愛満も大好き『お家カレー』と、空前のカレーブーム到来!
カラカラ、カラカラ
「はぁ~~~、こんな暑い日に飲む冷たい緑茶は旨いのう~♪
さっきまで外出しておって、外の暑さにやられたワシの五臓六腑に染み渡るのじゃ。
……うんうん!夏の暑い日に飲むキンキンに冷えた緑茶はウマウマなのじゃ!
………………はぁ~~~、それにしても、今年もワシが苦手な夏がやってきたのじゃなぁ~、……………明日にでも亀さんプールを出すとするかのう~。」
何やらワイングラスに緑茶と氷を入れ。グラスの中の氷をやたらカラカラと意味無くいわせている。外出帰りの山背が店番をしてくれている万次郎茶屋では
「でねぇ~、愛満。山背達、山でお泊まりした時に山背が作ったカレーを食べたんだって!」
「そうへっけ!そうへっけ!スゴく美味しかったって皆言ってたへけっよ!」
「うんうん!言ちぇた、言ちぇた!」
「それでねござるね、愛満!今度、朝倉町の数在る倶楽部の皆が力を合わせた。倶楽部主催の第一回の夏祭りが開催されるでござろう!」
「そうそう!愛之助が企画、発案した。朝倉町に在る様々な倶楽部が自分達の日頃の成果を発表するお祭りが開かれるんだ!
それに僕達 苺忍者隊も少しでも町の皆やお祭りに参加してくれる人達に苺の美味しさを知ってもらう為にね!
日々端正込めて育て上げた苺を使って
苺の果汁で色しつけた紅白色の二種類の小さな白玉と、白玉と同じサイズに切った苺を冷たく冷やしたミルク(砂糖入り)や苺ミルク、サイダーに加えた『苺真珠』を出店で販売する予定なんだ!
そうそう!サイダーにもね。見た目が可愛くなるようにピンクや黄色、青色のかき氷シロップでグラデーションするから、きっとお祭りに来てくれた人達も驚くと思うんだ!
あっ!…………けど、……町の皆は、すっかり『苺』に慣れ親しんでるから僕達のお店にお客さんが来てくれるかなぁ~………………。」
「そうへけっよねぇ、タリサ。僕も今から心配へけっ。
…………………だからへけっねぇ、愛満。皆が興味を引くような。大々的な目玉商品を『苺真珠』と一緒に僕達の出店で販売したいへけっよ!」
「うんうん!マヤラもしゃんしぇい!」
「拙者も賛成でござる!………でねござるね、愛満。
その目玉商品とやらに、最近町で話題になってる『カレー』を拙者達は販売したいのでござるよ。
それにあの美味でござる。魔法のようなバーモン○のカレールーなら、拙者達でも簡単に美味しいカレーが作れるでござるし!
愛満、あの魔法のカレールーを今回の祭りで使用しては駄目でござるか???」
「…………愛満~、ダメ~~~???」
「じゃめ~~~??」
「ダメへけっかぁ…………???
