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春キャベメンチと魔族と養子



その日 万次郎茶屋では、ケンタウルス族のヤマトから貰った。

早朝に収穫したばかりの新鮮で、みずみずしい春キャベツを使い。愛満はお昼ご飯用に、何やら大量に揚げていた。


「愛満 美味しそうな匂いだね!なに揚げてるの?」


「おいちょう!マヤラおなかちゅいた!」


「愛満 お昼ご飯用のテーブルの準備出来たでござるよ。」


お昼ご飯用のテーブルの準備を終えた。お腹を空かせたタリサ達が、美味しそうな揚げ物の匂いにつられ。

愛満が作業する台所にやって来ると目をキョロキョロ、鼻をピクピク、耳をすませ、興味津々の様子でお昼ご飯の偵察をする。


「3人とも いつも手伝いありがとう。

今日のお昼ご飯はね、朝 ヤマトさんから春キャベツを20玉も貰ったから、美味しく料理して食べちゃおうと春キャベツ尽くしなんだよ。

主菜が、メンチカツの肉ダネに粗みじん切りの春キャベツを混ぜて、溶けるチーズを真ん中に包み込み。

パン粉などの衣をつけて揚げた、春キャベツのメンチカツこと『春キャベメンチ』になるよ。」


「メンチカツの中に溶けるチーズでござるか!?」


「うわ~~~♪話を聞いてるだけでヨダレがでちゃうよ!美味しそう~♪愛満、他には他には?」


「おいちょう~♪」


「他にはね、マヤラが好きなオレンジの果肉や果汁を使った。少しデザート気分で食べられる春キャベツの『オレンジ風味のコールスロー』でしょう。

タリサが好きな豚肉を使った、生姜を使ったタレをかけて食べる『春キャベツと豚肉の蒸し焼き』

愛之助が好きなしらすを使った『春キャベツとしらすのペペロンチーノ』

美樹が好きなおかかと黛藍が好きな卵を使った『春キャベツと玉子のおかか炒め』

『春キャベツと油揚げのお浸し』、『春キャベツの味噌汁』になるよ。

もうしばらくしたら美樹達も帰って来ると思うから、出来た上がった料理からテーブルに運んでもらおうかなぁ。」


今日のお昼の紹介を終えた愛満は、タリサ達へとお手伝いをお願いする。


「はぁ~~~♪今日も美味しそう料理ばかりだね、愛満。

それにお手伝いも任せてよ!お手伝い頑張って、お腹空かせて美味しいご飯いっぱい食べたいから、僕 頑張る!

