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山背特製『豚肉キャベツカレー』と、魔獣「ポスギ」退治と、何故か水虫



日に日に真夏へと季節が移り変わっていっているのを肌で感じられるその日、何やら朝倉町の大通りでは、アチラこちらから驚きの声や歓声が響いていて



「うわ~~~!なんじゃこりゃぁ!!」


「すんげぇー!デカい亀型の魔獣だ!」


「魔獣だ!魔獣だ!」


「スゲースゲー!!」


「でっけ~~~!!」


見た目に嘘をつかず、かなりの重さが有る為。ゆっくりとだがギルドへと歩みを進めている。巨大な亀型の魔獣の遺体が乗った台車の周りを男の子達が興奮した様子で取り囲み。

初めて見る。ちょっとした小山サイズの大きな魔獣を口々に『スゴい、スゴい』と囃し立て

後で亀型の魔獣の甲羅を触らしてもらおうぜと楽しそうに話していた。


そうしてそんな男の子達と共に、亀型魔獣が乗った台車を不安そうな表情を浮かべ。遠巻きに見つめる街の人達も


「お、お母さん、………あ、何あれ!?……………私、何か怖い……。」


「お、お兄ちゃん、こっちに居なよ。そんな近くに居たら危ないよ!!

言うこと聞かないとお母さんに言い付けるからね!」


「うわ!何か不細工で気持ち悪い!」


等々と話し。幼い子供達等は、そのあまりの禍々(まがまが)しいポスギの姿形に泣き出すものまでいて


そしてコチラにもまた


「おぉ~~~、あれが魔獣ポスギだっぺか!…………スゲェデカさだっぺなぁー!

それに何とも言えねぇ、禍々しい面構えだっぺよ!

うんうん。ありゃあ~、家のチビ達も見たら、きっと泣き出しちまうだっぺ!

美樹、お前も初めて見ると言ってただっぺが、魔獣『ポスギ』一目見てどう思ったっぺ?」


「う~~~ん、そうすっねぇ………………。亀型の魔獣と聞いてたけど、ちょっとした小山サイズのデカさに一番驚きましたし。

それに喜多丸(きたまる)さんもさっき言ってたっすけど、ポスギのイヤにゴツゴツした見た目や禍々しい面構えが、本当何とも言えないっすよねぇー。

後、……う~~~ん、……こぉ~何とも上手く言えないすっけど、…………あのポスギの姿(すがた)(かたち)、何か昔見た事があるようなぁ、無いようなぁ………………何かに似てるっすよねぇ~~……………………。

う~~~ん、思い出せなくてモヤモヤする!!!

何だっけ、……何に似てるんだ!!!

……う~~~ん、…………あっ!そうだ、そうだ!確か昔、親父と一緒にビデオで見た『ガメラ』に何処と無く似てるんだ!

そう、そう!あの『ゴジラ』に出てきた『ガメラ』を2割増しで悪くしたような姿形が、何処と無く似てるんだよなぁ。

それにゴジラのフィギュアを始め。ガメラのフィギュアも部屋に置いてあって、毎日目にしてた訳だし。

うんうん。だから何となく見た事があった気がしたんだよなぁ~!あ~ぁ、謎が解けたらスッキリした!」


何やら美樹の父親を始め。今回始めて美樹が隠れ『ゴジラ』ファンな様子が密かに匂わせる中。

美樹が口にした『ガメラ』や『ゴジラ』なる言葉に、町で家族と一緒に加治屋を営むドワーフ族で、凱希丸の兄に喜多丸(きたまる )が興味を示した様子で問いかけ。


「はぁ?ガメラ??それにゴジラだっぺ?………何だっぺそれ?

それよりだっぺ。なぁ美樹、美樹の故郷には恐ろしい動物は居ても、魔獣なんて居ないと言ってただっぺが、あのポスギに良く似た『ガメラ』や『ゴジラ』なる恐ろしい魔獣が居るだっぺか?」


「えっ、『ガメラ』や『ゴジラ』がすっか?………………あっ、やべぇ!

