和菓子『サンタクロース』&『サンタ袋』とクリスマス合戦と予定外の役職
「あっ、居た居た!エリアナ店長、クリスマスプレゼント用のラッピング袋やリボンの在庫が後少しなんですけど
オーナー、今度いつラッピング関係の補充をしに来てくれると言ってましたか?」
何やら赤いサンタクロースの帽子を頭に被った女性が、商品が売れ空間の空いた棚へと可愛らしい兎のぬいぐるみをせっせと補充していた。このお店の店長なる人物、エリアナへと声をかけ。
「あれ?つい4日前にオーナーが山ほどのクリスマスプレゼント用のラッピング関係補充してくれたのに、もう残り少なくなちゃったんだ。
ごめんごめん、私の発注が甘かったわ。
うん、解った。ここの棚の兎のぬいぐるみを補充し終わったら昼休憩とるつもりだったから、お昼ご飯を食べるついでにオーナーの店にラッピング素材貰って来るわね。」
「あっ、本当ですか!ハァ~~、良かった~!
実は普段使っているラッピング関係の包装用紙なら、まだ在庫があって全然大丈夫なんですけど、クリスマス用のラッピング用紙だけが本当に残り少なくって……………。
けど、お客さん達みんなクリスマス用のラッピングを頼まれますし。
たまに1人のお客さんで30個から50個になる大量のクリスマス用のラッピングを頼まれるお客さんもいて
あっ!包装部門の私としてはラッピング作業も大好きですし。全然苦じゃないんですけど、クリスマス用のラッピングを頼まれるのたびに、ちょっとヒヤヒヤしてたんですよ。アハハハ~~~♪」
毎日楽しそうにニコニコと笑みを浮かべて働く栗鼠族のシナットが、いつものようにざっくばらんな様子で明るく話。
ピーンポーンパーンポーン♪
『従業員のお呼び出しをしま~す。サービスカウンターのシナットさん。サービスカウンターまでお戻り下さ~い。』
とのシナットを呼び戻す放送が聞こえてくるなか
「あっ、ヤバい!サービスカウンター、ヘンミー1人に任せてきたんだった。早く戻らなきゃ!
あっ!じゃあ、エリアナ店長。クリスマス用のラッピング用品お願いしときますね!」
大慌てな様子のシナットがサービスカウンターへと戻るのを見送りつつ。
「あっ、シナット。そんなに急いで早歩きと言うか、小走りに歩いてたら、この前みたいに転けちゃうわよ!気をつけて!
…………………あ~ぁ、ほら言わんこっちゃない。」
少々おちょこちょいになるシナットが自分の持ち場のサービスカウンターへと急いで戻るため。早歩きと言うか、小走りで歩き。
エリアナが覚えているだけで今月5回目になる。自分の足に躓き、転け。素早く立ち上がり。
照れくさそうに照れ笑いを浮かべて、エリアナの視界から消える中。
何とも言えないタメ息をついたエリアナはシナットの体を心配しつつ。また商品の補充を再開して
「うーーん、やっぱり年々クリスマスの行事が近隣の街や村にも広がってきている影響か、去年よりもクリスマスプレゼント用のラッピング用品の減りが早いわね。
それにうちの店では基本、オーナーの考えから見た目も美しいカラフルなラッピング用品なる高価な紙で品物を包装するのを無料でやってる訳だし。
お客さん達もみんな喜んでくれている中。来年のクリスマスシーズンには、もっと多目にラッピング用品頼んで、お客さんを始め従業員の皆に迷惑かけないように気を付けなきゃいけないわねぇ。
うん!忘れないように覚えておかなきゃ!」
独り言を呟きながら、ある店の店長になるエリアナは、自身のお昼休みを兼ねた時間を利用して、今お店で1番欠かしてはいけないクリスマスプレゼント用のラッピング素材をオーナーが営むお店へと取りに行くのであった。
◇◇◇◇◇
「はい、12月限定和菓子の生菓子『サンタクロース』とエリアナの好きな『お抹茶』だよ。
あっ、それからエリアナが取りに来てくれたクリスマス用のラッピング袋やリボン達ね。
今度は前回よりもかなり多目に準備して、このバックの中に詰め込んであるから、悪いんだけどお店に戻る時お願いね。
それにまたラッピング素材が足りなそうだったら気軽に言ってくれて良いからね。
そしたら僕なり山背が店まで持ってくるから大丈夫だよ。
じゃあ、食べ終えた『まぐれセット』のお皿なんかは持って行っちゃうから、ゆっくりしていってね。」
エリアナが勤める店のオーナーになる。愛満が営む万次郎茶屋へとやって来たエリアナは、愛満お手製の軽食と言いながら大盛りに盛り付けられた『まぐれセット』をお昼ご飯に食べ。
食後のおやつにと、地球では有名なサンタクロースの顔をモチーフにした。12月限定の生菓子『サンタクロース』を愛満の好意で振る舞われつつ。
