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『鏡餅』と、お正月に鏡餅を飾るのはどうして?




「愛満、愛満。忙しい所悪いのでござるが、この箱の中の鏡餅、全て包装し終えたでござるよ。

こちらの箱の中の鏡餅や丸餅も包装しても大丈夫でござるか?」


「えっ、5箱分も有った鏡餅、もう包装し終えてくれたの?

愛之助ありがとう。本当に助かるよ。

今年はいろいろあって、ちょっと鏡餅やお正月用の丸餅作り遅れちゃってたから………まぁ、僕の計画のなさが招いた結果なんだけど、……エヘヘヘ

じゃあ、沢山お手伝いしてもらって悪いんだけど、そっちの箱の中のお餅達も包装してもらって大丈夫だから、愛之助隊員、包装お願いします!」


「はい、愛満隊長。拙者、任されたでござるよ!」


光貴達チビッ子組が楽しみにしていたクリスマスパーティーを終え。

すっかり師走と言うか、お正月モードに切り替わっている雰囲気の朝倉町の万次郎茶屋では、何やら正月には欠かせない『鏡餅』や正月用『丸餅』等の言葉が聞こえてきていた。



その日万次郎茶屋では、最近自宅台所を増築して(ソコは勿論!愛満の(チート)を使って)茶屋専用の調理場を造り上げていた愛満が、すっかり使い勝手良く。

広々した調理場で、新たに手に入れた業務用の大きな蒸し器を使い。白い湯気をシュンシュン上げながら餅米を蒸し上げており。

そんな蒸し上がった餅米を使って、これも新たに手に入れた業務用の餅つき機で大量のお餅をついたり。

額に汗をにじませながら、せっせと異世界に住む朝倉町の皆の為にと、今ではすっかり異世界の朝倉町に根付いた。

お正月には欠かせない『鏡餅』や、お正月用の『丸餅』を大量に作っていて。


まぁ、スーパー等で手軽にお餅が買える日本と違い。

異世界の朝倉町では、万次郎茶屋でしか『鏡餅』や『丸餅』が売っていなく。

結果、愛満が営む万次郎茶屋一軒で朝倉町や朝倉町を訪れる観光客用のお餅を賄わなくてはならず。

年々、朝倉町に住む町民や観光客達が嬉しい事に増えてきており。

朝倉町を納める立場の愛満としては嬉しいのは嬉しいのだが、お正月用の『鏡餅』や『丸餅』を作る(売る)立場としては、餅を何個作れば良いのかと、ここ最近頭を悩ませ。

去年も後半少しお餅が足りるかとヒヤヒヤしたのだが、愛満1人の手作業(自身の(チート)をフルに使っての餅作り作業)での正月用餅作り作業では、今年は明らかに餅が足りなくなりそうなのは目に見えていて…………。


そもそもアチラ(日本)では、腹持ちが良い食べ物(お餅)と言われているものの。

何しろコチラ(異世界)の人達は大食いな人が多く。

種族がら誤差もあるのだが、一般の人でもペロリと1回で丸餅5~7個は余裕で食べ。

肉体労働が主な冒険者の者達にもなると1回で丸餅10~15個は平気で食べれてしまい。その上、他の正月料理をバクバク食べれる胃袋の強さを持っているのだ。


その為、色々と考え込んだ愛満は最近頑張った自分自身へのご褒美(クリスマスプレゼント)だと考え。

前倒しで万次郎茶屋用の新たな調理場を設け。他にも色々と業務用の調理器具等を自身の(チート)を使い。

アチラ(日本)で、自身の趣味でもあった和菓子作りの勉強を兼ね。よく和菓子を買いに行っていた。隣街に在る和菓子屋さんへとお邪魔させてもらい。

更にはその店の調理場に立ち入らせてもらって、菓子用の調理器具等々を色々とコピーしていき。

新たに設けた万次郎茶屋の調理場へと使いやすいようバランス良く設置。

今日こうして、お正月には欠かせない『鏡餅』や『丸餅』を作り上げていた。


そして兄思いの心優しい愛之助も忙しそうに働く愛満の姿を目にして、愛満が自身の(チート)をフルに使い。

包装できるまで完成させた『鏡餅』や『丸餅』の袋詰め作業をお手伝いしていたのであった。



◇◇◇◇◇



「愛満~。拙者、素朴な疑問になるのでござるが、そもそもどうしてお正月に鏡餅を家の中に飾るでござるか?

それにどうして鏡餅は丸い形をしているのでござるか?

後、何やらいろんな物を使って鏡餅を可愛らしく飾り付けているでござるが、何故でござろう?