いや、その~~~、……あの~、………………………『ガメラ』や『ゴジラ』とはですねぇ」


只今カラーリングと言うか、白髪染め途中の姿格好の客。喜多丸と一緒に店を飛び出し。美容室の前を通りすぎて行く。

初めて目にする魔獣『ポスギ』なる。美樹曰く『ガメラ』に良く似た魔獣『ポスギ』の話題から、何故かこの後、何やら『ガメラ』を飛び越え『ゴジラ』の話に大いに盛り上がって行き。

またまた何故か、美樹の部屋の一角を密かに占領している『ゴジラ』を始め。

話題の『ポスギ』に良く似た『ガメラ』や『モスラ』等々のフィギュア達を喜多丸へと見せて上げる事になり。

異世界初!新たな『ゴジラ』ファンを増やす事になるのであった。



◇◇◇



そうして、町の人達が思い思いに大通りに集まり。

ここ最近、この一帯を騒がしていた騒動の根元を皆が興味深そうに見つめているのだが


「ほぉほぉ、実に大きな亀じゃな!……………………うんうん!なぁ~婆さんや、ありゃあ~食えるのかのう~?

あんだけデカさありゃあ、実に食いごたえがありそうな気がするのじゃが、どう思う?」


「はぁ!?………………何言ってんだい、あんた!魔獣ポスギは食えないって山背が言ってただろう!

それに、その代わりと言っては何だが、その甲羅や骨、爪なんかは強力な武器に加工でき。

他の部位だって加工しだいでは色々と使えると言ってただろうが!

まったくもう~!あんた、ボケちまったのかい!」


と、またまた若干一名。

何やら別の方向で奥さんに豪快に突っ込まれながら、杖を片手に溢れ出る涎を手拭いで拭いつつ。

魔獣『ポスギ』に熱い視線を送る人が居たとか、居なかったとか………………………。



◇◇◇



そんな美樹が営む美容室付近近くになるのたが、多くのチビッ子達が集まる。朝倉神社へと続く朝倉神社前の道を禍々しい容姿の魔獣『ポスギ』が通りすぎて行く中。


「あっ!リーフ先生達だ!それにタイタン先生やアリー先生も居る!

お~~~い!リーフ先生~!タイタン先生~!アリー先生~!」


「本当だ!リーフ先生達だ!

お~~~い!先生~~~!

…………あっ!ねぇねぇ、アリサ。リーフ先生達、手振り返してくれたよ!嬉しいねぇ♪」


『ポスギ』を見ての悲鳴とは違う。朝倉学園に通う子供達の嬉しそうな声が聞こえてきたり。

別の所では


「あっ、ギルド『砂漠に咲く華』のお兄ちゃん、お姉ちゃん達だ!お~~~い!ランサお兄ちゃ~~~ん!」


「ルシム兄ちゃん~~~!テリア兄ちゃん~!トミー兄ちゃん~~~!」


「リンレ姉ちゃん~~~!ミッツ姉ちゃん~~~!」


「あっ!あっちにはギルド『フィアの丘』のマウロおじちゃん達が居るよ!