エリアナが働く店で使う。今がシーズン真っ只中で店では絶対に欠かせない。クリスマス用のラッピング袋やラッピング用のリボン等々を愛満にバッチリ準備してもらい。
何やらホッと安心した様子のエリアナは、まずは自身が大好きな『お抹茶』を一口飲み。満足そうに頷くと、今度は愛満が振る舞ってくれた12月限定の和菓子『サンタクロース』に舌鼓をうち。
朝倉町に数在る愛満がオーナーを勤める店の1つ。
この世界初の玩具屋さんになる『幸芽』店長のエリアナは幸せそうに頬を緩め。ここ最近の怒涛の日々の息抜きをする。
◇◇◇◇◇
ココでお時間をもらえるならば、愛満がオーナーを勤める玩具屋『幸芽』の開店までの成り立ちを説明させてもらうと。
前々から万次郎茶屋を訪れるお客さんの間で、愛満や愛之助達がタリサやマヤラ、光貴達へとプレゼントした玩具が話題になっていたそうで……………。
しかも大人だけではなく。愛満達が知らないだけで、朝倉町で暮らす子供達の間でも密かに話題になっていたそうで……………。
少しずつ朝倉町が村から町へと発展していき。各家庭で生活にも余裕が出てくると町の皆や朝倉町を訪れる観光客達から購入出来るならば、タリサ達が楽しそうに遊んでいる玩具を売って欲しいとの声がアチラコチラから聞こえてくるようになり。
朝倉町に在る図書館の絵本や愛満、愛之助達の行動や話から地球で有名なイベントの1つ。『クリスマス』がアッという間に異世界の朝倉町にも根付き。
自分達も今まで戦争の影響などで苦労させてきた子供達へと、子供達が嬉しそうに話し。密かに待ち望むクリスマスプレゼントなる物を渡したいとも相談され。
+朝倉町に住む自称暇を持て余したご老人集団や、その奥方のご婦人方々からは、何か孫や曾孫達にお小遣いを上げられるような。ちょっとした働ける場所がないかとも相談を受けていて……………。
日本の事を良く知る愛之助や美樹達と3人。何週間も頭を悩ませ考えた結果。
町の皆が希望する玩具を販売する店を朝倉町で開く事を一大決心。
また玩具屋を開くとしても地球の玩具をそのままコチラの異世界で販売する事は、些かどうかとのとも心配の声も出て…………と言うのも、そもそも2つの世界の違い過ぎる技術面な事もあり。
コチラの世界でも販売していておかしくない物を3人で意見を出し合ったのだが、3人とも結婚をした事もなく。
また本格的な子育てをした事もなく。
何を言いたいかと言うと、愛満に関しては甥っ子や姪っ子達に接する機会が度々あったとして、そこまで子供用の玩具に詳しくもなく。
子供用の玩具に触れる機会もあまりなくて、たまに甥っ子や姪っ子達への誕生日プレゼントやクリスマスプレゼントに玩具屋を訪れるだけで、子供用の玩具への知識も乏しく。
美樹に至っては、アチラに居たさい周りに小さな子供が在らず。そもそもふれあう機会がなく。
数居る職場の先輩達に子供が居たとしても何かの用事に先輩が子供を職場に連れて来てチラッと顔を会わせる程度で………………。
また和気あいあいとしたアットホームな職場だったので、日頃から面倒見のいい先輩達の何人かが、各家庭で手作りした焼き菓子や食べ物等のおそわけと言うか、自分達も駆け出しの頃は給料も安く。そのため毎月カツカツでお金も無く。
一見、華やかに見える職業ながら内情は結構色々とキツイ反面もあって………………自分達も昔経験した。
楽しくもあり大変でいて、希望に満ちた日々頑張っている若手達へと、口では作り過ぎたからと言いつつ。あれこれと食べ物等を職場へと持って来てくれていて
そんな先輩達へのお返しにと、先輩の子供達にクリスマスプレゼント変わりに相手が貰っても気を使わない物をと考え。
スーパー等で気軽に買えるお菓子の靴?、お菓子が詰め込まれた子供用のバック?キャディーバック?みたいな。
千円代から二千円代で買える物をプレゼントするだけで、ここ何十年も玩具屋に足を踏み入れた事がなく。
美樹にとって玩具と言ったら、遥か昔に自身が遊んでいた玩具の記憶が微かにあるだけになり。
愛之助に至っては、自身大好きなマイ○ロちゃんグッズや侍&忍者グッズ、自分が興味を示した物しかイマイチ覚えておらず。
まさにナイナイ尽くしの中。異世界の朝倉町で販売する品々を3人は軽く知恵熱が出るほど頑張って意見を出し合い。アレでもない、コレでもないと提案していて…………………………。
まぁ、そこは愛満が納める朝倉町だけの町民の皆に販売するだけなら良いと言うか、簡単なのだが
【ちなみに何故朝倉町の町民なら良いかと言うと!
