なめらかと懐かしの『カスタードプリン』と兎族のリメル
「……ゴクゴク、ゴクゴク…ハァ~~~、美味しかった!ごちそうさま。
青那、今日も『胡麻醤油ラーメン』スゴく美味しかったよ。
ラーメンの麺もシコシコしてたし、野菜もシャキシャキした歯ごたえが程好く残ってて、それぞれの食感が楽しめ。
2種類の焼き豚もとろけそうなほど柔らかい焼き豚を楽しめる一方、食べ応え有る肉厚な焼き豚も同時に楽しめて凄く美味しかった。これは、また腕上げたね、青那!」
自身が大好きな『胡麻醤油ラーメン』を汁まで飲みきり、食べ終えた。アルフ家五男、鶏卵場・責任者サナを父を持つ。
サナ家五ッ子で、3男リメル25才は、仲良しのラーメン袋屋店長の青那へと話しかける。
「けど青那は本当に凄いねぇ。1人で故郷から出てきて、今や一国一城の主だもん。
ハァ~~~、僕も何か青那みたいに打ち込める事を見つけて頑張りたいなぁ…………。
ほら、前にも話したかと思うけど。家の『鶏卵場』の方は、父さんや兄貴で長男のエリック家族が主体で毎日頑張って働いてくれてて、人では十分足りてるみたいなんだよね。
それに元々愛満が、そんなに人手がかからないように効率良く働ける鶏卵場を建ててくれてるみたいだから」
リメルが最近良く考えてしまう。正体の解らない焦りを含んだ。どこか漠然としていて、モヤモヤした自身の悩みを話始め。
「父さん達が端正込めて育てた卵を販売する『卵屋』にしても、商売上手の次男のキコマがドンドン売り上げを伸ばしてるし。
家の卵を使った『厚焼き玉子専門店』にしても
料理上手の母さんや長女のアユキ達が、その味や見た目でお客さん達の舌や心をガッチリ掴んで離さないみたいだし。
はっきり言ってね、青那。
どの場所と言うか、どのポジションにしても、僕が絶対必要かと言うとそうじゃないんだ………………だからさぁ、何て言うか………………ハァ~~~
…………僕も皆みたいに自身の力を発揮出来ると言うか、家族みんなで丹精込めて育てた卵を使い。
父さんや母さん、他の兄妹みたいに他の人を喜ばせられるような。こぅ~何とはハッキリ言えないんだけど、その何かを作ってみたいんだ。」
瞳をキラキラ輝かせ。『卵』を使った何かを作りたいと訴え。
「けどね。そもそも今まで高級食品でも有った卵事態を食べなれてないから、その何かの良いアイデアが僕の頭じゃ浮かばないだ。
………ハァ~~~、こんなに毎日考えても良いアイデアも全然浮かばないし。兄弟の中で一番頭の悪い僕の頭じゃ、そもそも無理なのかなぁ……………」
その何かが自身でも全く考えつかず。リメルは頭を悩ませ、寂しそうに苦笑いする。
そんなリメルの姿に、リメルの友人でも青那が慰めの言葉をかけていると
リメルが気づかず間に袋屋店内一番奥のカウンター席でラーメンを食べていた愛之助、タリサ、マヤラの3人がヒョコリと頭を上げ。リメルと目が合うとニヤリと笑い。
「聞いちゃったでござる。ニッヒヒ♪
何やらお困りのようでござるね、リメルさん。何々、何も言わなくても良いでござるよ。
拙者、笑うセールス………嫌々、貴方のお悩みをズバッと解決する、苺忍者隊お助けマン!愛と正義の苺セールスマンでござるよ!」
とある笑うセールスのマンの人の話し方や、立ち振舞い等を真似をし。
愛之助がマイメ○ちゃんや苺のイラストが描かれた名刺をリメルへと差し出して
「ではでは、リメルさん。
後は、この愛之助へと大船に乗ったつもりでお任せするでござるよ。
何てたって拙者は、あの笑ってるセールスマンと違い!愛と正義の苺セールスマンでござるし!
苺セールスマンの拙者には、万能でカッコ良く、たいへ~~ん素晴らしいヒーローのような兄、愛満がついているでござるから!
心優しきリメルを日々悩ませる。少々困ったちゃんのその悩みも、この苺セールスマンの拙者と兄者にかかればチョチョイノチョイで解決するでござるよ!」
何やら苺セールスマンと何度もプッシュして、大興奮した様子で、最後は素に戻りつつ。鼻の穴を大きく膨らませ話終えると
「よし!!タリサもマヤラもラーメン食べ終わったでござるな!