お~~~い!マウロおじちゃん達~~~!!」


との、魔獣『ポスギ』退治に参加してくれたギルド『砂漠に咲く華』や『フィアの丘』への歓声や

町でチョコレート菓子店を営む半神族の路沙莉への


「路沙莉お姉ちゃ~~~ん!お帰りなさ~~~い!」


「おかえりなちゃ~~~い!シャカク(サカク)じゃよ~~~!」


可愛らしい『お帰りなさい』の声


「山背~~~!お疲れ様でござるよ~~~!」


「山背~~~!お帰り~~~!」


「おかえりなしゃい~~~!」


「山背お帰りなさいへけっよ~~~!」


等々の、魔獣『ポスギ』が乗った台車の少し後ろを歩んでいる。

己の危険を省みず。町の皆の為にと魔獣『ポスギ』を退治してくれたリーフ達への称賛の声もまた、本通りの道に響くのであった。



◇◇◇◇◇



と言うとのも、山々が連なる。とある一つの大きな山に存在する朝倉町では、ここ最近、何やら微弱ながら横揺れするような、地震のような事が度々起こっていて

こう言っては何だが、地震大国の日本の生まれの愛満は比較的地震には慣れてるとはいえ。

こちら(異世界)に来てから初めて体験する地震に加え。


朝倉町から離れた。年々寂しくなってきていた自身の頭の上の辺りが突如(とつじょ)復活の兆しを見せ始め。

自身が治める街の人達の顔にも笑みがあちらコチラで溢れ。幸せを日々噛み締めていた山の下の街でも、朝倉町より大きく上回る横揺れが度々起っており。

何か良くない事が起こっているのかと不安の声がアチラこちらから聞こえくる程で、それが徐々に朝倉町へと伝わって(聞こえて)きて…………。


また朝倉町へとやって来た。とある自称グルメハンターや、幾人(いくにん)かの商人、冒険者達から、朝倉町が在る山から2つ3つ離れた山道奥で、何やら四足歩行で歩き。

赤く光輝く()をギラつかせながら歩く物を見たや

かなりゴツゴツしているものの。背中に甲羅状の物が微かに確認できた等との貴重な情報()が寄せられ。

アレはきっと大きな亀型の魔獣じゃないかとの意見が朝倉町のギルドへともたらされ。


山背曰く。たぶんきっとソレは、少々厄介な。ちょっとした小山サイズの大きな魔獣になり。

自身(魔獣)の体がすっぽりと入る大きな湖と言うか、その魔獣が移り住むと、自身が住みやすいように泥水へと変えてしまい。

性格はかなり狂暴で、何でも食べる雑食になり。結果、その一帯の生態系を壊し。

食べる物が無くなると人里へも下りてきて、人を襲い。畑を荒らす事もある。

大変狂暴にして、鋭い剣のような爪を持ち。一度噛みついた物からはテコでも離さない。『ポスギ』と言う危険な魔獣だと、魔獣に詳しくない愛満へと教えてくれ。


その後、ギルド長の琴柏谷達を交え話し合った結果。

自分が住む朝倉町を守る為。力を貸すと快く申し出てくれた。自称・何気にスゴいらしい山背を始め。

町でチョコレート店『香果音(カカオ)』を営む。元高レベルの冒険者になる路沙莉や、朝倉学園のリーフ達等の半神族の者達に加え。

町を拠点にしている冒険者達の中でも高ランクになる2組の冒険者チーム・ギルド『砂漠に咲く華』や『フィアの丘』の人達が力を貸してくれる事になり。

『ポスギ』なる魔獣を退治しに行く事に決まったのであった。



ちなみにここだけの話。

愛満も『ポスギ』退治に参加すると言ったのだが、愛満のビジュアル等も相まって、リーフ達から強く。そう、強固に反対されてしまい。

最後の方には、まるで駄々をこねる子供を諭すように優しく説得されたり。優しく慰められたりもして、…………………少々愛満が納得いかない心中の中。

そこは町長としての威厳を保つ為、グッと下唇を噛み締め我慢をし。心の中で何とも言えない気持ちが渦巻く中。

愛満は皆の無事を祈りつつ。ポスギ退治に出発する山背達を見送ったりする出来事があったとか、なかったとか……………………。



◇◇◇◇◇



そうして、そんな朝倉町の大通りが賑わう数日前の事。朝倉町から3つ離れた険しい山道では


「おい皆、気を付けろ!そこ、土に水が含んでぬかるんでるから気を付けなきゃ足とられるぞ!」


「ねぇねぇ、リーダー。あっちに結構大きめな水溜まりって言うか、ちょっとした泥沼みたいなのが在ったわよ。

アレ、ポスギが居た跡じゃない?」


「あっ、その草!かゆかゆの草の葉だから、素肌に触れないように気を付けた方が良いよ。」


「クソ~~~!ここにも居ねぇか!

