小豆と抹茶のミルクレープと翼族の常盤
その日朝倉学園の事務員で、背中の羽が美しい翼族の常盤は、仕事が休みなこともあり。
ほがらかな天気の中、満開に咲く可愛らしい桜並木をのんびりと目的地の万次郎茶屋を目指して散歩していた。
すると遠くの方から常盤を呼ぶ声がして、常盤が立ち止まると大きな風呂敷を抱えたタリサ達が元気よく走ってやって来る。
「やっぱり、常盤先生だ!おはようございます。
常盤先生 今日はお休みなの?どこかお出かけするの?」
「ときわしゃんだ!おはよ~うね。」
「常盤先生 おはようでござる。常盤先生も万次郎茶屋に行くのでござるか?」
仲良しの常磐を見つけたタリサ達は、嬉しそう常磐に挨拶して話しかける。
「タリサ君、マヤラ君、愛之助君、おはようございます。
はい、今日はお休みなので愛満の所にお邪魔しょうかと思いましてね。タリサ君達は、どこかお出かけしてたんですか?」
「うん、愛之助とマヤラと3人で神社の桜を描きに行ったんだ。上手に描けたから常盤先生にも後で見せてあげるね♪」
「あい♪マヤラもかいちゃんじゃよ。」
「拙者も描いたでござるよ。愛満が茶屋の壁が寂しいから、壁に飾る絵を苺忍者隊の拙者達に描いてきてほしいと依頼があったでござる。」
「あっ、そうだ!愛之助もマヤラも早く万次郎茶屋に帰らなきゃ、依頼報酬のおやつが待ってるよ!
愛満の事だからお代わりできるように沢山作ってくれてるはずたがら、常盤先生の分もあるはずだよ。だから早く万次郎茶屋に行こう♪」
愛満がタリサ達を見送る時に話していた。依頼報酬のおやつが気になるタリサ達は、最後の方は駆け足になりながら万次郎茶屋に飛び込んで行くのであった。
◇◇◇◇◇
チリーン、チリーン♪
「愛満 ただいま~!タリサが帰って来たよ~。」
「よしみちゅ たらいま~!マヤラがかえちゅてきちゃよ~。」
「愛満、帰ったでござるよ。常盤先生も一緒でござるよ。」
店内にいる愛満に声をかけた愛之助達は、指定の席に常盤を案内し。さっそく愛満に自分達が描いてきた絵を自慢気に見せ始める。
「愛満、見て見て!タリサ上手に桜描けてるでしょう!」
「よしみちゅ、マヤラもちょうじゅでしょう!」
「拙者も描いたでござるよ♪」
「うわー!本当に上手に描けてるね。3人ともありがとう。
後で、額縁に入れて飾らしてもらうね。
それから常盤、おはよう。今日はお休み?あっ!そうだ。常盤、この前のアレね。」
同い年で仲良しの常盤と愛満が、ついつい話が盛り上がり楽しくお喋りしていたところ、待ちきれないタリサ達が依頼報酬のおやつをおねだりする。
そのため愛満は常盤との話をいったん辞め、台所に依頼報酬のおやつやお茶を取りに行く。
「待たせてゴメンね。今日の依頼報酬のおやつは、茹で小豆を加えた生クリームを抹茶のクレープ生地で重ねた『小豆と抹茶のミルクレープ』だよ。
おかわりもたくさんあるから、ゆっくり食べて大丈夫だからね。」
愛満は、それぞれの前にミルクレープとお茶を置いてあげる。
そして初めて見るミルクレープに待ちきれない様子のタリサ達は、さっそく食べ始め。
「お、美味し~~~~い♪何コレ!?愛満、このミルクレープスゴ~~く美味しいよ!
僕、普通のミルクレープも好きだけど抹茶味のミルクレープと僕の大好きな餡子を使った小豆クリームが相性抜群で、僕 大好き!」
「おいちいね、マヤラもコレちゅき♪」
「本当に美味しいでござるね♪
見た目も抹茶色のクレープ生地と小豆色の生クリームが一枚一枚丁寧に重ねられ、春らしい装いで可愛らしいでござるよ。
味の方も、生クリームに愛満お手製の餡子を加えた甘さ控えめの小豆クリームとモチモチした食感のクレープ生地が合わさり。
拙者もタリサ達と同じで、このミルクレープ大好きでござる♪」
タリサ達が春の装いをされた『小豆と抹茶のミルクレープ』を美味しい、美味しいと話し食べ進めるなか。
愛之助達と一緒に仲良く、抹茶ミルクレープを食べていた常磐も
「本当に美味しいですね。甘さ控えめの小豆クリームとほろ苦い抹茶を使って、丁寧に一枚一枚焼かれたモチモチした食感のクレープ生地が良く合っていて、どちらも美味しいです。
そして、その2つの小豆クリームと抹茶クレープ生地が20層になるミルクレープとして美しく重ねられ。
食べごたえもあり美味しく、何個でも食べられますね。」
甘党の常盤は、愛満達との楽しいお喋りに花を咲かせ。和やか時間を過ごしながら、『小豆と抹茶のミルクレープ』を美味しい、美味しいと話し、気に入ってくれた様子で5切れペロリと食べる。
そしてその後、愛満手料理の美味しいお昼ご飯や晩ごはん、3時のおやつもごちそうになり。
帰り際には、日持ちする焼き菓子等を手土産に持たせてもらい、家路に帰るのであった。
◇◇◇◇◇
「はぁ~~~♪今日は大好きな甘いお菓子や美味しいご飯もお腹いっぱい食べれましたし、愛満とも久しぶりにゆっくりいろいろと話せて、リフレッシュ出来きた良い1日でしたね。」
自宅のお風呂にゆったりとつかりながら、満足そうに常磐は独り言を呟く。
こうして常盤の何気無い休日の1日は、充実した時間の中、過ぎていくのであった。