うーんと、それじゃあ、僕はマヤラの大好きなコールスローを運ぶね♪マヤラは取り箸を持って来て」


「あい!マヤラもはたらきましゅ!」


「それなら拙者は、この中で1番重いおひつを運ぶでござるよ。」


お昼ご飯の偵察を無事に終えた愛之助達は、美味しいご飯をお腹いっぱい食べるためにと、お手伝いを頑張るのであった。



◇◇◇◇◇



「とうたん、おなかちゅいた。」


「ごめんねぇ、左和(さわ)。もうちょっと我慢してね。

朝倉村でタイタンに会ったら、お腹いっぱいご飯食べさせてあげるからね。」


前と後ろにマヤラぐらいの幼子の二人を抱え。

顔を隠した10代前半の少女と、タリサくらいの男の子2人、女の子2人の合計7人の子供を連れた和装の男性が、背中に抱えた幼子に話しかける。


すると幼子の左和の話を聞いた顔を隠した少女が


「はい、左和。ちょっとしか無いけど、小桃のドライフルーツだよ。

東風(とうふう)西鶴(さいかく)遥南(はるな)北瀬(きたせ)も食べて良いよ。

お父さん、花夜(かよ)もこの小ささなら食べても大丈夫だよねぇ?」


「えぇ、そのくらいの小ささなら花夜も大丈夫よ。」


長女の朝霞(あさか)が、食べずにとっておいた自分のおやつの最後のドライフルーツを妹や弟達6人に差し出す。


「ねえね、いいの?あいがとう。」


「ありがとう。お姉ちゃん。」


「美味しい。お姉ちゃん、ありがとう。」


「お姉ちゃん、ありがとう。」


「ありがとう、姉ちゃん。」


「…あ…い、が…と…う」


「みんな良かったわね。朝霞ありがとうね。

けど、あなたは大丈夫なの?お腹減ってないの?」


「うん。お父さん、私は大丈夫だよ。それにタイタンおじさんの所に着いたら、お腹いっぱいご飯食べれるんでしょう?だから私はいま食べなくても大丈夫だよ。」


話し、8人は朝倉村へと続く山道をまた歩き出す。



◇◇◇◇◇



そうして、幼い子供を沢山連れてはいたが、なんとかその日のうちに彼等(かれら)は、朝倉村へと無事たどり着く。


すると、お腹を空かせた子供達に一刻も早くご飯を食べさせたい父親が、近くの店でタイタンの居場所を聞いてくると話。

歩き疲れた様子の5人を休ませるため、その場に残して、抱っこした左和と花夜の2人を連れて聞きに行く。


残された5人は、村についた時間帯が昼少し前だという事もあり。

あちらこちらから美味しそうな匂いがただよってくるなか、必死に我慢をしていたのだが、まだ幼い下のお腹を空かせた4人は、なかなか空腹に耐えきれず。

とうとう声をころし、姉にバレないようにシクシクと泣き出してしまった。


そんな時、たまたまお昼ご飯を食べに万次郎茶屋へと帰っていた美樹の目に、泣いている4人の子供達の顔が見え。

どうしたのかと心配した美樹は、子供達に声をかける。


「こんにちわ。俺 ソコの美容室で働いてる美樹て言う者だけど、どうしたの?泣いてるみたいだけど。」


「…ヒック、ヒック……こんにちわ……私は北瀬。」


優しい口調の美樹の問いかけに、タリサくらいのおかっぱ頭の女の子が、泣きながら返事をすると5人のお腹が勢いよく鳴る。


「もしかしてお腹がすいて泣いてるのか?

う~ん、それはツラいよなぁ。俺もちょっと前までは、腹が空きまくって空腹のあまり、よく半べそかいてたぜ。(泣いてた)」


無理矢理こちらの世界に召喚され。

食事が全く口にあわずに苦労した経験のある異世界人の美樹が、優しく5人に話しかけながら、良かったら家でご飯を食べないかと誘う。


しかし5人の中で一番年上の少女が、父親が直ぐに戻ってくるので、ここで待っていなくてはいけない事や

それに知らない人には、ついて行っては行けないと厳しく教えられていると話し。

突然話しかけてきた美樹の事を不振そうに警戒した様子で見ながら、弟や妹達を守るようにして背中に隠す。


少女の話を聞いた美樹は、少女の警戒心バリバリの様子にあえて気づかないふりをして何も言わず。

少々おどけた口調で、それならば父親が帰ってくるまで一緒にココで待ち。父親も一緒に誘うよと話すと5人の父親が帰ってくるのをしばしその場で待つ。


そうして、警戒心の解けない様子の少女に弟や妹達に近付けさせまいとバリバリに警戒されながら、6人で子供達の父親が帰って来るのをその場で待っていると。

何やらかなり見覚えのある顔の愛満を連れた子供達の父親達が、心配した様子で帰って来る。


「あれ!?美樹。なかなか帰って来ないと思ったら、こんな所でどうしたの?

それにその子達、泣いてるみたいだけど、どうしたの?」


「いやいや、愛満こそ、この子達の父親と知り合いだったのか?」


なかなか帰って来ない美樹が、何やら泣いている子供達と一緒にいる事や、愛満が子供達の父親と一緒に戻ってきた事にお互いに驚きあいながらも、これまでの経緯を説明し合う。



