和菓子『柏餅』とこどもの日と風呂敷兜
その日 朝倉村にある神社では、吹きながし、真鯉、緋鯉、子鯉の赤・青・黄・白・黒の『こいのぼり』達が気持ち良さそうに青空の下泳ぐなか、村の子供達が集まり。『こどもの日』限定の午後の部の青空教室が開かれていた。
◇◇◇◇◇
「と、こうやって折ったら『兜』の出来上がりだよ。どう?解らない人がいたら近くの先生やお友達に聞いてねー!」
愛満指導の元、様々な柄や色合いの折り目がしっかりつく、糊をパリッときかせた大きな風呂敷を使って、人が被る事の出来る『風呂敷兜』を折っていた。
「…ココがこうで……ココを折って………出来た!愛満、僕折れたよ。どう?苺柄の兜カッコいいでしょう!」
「…よいちょ、よいちょ………あい!マヤラもあいのちゅけがてちゅだってくれて、かんせいしちゃよ!かこいいでちょ!」
「………後はココを折ってへけっ…………よしへけっ!僕も完成したへけっ!
どうへけっか?この白地に小さな梅の花が散りばめられた梅柄の兜カッコいいへけっか!」
「……拙者も完成したでござるよ!どうでござるか?この黒いマ○メロちゃん柄の風呂敷兜カッコいいでござろう!」
「ワシも出来たのじゃ!しかし『兜』とはカッコいいのう~♪
この赤地に黄金の唐草柄が入っておって、渋く大人の色気が有るのじゃ!
………うんうん、ワシの頭にフィットしてピッタリなのじゃ!」
思い思いの色合いの風呂敷を使い『風呂敷兜』を完成させた愛之助達は、愛満に自慢しながら見せに来る。
(ちなみに愛之助達は少しぶっ飛んだ柄の風呂敷を選んでいるのだが、ちゃんと家紋柄や登り竜柄、獅子柄などのカッコいい風呂敷も準備されているのであしからず。)
「うわ~上手に出来たね。みんなカッコいいよ!こんなに上手に作れるなんて、ちゃんと説明を聞いてたし。頑張ったんだね、偉い偉い!」
「そうでしょう!説明ちゃんと聞いてね、スゴい頑張ったんだよ。」
「マヤラもあいのちゅけといっちょにがんばっちゃよ!」
「僕も頑張ったへけっ!それに兜作り面白かったへけっよ。」
「難しかった所もあったでござるが、風呂敷を使った兜作り楽しかったでござるし、この風呂敷兜気に入ったでござる!」
「うむ!ワシは満足なのじゃ!」
愛満に兜の出来や頑張った事を誉めてもらい。何やら誇らしそうに笑う5人は、口々に兜作りの感想を述べる。
そんな5人を微笑ましそうに見ていた愛満は、何やら良い事を思い付いたとばかりに
「あっ、それじゃあ、上手に折れた愛之助達にお願いして、まだ折りあがってない他の子達のお手伝いをお願いしても大丈夫かなぁ?」
「「「「「うん!」」」」」
「僕お手伝いする!」
「マヤラも!マヤラもおてちゅだいちゅる!」
「僕もお手伝いするへけっ!」
「拙者もお手伝いするでござるよ!」
「よし、ならワシもお手伝いするかのう~。」
愛満のお願いに元気良く返事をして、まだ風呂敷兜を折り終えてない子達の所へとお手伝いしに行くのであった。
◇◇◇◇◇
そうして全ての子供達が風呂敷兜を折り終え。思い思いに自分の兜を友達と自慢する中、愛満が
「みんな上手に兜を折れたね、お疲れさま!