それじゃあ青那、美味しいラーメンごちそうさまでござるよ。
お代は3人分、ココに纏めて置いて置くでござるね。
それではリメル!まずは愛満の所に移動するでござるよ。出発進行~~~~~~♪」
あまりの急展開に、今だついていけず。訳が解らない様子のリメルであったが、苺セールスマンらしき愛之助達3人から少々無理矢理に万次郎茶屋へと連行……………手を引かれて行くのであった。
◇◇◇◇◇
チリーン、チリーン♪
「愛満~!タリサ帰って来たよ。ラーメン美味しかった♪」
「よしみちゅ~!マヤラもかえちぇきちゃよ。
しょれににぇ、リメルににもいっちょにかえちゅってきちゃんじゃよ。」
「愛満~、ただいまでござるよ。苺セールスマンの拙者が、何やらお悩みのリメルを連れて来たでござるよ!」
タリサ達3人がリメルを連れ、元気良く万次郎茶屋へと帰ってくる。
すると愛之助達の姿を見た愛満が、茶屋奥から慌てた様子で愛之助達の元に小走りで近付いて来て
「みんな、お帰りなさい。リメルもこんにちわ。何か久しぶりだね、元気にしてた。
それから………何かゴメンね。愛之助達に無理矢理連れて来られたみたいで…………。」
愛之助達に聞こえないようにコッソリとリメル耳元で謝罪の言葉を述べ。
今だリメルが逃げ出さないように両手をガッチリ掴んで離さない様子の愛之助達3人を見詰めながら、リメルと顔を合わせ苦笑いした。
◇◇◇◇◇
そうしてリメルに群がる愛之助達がリメルから離れ。
茶屋内に有るテーブル席へと座ってもらうと、愛満へとリメルを万次郎茶屋へと連れて来た訳を身ぶり手振りつきで詳しく説明してくれ。
そんな愛之助達からの話を聞いた愛満は、何やら共感した様子で大きく頷き。
「解る解る!そうそう、人によって違うかもしれないけど、20代半ばとか、30代後半になってくると
ある日急に自分の今の現状や、この先の事を漠然と考え始めちゃうんだよね。
で、新しい1歩を踏み出すぞや、前に進むぞとヤル気が満ち溢れてくる反面、なんか考えすぎちゃってモヤモヤし始め。
更には訳の解らない不安にも包まれちゃって、心の中を不安と希望がごちゃ混ぜになるんだ。
うんうん、解る解る。僕にもそんな時期あったよ!うんうん、リメルもいろいろ考え悩んで、本当に頑張ったね。
そんな訳なら僕に任せてよ!
少ない材料で作れてね、老若男女に人気の卵を使った。甘~いお菓子をリメルに伝授するから、大船に乗った気持ちで一緒に頑張ろう!」
自身(愛満)も経験した事があるらしいモヤモヤ時期を話し。リメルに強く共感して、リメルの力になると宣言する。
◇◇◇◇◇
「と、ココまでがカラメルソースの作り方だよ。
カラメルソースは焦げやすいから気を付けてね。後、たまにカラメルソースが飛び散る事があるから火傷に注意して!」
「「「「はーーい!愛満先生」」」」
あの後、万次郎茶屋の台所でリメルだけにプリン作りを教えるつもりが、何故か愛之助達3人もワクワクした様子で参加する事になり。
リメルプラス愛之助達3人を加えた『プリン作り』が始まる。
「プッ、ちょっと何その呼び名!。吹き出しちゃったじゃん、もう!……………ハァ~~~、しょうがない。
えっと、それでなんだったけ………あぁ、そうそう。それから上手にカラメルソースを作るコツはね。鍋を動かさないで煮溶かす事なんだ。
砂糖が早く溶けるようにと思い、ついつい鍋を揺らしたくなるんだけど、絶対に動かさない事!
砂糖って、結晶に戻りやすくなる性質があるからさぁ。煮溶かす前に動かしちゃうと、せっかく溶けかけた砂糖が結晶へと戻ろうとして逆効果なんだ。
だから砂糖の白い結晶がなくなり、泡立って焦げ茶色に変わったら鍋を動かしても良いというサインなんだよ。」
三角帽、エプロン、手洗いをキチンと済ませた愛之助達に急に『愛満先生』と呼ばれ。愛満が思わず吹き出し、何それと驚きと共に呆れる中。
愛之助達は瞳をキラキラさせ、自分を見詰めており。愛満はしょうがないと諦め。
気を取り直して、自身が知るカラメルソースの作り方のポイントをリメルへと説明を続け。
「それから今日はリメルへの説明、実践を兼ねて、お店で作る時と同じように大量のプリンを作っていくからね。
だから途中解らない所があったら遠慮せずにドンドン聞いてきてね。」
カラメルソースを完成させ。『プリン』作りをスタートさせる。
「まず最初に、この大鍋に牛乳と生クリーム、グラニュー糖を入れ、中火にかけ。ひと煮立ちしてグラニュー糖が溶けたら、すぐに火を止めるんだよ。
それから愛之助達の作るプリンは『基本のプリン』になるから、鍋に牛乳、砂糖、バニラエッセンス少々を入れて中火にかけてね。
後は、僕の作ってる『なめらかカスタードプリン』と作り方は同じだから。
で、次にボールに卵黄を入れ、泡立て器で解きほぐすよ。
それで卵黄を解きほぐしたら、先ほどのひと煮立ちさせ。人肌に冷ました牛乳液を卵黄を絶えず混ぜながら加えてね。
あっ、この時、プリン作りに慣れるまでは、めんどくさいからと言って一度にドバッと牛乳液を加えず。何回かに分けて加えるのがポイントだよ!良い忘れないでね!」
愛満がプリン作りの注意点を交えながら説明していると、何やら愛満の説明を不思議に思った愛之助が質問してきて
「ねぇ、愛満。どうして一度にドバッと牛乳液を加えてはいけないのでござるか?