◇◇◇◇◇



実はあの後、たまたま父親がタイタンの居場所を聞きに万次郎茶屋へとやって来たのだが

その時、店内にただよう美味しそうな匂いに、父親に抱かれた左和(さわ)が空腹を訴え泣き出してしまい。

訳を知った愛満達から、良ければ皆さんもぜひ ご一緒にと、お昼ご飯に誘われ。


ご迷惑になるからと遠慮する父親と愛満との攻防戦があったりしたのち、残してきた5人を迎えに来たとの事だった。


そうして、お互いの自己紹介や話、お礼をしながら納得し合い。

少女の警戒心も無事解けた後、美樹達は改めてお昼ご飯を食べにと万次郎茶屋へと向かうのであった。



◇◇◇◇◇



「うわー!この料理、本当に私達が食べていいの?」


「お父さん、お姉ちゃん、すごく美味しそうだよ!」


「すげー!見たこと無い料理ばっかりだぜ!」


「おにゃかちゅいた~!」


「……早く食べたい。お腹空いた。」


などの子供達の嬉しそうな声を聞きながらお昼ご飯が始る。


すると初めて揚げ物を食べた子供達が、少し興奮した様子で


「美味し~い!!何だコレ!初めて食べる味だぜ。

まわりはサクサクしてるのに、中から肉汁があふれ出てきて、こんなに美味しいなら、何個でも食べれるぜ!」


「本当だ!このサクサクした茶色いの とってもジューシーで、美味しいねぇ!」


「おいちい!おいちい!」


「お父さん、すごく美味しいよ。

あつあつのサクサクで、中に入ってる白いチーズと言うモノがとろ~りと溶ろけてねぇ。中に入ってるキャベツと言う野菜も、とっても合ってるの!」


「お父さん。このコールスローと言うサラダも、なんだか甘くて美味しいんだよ!

ね、朝霞(あさか)お姉ちゃんも美味しいよね!」


「うん。どの料理も見たこと無い料理ばかりだけど、みんな色鮮やかで、本当に美味しいね。」


初めて見て、口にする色とりどりの料理の数々を前に、その美味しさを父親に一生懸命話しかけ伝える。


「愛満の料理は、美味しいでござろう。

それに今日のキャベツは、春キャベツでござるから、普通のキャベツより柔らかく、甘味があり、美味しいのでござるよ。

さぁさぁ、遠慮はいらずでござるよ。ご飯や味噌汁のおかわりは、いかがでござるか?」


「こっちの春キャベツと豚肉の蒸し焼きも美味しいよ。

豚肉の旨味と春キャベツの旨味が合わさって、美味しさ倍増なんだよ!

はい、どうぞ。みんな食べてみてよ!」


「よしみちゅのごはんは、みんにゃおいちいんじゃよ♪」


愛満お手製の料理を誉められ。嬉しそうな様子の愛之助達は、他の料理も美味しいよと大皿から取り分けてあげては、お腹いっぱい たくさん食べてと進める。


そうしていると何やら台所で作業していた愛満がおぼんを持って戻って来て


「はい。お待たせしました。

花夜(かよ)君用の『春キャベツとしらすのお粥』だよ。まだ熱いから、冷ましながら食べようねぇ。

あと他にも花夜用に少量づつ、楽しみながら沢山食べれるように品数多目にね。

柔らかくなるまでクタクタに煮込んだ春キャベツとホタテの『春キャベツとホタテの餡仕立て』

胡麻風味で甘めのソースに。葛粉と豆乳で作ったプルプル食感の『豆乳豆腐の白胡麻ソースかけ』

蒸籠で蒸した蒸し野菜と白身魚の『蒸籠蒸し』

鶏ミンチと豆腐、みじん切りした茸類を使って、蒸し焼きにした『豆腐ハンバーグの照り焼き風』

花夜君のお姉ちゃんやお兄ちゃん達が食べてる同じ料理で、オレンジの果肉や柔らかく湯がいた春キャベツや人参等が入っている『オレンジ風味のコールスロー』

春キャベツを使った『春キャベツのポタージュ風』

デザートには、すりおろした林檎や林檎ジュース、寒天を使った。やわらかく、ゆるめの『すり林檎のやわゆる寒天』だよ。

品数多いから焦ちゃうかも知れないけど、時間がかかっても大丈夫だから、ゆっくり食べようね。」


話しをすると子供達の父親がゆっくり食事が出来るように、花夜や幼い左和達の食事の補助をお手伝いする。


そうして、子供達の美味しいコールを聞きながら、愛之助達も他の子達へのお世話をかいがいしくしたり。

愛満が少し障害がある花夜(かよ)の為の柔らかく食べやすい花夜用の食事を作ったり。

父親の右里(ゆうり)と一緒に楽しく食べさせてあげたりしながら、いつもより賑やかなお昼ご飯の時間が終わる。



◇◇◇



その後、愛満のすすめで愛満宅の桧風呂を満喫し。

愛満チートで用意した愛之助オススメの色違いのマ○メロさんの肌触りの良い服一式を着た子供達は、おおいに喜びはしゃぎながら茶屋の座敷の炬燵に入り。


愛満が振る舞ってくれた、ほんのり暖かく美味しい蜂蜜風味のホットミルクを口に髭を作り。フーフー冷ましながら飲んでいると、そのうちいつしか夢見心地になり。連日の長旅の疲れもあってか、コトリと眠ってしまう。