山背の話聞いてたら、僕達でも美味しいカレーが作れるはずへけっし。
皆に僕達が端正込めて育て上げた美味しい苺と共に、僕達が作った美味しいカレーを食べて欲しいへけっよ…………。」
『風呂屋・松乃』にこの後、納品する予定の朝倉町お土産ランキング上位になる。『兎饅頭』の詰め合わせを箱詰めしている愛満に相槌を打たせる隙間も無いくらいの。
タリサ達の愛満への必死のお願いの声が万次郎茶屋内から聞こえてくる、とある日の事。
◇◇◇
日に日に暑さが増してきて、夏を感じられる朝倉町では、ここ最近、何かしら町主催なり、町の組合が開催する夏祭りが町のあちらコチラで日々開かれており。
タリサ達が話すよう。来週の日曜日には、朝倉町に存在する様々な倶楽部が力を合わせ。各倶楽部で製作された作品なり。
各々のテントで日々の研究結果等を発表し。ちょっとした粗品をお礼代わりに、興味を示した人達から研究費を募れる。
夏祭りと言うか、バザーのような。愛之助提案の第一回目のお祭りが開催される事が、愛之助達の頑張りで決定し。
(※朝倉町に存在する倶楽部とは、各々の住民達の趣味を楽しむ倶楽部になり。
例えば裁縫好きの人達が集まった『裁縫倶楽部』や、サウナ好きの人達が集まった『サウナ道』なる倶楽部が色々とあったりするそうです。)
自分達の兄貴分にもあたる愛之助主催のお祭りにタリサ達はいつになく張り切っており。
絶対失敗させてなるものかと並々ならぬ力が入っていて…………。
また先程タリサ達が話していた『カレー』とは、山背達が無事魔獣『ポスギ』を退治してくれた日から幾日が過ぎているのだが、今だ町のあちらコチラでは、山背達のポスギ退治の武勇伝で盛り上がっており。
何やら最近では、魔獣ポスギ退治の話と言うか、…………山背が得意気な様子で話したり。
ポスギ退治に参加した者達が(最初見た目がアレだったそうなのだが)口々に『美味しかった』と話す。高級素材のスパイス香る。『カレー』なる料理の話の方に話題がうっているようで………
先程山背が外出してた訳も、実は町の人達からお願いされた。ポスギ退治の講演会と言うか、遠征の折りに食べた『カレー』の話が主になっていて
愛之助達が祭りの目玉商品の1つにしたいと話すよう。
朝倉町では今、町に住む幼い子供達等は、あんな恐ろしい姿形をした魔獣『ポスギ』を勇敢に退治してくれた町の英雄事、山背達と同じよう。
自分達が知らない未知の料理『カレー』なる物を食べたいと、ここ最近、親や回りの大人達におねだりしている程で
朝倉町 町長と言うか、領主になるらしい愛満の元にも、そんな子供達からのおねだりが日々届いており。
また、ここ連日続く。子供達からのおねだりに困り果てている大人達からの相談も多数寄せられていて…………。
しかし昔とは違い。見事物流が発展し。今では気軽でいて、お手軽価格で買え。種類様々なスパイスやカレー粉がスーパー等で販売されている地球とは違い。
いくら地球にない魔法?魔術が有るとは言え。やはり異世界になるコチラでは地球と違い。コチラの世界の情報に詳しい山背に聞いた所。
愛満が話す『スパイス』に似たような効能を持つ薬草が有るのは有るそうなのだが、地球のように調味料?香辛料としての捉え方をしていないそうで
その為、そこまで国民達には『スパイス』に似た薬草達は浸透しておらず。
せいぜい薬師が薬を作る際に使用するぐらいになっていたそうなのだが、何種類かの薬草の中には、約15年前に別の薬草でも替えが効く事が研究の成果で判明し。
尚更の事、愛満が欲するスパイスに良く似た薬草を使用する人が少なくなっており。
そんな薬草達を採取するのにも一苦労になるそうで
山背曰く。簡単に説明するならば、コチラの世界でのスパイスに良く似た薬草と呼ばれる物の中には、一見植物に見えるものの。実は危険なモンスターであったり。
有る一定の場所でしか育たない。山背曰く、大変頑固な奴でいて
しかもその生息地が、高ランクの魔獣達がうようよ生息しているような場所になるらしく。
その後、朝倉町・ギルド長の琴柏谷にスパイスの事等を相談したさいにも、愛満が欲している薬草等は、危険なモンスターから採れる品であったり。
