和菓子『草餅』と何でもない日
その日は朝からどんよりして、今にも雨が降りそうな曇り空のなか万次郎茶屋では、山背が日課の散歩の途中に摘んできたヨモギを使い。
愛満は、ここ最近の山背の好物の『草餅』を3時のおやつに作ってあげる。
「ほほぉ~ワシの好物の草餅が山盛りにあるのじゃ~♪愛満、この草餅食べて良いかのう~。」
「うん。山背が摘んできてくれたヨモギを使って作った草餅だから、遠慮しないでたくさん食べて大丈夫だよ。
愛之助とタリサとマヤラも食べてね。」
ヨモギの色鮮やかな草餅を山背達に進め。4人の前にお茶が入った湯飲みを置いてあげる。
「わ~い♪草餅だ!う~~ん♪美味しい。
口に含んだ瞬間にヨモギの青々した香りが口の中に広がって、愛満が作る粒あんとの相性もピッタリで、スゴく美味し~い!
これも山背が新鮮なヨモギを摘んできてくれたからだね。ありがとう、山背。」
「本当に美味しいでござるね。モッチリとしたお餅から、しっかりヨモギの味や風味が感じられるでござるよ。
それにあっさりした甘さの粒あんが包み込まれていて、ついつい手がのびてしまう美味しさでござる♪
山背、こんなに美味しいヨモギ、ありがとうでござるよ。」
「くしゃもち おいちいね。やまちろ、あいがとう。」
「本当に草餅美味しいね。
山背が沢山ヨモギを摘んできてくれたから、新鮮なヨモギをたっぷりお餅に加えた『草餅』も作れたし。
ヨモギは昔から邪気を払い、健康にも良いと言われてるからね。みんなの健康にも一役勝ってくれたね。山背、本当にヨモギありがとね。
そうだ!草餅を作ってもまだまだ余ってるヨモギは、夜ご飯のおかずにヨモギの天ぷらや、明日の朝ご飯にヨモギパンにして食べようか?」
黙々と好物の『草餅』を食べる事に必死な様子の山背に聞くと、天ぷらと聞いて食べる手を止め。
「ヨモギの天ぷらか、……良いのう~♪
ウヒッ♪天ぷら楽しみなのじゃ…………あっ、そうじゃ!どうせなら愛満、ヨモギの天ぷらの他に、タラの芽や筍、紅しょうがも天ぷらに揚げてくれんかのう。」
愛満にお願いする。すると愛満は、何やら冷蔵庫の中身を思い出してる様子でしばらく考え。
「……………紅しょうがは、この前焼きそばに添えたあまりが残ってるし……筍は昨日煮た筍煮物を天ぷらにリメイクして……タラの芽は山背がヨモギと一緒に摘んで来てくれたのが有るから…
うん!大丈夫だよ、山背。タラの芽も筍、紅しょうがも天ぷら揚げれるよ!」
山背リクエストの3品の天ぷらが作れる事を伝えると山背は嬉しそうに喜び。
「ヤッホィ~~~~♪今日の酒は旨いのじゃ!!ヤッホホィ~~~~♪」
美樹から習ったらしい、とある『酒が飲めるぞ!』の歌詞が頭に残る歌を歌い出す。
するとそんな山背の様子にタリサやマヤラが羨ましがり。
「ズルーイ!僕もヨモギの天ぷら食べてみたい!それから『海老の天ぷら』も揚げてほしい!」
「マヤラもヨモギのしぇんぷら たべれりゅよ!しょれから、にんにんのしぇんぷらもたべちゃい。」
※『マヤラもヨモギの天ぷら食べれるよ!それから、『人参の天ぷら』も食べたい。』
「ヨモギの天ぷら良いでござるね。しかし拙者は『新玉ねぎの天ぷら』と『竹輪の磯辺揚げ』が食べたいでござるよ。」
「あっ、愛満!僕、『椎茸の天ぷら』も食べたい!」
「にゃらマヤラもおもちのしぇんぷらたべちゃい!」
「えっ!それなら拙者は、春雨を揚げてほしいでござるよ!
そのままの春雨を揚げ油で揚げ、膨らんだパリパリの春雨を天つゆで食べるのが美味しいでござるもんね~♪
前に愛満が天ぷら盛り合わせで食べさせてくれたでござるよ!」
4人はおやつの草餅をモグモグ食べながら、頭の中は夜ご飯の天ぷらの事でいっぱいになり。
口々に自分が食べたい天ぷらの具材を言いながら、愛満達の何気無い1日は過ぎていくのであった。




