『フレンチカステラ』と待ち遠しいクリスマス
「ジングルベール♪ジングルベール♪鈴が鳴る~~♪今日は楽しいクリスマス!イェーイ!!」
「くりちゅまちゅ!イェーイ!!」
「イェーイへけっ!!」
「イェーイでござるよ♪」
その日愛満宅では、朝早い時間帯ながらノリノリの様子で午前中の学習時間を早々に終えたタリサ達が、少々元気がよすぎる程の大きな声でクリスマスソングを歌い。
テンション高めと言うか、愛満宅の居間に飾り付けられた巨大なクリスマスツリーを前に。クリスマスツリーの下に山のように積み重ねられたクリスマスプレゼントを嬉しそうに見つめ。歌い、踊り狂っていた。
◇◇◇◇◇
「♪♪~~~♪~♪~~~♪♪♪~~~♪~♪~~♪♪~~~♪♪~~~♪~♪」
「キャハハハ~~♪」
「アハハハ~~~♪」
「へけけけけっ~~~~♪」
何やら美声を響かせる愛之助の歌声と共に。そんな愛之助の歌に合わせて、タリサ達3人が狂ったように踊り、笑い転げるなか。
「はぁ~~~、ちょっと疲れちゃった。休憩休憩!」
あの後、何度か茶屋からやって来た山背から『うるさいのじゃ!』との注意をもらいつつ。
心行くまで歌い・踊り狂った様子のタリサが、かなり疲れな様子でその場に倒れ込み。
「へけっへけっ。僕もちょっと疲れちゃったへけっ。ちょっと一休みへけっね。」
「マヤラもちゅかれちゃった!きゅうけい、きゅうけい!」
タリサに続くように額に汗をにじませた光貴やマヤラ達も一休みや休憩、休憩と口々に言って、その場に座り込んでしまい。
そんなチビッ子3人組の姿に、去年サンタさんからクリスマスプレゼントに貰った。マイメロちゃん使用の玩具のマイクを片手にクリスマスソングを気持ち良く歌っていた愛之助が
「そうでござるね。拙者も少し歌い疲れたでござるから、ココは皆で一休みするでござるか。
………………あっ!一休みするでござるならば、一休みタイムには付き物の。甘くて美味しい和菓子や飲み物を愛満に貰って来ようでござろうか?」
この後4人で仲良く一休みタイムをとなるならばと、何やら閃いたとばかりに話。
茶屋で働いている愛満の元へ、ちょっとしたオヤツでも貰って来ようかと提案した所。
つい今しがたまでグタ~~っと倒れ混んでいたり、座り込んでいた筈のタリサ達3人が嬉しそうにピョンと軽やかに姿勢を正し。何故か両腕を上げて愛之助の提案に大きく頷き。
「良いねぇ~~~♪愛満も良く、疲れた時には甘い物だと言ってたもんねぇ!!」
「それはナイスアイデアへけっよ!」
「ならマヤラ、カチュテラたべたい!」
「へけっ?カステラへけっか?」
「うん、カチュテラ!!」
「カステラかぁ~、良いねぇ!僕もカステラ食べたい♪
あっ、そうだ!どうせカステラ食べるなら、この前愛満が作ってくれた『フレンチカステラ』が食べたいなぁ~♪
あれ、スゴく美味しかったんだよね。
こぉ~何とも言えないカリッふな食感でいて、口の中で卵の風味と共にカステラ独特の美味しさが広がるんだよねぇ~♪
僕あんまりにも美味しかったからあの後、家でお父さん達にフレンチトーストならぬ『フレンチカステラ』の作り方を教えて上げてね。皆でフレンチカステラ食べたんだ♪
うんうん。今 思い出しただけで、また食べたくなっちゃったや♪
ねぇ、マヤラも光貴もどうせカステラ食べるなら、今日は少し肌寒いし。温かな『フレンチカステラ』の方を食べたくない?」
愛之助が口を挟む間もなく。この後のオヤツがいつの間にやら『カステラ』に決まり。
タリサがマヤラ達へと『フレンチカステラ』なる甘味を食べようと謎掛をするなか。
そんなタリサの話に釣られたマヤラや光貴達も
「うん!マヤラもフレンチカチュテラたべたい!」
「そうへけっね!この前食べた『フレンチカステラ』、本当に美味しかったへけっよね。
それに見た目も可愛らしく粉砂糖でお化粧していてへけっ。」
「そうそう!こぉ~、表面がカリッと香ばしく焼かれた。実に美味しそうな焼き色がついたフレンチカステラの上に、白い粉雪の用な粉砂糖が降ってあってさぁ~。
どちらかと言うとシンプルでいて、素朴な見た目だったけど、ついついフォークを動かしちゃうような優しい味わいの美味しさなんだよね。」
「うんうん、解るへけっ。
あっ、ならへけっね。この後食べるオヤツが『フレンチカステラ』になるとしてへけっ。飲み物は何にするへけっか?」
「うーん、何にしょうか?マヤラ、何が飲みたい?」
