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「丸鶏のワカメ包み蒸し」と心の洗濯日



ザブ~~~ン、じゃばじゃば、チャンポン


♪~~~♪~♪~~♪♪~~~♪~♪~~~♪~~♪


等の水の音と共に、何やらご機嫌な様子の鼻唄の音色が壁に反響して聞こえてくるなか


「はぁ~~~~♪♪寒い冬の季節に入るお風呂は本当に気持ちが良いものでござるね、愛満。」


「そうだねぇ~♪それに最近いろいろと忙しかったから、こうして大きな湯船にゆっくり入れて幸せだよ。

うんうん!あの時『風呂屋・松乃』を無意識に造った僕を全力で誉めて上げたいよ。」


「本当へけっね!」


自宅風呂とはひと味違う。大人100人は入れそうな大きな湯船に気持ち良さそうに浸かる愛満達の姿が、その日の夜『風呂場・松乃』の男湯にあった。



◇◇◇◇◇



「はぁ~~~ぁ♪それにしてもお風呂は本当に良いでござるね。今入っている大きな湯船が魅力の大風呂も良いのでござるが、さっき入った『蜜柑風呂』も爽やかな良い香りが楽しめたでござるし。

血行促進、神経痛、美肌等に効果的で、拙者何やら体に良い事をした気分でござるよ!」


子供には熱目の45~47℃になる温泉口から少し離れ。子供の光貴でも心地好く湯船に浸かれる。ぬるめの湯の温度になる辺りで湯船に浸かっている愛之助が、何やら自分の腕をクンクン嗅ぎながら、わずかに香る蜜柑の匂いを楽しみつつ。

大風呂に入る前に入った。朝倉町生産の無農薬で育てられた蜜柑の皮を天日干して、それを布袋に入れ。

生の蜜柑と共に湯船浮かべた愛之助お気に入りの果物風呂の1つ。『蜜柑風呂』の話を何気無くした所。


そんな愛之助の話に釣られた様子の光貴が


「愛満、僕はへけっね!僕はへけっね!

『蜜柑風呂』の前に入った『蜂蜜風呂』が気持ちよかったへけっよ!

何かお風呂のお湯がほんのり甘い蜂蜜の香りがしてへけっね。まるでお花畑にいるような気がしたへけっ♪」


嬉しそうに自分が気に入った。湯に蜂蜜を溶かし入れた『蜂蜜風呂』の話をするのだが


「あぁ、『蜜柑風呂』の前に入った『蜂蜜風呂』でござるね。

うんうん、あの『蜂蜜風呂』も湯槽が可愛らしい蜂蜜瓶?壺?の形をしておって可愛らしいでござるし。

そんな蜂蜜風呂の周りの壁には美しい花畑が描かれておって、蜂蜜風呂に浸かっていながら、まるで本物の花畑に居るような。夢見心地な気持ちになるでござるもんね。

実は拙者も一瞬、蜂蜜風呂に浸かっていながら花畑に居るような気分になったでござるよ!

それに蜂蜜に含まれるビタミンB1が美肌に効くと言われておって、『蜂蜜風呂』を上がったおりには拙者、肌になんだかツヤが出た気がしたでござるよ。」


愛之助が少し…………いや、長々と『蜂蜜風呂』の事を話すだけで、光貴が一番欲しいかった愛満からは


「本当だねぇ~~~♪」


との、いつにない気の抜けた相づちを返されるだけで、愛満大好きの光貴と愛之助の2人は少々物足りなさを感じつつ。


そもそも今日、仕事終わりの美樹や黛藍を始め。愛満宅の6人で風呂屋・松乃に風呂に入りにやって来た訳は、11月下旬からの怒涛(どとう)の日々に加え。

12月頭の『甘味商店街』の開店セールの間のお手伝い。

更には自身が亭主を勤める『万次郎茶屋』のお客さん達を飽きさせないように考えられた。愛満が知る故郷(日本)での行事等と絡めた期間限定商品の提案、準備等々に、ここ最近お疲れ気味だった愛満の疲れを癒す為であり。


その事を思い出した愛之助と光貴の2人は、心地好い温かさの大風呂に気持ち良さそうに浸かっている愛満を見つめつつ。

そんな愛満の様子を嬉しそうに見て


「へけっ~♪お風呂は気持ち良いへけっよ♪」


「はぁ~~~ぁ、幸せでござるよ♪」


「…………本当だねぇ~♪」


まったりした様子で3人並んで気持ち良さそうに湯船に浸かるのであった。



◇◇◇◇◇



そうして愛満と愛之助、光貴の3人が『風呂屋・松乃』の名物の1つ。大きな湯槽が自慢の大風呂にまったりと浸かっていると


「おっ!愛満達3人は、もう大風呂の方に入ってたのか、早いな!