う~~~ん、本当に何処居るだよ、ポスギの野郎!」


「本当に困ったわねぇ。ここが一番の有力ししてた場所なのに……………本当に何処に移動したのかしら?」


等々の話し声が聞こえてくる中。

草木が生い茂り。実に歩きにくい山道を互いに注意しながら、何処に居るか解らない。魔獣『ポスギ』を探し出すため歩みを進めており。


何とも言えない表情を浮かべた愛満から、色々と、そうまさにアレもこれもと詰め込まれた魔法ポーチのポーチと共に

朝倉神社のお守り等々を手渡された冒険者達は、終始不愉快な気持ちにさせる蒸し暑さに耐えながら、額からこぼれ落ちる汗を拭い。

生い茂る草木と共にポスギが移動する際、倒した木々や折れた草花を観察しつつ。

2日前の雨でぬかるんだ歩きにくい山道を慎重に注意しながら、ポスギの目撃情報が多かった場所をくまなく探しては、今回の騒動の原因でも有る。魔獣『ポスギ』を退治する為。


場所によっては暑かったり寒かったりと、標高により気温がコロコロ移り変わる険しい山道を探索しつつ。

確実に一歩一歩と歩みを進め。朝倉町に住む家族の為、町の皆の為にと頑張っていた。



◇◇◇



その後、探索1日目では魔獣ポスギを発見する事が出来ず。

辺りが少し薄暗くなり。少し肌寒さを感じるなか比較的開けた山の中腹で野宿する事が決まり。


「まずはのう~。ワシが持参したこの大鍋にゴマ油を入れ。軽く熱した後、食べごたえある豚バラ肉を炒めるのじゃよ!

で、豚バラ肉を炒めてのう~。十分な脂を出した所に、マウロ達が切ってくれたキャベツや玉葱を入れ。豚肉の脂を絡めながら炒めていくのじゃよ。

そして、そこにじゃあ!今回のカレーの旨さアップのポイント!酒と味噌を加え。強火でアルコール分を一気に飛ばし。

後は、普通のカレーのように水を加え。ワシ大好きなボ○カレーのカレールーを加えて軽く煮込めば、ワシお手製の『豚肉キャベツカレー』の完成と言う訳なのじゃよ!

どうじゃあ?簡単じゃろう?

まぁ、もっと簡単に作ろうとするならば、豚肉は薄切りの豚バラ肉の方が簡単にアッと言う間に作れるのじゃが、今回は1日歩き回って頑張った皆へのご褒美としてのう~。

この隊の隊長でもあるワシが、厚切り豚バラ肉にチェンジした訳なのじゃよ。

あっ、感謝の言葉は良いからのう~!」


との、何やらいつになく張り切った様子で、饒舌に今作っている料理の説明をしている。楽しそうな山背の声が辺りに響き。


そんな夜ご飯を作ってくれている山背の近くでは、半神族のリーフ達や各ギルドのリーダー達が集まり。真剣な様子で明日の予定を話し合っており。

他のメンバー達もまた、各々に武器の手入れや酷使した体のケア、今日使用した持ち物の残りの確認作業等をしていた。


「ハァ~~~……………それにしても、この時期の探索は本当にキツいスッすねぇ~。

こお~、何とも言えないジメっとした蒸し暑さと共に、山の頂上付近では寒さを感じますし。

今回はポスギが生息している山の中腹を基本的に探してますけど。今回俺、山の中を探索中、身体中のいたる所から汗がじんわりと流れ落ちてきて大変だったスッもん!」


「本当本当!まじこの時期の山ん中は草木が生い茂り。何とも言えない蒸し暑さでツラいよなぁ~。

……………俺もさっき路沙莉さんからクリーン魔法をかけてもらうまでは、全身汗だくで辛かったよ。」


「本当だよなぁ。この時期の暑さと言うか、愛満が教えてくれた『梅雨』の時期の暑さは、何とも言えないキツさだもんな!

