鰯バーグとケットシーのモカ
「う~~~ん♪良い匂いニャ!愛満、何を作ってるニャン?」
その日もいつの間にか愛満宅の台所に上がり込んだケットシーのモカが愛満に質問する。
「あっ、モカ来てたんだ。この料理はね、今日のお昼ご飯の『鰯のハンバーグ』だよ。
新鮮な鰯をたくさん仕入れて来たから半分は刺身にして、その残りの鰯を使って、目先を変えてハンバーグにして食べようと思ってね。」
「鰯!!鰯のお刺身は食べた事あるニャンが、ハンバーグニャんて初めて聞いたニャン♪
あれ?けどハンバーグは、お肉で作る食べ物じゃニャかったのかニャ?」
ハンバーグと言えば、お肉を使ったハンバーグしか食べた事のないモカは、不思議そうな顔で愛満に質問する。
(ちなみにモカが食べた事のあるハンバーグとは、全て愛満宅で食べたハンバーグになる。)
「うん。基本お肉を使ったレシピが多いいんだけど、魚や豆腐などの様々な種類のハンバーグレシピもあるんだよ。
それに今日の鰯バーグは、僕の婆ちゃん直伝のレシピになってね。
小豆粒大にたたいた鰯の身に、下味ですりおろしにんにく、生のバジル、塩コショウ、パン粉、白ワインが混ぜ混んであるし。オリーブオイルで両面こんがり焼くから、魚独特の臭みや骨なんかも気にならないんだ。」
「美味しそうだニャ♪モカも食べたいニャン!」
愛満から鰯バーグの話を聞き。すっかり頭の中が鰯バーグ色になったモカは、調理する愛満のまわりを鰯バーグなる歌を踊り付きで歌い。
うろちょろしながら、鰯バーグが食べられる喜びを全身を使って表すのであった。
◇◇◇◇◇
「ご飯ニャ♪みんなご飯の時間だニャ~~!」
台所でうろちょろしながら、愛満のお昼ご飯作りの手伝いをしてくれていたモカは、待ちに待ったお昼ご飯の時間に茶屋内にいる愛之助達へと、ご機嫌に知らせていた。
ちなみにモカがご機嫌なのは、久しぶりにモカが遊びに来てくれた事に愛満がハリキリ。
お昼ご飯に下処理して保存しておくはずだった鰯を使い、鰯料理中心の献立に変えてくれたからである。
そうしてモカが茶屋内にいる愛之助達にお昼ご飯のお知らせをしていると、モカに気付いた愛之助達が
「あっ!モカ、いつの間に来たの?気づかなかったよ。」
「モカ、ひちゃちぶりね。げんきちてた?」
「モカ、久しぶりでござるね。………ふむふむ、モカが来たという事は、今日のお昼ご飯は魚料理でござるね!」
「そうニャ!しばらく松乃の舞台当番だったから忙しくて茶屋に来たくてもこれニャかったのニャン。
だから昨日で当番も終わり、久しぶりに茶屋に遊びに来たら、愛満が今日のお昼ご飯をモカが好きニャ魚料理ばっかりにしてくれたのニャ♪う~~~ん♪幸せニャ~~♪」
久しぶりに会う愛之助達と話ながらも、早く鰯バーグや鰯料理を食べたいモカは、愛之助達がやっていたテーブルセットを手伝ってあげる。
「ほらほら、モカもお片付け手伝ってあげニャから、早くテーブルの上、片付けるニャンよ!」
そうして片付けやお昼ご飯の準備も無事終え。美樹や黛藍達2人もお昼ご飯を食べに万次郎茶屋へと帰って来て、モカお待ちかねのお昼ご飯の時間が始まる。
「鰯バーグ 美味しいニャ~♪」
「へぇ~!鰯でハンバーグが作れるんだなぁ。知らなかったぜ!
けど鰯バーグ旨いな。俺が嫌いな魚独特の臭みもないし、食べるとにんにく、バジルの良い香りが口の中で広がり。
そのままでも旨いが、添えてある粒マスタードとも合ってて、何個でも食えるよ。」
「拙者は『鰯の蒲焼き』が美味しいでござる。
もとから鰻の蒲焼きが好きでござったが、鰯の蒲焼きも甘めのタレと鰯が良くあっていて、美味しいでござるね。」
「僕はやっぱり『鰯の梅煮』が一番好き~!骨まで柔らかくて美味しいんだよ。」
「ワシもタリサと一緒で鰯の梅煮が食べやすくて良いのう~。」
「黛藍は『鰯の梅しそ巻き』が梅の酸味が食欲をそそって美味しかったアルヨ。」
「ニャー♪この『鰯のつみれ汁』も『鰯のお刺身』も美味しいニャ。こっちの『鰯のフライ』も美味しいニャ♪」
愛満が作ってくれた美味しい鰯料理の数々にモカは大満足で微笑む。
そしてその後、いつものようにお腹いっぱいに食べ。ポッコリと膨れたお腹をかかえたモカは、幸せそうに万次郎茶屋店内にある、お気に入りの炬燵でお昼寝するのであった。