「うーん、しょうじゃね。………………あっ!にゃらマヤラ、メープルシロップいりのあまいホットミルクがのみたい!」
良く良く考えれば、マヤラが飲み食いしたい物にオヤツが決まる中。
最後には『僕達、精も根も尽き果てて疲れ果てちゃったから…………』としおらしく話すタリサ達3人は、その場に残ると言って、心優しき愛之助が1人寂しく4人分のオヤツを貰い?作り?に行ってくれる事になり。
タリサ達3人は、またグテッ~とした楽な体制に戻り。少々だらしない格好ながら、心優しき愛之助を見送った。
◇◇◇◇◇
そうして心優しき愛之助を見送ったタリサ達3人は、またフカフカのカーペットの上に寝転がり。
心行くまでゴロゴロした後、疲れ果てていると言っていたのに何とやら。
何やらゴソゴソ、モゾモゾとクリスマスツリーの周りに無言で集まると、実にうっとりとした表情でクリスマスツリーやクリスマスプレゼントを見つめ始め。
「本当に待ち遠しいや!あ~ぁ、早くクリスマスの日にならないかなぁ~~~♪」
「本当へけっ!早くクリスマスの朝にならないへけっかなぁ。そしたらクリスマスプレゼントを開けれるへけっもんね!」
「うんうん!ほんとうにはやくクリチュマチュのあさにならないかな。マヤラもクリチュマチュちゅごくたのしみだよ♪」
「本当本当!」
色とりどりの可愛らしいラッピング用紙に包まれた自分達用のクリスマスプレゼントを前に。
25日のクリスマスの朝に自分達がクリスマスプレゼントを開閉している風景を思い浮かべて、ついつい笑みが溢れてしまうなか。
何やら思い出した様子の光貴が嬉しそうに
「あっ、タリサ達聞いたへけっか?
僕達が手作りした…………と言うへけっか、忙しいサンタさんのお手伝いで作ったプルディ達へのマフラーや手袋、靴下なんかのクリスマスプレゼントへけっね。
ギルド長の琴柏谷おじいちゃんが、隣街に住む冒険者のテネト兄ちゃんにお願いしてくれてへけっ。明日のお昼にはプルディ達が住む孤児院に届くらしいへけっよ。
それでお願いした通り、ちゃーんとテネト兄ちゃんが神父さんやシスター達にクリスマスプレゼントの事説明してくれてへけっ。25日の朝にプルディ達の枕元に届くらしいへけっよ。
プルディ達、喜んでくれた良いへけっね。」
3人で力を合わせて作った。隣街の孤児院に住む皆へのサンタさんからのクリスマスプレゼントになるマフラーや手袋、靴下に加え。
愛之助がサンタさんのお手伝いとしょうして頑張った。マ○メロちゃんが大なり小なり刺繍されたカーディガンとセーターのセット
更に愛満もサンタさんのお手伝いとしょうしてプルディ達用に準備した。新年用の真新しい下着や上下の洋服セット
美樹&黛藍達からもサンタさんのお手伝いとしょうして準備してくれた。頑丈な作りの斜めかけバック
山背からのサンタさんのお手伝いとしょうして用意してくれた。山背大好きな持ち運び便利な将棋セットに+して、山背お手製の将棋の遊び方ブック
他にもタリサ達が万次郎茶屋でせっせとマフラーや手袋を編み機で作っているのを見ていた。
朝倉学園で普段教鞭をとっているリーフ達からも朝倉学園に入学する生徒達に無料で配付されている。
『ノート』や『鉛筆』、『鉛筆削り』、『消しゴム』、『色鉛筆』等々の筆記用具がセットになった勉強道具セットを是非プルディ達のクリスマスプレゼントに加えてほしいと頼まれ。
少々……………いや、かなり。当初のタリサ達の計画より巨大になってしまったクリスマスプレゼントを、とある出会いから友達になった。隣街の孤児院に住むプルディ達へと無事届く事を伝え。
【ちなみにココで小話を挟ませてもらうと
隣街に住むプルディ達へとクリスマスプレゼントとして贈られた品々は、朝倉町に住む孤児院や貧しい家庭の子供達の元へも毎年、謎のサンタさんより届けられており。
何やら赤い服に身を包んだ。少々不自然な白髭が生えた?……………着けた?だいぶ小柄な……(背の小さな)サンタクロースと共に
背中の膨らみと言うか、甲羅みたいな物が見える。二足歩行の謎の生き物。自称・ベリーキュートなトナカイの2人組がソリらしき乗り物に乗り。
耳をすませばかすかに聞こえてくる。楽しげな鈴の音を奏でながら、12月25日の深夜に子供達の枕元にソッとクリスマスプレゼントを届けているらしい。】
光貴同様、タリサやマヤラ達が飛び上がるほど喜ぶ中。光貴が話を続け。
「それにへけっね。今年もこのクリスマスプレゼントの中にタリサやマヤラ達のクリスマスプレゼントも有るへけっよ。
うーん、しかしどれになるへけっかねぇ!