よし!俺も一通り風呂やサウナを満喫した事だし。次は大風呂に入る事にするか!」


何種類も沢山の種類豊富な『風呂屋・松乃』自慢の風呂やサウナを満喫してきた様子の美樹が、最後の〆とばかりに大風呂の方へとやって来て

並んで気持ち良さそうに大風呂に浸かる愛満達へと声をかけると、自身も実に気持ち良さそうにため息をつきながら


「はぁ~~~ぁ♪やっぱ大風呂も良いなぁ~…………………………ふぅ~~~、気持ち良い。

あっ、そうそう。愛満達『日本酒風呂』の隣に新たに出来た『米こうじ風呂』に入ったか?」


美樹お気に入りの日本酒をぬるめのお湯(36℃くらい)に加えた『日本酒風呂』隣に、今月から新たに登場した『米こうじ』をお湯に加えた『米こうじ風呂』に入ったかと愛満達に問いかけ。

『米こうじ風呂』に入っていない愛満達が首を横に降ると、何やら少し誇らしそうにニヤリと笑い。


「そうか~……………まだ入ってないのか。絶対1回は入るのをオススメするぜ!

あのな、俺が好きな『日本酒風呂』は少しぬるめの湯で、酒のほのかな良い匂いと共に、体の中からしんしんと温まってくる感じが好きだったんだけどな。

今回新たに登場した『米こうじ風呂』も『日本酒風呂』に負けないと言うか、日本酒風呂より酒の匂いがプーンと広がってな。

お湯も米こうじで白くにごって、少しとろっとした肌触りで気持ち良かったんだけど

風呂の中に入った布袋に入れられた米こうじを風呂の中で軽く揉むと酒の匂いがより一層広がって、酒好きの俺にはまじ最高だったんだぜ!

あの風呂は絶対オススメだよ!」


『日本酒風呂』に加え『米こうじ風呂』を熱く語り。愛満達に薦めてきて


「………………………へけっ~~~♪」


「……………………………はぁ~~~ぁ♪」


けれどすっかりお風呂の気持ち良さに気をとられ。美樹の話を軽く聞き流し。返事なり感想を求められている事に気付いていない愛満や光貴の2人は、そんな美樹の様子に気付かないまま。お風呂を堪能していて…………………。


そんな誰からも返事&感想がない事に寂しそうにしている美樹の姿に気付いた愛之助は、少々わざとらしい微笑みを浮かべながら


「……………へぇーーー!前々から血行促進や疲労回復、風邪予防、肩こり、美肌等に効能がある『日本酒風呂』も気になっていたでござるが、美樹の話を聞いていたら『米こうじ風呂』も気になってきたでござるよ!

それに確か『米こうじ』は、拙者が好きな『甘酒』の材料にもなるでござるし。今度 美樹がオススメする『米こうじ風呂』に入ってみるでござるよ。」


美樹がオススメする『米こうじ風呂』を試してみると話した所。愛之助の感想を嬉しそうに納得した様子で頷いてくれ。美樹の機嫌が見る見る間に良くなるなか。


首をキョロキョロさせて誰かを探している様子の黛藍が愛満達に気付き。大風呂の方へとやって来て


「良かったアル!愛満達、大風呂に入ってたアルね。

実はアルね。今月のヨズミさんオススメ風呂の『ワカメ風呂』に山背が入ってたらアルね。

山背が布袋に入った生のワカメを突然揉み出して、山背曰く、ワカメから出てくるドロ~っとしたエキスが肌に良さそうだと言い出してアルね。顔や肌に塗ってたアルよ。」


何やら風呂屋・松乃を利用するお客さん達の間では度胸試しと言うか、……………変わり物風呂と呼ばれている。

『風呂屋・松乃』に勤める従業員の1人。ヨズミさんなる人が今月提案した『ワカメ風呂』なる。生のワカメを茎ごと適当な大きさに切り。布袋に入れ湯船へと入れた。一応、美肌や皮膚疾患の人にオススメになるらしい。

