ライスバーガーと草花遊び
その日 万次郎茶屋が休みの愛満達は、茶屋近くの空き地で何やらタリサ達と楽しそうに遊んでいた。
◇◇◇◇◇
「愛満、見て!愛満が言うように蒲公英の茎を切って両端に切り込みを入れたんだけど、コレで良いの?」
「うん、タリサ上手上手!その茎を水に濡らすとくるんと反り返るから、そこに別の草花の細い茎を通したら『蒲公英の風車』の完成だよ。
息をフーとかけてごらん、クルクル回って面白いよ。」
タリサと愛満が話してる横では、愛之助と山背がオオバコの茎を使い『オオバコ相撲』を楽しんでいる。
「山背、良いでござるか!次の戦いで20勝3敗で拙者の勝利になるでござるよ!
これで終わりでござる、もう1回は無しでござるよ!約束でござるよ!」
「望むところじゃ!次こそは、ワシが勝つのじゃ!」
お互いに強いオオバコの茎を選び、からませると引っ張りっこして、片方の茎がプチッと切れ。
「やったでござる!拙者が勝ったでござるよ!」
「……ワ、ワシが負けたじゃと………悔しいのじゃー!愛之助、もう1回じゃ!もう1回オオバコ相撲するのじゃ!」
愛之助が立ち上がり喜ぶ中、勢い良く引っ張りっこして茎が切れ。コロリと転がった山背が転がったまま悔しそうに呟き。
これで何十回目かになる、もう1回と言いながらオオバコ相撲の再選の勝負を挑む。
「えぇー!もう嫌でござるよ。拙者、今からマヤラと光貴達が遊んでる色水遊びをするでござるよ。」
愛之助は言うと、マヤラと光貴が遊んでいる所に足早に走って行って(逃げて)しまった。
「そ、そんな!もう1回!もう1回だけで良いのじゃ!頼む!頼むのじゃ愛之助~!帰ってくるのじゃ~!……………う、うぅ。行ってしもうたのじゃ………。」
「山背。俺で良かったらオオバコ相撲やるけど、どう?」
「えっ!本当に良いのかのう!」
「山背、安心するアルね!美樹が飽きたら次は黛藍がオオバコ相撲戦ってやるアルよ!」
「ほ、本当に良いのかのう!?や、やったのじゃ!美樹も黛藍もありがとなのじゃ!」
山背と愛之助の一連のやり取りを見ていた。
今日は仕事が休みで、気分転換にと愛満達と一緒にこの場に来ていた美樹と黛藍の2人が愛之助に逃げられ、うちひしがれてる山背を可哀想(憐れ)に思い、優しく声をかけてあげ。
何やら山背がハマっている様子の『オオバコ相撲』をして、遊んであげるのであった。
一方、愛之助が走って行ったマヤラと光貴の所では3人が仲良く『色水』を使い。絵を描いて遊んでいた。
「この色水綺麗でござるね♪何の花の色水でござるか?」
「コレはへけっね。こっちが露草で、こっちがオシロイ花の色水になるへけっよ!