異世界に在る朝倉町全体と言うか、町が在る山や付近全体を愛満の不思議な力で、本人知らず知らずのうちに守っており。
愛満に負になる事等を敏感に察知して、知らず知らずのうちに勝手に色々と助ける力が働き始め。
日頃バンバンと日本製の品々が街のあちらコチラで飛び交う中。誰1人として愛満なり、朝倉町に住む街に負になる人物、出来事等が起きた事がなく。
異世界でいて少々、……………いや、かなり特殊な街になるものの。
どちらかと言うとノ~~~ンビリとした穏やかな性格でいて、争い事を嫌う者が殆どの朝倉町の町民達は、その事を気にした様子もなく。変に偉ぶったりもせず。
生活が楽になったと喜ぶだけで、変に騒いで愛満達に迷惑をかけてはいけないとも考え。
他人に迷惑をかけないよう互いに気を使いながら、楽しそうに充実した日々をおくっていたのであった。】
更に山背からの他者から見た過剰過ぎる依怙贔屓と言うか、王都の人間が見ても驚き、驚愕するような。
いくら子供の玩具とは言え。そんな物を朝倉町の者だけに販売していて、後々それが町外の者に分かり。何か騒動なり。物騒な事件にでも発展するかもしれない可能性が有るかも知れないと教えてもらい。
わざわざ遠く離れた朝倉町まで足を伸ばし。不便な場所ながら来てくれる観光客のお客さん達にも悪いとも反省。
改めていろいろ考えた結果。
まず第一に、手先が器用な自称ご老人集団を始め。
老人には少々厳しい軽度の力仕事等をまだまだ冒険者として働ける体力が有るのだが、何かしらの後遺症が残るほどの怪我等をおってしまい。冒険者業をやむなく引退せざる終えなかった。
今現在、新たな仕事を探していると言う。
ギルド長・琴柏谷の王都時代の知り合いのパーティーになるらしい。
そんな琴柏谷からの仕事先等を含め。その後の人生設計等を相談されていた。元冒険者になる一組のパーティーメンバー6人へと声をかけ。
愛満が新たに起こした木工制作会社で働いてもらう事を提案。
【簡単に説明するならば、愛満が力を使い町(元村)を造り上げたおり。知らず知らずのうちに異次元空間に収納されていたっぽい大量の木材を使い。
愛満が新たに開く玩具屋で売る木製造りの玩具等を造ってもらう予定。】
第二に、自称ご老人集団の奥方達のご婦人方達には長年子供達なり。少々元気の有り余る旦那さん達の衣服の破れや解れに加え。
こちらの異世界では、なかなか高価で気軽に買い換えられない服の手直し作業等で長年技術を上げた力を借り。
愛満が提供する布や綿、図面等を使って、様々な種類のぬいぐるみやお人形、変身セット等を作ってもらう事を提案。
第三に、加治屋を勤める父親から彫刻師や小物作りを営む叔父の凱希丸へと新たに弟子入りしなおした。凱希丸の兄の次男・仁丸達の力を借り。
アチラの世界で、今なお根強い人気が有るブリキの玩具を製作してもらう事を提案。
【ちなみに仁丸が叔父へと弟子入りしなおしたワケは、父親・喜多丸の加治屋の店を後々長男で兄の霧丸が継ぐ事が決まっており。
その事について日々兄と切磋琢磨して、幼い頃より加治業を修行していた仁丸は何の文句もないのだが、幼い弟達の乱丸、寿丸の2人も加治業に興味を示しており。
後々、兄弟で客を取り合うような。そんな悲しくもあり。無駄な争いになったりしては大変だと考えた仁丸は、後継者の居ない叔父の凱希丸のやっている仕事にも興味を持ち。
何度か両親や叔父、兄夫婦を交えて話し合った結果。
自分の事を案じた兄が少々渋るなか。母や兄嫁達の力を借り。円満に叔父の凱希丸が営む工房へと弟子入りしなおしたのであった。】