どうせ一緒にするでござるならドバッと一度に入れても変わらないのではござらぬか?
それに慣れたら良いのでござろう?」
「あぁ、それはね。一度に牛乳液をドバッと卵黄に加えたら、人肌に冷ましていても牛乳液の温かさで卵黄が固まってしまう事があるからなんだよ。
だからリメルがプリン作りに十分慣れて、卵黄が固まらない牛乳液の適温を感覚で覚えたら、一度にドバッと加えても大丈夫なんだよ。解った?」
プリン液を作るさい、牛乳液を1度に加えてはいけない理由を説明し。納得した様子の愛之助達が『そうなんだ、解かった』と返事する。
「それじゃあ、この卵黄と牛乳液を混ぜ合わせたプリン液を別のボールに万能こし器でこし入れ。
一番最初に作って、粗熱をとっておいたカラメルソースを流し入れたプリン用の耐熱カップに、このプリン液を流し入れるよ。
そしてこの時!乱暴に注ぎ入れて気泡が出来ないように気を付けてね。」
テキパキと手を動かし、プリン作りを進め。愛満がプリン作りの説明する中。今度はリメルが質問をして
「あの愛満、質問して良い?
どうしてプリンカップにプリン液を注ぐ時、気泡が出来ない方が良いの?
それに気泡をそのままにしてプリンを焼いたら、どうなるの?」
「あぁ、それはね。気泡が沢山出来ると、最後に表面に浮いた泡を取るのが大変になるからなんだよ。
お店で沢山作る時なんかは、どうしてるかは知らないけど
僕が婆ちゃんに習って実家でプリンを作る時は、気泡を竹串で壊したり。スプーンで取ったりしてたんだ。
他にも泡をそのまま残してオーブンで焼くとね。
プリンの見た目は悪いし、舌触りも悪くて。本当に残念な、美味しくないプリンが完成しちゃうからなんだ。
だから今回はしょうがないとして、後で業務用のプリン気泡を処理する方法を調べてリメルに教えるから、今回はこの作り方で辛抱してね。」
愛満がプリンの気泡の事をリメルへと説明。リメルが納得してくれるなか
他にプリン作りの中で、解らない点か箇所等がなかったかリメルを含めて4人に質問すると
「うん、大丈夫!愛満、プリン作り楽しいねぇ♪」
「僕も大丈夫だよ。それよりこのプリン、これから蒸し焼きしていくんだよね。
あ~~~ぁ、家の自慢の卵を使ったプリンの出来上がりや、どんな味がするのか今から楽しみだよ。う~~~ん♪凄いワクワクしてきた!」
「マヤラもだいじょうぶ!それよりプリンじゅくりたのちいね!マヤラ、はやくプリンたべちゃい!」
「愛満、拙者達のプリン液も全てのプリンカップにプリン液流し入れたでござるよ。
まだオーブンに入れないでござるか?拙者、早くプリンが食べたいでござる!」
愛之助達からの『早く食べたい』とのプリンコールを聞き。
逸る気持ちの4人を落ち着かせ。愛満は短時間で手早く仕入れてきた。プリン専用のセンサーが付いたオーブンで大量のプリンを蒸し焼きにする。
◇◇◇◇◇
「プリン出来たよ。本当は少し粗熱をとった方が良いんだけど、今日は早く試食したいからね。
少しズルして魔法で粗熱をとったから、皆で試食しょうか?」
その後、蒸し上がったプリンを愛満が魔法を使って冷やし。
愛之助達の前に完成したばかりの2種類のプリンを並べて、4人お持ちかねの試食会が始まる。
「スッーーゴく美味しい!!