マヤラと一緒に露草やオシロイ花の濃い花を摘んで、少しの水と一緒に花を袋に入れて揉むと綺麗な色水になると愛満が教えてくれたへけっ。ねぇマヤラ!」
「あい!マヤラもむのがんばちゃたんじゃよ。」
※『うん!マヤラ 綺麗な色水になるように揉むの頑張ったんだよ!』
「へぇー!マヤラも光貴も頑張ったでござるね。こんな綺麗な色水作るなんてスゴいでござるよ!」
各自がそれぞれ楽しく草花遊びを楽しんでいると朝倉学園のお昼を知らせる鐘が鳴り。
タリサ達のお腹もお昼を知らせる鐘の音に反応するように、あちらこちらでぐぅ~ぐぅ~と鳴り出し、愛満達は持参したお弁当を食べる事にするのであった。
◇◇◇◇◇
「お待たせ、コレが今日のお昼ご飯だよ。みんなちゃんとおしぼりで手を拭いた?」
持参したシートを敷き。テーブルの上に大きなバスケットの籠から、種類別で小分けされたバーガー袋を取り出しながら、愛満が皆に問いかける。
「……えっ?…手?うん…拭いたよ。…」
「………あい!ふいちゃ。」
「…拭いたへけっ……」
「…へっ!…えっと、手は、拭いたでござるよ……」
「……はて?………おしぼり?…拭いたはずじゃ。」
愛満に質問されているのに、彩り鮮やかで美味しそうなライスバーガーに目が釘付けな愛之助達は、愛満の問いかけに生返事するばかりで、初めて食べるライスバーガーを食べれるのを今か今かと待っていた。
「もう、話聞いてるの?………はぁ~、しょうがないなぁ~。バーガーの袋に包まれているから大事かなぁ………もう!食べても大丈夫だよ。」
ライスバーガーがバーガー袋に包まれているから、少しぐらい手が汚れていても大丈夫かと考え。バーガーを食べて良いよと愛之助達に声をかける。
「やったー!いただきま~す♪」
「「「「「いただきま~す♪」」」」」
愛満の『よし!』との声に食事の挨拶をしたタリサ達は、思い思いの好物の具材が挟まれたライスバーガーを選び食べ始める。
「う~ん♪この『焼肉ライスバーガー』美味しい!
丸く平べったいライスバーガーが香ばしくて良いし。
中の具の焼肉タレで焼かれた牛肉がジューシーで、レタスや新玉ねぎのシャキシャキ感と合わさって最高!」
「僕の『きんぴらライスバーガー』もシャキシャキしたゴボウや人参の歯応えと甘じょっぱい味付けがライスバーガーと良く合ってるへけっ!
それにゴマの風味がアクセントに感じられ、スゴく美味しくオススメへけっ!」
「ワシの『つくねライスバーガー』も負けてはおらんのじゃ!
鶏つくねの中に枝豆が入っておって、つくねは柔らかく、シンプルな塩味なんじゃが、枝豆等の食感や風味が楽しめ。美味し過ぎるのじゃ♪」
「なら、俺の食ってる『照り焼きチキンライスバーガー』も旨くてオススメだぜ!
なんたってジューシーに焼かれた鶏もも肉と新鮮シャキシャキなレタス、新玉ねぎが入ってて。
そこに甘辛い照り焼きソースとマヨネーズが口の中で一体になり、めちゃくちゃ合っててガッツリ食え、旨いんだぜ!」
「それを言うなら拙者の『角煮ライスバーガー』も美味しいでござるよ!
肉厚のぷるぷるホロホロの角煮と半熟煮玉子が丸々一個挟まれているでござるし。
そこにシャキシャキの白髪ネギも入っておって、濃厚で表現のしょうが出来ないほどの美味しさでござるよ♪」
「う~~~ん♪この『揚げライスバーガー』美味しいでやんすね!
香ばしく焼かれた油揚げと小ネギがライスバーガーに挟まれていて、いなり寿司とはまた違った美味しさでやんすよ!
それに鰹節や出汁醤油を食べる直前にかけるでござるから、熱々のライスバーガーの上で鰹節が踊っていたり、出汁醤油の風味が感じられ、最高でやんす!」
自分が食べているライスバーガーが一番美味しいと無駄な争いを4人(プラス1名)がしているなか、マヤラと黛藍の2人はのんびりと
「おいちいね~♪マヤラ、ライチュバーガーちゅき!『ポチェトフライ』もホクホクちぇ、おいちい!」
「本当に美味しいアルね♪お米大好きだからライスバーガー嬉しいアルよ!
それに朱冴の所から買ってもって来た、冷たいストロベリー味の『シェイク』が美味しいアル♪」
◇◇◇◇◇
『草花遊び』とお昼ご飯を楽しみ喜びながら、今日も1日が過ぎていくのであった。