そうして何とか玩具屋で販売する商品の仕入れ先?生産先を無事確保?……………誕生させる事にトントン拍子で短期間に成功させた愛満は、勢いそのままに。
そんな玩具達を販売してくれ店で働いてくれる。
子供好きでいて、優しい性格の人達を自身の力をちょっぴり使って探し出しては、上手く雇用を結ぶ所までこぎ着け。
なかでもその中の1人で朝倉町に移住してきて以来、すっかり愛満が作る和菓子にハマった様子で、愛満とも顔馴染みと言うか、今では茶飲み友達の1人でいて万次郎茶屋の常連客にもなり。
また何やら色々と謎の過去を持つ様子の山背とも顔馴染みになるらしく。
山背曰く。エリアナが王都のギルドで依頼をこなしていた際には、よくギルドで低価格になるものの。
子供達の狩りの見守りと言うか、子守りのような世話の依頼を快く引き受けていたようで……………。
その為か朝倉町ではチビッ子達の監視役も勤める愛之助を始め。タリサやマヤラ、光貴達チビッ子3人組オススメになり。
ギルド長・琴柏谷も一番気にしていた。怪我で冒険者業を引退せざる終えなかった。6人の中の1人で、パーティーリーダーの妹になるらしい。鬼族のエリアナを玩具屋に雇い入れる事を決め。
更に加えて、エリアナの人柄等を配慮して新たにオープンする玩具屋『幸芽』の店主にならないかとエリアナに打診してみた所。
店で働くのは何の問題もないのだが、学のない自分などにお店の店主などと言う大役など恐れ多く。また到底出来るとも思えず。
愛満や町の皆に迷惑をかけられないと断られてしまったのだが、そこは愛之助やチビッ子3人組、山背達の力も借り。
話し合いに話し合いを重ねた結果。
エリアナが折れてくれ。何とか店の店主ではなく、店長ならばと了解してもらい。
愛満的には少々思う所が有るものの。愛満がオーナーを勤める玩具屋『幸芽』が朝倉町に開店。
ちなみに愛満が今回、開店・起こした店は3軒あり。他にも朝倉町に多々オーナーなり社長を勤める箇所が存在するなか。
今回のお店や会社を含めて、そのどれもが皆、社長なりオーナーになる事を辞退されていて…………。
今回もまた、美樹からは上手く話をそらされて逃げられ。
愛之助からも優しい微笑みをもらうだけで、山背等は話が聞こえないふりをされてしまい。
愛満的には不本意と言うか、こまめに働く皆の様子が気にかけられない事等が心配な心中のなか。
木工製品を扱う木工会社『実土里』、布製の玩具を制作する『紬』。
その玩具達を販売する事になる玩具屋『幸芽』が朝倉町へと仲間入りするのであった。
◇◇◇◇◇
「はぁ~~~♪これこれ、このまるで疲れはてた私の心を優しく包み込むような味わいの。愛満お手製の和菓子は、いつ食べても美味しいわねぇ♪」
愛満お手製の生菓子『サンタクロース』や、自身大好きなお抹茶を綺麗に飲む干したエリアナは幸せそうにため息をついて、しみじみと呟く。
するとそんなエリアナの元へと、先程とは種類の違うお代わりの和菓子や、お抹茶を使った『抹茶ラテ』を持ってやって来た愛満が
「はい、お代わりの餅菓子『サンタ袋』と『抹茶ラテ』だよ。
この『サンタ袋』。さっきの12月限定和菓子『サンタクロース』とは別の月限定の和菓子になってね。
サンタクロースが持っているクリスマスプレゼントが詰め込まれた袋がモチーフになっているんだ。」
嬉しそうに自分考案した12月限定の和菓子の説明をし始め。
「でね。この『サンタ袋』には何が詰め込まれているかと申しますと!
