『大学バナナ』大好きだね。そんなに美味しい?」


すると唇に大学バナナに振りかけた黒ゴマをつけたタリサが


「うん!すん~ごく美味しいよ!とろ~りとしたアンに絡まった甘いバナナが相性バッチリで美味しいだ!」


『大学バナナ』の美味しさや、素晴らしさを愛満に伝えていると隣に座り大学バナナを食べている菜緒弥も手を止め。


「タリサの言う通りだよ!とろ~りしたアンとバナナに絡まったカリッとした食感のアンが2種類楽しめるしね。

そこに甘いバナナのねっとりした舌触りが加わって、バナナ大好きな僕としては、止まらなくなる最高のおやつになるんだ!」


熱く力説してくれる。そんな元気を取り戻した菜緒弥の様子に愛満は嬉しそうに


「そうなんだ、大学芋のバナナバージョンなだけなんだけどなぁ。そんなに美味しいと言ってくれるなら今日は大奮発して、お礼に『大学バナナのキャラメル味』バージョンを作ってあげようかなぁ?」


愛満の言葉にチビっ子組は嬉しさのあまり踊りだしたり、ワーワーキャーキャー言って興奮した様子で喜びだす。


「よし!なら作ってくるかなぁ。みんなどのくらい食べる?沢山?それとも普通?少しでいいの?」


愛満が質問すると先ほど普通の『大学バナナ』を山盛り食べたばかりだというのに


「ううん!!たくさん食べる!」


「うんうん!いっぱい食べるよ!」


「僕もいっぱい食べたいへけっ!」


「マヤラもちゃべる!」


チビっ子達の沢山食べるコールの声援を受けながら、愛満はまた山盛りの『大学バナナ・キャラメル味』を作り始めるのであった。



◇◇◇◇◇



そうしてその後、遅れてやって来た伯楽も加わり。2種類の山盛り『大学バナナ』を皆で仲良く食べ。大学バナナ好きの桃花達へのお土産にも包んであげたり。

菜緒弥達は大満足のなか家路へと帰って行った。





ブックマーク、お気に入り、評価をしてくださった方、本当にありがとうございます。

脱字、誤字が多数ある作品ですが、これからもよろしくお願いします。



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