それにしてもさぁ、今回は山背やリーフさん達が居てくれるから、テントの回りやここ一帯をチャチャッとホールドで守ってくれて

それに加え。愛満が持たせてくれた小型冷風機や広々したテント何かが有るから、本当すごしやすくて最高だよなぁ!」


テキパキと手は動かしつつも、実に和やかな雰囲気のなか、楽しそうに世間話を交えつつ。

いつもは気の抜けない野宿になるところ。自称出来る男の山背や、半神族のリーフ達が施してくれた魔法に感謝の言葉を述べ。

山背お手製の『豚肉キャベツカレー』なる食べ物が完成するのを待っていた。


すると今回の参加者チームのなかでは、比較的年若いメンバーが集まる。中堅所になる『砂漠に咲く華』チームのギルドメンバーの元へ。

長年冒険者業を生業にしている者が多い。『フィアの丘』のギルドメンバーの1人。坊主頭がトレードマークのマウロがやって来て


「よっ、お疲れ様!お前達、クリーン魔法やってもらったか?」


朝から続いた探索で、泥や汗で汚れた体や衣服をクリーン魔法で綺麗にしてもらったのかと聞いてくる。


そんな『砂漠に咲く華』のギルドメンバーとも顔馴染みにもなるマウロからの問いに、ギルドの中でも一番年若い弟キャラになるトミが


「あっ、お疲れ様スッ!

はい、さっき路沙莉さんに皆まとめてやってもらったスッよ!」


「おっ、そうか。なら良いんだが…………………。」


「えっ?何かあったスッか?」


「イヤなぁ~~~。俺もさっきまで山背の晩飯作りの手伝いをしてて、軽く山背から教えてもらたんだけどさぁ。

山背曰く。身体中に汗をかいたと言うわけは、勿論の事、靴の中と言うか、靴下の中の足も汗をかいていると言う訳だろう。

で、汗をかいた体だけではなく。靴の中の足と共に、靴もクリーン魔法をかけて清潔に保っていなくては、……

ここだけの話。あの『かゆかゆ病』事、山背や愛満達が言う『水虫』にかかってしまう事になるらしいそうなんだよ。」


後半の方は、少し離れた所に設置した女性陣が居るテントの方を気にしながら、小声で話すマウロが教えてくれ。


マウロが話す。冒険者や騎士を生業にする者達には馴染み深い。

その筋の者達には魔の病気とも言われている。『かゆかゆ病』事、『水虫』にならない為。

足は勿論の事。明日も使用する予定の靴にも念入りにクリーン魔法をかける事を、『水虫』を酷く嫌う女性陣に配慮して、彼女達に聞こえないように小声でオススメしたのだが、そんなマウロの話にひどく驚いた様子のトミー達はついつい


「えっ!?水虫ですか?」


「あの『かゆかゆ病』になるんですか!?」


「いやッス!絶対にいやッス!

あの『かゆかゆ病』だけには絶対なりたくないスッ!

俺、姉ちゃんの旦那さんが『かゆかゆ病』にかかってて!

それがいつの間にか姉ちゃんにも降りかかったみたいで、そりゃあ~大変な!本当に大変な騒動になった記憶が今だに鮮明に残ってますもん!」


「うんうん!!水虫にだけには絶対になりたくないよなぁ!