……………思い思いに好きに鏡餅を飾り付けて良いのでござるならば、今年は拙者が可愛らしくマ○メロちゃん使用に飾り付けてみたいでござるよ♪」


今現在、袋詰め出来る『丸餅』や『鏡餅』を袋詰め作業を終えた愛之助は、少々暇をもて余したご様子で、最後の方は何やら閃いたみたいに。

愛満が(チート)を使い一気に丸め。乾燥作業まで終えた大量の『丸餅』や『鏡餅』が出来上がるのをボーッと見詰め。

まだまだ忙しそうに働く愛満へと矢継ぎ早に質問をして話し掛ける。


「アレ?……………そっか、鏡餅や丸餅の事、愛之助に話した事なかったもんね。

しかしマ○メロちゃん使用の鏡餅かぁ………………………。」


目や手は餅作りに集中しつつも、愛之助からの質問に嫌な顔ひとつせずに問い掛けに答えてくれる愛満が


「あのね。そもそもお正月に鏡餅を家の中と言うか、床の間やリビングに飾る理由はね。

そもそも僕の故郷でもある日本では、お米の国とも言われていてね。日本にとっては稲の神様は大切な存在になり。

そんなお米(餅米)が原料の『鏡餅』は、お正月の間の年神様の御神体になるんだ。」


日本のお正月に床の間やリビングに飾る『鏡餅』がお正月の間の年神様の御神体になるのだと話。


「それに平らで丸い形の鏡餅は、日本に代々伝わる『三種の神器(じんき)』の一つ。『八たの鏡(やたのかがみ)』に似ている事からその名がついたとも言われているんだ。

また人間の心臓を形どったとも言われていてね。

神様の依代となる鏡餅は御神体にふさわしく飾り付けられていて、鏡餅の下に飾り付けられた『四手(しで)』と言う白い紙で作られた物は、四方に繁栄するようにや。

白には清浄、紅白の『四手』の場合には魔除けの意味があるんだよ。」


簡単にではあるが、暇をもて余した様子の愛之助の為。今度は鏡餅の飾り物の意味等を説明し始めてくれ。


「他にも裏白(うらじろ)と呼ばれる葉っぱみたいなのは、古い葉と新しい葉が一緒に生える事から家族繁栄を願い。

裏側が白く、清潔潔白を表して白い方を表に飾るんだ。

で、鏡餅の飾り物の意味を続けるならば、もう一種類の『譲葉(ゆずりは)』と言う『裏白』の上に飾り付ける葉は、親子草とも呼ばれていてね。

新しい葉が大きくなってから古い葉が落ちる事から、子孫が続くようにとも意味が込められているんだよ。

それに鏡餅の間に飾り付ける『昆布』は『子生』とも書いてね。

子孫繁栄の願いが込められていて、また『よろこぶ』との語呂合わせの意味もあるそうなんだ。

そして鏡餅の一番上に飾り付けられている『(だいだい)』には、一度実がなると木から落ちずに繰り返し育つ事から、家が代々栄えるようにとの意味があるんだよ…………………っと、よし出来た!」


愛満が新たに完成したばかりの丸餅の袋詰めを愛之助に頼みつつ。


「へぇ~~~、知らなかったでござるよ!鏡餅や鏡餅の飾り物達には、そんな意味があったのでござるね。

でで?他にも鏡餅やお餅関係の話はないでござるか?」


手はしっかりと丸餅の袋詰め作業をしつつも、愛満が教えてくれた鏡餅の話に興味津々な様子で頷く愛之助は、他にも『お餅』関連の話がないかと聞き。


そんな愛之助の姿に『仕方がないなぁ~』と笑みを溢した愛満は、少し考え込んだ様子で何やら思い出し。

新たにつき上がったお餅を使い『丸餅』を作る為。自身の(チート)を使って大量の丸餅を丸めながら話し始め。


「えっーと、……あっ、じゃあ。うちの(異世界)(朝倉町)では『丸餅』だけになるんだけど、日本では正月用のお餅に『丸餅』や『角餅(かくもち)』が有るんだけどね。

もともと丸い鏡が神事に使われる神聖な物と言われていて、(プラス)昔から縁起が良いと言われる『満月』が丸な事もあってさぁ。

更に言えば、昔 丸は魂を表す形でもあって

そんな丸い形をモチーフにした丸餅を年の初めに食べれば、不思議なパワーと言うか、力が得られると昔の人達は考えてたみたいなんだ。

だからお正月と言えば、正月に供えたり食べたりするお餅は『丸餅』が元祖(ルーツ)になってね。」


お正月のお餅の形が丸餅になった訳を教えてくれ。


「けどそれが後々、大勢の人々で栄える江戸では、丸餅が大量に消費される事から大変になっていったみたいで

ほら、丸餅作りは少し手間隙がかかるし、人手も居るでしょう。

だから昔の人が色々と頭を悩ませ試行錯誤の結果。

のし餅って言うか、台の上にお餅を広げて、どんどん切り分けるだけで簡単に作れる『角餅』がある日誕生してね。

そんなに人手も要らずに簡単に沢山のお餅が作れる事から、いつしか角餅の作り方が関東方面に広まっていって、『関西は丸餅、関東は角餅』ていうふうになっていったらしいんだ。

あっ、けど関西の人でも角餅を好んでお正月に使う人も居るし。逆に関東の人でも丸餅を好んで食べる人も居るんだよ。

けど、良く良く考えたら中身は全く同じお餅なのに形一つで見た目や雰囲気も変わるんだから不思議だよねぇ~!」


お正月用のお餅に『丸餅』や『角餅』の種類が有る訳を教えてくれ。


最後に今日一番の大仕事になる。愛之助も驚いた。

朝倉神社へと納める。軽く愛満が隠れてしまうような、巨大な鏡餅を作り上げたのであった。







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