ビネガーミルクと大雨の愛満宅の朝ご飯
その日 朝倉村では、昨日の深夜から降り続く大粒の大雨で、村中がどことなく薄暗く、じめじめした雰囲気に包まれていた。
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そんななか万次郎茶屋では、いつものように朝の仕事を終えた愛満達が、愛満お手製のボリューム満点の朝ごはんをモリモリと食べていた。
「しかし今日の雨はスゴいな!あまりの雨音にいつもより早く目が覚めちまったよ。」
朝からガッツリ食べる派の美樹が3杯目のご飯のお代わりしながら皆に話しかける。
「本当にスゴいのう~。大粒の雨が窓に打ち付けるように降っておるし。ワシの自宅から愛満の家に朝ご飯を食べに来る少しの移動でも雨に濡れて大変じゃったわい!本当にいつになったら止むのかのう~。」
好物の『ほうれん草のごま和え』をモグモグと食べている山背が美樹の話に答える。
「本当でござるよ!今日の雨はいつもよりかなり雨足が強く、雨水の量が多い気がするでござる。
それに山背の言うとおり、雨が止む気配がいっこうに無いでござるよ。………うむむむむ!これではタリサ達が遊びに来れないかもしれないでござる!」
「えっ!タリサとマヤラ遊びに来れないへけっ?そんなの嫌へけっ!」
美樹と山背の話に『厚焼き玉子』をモグモグ食べていた愛之助が、この大雨のせいでタリサ達が遊びに来れないかもと心配しだす。
すると愛之助の隣に座り、最近上手に使えるようになったお箸で『鮭の切り身』を一生懸命食べていた光貴も手を止め。タリサ達が遊びに来れないかもと心配しだす。
美樹の隣に座り『ビネガーミルク』をグビグビと飲んでいる黛藍が
「愛之助も光貴も心配しなくて大丈夫アルよ!
前の大雨の時も愛之助がそうやって心配していたアルが、あの日は愛之助がプレゼントしたカッパを着たタリサやマヤラが、アルフさんに送られ、元気良く茶屋へと遊びに来たアルよ。忘れたアルカ?
それより愛満、今日の牛乳とろ~りとして美味しいアルね!何かしたアルか?」
「あっ、気づいた!今日の牛乳はね、健康に良いかなぁと思って、お酢と蜂蜜を牛乳に混ぜた『ビネガーミルク』にしてみたんだ!美味しかったなら良かった。
誰も何も言わないから美味しくないのかと心配してたんだ。黛藍 ありがとう!」
「どういたしましてアルよ!
それより牛乳にお酢と蜂蜜で『ビネガーミルク』アルね。……どう作るアルか?黛藍でも作れるアルか?
こんなに美味しくて健康にも良いなら、姉さん達にも教えてあげたいアルよ!」
とろ~りとした飲みごたえのビネガーミルクを気に入った様子の黛藍が、近所に住む姉の光紅家族にも教えたいと愛満にビネガーミルクの作り方を聞いてくる。
「うん、スゴく簡単だからオススメだよ。
コップに酢と蜂蜜を入れ、良く混ぜ合わせ。蜂蜜が溶けたら牛乳を注ぎ入れて、また混ぜるだけのスゴく簡単なレシピになるよ。
光紅さんに教えるのなら後でイラスト付きのレシピを書いてあげるから、2人で作ってみると良いよ。」
「本当アルか!愛満、ありがとうアルよ。姉さんに口で説明しても直ぐに忘れちゃうアルから、イラスト付きだと本当に助かるアルよ。」
愛満が黛藍へとビネガーミルクの作り方を話をしていると興味をもった様子の愛之助達もグビグビ飲み始め『美味しい、美味しい』とビネガーミルクの感想を教えてくれるのであった。
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こうして和やかな雰囲気のなか、愛満宅の何気無い1日の朝ご飯の時間は、いつものように平和に過ぎていく。