危険な魔獣がうようよ生息している地域でしか育たない物だったりして、それらを採取する為には、大なり小なり命の危険にさらされる事になるだけに、かなりの高値で取引される品々になるとも教えてもらい。
そんな、まだまだ高級調味料?香辛料になるスパイスを豊富に使用した『カレー』を大々的に町に披露しても大丈夫なのかと、ここ最近頭を悩ませている愛満は、タリサや愛之助達からのお願いに直ぐには言い返事を返して上げられず。
他にもまだまだ幼いマヤラや、町のチビッ子達がカレーの辛さに泣いてしまわないかとの心配もあり。
いつになく、あぁだこうだと考え込んでしまう。
【まぁ、と言っても、少々天然が入っている愛満は、度々大吉村の克海にご馳走した『カレーうどん』だったり。
朝倉町に何軒か存在する素泊まり宿の1つ。ギルドパーティー『バタメ』が宿で提供している『カレーピラフ』のような。
飯盒飯になる『スペアリブの炊き込みカレー(ピラフ)』だったりと、コチラの世界では高価になる塩や砂糖、胡椒等をバンバン使用して、様々な料理なんかを披露しているのだが……………。】
しかし!やはり可愛い弟になる愛之助やタリサ達の為。いつにない必死なお願いを無下には出来ず。
しかもここ最近の騒動で、愛満も大好きな『お家カレー』も封印していて…………。
そもそも愛満宅の食料室に備蓄して有った。愛満が大好きな『バー○ンドカレー』のルーを持ち出した山背が発端なのだが………。
いつになく少々考え込んでしまった愛満は、そこはいつものように可愛い弟の愛之助やタリサ達の為。
「……………う~~~ん、そうだね。…………ここまできたら僕も腹を括るか!
うんうん!良く良く考えてみたら、そもそも今までだって、あんなに砂糖や塩胡椒なんかをバンバン使ってても何の騒動もなかったんだし!
それにカレールーの中身を教えなきゃあ良いわけだろう!
後、何と行っても夏になったら『お家カレー』が食べたいし!
…………よし、決めた!今度の夏祭りに『カレーライス』を解禁しょうではないか!」
との、愛之助やタリサ達大喜びの答えを返し。
手始めにと、本日のお昼ご飯を『カレーライス』に変更する為。
(実はタリサ達のお願いの時から、カレーの事をずっーと考えていて、無性に食べたくなった愛満なのであった。)
少々お昼の時間まで時間がないのだが、愛満大好物のお家カレーを作り始めた。
◇◇◇◇◇
「はい、お待たせ。本日のお昼ご飯、『ポークカレー』と『海老とアサリのシーフードカレー』のあいかけカレーライスになるよ。
後、家の実家ではカレーのお供になる『ポテトサラダ』と、今が旬の夏野菜を使って『揚げ茄子のトマトドレッシングかけ』だよ。
ではでは、注ぎたて熱々のうちに早速食べる事にしますか!」
久しぶりのお家カレーにカレーを作っている間から、…………いや、その前から早くカレーを食べたい欲求が刺激されまくりだった愛満は、いつになくウキウキした様子で、本日のお昼ご飯を手短に紹介し
「「「「いただきま~す♪(でござるよ♪、へけっ!)」」」
との食事の挨拶と共に、愛満同様ニコニコ笑顔の愛之助やタリサ達も含めて、目の前に置かれた二種類のカレールーが盛り付けられたカレーライスを勢い良く食べ始める。
ハフハフ、ハフハフ パクパク モグモグ、モグモグ
「うんうん!やっぱりいつ食べてもカレーは美味しいねぇ!
確か、初めてカレーを食べたのは愛満のお家にお泊まりした時だったと思うんだけど、僕、あの時からカレー大好き!」
「マヤラもカリェー、だいしゅき!」
「僕もへけっ!!僕も愛満が作ってくれるカレー大好きへけっよ!」
「本当でござるね!拙者も兄者が作ってくれるカレー大好きでござるよ!
それに今日は豚バラ肉や、海老やアサリを使用した二種類のカレー(のルー)が楽しめ。
まるで二種類のカレーのいいとこどりでござって、拙者、誠に幸せでござるよ!」
幸せそうにカレーライスを食べ進めている愛之助達が嬉しい事を言ってくれる中。
早々に一杯目のカレーライスを食べ終え。二杯目の大盛カレーライスを黙々と食べていた山背も
「愛満、今日のカレーも本当に旨いぞ!
