春の香りのセリ料理と仲良し三人組
その日 万次郎茶屋では愛満が1人、のんびりと店番をしながらお茶飲み、ゆっくりとした時間を楽しんでいた。
「ふぅ~お茶は美味しいなぁ。しかし今日の天気は久々にポカポカした気候で、なんだか眠くなっちゃうよ……………ふぁ~~。」
愛満が珍しくこんなにのんびりしている訳は、愛之助とタリサ、マヤラの3人が手作りしたベビーカステラを持ち。緑香達のもとへと白梅園に遊びに出かけているためなのであるだ。
ちなみに黛藍はというと今日は包子屋が定休日で、美樹の美容室に遊びに行っている。
そうして、しばらく1人で窓辺近くでポカポカとひなたぼっこをしていると仲良し3人組が元気良く店の扉を開け、帰って来る。
チリーン、チリーン♪
「愛満 ただいま~!タリサが帰って来たよ♪あ~ぁ面白かった。みんなで公園の滑り台やブランコにのって遊んだりしたよ。」
「たらいま~!マヤラがかえちゅってきちゃよ♪よしみちゅ、マヤラちゃぷちゃぷでちぇりとっちゃよ!」
※『ただいま~!マヤラが帰って来たよ♪由満、マヤラ川に入ってセリ取ったんだよ。』
「愛満 ただいまでござる。
みんな手土産のベビーカステラ喜んでいたでござるよ。
それからコレ、白梅園の公園に流れる小川でセリがたくさん自生していたでござるから、緑香や香夢楼達と一緒に取って、少し分けて貰ってきたでござるよ。
あっ、そうでござる!香夢楼達がセリの事や食べ方などを知らなかったでござるから、拙者がちゃーんと!
毒セリとセリの違いやおひたしやかき揚げ等の作り方を教えてあげたら、園の子供達のご飯のおかずが1~2品増えると喜んでくれたでござるよ。
それに拙者が見た限りでは、毒セリは自生してなかったから安心するでござる。」
少しセリ取りで濡れているが、セリ取り楽しかったと口々に話し。満面の笑みの3人は嬉しそうに袋いっぱいの戦利品のセリを愛満に見せながら渡す。
「うわ~!セリもう取れるんだね。3人ともありがとう。
今日はポカポカ天気で暖かいとはいえ、川に入ったら寒かったでしょう。本当にありがとう、嬉しいよ。
それに香夢楼達も喜んでくれて良かったね。
今度は3人が大好きな生の苺と練乳でも持って行って皆で食べるのも楽しいかもしれないね。
それか3人が大事に育てている家の庭のビニールハウスの苺苗とは違う品種の苺苗を白梅園の畑にあるビニールハウスで育ててみたら、2つの品種のイチゴ狩りが出来て楽しいかも知れないね。
じゃ、僕はさっそく3人が取ってきてくれた美味しいセリを使って、今日のお昼ご飯を作ってくるね。
それから3人とも、川に入ってセリ取りで体が冷えてると思うから、風邪を引かないように、僕がお昼ご飯作ってる間にパッパッとシャワーを浴びておいで。」
愛満に言われた3人は、言われた通りシャワーを浴びに行きながら、何やら楽しそうに白梅園のビニールハウスに何の品種の苺苗を植えるかと、各自お気に入りの苺の品種や味の特徴を熱く議論しながら消えて行く。
そんな3人の姿を見て、クスクス笑いながら愛満は、お風呂上がりの3人用の着替えやお昼ご飯作りをするため移動する。
◇◇◇◇◇
そうして、ポカポカと湯気あげる風呂上がりの3人組や昼休憩で帰って来た美樹や黛藍、凱希丸などが集まり。
テーブルいっぱいに緑鮮やかな『セリご飯』、『セリと鶏つみれ』、『根菜や茸類がたっぷり入った醤油汁』、『セリと海老のかき揚げ』、『セリの卵とじ』、『セリの胡麻和え』、『セリの白あえ』等がところせましと並べられる。
「うわ~!マヤラがとってきちゃ、ちぇりがいっぱいにゃらんでる!」
※『うわ~!マヤラが取って来た、セリがいっぱい並んでる。』
「へぇ~!セリか、懐かしいな。
昔、セリとクレソンの違いが解らず、同じ食い物だと思って食ってたら、料理好きな先輩からセリとクレソンは、まったくの別物と聞いて驚いたんだよなぁ。」
「セリ?クレソン?ねぇ、美樹セリとクレソンて何?」
「セリとクレソンはな、タリサ。
俺も先輩に聞いただけで良く解らないんだけど、目の前にあるのがセリと言ってセリ科の植物になって
このセリと見た目が良く似た、焼いた肉とかに添えられてるのがアブラナ科のクレソンと言うらしいんだ。
先輩が言うには、食感も風味も違うらしいんだけど、俺には良く解らん。」
美樹とタリサがセリとクレソンの違いの話をしていると残りの料理を持った愛満が戻って来て、皆が楽しみのお昼ご飯の時間が始まる。
「「「「「「「いただきます(でござる。アルヨ。だっぺ。)(いたらきましゅ。)」」」」」」」
「う~ん♪このセリご飯、味も美味しいでござるが、見た目も緑鮮やかなで良いでござるね。」
「ありがとう、愛之助。今日のセリご飯はね。
サッと塩茹でした緑鮮やかな色合いのセリを生かす為に、ご飯の味付けをだし汁ベースに濃口と薄口の二種類の醤油で味付けして、炊きあげたご飯に細かく刻んだセリを混ぜ混んで作ったんだ。」
愛満がセリご飯を誉めてくれた愛之助にお礼を良いながら説明しいると、隣の席に座るマヤラや凱希丸が
「よしみちゅ、マヤラこのちゃまごのちぇり おいちいよ。」
※『愛満、マヤラこのセリの卵とじが美味しいよ。』
「マヤラ、セリと海老のかき揚げも旨いっぺよ。セリのサクサクした歯ごたえに海老のプリッとした食感があわさって、何個でも食べれるっぺ。」
「僕は具だくさんの醤油汁が美味しいアルよ。
鶏つみれの旨味や根菜の旨味を含んだ汁がセリに絡んでシャキシャキした食感も楽しめ、いくらでも食べれるアルね。」
「俺はセリの白あえ初めて食べたけど、ほうれん草じゃなくても旨いんだな。」
各々が思い思いに美味しかったセリ料理の感想を楽しそうに話しながら、こうして春の香りのセリを皆で楽しみ、賑やかなお昼ご飯の時間は過ぎていくのであった。