良い言い方かをすれば海の香りと言うか、…………………ワカメの香りと言うか………………『ワカメ風呂』に少々拒否反応を示す美樹が言うには磯くさい……そんな『ワカメ風呂』に山背が楽しそうに入っていたと教えてくれ。


「えっ!山背、あのヨズミさんがオススメする今月の『ワカメ風呂』に入ってのか…………………………

いや、何と言うとか、………山背まじすげぇや!」


「ほ、本当でござるか黛藍!だって、あのヨズミさんがオススメする風呂でござるよ!」


「スゴいへけっ!山背チャレンジへけっね!」


美樹達3人が口々に驚きの声を上げて固まってしまうなか、更に黛藍が話を続け。


「そうそう、それでアルね。

そんな『ワカメ風呂』のワカメの香りと言うアルか………………海の香り?……………磯くさい?…………そんなワカメの香りを嗅いでいて、山背が突然お腹が空いたと言い出してアルね。

更には『日本酒風呂』や『米こうじ風呂』からのお酒の匂いに負け。さっさと1人でお風呂を上がって思ってアルね。

食事コーナーにお酒と、お風呂から上がったら皆で食べようとユグトさんの所のお店に予約していた『丸鶏のワカメ包み蒸し』を1人勝手に飲み食いしに行ってしまったアルよ!

どうするアルか?愛満達も山背を追いかけ。お風呂を上がって食事コーナーに移動するアルか?」


酒好きの自由人・山背の行動を教えてくれ。


「早くお風呂から上がらなくちゃ『丸鶏のワカメ包み蒸し』の美味しい部位を山背に食べ尽くされてしまうアルよ。

あ~~~ぁ、黛藍『丸鶏のワカメ包み蒸し』のもも肉(骨付き)の部位を食べるの楽しみにしてたアルのに、ちゃんと皆の事考えて山背食べているアルかなぁ?……………心配アルよ!!!」


愛満も地球に居る時に婆ちゃんから習い。『風呂屋・松乃』の3ヶ所の食事処を一手に纏め上げる総料理長・アルフ家次男のユグトへと教えた(伝授)

下処理された丸鶏の中に生のワカメを適量詰め込み。深めの皿等にのせて、更に丸鶏をワカメで包むようにのせ。

温泉街には付き物の自然蒸し器を活用して蒸し器で40分ほど蒸し上げ。白髪ネギ、三つ葉等で飾りつけをしてポン酢醤油等で食べる。

山背と言うより『丸鶏のワカメ包み蒸し』の事だけを心配した様子の黛藍が話し。


そんな黛藍の話に『丸鶏のワカメ包み蒸し』が好きな愛之助達も


「えっ!本当でござるか!?それは一大事でござるよ!!」


「えっ~~~嘘へけっ!僕も『丸鶏のワカメ包み蒸し』食べるの楽しみにしてたへけっなのに!山背ズルいへけっ!」


「ま、まじかよ!クソ~~~!俺も風呂上がりに『丸鶏のワカメ包み蒸し』をツマミに酒を呑むを楽しみにしてたのに!

あれ、本当に旨いんだよなぁ。こぉ~、何て言っていいか分からないんだけど、ワカメの香りが蒸されているうちに鶏肉に移り。

それをサッパリした味わいのポン酢醤油で食べるから気が付いたらバクバク食ちゃってるんだよな!」


「そうそう、鶏肉もまた格別でござるが丸鶏と一緒に蒸したワカメも美味しいのでござるよねぇ~♪」


「僕、鶏肉もワカメも大好きへけっ!」


最後の方は何やら『丸鶏のワカメ包み蒸し』の美味しさを語り合うなか。

愛満達を探すため湯冷めてしまっている黛藍が風邪を引かないようにとの愛満の提案から、その後少しだけお風呂で温まり。


愛満を除き。黛藍達4人は自由人・山背が1人飲み食いしている食事コーナーへと大急ぎで移動して、タッチの差でテーブルの上に届いた『丸鶏のワカメ包み蒸し』を皆で仲良く食べるのであった。



◇◇◇◇◇



こうして愛満の疲れを癒す為でもある。今日の日の『風呂屋・松乃』でのお風呂タイムは、最後の方に少し慌ててしまったりしたものの。

愛満的には上げ膳下げ善になる快適でいて、祖母の思いでの味でもある『丸鶏のワカメ包み蒸し』等の美味しい料理でお腹を満たし。

皆で仲良く自宅へと帰って、ここ最近のお疲れ気味の心の洗濯を終えた。




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