生クリームの中に大粒の苺1粒に始まり。同じく小振りながら丸々1個の蜜柑、大粒の栗1粒
スライスチョコに包まれた1/2本使ったバナナ、スライスホワイトチョコに包まれた林檎のコンポート
そして茶屋自慢の粒餡と白玉の7つの具材が求肥の皮の袋に詰め込まれているんだ♪
まぁ、けど少々と言うか、………かなり大振りだがら食べづらいとも思うんだけど、……………一度食べたお客さん達は皆美味しいって言ってくれているし。
毎日完売するくらい人気を博している一品になるからエリアナも是非食べてみてよ!」
空いているエリアナの前のテーブル席に座ると
「でさぁ~、……………その、……お店の方はどうを?
店のオーナーの僕が、なかなか店の方に顔を出せないのは本当に申し訳ない気持ちでいっぱいなんだけど………………やっぱりクリスマス前だから忙しいんでしょう?
人で足りてる?店の皆の体調面の方は大丈夫?」
何やら少し口ごもりながらモゴモゴと、そして最後の方には店の皆の事をかなり心配した様子で、玩具屋の店長を勤めるエリアナへと口早に質問する。
そんな玩具屋『幸芽』のオーナー愛満からの問いかけに
「本当に愛満はと言うか、うちのオーナーは心配性ね。そんなに心配しなくても大丈夫よ。
店のスタッフも愛満がちゃーんと私達の事を考えてくれて雇ってくれているから十分に足りているし。
愛満が考えてくれた通り。皆お休みを週1~2日もらってリフレッシュしながら働けているのよ。」
何やら嬉しそうにニコニコと笑みを浮かべたエリアナが話して
「それに幸芽で販売している玩具達も、ちゃーんと納品通りに木工会社の実土里からは、家の兄のバース兄さんが持って来てくれているし。
毎回可愛らしいぬいぐるみや人形を作ってくれている紬の会社からはメリノさんが届けてくれているのよ。
それに店に来るお客さん達にも迷惑かけないようにと徹底して、自分達で決めた時間に店内を見回りしては、こまめに売れた商品を補充したり。
お客さん達が思わず手を伸ばしてしまうような。魅力的な売り場作りを勉強して、皆で頑張っているのよ。
だから今のところ愛満が心配する事はないから安心して大丈夫よ。
ほらほら、眉間によった力を緩めて緩めて!難しい顔になっているわよ。」
日々何かと店で働く従業員達の事を心配し、気を使ってくれ。
疲れた時には甘い物だと言い。自身お手製の和菓子等を差し入れてくれたりする。オーナー愛満の優しさに感謝しつつ。
そんな愛満の不安を少しでも軽く出来るよう。自身が知る、ここ最近の玩具屋『幸芽』の店の様子や従業員達の事
また店に来る可愛らしい小さなお客さん達の事等を話して、エリアナの話にホッとした様子で笑みを浮かべる愛満とお喋りを楽しみつつ。
毎回満面の笑みを浮かべ、玩具屋『幸芽』へとやって来てくれる子供達を始め。
エリアナが生まれて初めて体験、見聞きする。
普通王都や王都等に在る大手の店などでは自分達のような者は、ただの下働きになり。
ちゃんとした身分の者と言うか、また教育を受けた者でなければ、大なり小なり嫌な思いをする事が多々有り。
そう言う話をエリアナ自身聞いていて…………。
またエリアナ自身、兄達と朝倉町に来るまでにそんな雇用主と雇われた者との間の理不尽な場面を度々目撃しており。
特に自分のような学もなくければ、ガサツや野蛮と世間で言われている鬼族でいて、元冒険者にもなる為。
最初愛満に声をかけられた際、ある程度の苦労は覚悟していたものの。
蓋を開けてみれば、何かと大変な思いをする筈の自分達の為にと、少しでも従業員の人達が働きやすいようにと考えてくれ。多岐にわたり色々と工夫をしてくれており。
「あっ、そうだ!あのね。今の時期クリスマスシーズンで皆忙しくて疲れてるでしょう。
だからさっきエリアナに食べてもらった『サンタクロース』の生菓子や餅菓子の『サンタ袋』をセットで準備したから、お店に持って帰って店の皆と食べてよ。
あっ!もちろん。エリアナの分も用意してるから、食べきれない時は持って帰るなり何なりして遠慮しないで食べてね!」
と、こんな風に気を使い過ぎるぐらいに気遣ってくれているオーナー愛満の為にも、また頑張ろうと思うエリアナなのであった。