そうして、愛之助達が呼びに行った半神族のタイタンが来るのを炬燵で眠ってしまった子供達が、風邪を引かないようにしたりしながら待っていると。

愛之助達と一緒に半神族のタイタンとエルフ族のリーフが、茶屋にやって来る。


タイタンは、右里との学校を卒業して以来の久し振りの再会に喜び。村に来たことを歓迎しながら愛満を交え。タイタンを訪ねて朝倉村にやって来た訳などを聞く。


「それにして右里。縛られる事が嫌いなお前が、俺を訪ねてくるなんて、どうしたんだ?嬉しいが驚いたぞ。

何やら訳有りか?俺で良かったら力をかすぞ。」


「ありがとう タイタン。実はね、あなたや他の半神族の子達がこの村で学校を開いたと聞いて、良かったら家の子達も通わせてもらえないかと思ってやって来たの。」


「何そんな事か!心配すんな、右里。生徒が増える事は大歓迎だぜ。なぁ、リーフ!」


「えぇ、心配しなくても大丈夫ですよ、右里さん。

我が朝倉学園は、王都や他の学園とは違い。

開校者で、村の村長でもあり、領主でもある愛満の素晴らしい教えを基に、種族や性別、年齢、身分の高い低い等に関係なく。

学びたい者達には、皆平等に門を開き。

小中高までは、給食と言うお昼ご飯が無料で食べれるシステムになっており。

学費の方も、貧困で学園に通うのが困難な者や優秀な成績を修める者達には、金銭面や生活面などで援助等もおこなっている素晴らしい学園なのですよ。」


タイタンやリーフが話すと話を聞いていた右里が何度も頭を下げ。


「ありがとう、ありがとう。本当にありがとう。

あの子達には、何とか学ぶ楽しさや、友人の大切さを教えたいと考えていてね。

いろんな所を回っては、あの子達が通える学校は無いかと探したのよ。

けどねぇ、はじめは半神族の私を見たら、何処の学校も直ぐに良い返事をするんだけど。

あの子達の説明をすると、手のひらをかえしたように断られるばかりで………。

そんな時に、ある日タイタン達の噂をたまたま会った他の半神族の子に聞いてね。

何とかなるんじゃないかと一筋の望みをかけて、この村までやって来たのよ。

………………………それでね。さっき見て解ったと思うんだけど………あの子達は魔族で……産まれた場所も少し訳有りになるんだけど……本当に良いの?」


何度も魔族や様々な理由で断られた経験をもつ右里は、不安そうな様子で、愛満達に改めて問う。

そんな不安そうな右里を安心させるために、タイタンやリーフ、愛満達は、優しく微笑み。


「心配すんな、右里。俺は、一度決めて言った事をコロコロ変えたりするような、肝っ玉のちいせい男じゃないぜ!」


「そうですよ、右里さん。

魔族や産まれた場所なんかで、我が校や我が校の生徒や先生は、差別するような心の狭い学園では、ありませんから安心して下さい。」


「本当、本当。右里さん、安心して大丈夫ですよ。

もしも右里さん家族に害をなす人がいたら気兼ねなく。この朝倉村の村長の僕に言って下さい。

僕が必ず解決してみせますから!!

それにお子さん達が村の学校に通うなら、右里さん達家族も村に住んでくれるんでしょう?

なら、右里さん達は僕達の村の大切な村人です。

朝倉村の村人達は、村長でもある僕が守らなければならない大切な家族です。

だから、右里さんも心配や遠慮しないで、安心して朝倉村にお子さん達と住んで、僕に守られて下さいね。」


愛満達が話すと、度重なる世間の冷たい対応や子供達を守るために気をすり減らしていた右里は、感謝の言葉をのべながら泣き崩れてしまう。


そんな、昔はいつもひょうひょうとしいて、めったに他人に弱味を見せなかった友人の姿を見たタイタンも、静かに男泣きしはじめ。右里と一緒にリーフや愛満達に慰められる。



◇◇◇◇◇



その後、何とか落ち着いた右里が子供達との出会いをポッリポッリと話始める。


「あの子達はね。

私が世界各国を旅して回ってる時に、魔族が主な国民のマドラ王国の花街で、働く昔馴染みの姉さんからの新しい服の依頼があってね。訪ねて行った時に出会った子達なのよ。

全員母親が花街で働く者達だったから、父親が解らなくてね。

本当なら花街で産まれた女の子は、母親と同じ店に出されたり。

男の子なら男衆として働かされたりするんだけれど………………あの子達は、地下の座敷牢の一部屋に押し込められていたのよ。


長女の朝霞(あさか)は、花街1の母親に似て綺麗な顔立ちなんだけど、幼い時にクズな客に悪戯に傷つけられてね。

こめかみから顎までの傷跡が原因で、お店には出せないからと母親には、顔の傷が原因で亡くなったと店の者が嘘をついて、座敷牢へと入れられていたのよ。


長男の東風(とうふう)と次男の西鶴(さいかく)、次女の遥南(はるか)、三女の北瀬(きたせ)は、魔族が住むマドラ王国では、不吉とされる顔のそっくりな4ッ子と言う事で、母親には全員死産だったと嘘をついて座敷牢へ入れられていたのよ。