それに普段より固めに炊いておる米がルーと良く合い。カレールーと絡まって、まるで茶漬けのようにワシの口の中に流れ落ちていくのじゃ!
うんうん!どこぞのお方がカレーは飲み物じゃあと言っておったが、本当じゃのう。
はぁ~~~♪何杯でも食える旨さなのじゃ!」
ポークカレー、シーフードカレーと言うか、独自のカレー持論を交えた感想を教えてくれ。
そんな愛之助達の話に、ニコニコと幸せそうに久しぶりのカレランクーを味わっていた愛満が
「それは良かった。実はね、今日のお昼ご飯をカレーにしようと思った時、家の実家では定番だった豚肉を使ったカレーと共に、海老やアサリを使ったシーフードカレーが食べたくなっちゃってさぁ~。
ほら、豚肉とじゃが芋の組み合わせって最強の具材の組み合わせになるじゃん!
それに豚肉とじゃが芋を使用したカレーは、ルーしっかり目でご飯と良く絡み合って合うし!
けど、海老やアサリを使用したシーフードカレーも魚介の旨味がルーにプラスされて美味しいんだよね♪
あっ!後、魚介の旨味が染みだした。少し汁っぽいサラサラ系のルーもご飯と良く合って、………………本当にどっちの案も棄てがたかったんだ。
でさぁ~、本当に最後の最後まで、豚と海老やアサリのシーフード達が僕の脳内裁判で争っていて
悩みに悩んだんだけど、最後は裁判長の白米君がズバッと今日は贅沢して、いいとこどりの『あいかけカレー』にしてみてはとのお言葉が降りてきてね。
こうして、豚バラ肉やじゃが芋を使った『ポークカレー』と海老やアサリのシーフードミックスを使用した『シーフードカレー』が完成した訳なんだよ。」
ここ最近の夏の暑さにやられたのか、カレーを作る際、愛満の脳内では豚や海老、アサリ達が裁判を開き。カレーの具になる権利を争っていたらしい事を教えてくれ。
更には裁判長が白米だと判明する中。食べたかったカレーライスを食べて気分が良くなった様子の愛満は話を続け。
「それに山背が言っていた通り。家の実家ではカレーの時は少し固めにご飯を炊いててね。
他にもカレーライスの屋台を出す愛之助達にも後で詳しく教えて上げるんだけど、家の実家でカレーライスを作る時は、具材になるお肉と言うか、今日のポークカレーの具材の豚バラ肉なんかにカレー粉や醤油、みりんで下味をつけていてね。
そうする事でお肉事態にも味がついてて美味しくなるし。
炒めた時に香ばしく、風味がアップするんだよって婆ちゃんが教えてくれたんだ。
あっ、マヤラお代わり?またポークカレーとシーフードカレーのあいかけにする?」
話の途中で、マヤラの空になったカレー皿に目ざとく気付いた愛満はカレーライスのお代わりをついであげ。
「後、家の実家のカレーは醤油やみりんをお肉なんかに下味に使うから和風なカレーになっててね。
カレーの具材なんかに『じゃが芋』や『人参』の他、『蓮根』や『大根』、『玉葱』の変わりに『白葱』なんかを使ってて、初めて家の実家のカレーを食べた人は驚いてたんだよ。
確か、『肉じゃが』を作りすぎた時に『肉じゃが』にカレー粉を入れて『カレー』にリメイクもしていたような……………あん時の糸コンニャクの食感面白かったなぁ~♪」
愛満家のカレー事情がいろいろと判明する中。
今日もまた、万次郎茶屋の一日は賑やかに過ぎていくのであった。
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ちなみに山背が話していた亀さんプールとは、亀の形をした子供用のプールになり。
プールとしても砂場としても使用できる品になります。