毎年当日の朝にならなければ、どの箱や袋が誰のクリスマスプレゼントか解らないへけっから、なかなかプレゼントの中身を予想出来ないへけっよ。
うーん、当日の朝にクリスマスプレゼントが解る楽しみをとっておきたい反面。早くプレゼントの中身を知りたいとの欲望が刺激して、この時期は毎年頭を悩まさせるへけっよねぇ~。
うんうん、困ちゃうへけっ!!」
目の前に積み重ねられたプレゼントの箱や袋の中にタリサやマヤラのクリスマスプレゼントが有る事を伝えると
「へっ!!!それ本当なの光貴??
で、でも、……………だって家の家でもクリスマスツリー出してあるし!その下に僕とマヤラ用のクリスマスプレゼントが沢山置いてあるんだよ!
だからこのクリスマスプレゼントは全部、光貴や愛之助達のクリスマスプレゼントになるんじゃないの!?」
「ちょうちょう!ぼくとにいたんようのクリチュマチュプレゼントは、おうちにおいてあるよ!」
何やらひどく戸惑い。光貴に悪そうに眉を八の字にしたタリサ達2人は、何故か愛満達が用意してくれた自分達用のクリスマスプレゼントに遠慮した様子で話して
「それに僕達用のクリスマスプレゼントは家に沢山有るんだし。その上、愛満達からもクリスマスプレゼント貰ちゃったら不公平になちゃうよ。
……………と言っても、去年やその前の年なんかは、何にも考えずに愛満達からもクリスマスプレゼント貰ちゃったんだけど………………良く良く考えたら、あの時僕達だけ光貴より沢山クリスマスプレゼント貰ちゃって………………。
それって自分に置き換えて考えたら、…………何か胸の辺りがモヤモヤして嫌な気持ちになちゃうもん。
光貴、何にも考えてなくてゴメンね。
だから今年は、僕達は愛満達からのクリスマスプレゼント貰わない事に決めているんだ。」
「マヤラもゴメンなちゃい。」
先程までの大喜びしていた姿とは一転、実にすまなそうに光貴へと頭を下げる。
するとそんなタリサ達の様子に驚いた光貴が
「もうへけっ!タリサもマヤラも何を言ってるへけっか!僕はそんな小さな心の男じゃないへけっよ!
それにタリサ達が愛満達からのクリスマスプレゼント受け取ってくれなかったら愛満達が悲しむへけっ!
それにタリサ達は忘れているみたいへけっけど、僕も愛満達、家族以外の他の人達と言うへけっか
ギルド長の琴柏谷おじいちゃんや、ギルドで働く皆からちょっとしたクリスマスプレゼントを毎年貰ってるへけっよ。
だからへけっね。タリサ達はそんな小さな事気にせず、愛満達からのクリスマスプレゼントを受け取ったら良いへけっよ。」
最初の方は頬を膨らませながら、後半の方は2人を安心させるように笑顔を浮かべて、優しい口調で話終え。
今だ八の字眉の困り顔の2人を励ますよう。クリスマスツリー前に肩を並べて3人仲良く座り。何とも言えない雰囲気に包まれていると……………。
そこにタイミング良くタリサ達希望の『フレンチカステラ』とメープルシロップ入りの『ホットミルク』を持って戻って来た愛之助が
「うんうん、そうでござるよ!
それにでござるね。クリスマスの朝、クリスマスプレゼントを嬉しそうに開ける光貴やタリサ、マヤラ達の姿が愛満達への一番のクリスマスプレゼントになるでござるよ!
ほらほら、それよりタリサ達希望の『フレンチカステラ』や『ホットミルク』をオヤツに作ってきたでござるから、温かいうちに皆で食べようでござるよ。」
出来立てホカホカの『フレンチカステラ』や『ホットミルク』を見せて、微妙な雰囲気を醸し出していたタリサ達へと明るく声をかけ。
昔、愛之助が提案して取り入れられた。ケンカや仲違いした際、必ずする仲直りのバグをした光貴達3人の顔に笑みが戻り。
4人は仲良く、出来立てホカホカの『フレンチカステラ』や『ホットミルク』に舌鼓を打つのであった。