俺も有り難い事に水虫になった事はないけど、水虫にかかった奴を見た事はあって…………………。

いつもは冷静沈着なアイツが、あんな地獄のような痒みと痛みに苦しんでいて、……………本当、見てられなかったから……………。」


「あぁ、あの時のアイツかぁ…………………。」


「本当スッね。あの時のアレは、本当に可哀想と言う他なかったスッから……………。」


知らず知らずに大声になる中、『水虫』になる事を嫌がり。

何やら真剣な表情で明日の予定を話し込んでいる。自身達のリーダー。『砂漠に咲く華』のリーダーの方をチラチラ見つめ。悲しそうに呟く。


そんなトミー達の表情から何かを察した様子のマウロもまた、ギルド『砂漠に咲く華』リーダーへと心の中で静かにエールを送りつつ。何やら思い出した様子で


「あっ、それになぁ。さっき山背が言ってたが、『水虫』の()と同じ靴や靴下を使用したり。

水虫の()が素足で歩いた場所を同じ素足で歩いてたりするだけで、『水虫』って言う奴は移るらしいんだよ。知ってたか?」


「「「えっ!!!!!」」」


「ま、まじッスか!?」


「うん。山背がさっき教えてくれたには、どうやらそうみたいなんだよな。」


「ええ~~~ぇ!!!!!」


不本意ながら、何故か『水虫』の話で盛り上がってしまっている中。

現在トミー達の中で、魔獣『ポスギ』より話題をかさらっている。一仕事終えた感、満載の山背がトコトコやって来て


「お~い!ワシ特製の『豚肉キャベツカレー』完成したぞ!

リーフ達はまだ明日の予定を話し込んでいるみたいじゃが、さっきに食べんかのう~?

ワシ、もう腹が減ってペコペコじゃぞ!

って、さっきから何 大声で何を騒いでおるのじゃ?」


山背曰く、同じ坊主仲間になるマウロ達へと声をかけた所。


「あっ、山背!ちょうど良い所にやって来てくれた。

悪いんだけど、さっき俺に話してくれた『水虫』の事、トミー達にも教えてやってくれないか?」


「なんじゃあ?飯の前に『水虫』の話かのう~!?

………………ハァ~~~、まぁ、しょうがない。マウロからの願いとも言う事も有る訳じゃし。

リーフ達の話し合いも、もう少しかかりそうみたいじゃから教えてやるかのう。

…………ハァ~~~、そうじゃのう~。まず『水虫』とはのう。

カビの一種でもある『白癬菌(はくせんきん)』が足に感染する事で起こる病気なのじゃよ。

それに『水虫』の忌々しい所は、なかなか我慢のしずらい痒みに加え。皮膚が次第にむけてくる事も特徴でのう~。

あまりに酷い時には血も出て、激しい痒みと共に痛みを伴い。気長に治療する必要がある病気の一つなのじゃよ。」


山背自身、愛満から教えてもらった『水虫』の事を説明し始め。


「でじゃあ!『水虫』の手当ての何個かに、青梅をすりおろして弱火で煮込み。黒い水飴状に加工した『梅肉エキス』を始め。

殺菌効果の高い酢を火傷しない程度に温め。倍量のお湯で埋めた『酢の足湯』

数枚のドクダミの葉をすりつぶして作る『ドクダミの青汁』何かが効果があるとされてのう~。

後で詳しく説明してやるんじゃが、……まぁ、さっきも話した通り。『水虫』の治療には根気が必要でのう。

さっき話した三種類の治療方と言うか、水虫の手当てのどれも、軽く1ヶ月は続ける必要があるのじゃよ。」


と話して、これから晩飯前にも関わらず。ますます『水虫』の話で盛り上がる事になってしまい。


その後、魔獣『ポスギ』を安全に退治すると共に

『フィアの丘』や『砂漠に咲く華』の冒険者達は、魔の病気の一つ。『水虫』にもならないように十分に気を使いながら、無事魔獣『ポスギ』を発見、退治し。

冒頭のように町の人達から溢れんばかりの歓声を浴びつつ。自分の命をかけてでも守る価値の有る。大好きな朝倉町へと帰って来たのであった。




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