僕達が作ったプリンはね。何か、つるんとした食感や喉ごしで美味しいの♪
で、愛満が作ったプリンは、なめらかな舌触りで口の中でとろけちゃうんだよ!」
「おいちいね、おいちいね♪マヤラ、プリンだ~~いちゅき!」
「本当に美味しいでござるね!
拙者達が作った『懐かしのカスタードプリン』は、つるんとした口当たりにカラメルソースが絡み。飽きがこない味わいでござるよ!
一方、愛満が作った『なめらかカスタードプリン』は、生クリームや全卵を卵黄に変えて作っていたでござるから、舌の上でとろ~りと溶けるような滑らかな口溶けが堪らない美味しさでござる♪
リメル!このプリンを作って売り出したら、拙者必ず買いに行くでござるから頑張るでござるよ!応援してるでござる!」
タリサ達が嬉しそうにプリンの美味しさ話、プリンの虜になっているなか。
プリンを試食していたリメルも興奮した様子で
「愛満、スゴいよ!!!!!
僕達家族が育てた卵が、こんな美味しいプリンと言うお菓子に変身するなんて、僕凄く感動した!
それにきっと、父さん達もこの2種類のプリンを食べてね。自分達の育てた卵で作ったと聞いてビックリするはずだよ!
………パクパク………パクパク……うんうん!間違いない!これは早速父さん達にプリンを食べてもらって、一秒で目早く、お店を出す許可をもらわなければ…………」
5個目のプリンをパクつきながら、何やら決意を固めた様子のリメルは、改めて愛満に頭を下げ。
「愛満、改めてお願いします。僕、兄弟の中で一番バカだし、知識が無い事も解ってるんだ。
だけど父さん達と育てた卵の美味しさを沢山の人に知ってもらいたいと思う気持ちは、きっと他の兄弟にも負けていないと思ってる。
だからこんな僕だけど、これから自分で商売の事ももっともっと勉強するし。頑張ってプリンの知識も学んでいくつもりだがら、この先も僕にアドバイスや力を貸して!」
これから先も勉強や知識不足の自分にアドバイスや力を貸してほしいと頼み。
そんなリメルの姿に愛満は慌てながら
「いやいや、頭を上げてよ、リメル。
そもそもリメルはバカじゃないし、リメルが困っていたら力を貸すのは当たり前の事だよ。
それに僕に出来る事ならいくらでも力を貸すから、そんなに心配しなくて大丈夫だよ。
お店の許可だって、きっとリメルの今まで悩んでた事や素直な気持ちをサナさん達に正直に話せば、サナさん達も納得してくれると思うよ。
だからね。サナさん達を無事説得できたら、僕からのプレゼントとしてリメルの為のプリンのお店を建ててあげるから
ほら、そんなに緊張しないで、肩の力を抜いて、頑張って来て!」
新しい一歩を踏み出そうとしているリメルを励まし。
「それにこの2種類のプリンの他にも『懐かしのプリン』の砂糖を黒砂糖に変えて作れる『黒糖プリン』や
牛乳を豆乳に変えて作る『豆乳プリン』の味なんかも有るしね。
『なめらかなカスタードプリン』にしても、抹茶や紅茶を足して作れる『紅茶プリン』、『抹茶プリン』の味なんかが豊富に有るんだよ!驚きでしょう?
だから、まだまだリメルの知らない沢山の種類のプリンの味が有るからリメルも期待しててよ!」
激励を飛ばすとタリサ達も一緒になり。
「リメル兄ちゃん、頑張ってね!」
「リメル、我らのプリンの為に頑張るでござるよ!」
「リメルにいたん!がんばっちぇね!マヤラ、ココじぇおうえんちてるかりゃ!」
4人からの声援を受け。勇気を貰ったリメルは、早速家族がいる家へと手作りした2種類のカスタードプリンを持ち、帰って行った。
◇◇◇◇◇
そうしてその後、プリンの美味しさに感動した様子の家族への説特を無事成功させ。
リメルは約束通りに愛満から菓子作り用の清潔でいて、広々したキッチン付きの店舗兼住居を建ててもらい。
朝倉村初となる新鮮卵を使った『プリン専門店』をオープンさせ。
愛之助やタリサ、マヤラの他に村の甘党達の度肝を抜き、大喜ひさせるのであった。
《なめらかと懐かしの『カスタードプリン』と兎族のリメル、の登場人物》
・リメル=アルフ家五男、鶏卵場経営のサナ家3男の25歳
何やら自身の現状やこの先の事についてお悩み中の様子
・青那=自身で考え、コツコツと工夫しながら、自身のお店袋屋を営業中
・愛之助=とある笑ってるセールスマンの人の漫画にハマってる様子
・タリサ、マヤラ=今回も元気に活躍
・愛満=何やら自身も経験したお悩みに共感し、力になる