三男の花夜(かよ)は、お産の際の不手際で、両足に軽い障害と上手く言葉が話せない障害、ものを飲み込む力が弱い障害等があって。

母親が子供の世話で客をとらなくなる事を店側が勝手に心配して、死産と嘘をついて座敷牢へ入れられていたの。

それに花夜(かよ)は、本当なら7才なのに3才の左和(さわ)と同じくらいの体重や体格しかないの。

一緒の座敷牢にいた幼い朝霞(あさか)が必死に世話をしていたんだけど、店の奴等が満足に食事を与えなかったのよ!


そして一番幼い末っ子で四男の左和(さわ)は、母親がこの子を産んでしばらくして、別の贔屓の客に身請けされる事になってしまってね。

母親は左和がいるからと拒否したんだけど、贔屓の旦那が提示した金額に店の奴等が左和は、裕福な夫婦の元へ養子に貰われていく事になったと嘘をついて、そのまま座敷牢へ入れられたの。


全て、姉さんがいる隣の店での出来事なんだけど、たまたま姉さんが左和の母親と顔見知りで、心配した左和の母親が姉さんに相談してから身請けされていって、その事をおかしいと思った姉さんが詳しく調べた結果。

全ての真実を姉さんが知って、あまりのやり方に怒り狂って、そのお店を乗っ取ちゃったのよ。


それで最初は、服が出来るまでの間との姉さんからの頼みでもあったから、ついつい昔住んでた花街で下の子達の面倒をみていた癖で、あれこれ世話をやいちゃって、そのうちに情がうっちゃってね。

そのまま気づけば7人とも全員自分の子供にしちゃったのよ。今では私の可愛い子供達よ。

それにあの子達の母親が真実が解る前に、みんな贔屓の旦那に高額なお金で身請けされていた事もあってね。


もともと結婚する気は無かったんだけど、子供だけはほしかったし。母親に親孝行で孫の顔を見せたかったからね。

あの子達を引き取って、私も幸せだし。母親も孫の顔を見れて喜んでいたわ。


それにね、私は幼い頃から母親が生業にして住んでた花街で、他の姉さん達から世話をやいてもらったりした癖で、話し方やしぐさが女性らしかったり。

他にも手先が器用だからと言う理由で、雑用を手伝って姉さん達が着る服を作ったり。手直しや刺繍を男でしてたのよ。

なまじ同い年ぐらいの仕込みの子達よりも花街1の母親に似て美人で、綺麗な服を作ったりしてたから、姉さん衆から可愛がられていてね。

そしたら年の近い花街の女性達から、まわりにバレないように意地悪されたり、馬鹿にされたりしたのよ。それで女性の裏も表も解ったし。


それに私が半神族と解るまでの世間の私や母や花街の姉さん達への悪意あるおこないも十分すぎるほど見てきたわ。

そして、私が半神族と解った瞬間の世間の変わりようにもほとほと嫌気がさしてたから、結婚なんて絶対するものか決めてたのよ。」


右里の話を聞いて、愛満達なんと声をかけたらいいのか思い悩んでいると左和が目を覚まし泣き出したので、この話はここで終わるのであった。



◇◇◇◇◇



その後、右里との話し合いで朝霞から花夜までの6人の子供達は、朝倉学園に通う事が正式に決まり。

朝倉学園は、花夜が通いやすいようにバリアフリー等を愛満チートで、新たに備え付ける事にした。


他にも、右里は朝倉村でコプリ族が作る反物等を使い。

今まで作っていた服とよく似た、愛満から教えてもらった浴衣や着物を作り。

販売出来る和装店や作業場、バリアフリーの店舗兼自宅を愛満チートで建ててもらい。安心安全に生活出来るようにしてもらった。

もちろん、今までの右里がかかえているオーダーメイドの顧客の対応も出来るようにしてある。



こうして、朝倉村に新しい村人や和装店のお店が仲間入りするのであった。




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