兜も折り終えた事だし、今からお待ちかねのおやつタイムが始まるよ。
そして皆が気になる今日のおやつは、『こどもの日』を記念して『柏餅』と『フルーツ盛り合わせ』、『ストロベリーサイダー』になるよ。
今から先生や大人の人達が配るから、そのまま席に座って待って下さい。
それからどちらもお代わりは沢山有るから、喉につまらないようにゆっくり食べて大丈夫だからね。
あっ、あとフルーツ盛り合わせの苺には練乳が付いてて、柏餅の葉っぱは食べれないから気を付けてね。」
愛満の説明の中、青空教室を手伝ってくれていた朝倉学園の先生や村の大人達が『柏餅』や朝倉村産の冷たく冷やされた『フルーツ盛り合わせ』、『ストロベリーサイダー』を配る。
すると少し前にお昼ご飯をお腹いっぱい食べたとは思えない食欲を見せる子供達が、柏餅やフルーツ、ストロベリーサイダーを勢い良くモリモリと食べ始め。
「モッチリしてるけどお餅柔らかいね!」
「…モグモグ……モグモグ……旨い!」
「美味しい~♪お餅がモッチモッチしてる!」
「やった~~!柏餅の中の餡子、こし餡だ!こし餡大好き!」
「本当に美味しいねぇ。それにお餅がツヤツヤしてる、綺麗~♪」
「私、朝倉村に来るまでこんなに美味しいお菓子があるなんて知らなかったから、こんなに美味しいお菓子が沢山食べられるなんて、今とっても幸せ!」
「本当だよねぇ~~♪」
こちらで柏餅の感想を話していると思えば、あちらのテーブルではストロベリーサイダーの感想の声が聞こえ。
「このストロベリーサイダー初めて飲んだけどシュワシュワしていて旨いな!」
「ほんのりピンク色で可愛い♪」
「うゎ~~~!このストロベリーサイダー、シュワシュワした喉ごしで苺の味がして美味しい♪」
「……ゴクゴク………ゴクゴク…………う~~~ん♪やっぱり美味しい!
俺、このシュワシュワした炭酸の喉ごしに最初ビックリしたけど、今では病みつきになるくらい大好きなんだ!」
青空教室参加者の子供達が嬉しそうにお喋りしながらおやつの時間を楽しむなか、愛之助達のテーブルでも
「う~~~ん♪やっぱり愛満お手製の餡子は別格に美味しいね!昔食べてたお菓子と違って甘さの後味が良いんだ。餡子最高!」
「美味しいへけっ!柏餅初めて食べたへけっが、柏の香りとモチモチが口の中に広がり美味しいへけっよ♪」
「しっちょりモチモチおいちい♪」
「本当に美味しいでござるね。どことなく素朴な味わいでござるが、柏餅独特の切れの良い歯ごたえとモッチモチした食感が最高でござる!
それにストロベリーサイダーも甘酸っぱい味とシュワシュワしたのど越しが、癖になる美味しいでござるよ♪」
愛之助達が柏餅やイチゴサイダーに舌鼓をうつなか、柏餅を気に入った様子の山背も柏餅をドンドン食べ進め。
「うんうん!この柏餅は柏の葉の匂いが餅からほのんのりして、本当に美味しいのう~♪ワシは香草類が好きじゃから、この柏の葉の匂いが楽しめる柏餅が大好きじゃ!」
「けど山背、さすがに20個も柏餅食べると晩ごはん食べれなくなっちゃうよ。」
「お腹苦しくないへけっ?」
「やまちぇ、おにゃかパンパンににゃってにゃいの?」
「山背、お餅は後からズッシリくるでござるが大丈夫でござるか?」
柏餅を食べ過ぎてる様子にタリサ達から心配される。
◇◇◇◇◇
こうして5月5日の朝9時からの開催された『青空教室』は、午前の部では大空を優雅に泳ぐこいのぼりを皆で描いたり。
『鬼ごっこ』や『かけっこ』などで目一杯体を動かし、お腹をペコペコに空かせ、愛満が準備したお昼ご飯をモリモリと食べたり。
午後の部では『風呂敷兜』を折ったり、おやつを食べたり、『ボール遊び』したりと愛満達が企画した様々な遊びを目一杯楽しみ。
クタクタになるまで楽しんだ子供達は、さらに帰り際にお土産にと玩具のミニこいのぼりや焼きお菓子の詰め合わせを貰い。楽しい思い出が残る『こどもの日』を大満足のなか過ごしたのであった。




