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『ホット生姜カルピス』と甘味ロードと野望



「お疲れさまでござるよ、愛満。はい、『ホット生姜カルピス』でござるよ。これを飲んで冷えた体を温めるでござるよ。」


何やら深夜遅い。夜も深い皆が寝静まっているような時間帯の朝倉町内で、とある場所でチョコチョコ動き回り作業していた愛満へと

自身が持参した水筒から白い湯気上がる『ホット生姜カルピス』をコップに注いで差し出した愛之助が、作業を終えた様子の愛満を労う。


「あっ、ありがとう愛之助。それにお疲れさま。眠いのに僕に付き合って遅くまでゴメンね。

フーフー、………………うん、美味しい!

へぇ~、カルピスってホットでも美味しいんだね。それに生姜も良く合ってて、知らなかったよ。」


愛之助が差し出してくれた『ホット生姜カルピス』を飲み。その美味しさに愛満が驚き。愛之助に美味しかった事を伝えた所


「そうでござろう!そうでござろう!

この『ホット生姜カルピス』はでござるね!

この前、愛満との仕入れのさい。1人マ○メロちゃんの新作がないかと店内を巡回していた所でござるね。

パトロールのいっかんで立ち寄った書店でとビビビッと運命的にも出会い。入手した料理本に紹介してあったのでござるよ。」


嬉しそうに教えてくれ。自身も持参した『ホット生姜カルピス』をグビグビと飲みながら


「ぷはーー♪美味(びみ)じゃあ、美味(びみ)じゃあ♪

あっ、それにでござるね。この拙者お手製の新作カルピスレシピ『ホット生姜カルピス』は、カルピスの原液をお湯で割り。

そこにすりおろし生姜を適量加えただけのお手軽レシピになるのでござるが、ピリッとした生姜の刺激を拙者大好きなカルピスが優しく和らげてくれ。

飲み進めるうちに体もポカポカしてきて、最後は生姜の風味で後味サッパリの口当たりになるのでござるよ♪」


自身お手製のカルピス新作レシピ『ホット生姜カルピス』の作り方プラス味の感想を交え。詳しく教えてくれ。


「それで、……あの~愛満、…………ココのお店で甘味ロードは完成でござるのか?」


最後には辺りをキョロキョロ見渡しながら、何やら遠慮した様子で、先程まで愛満が造り上げていた。愛之助曰く、『甘味ロード』なる物が完成したのかと問い掛ける。


そんな愛之助からの問い掛けに


「うん。本当に長い間ありがとね。このお店で最後だから、コレで完成!今日やるべき作業は全て終わりだよ。」


愛満が今日終える(やる)べき作業、全て無事に終わった事を伝えると


「ほぉほぉ、コレで終わりでござるね。

これはこれは、愛満、遅くまで本当にお疲れさまでござるよ。

それにしにも、この新たに造り出した甘味ロードに並ぶ店々は色とりどりの可愛らしいお店ばかりで、こぉ~拙者の心の臓をキュンキュンさせるでござるよ。

うんうん!マイ○ロちゃん好きの拙者としては、本当うっとりで夢見心地でござるよ………………ハァ~~~♪可愛い、可愛い、本当にどこを見ても可愛らしいでござるよ♪」


愛満からの完成との言葉に、新たに愛満がバランス良く道の端に間隔を開け設置した。可愛らしいライトの形をした街灯(がいとう)に照らされる。

完成したばかりの店々を愛満が作業中だったため遠慮して良く見れなかった事もあり。

全ての店を良く良く見る為に道の真ん中に(何故か)仁王立ちになった愛之助は、顔や首を何度も上下、右左、キョロキョロさせながら全体的に辺り(店々)を見渡し。

満足そうに何度も大きく頷きつつ。実にうっとりした表情で


「だってでござるね。あそこのお店の屋根瓦は可愛らしいパステルイエロー色でござって

更には鬼瓦の変わりに可愛らしいバナナを持ったお猿さんの像が、屋根にそれぞれ2匹鎮座してるでござるもの。」


愛之助から見て三軒向こうのお店を指差しながら話し始め。

更に続けて、今度は右隣の店を指差しながら


「鬼瓦変わりのお猿さんの像繋がりで言えば、アチラの栗色の屋根瓦に漆喰壁のお店の屋根には、可愛らしい見た目の栗鼠(りす)達が、まるで仲良くご飯を食べているかのようにドングリを手にしていたり。頬を膨らませてござってね。

大変可愛らしく、まるで今にも動き出すんじゃなかろうかと思うほど生き生きした姿で設置されているでござるよ!」


愛之助的には鬼瓦の変わりになるらしい。猿の像に続き。屋根の上に設置された栗鼠の像を可愛い、可愛いと褒め称え。

お次は、そんな栗鼠の像が設置された隣の店を指差し。


「そうして此方(こちら)のお店は、シンプルな屋根瓦と漆喰の白壁の組み合わながら、漆喰の壁に立体的な桜の花や鶴や亀、龍等がアチラこちらにバランス良く施されておって

控え目ながら目を奪われるような素敵な造りに、拙者もついつい瞳を奪われたでござるよ!

うんうん!これが世に言う大人シックでござるね。」


身ぶり手振り付きで、愛満が造り上げた店々の可愛らしい特徴や素敵な箇所、見た目等を興奮した様子で話す。


【ちなみに!夜もだいぶ遅い事もあり。

そこは寝ている周りの人達と言うか、町民の事を十分考え配慮して、近所迷惑にならないように2人は終始小声でコソコソと話しております。&愛満の作業音も魔法でチャチャッと無音に変えていて……………………。

なので、ご近所迷惑を心配して下さっている方は、ご安心を】


「一方、ソコのお店の屋根瓦は渋カッコいい濃い紫色でござって、壁の色は美味しそうな『さつま芋』の淡い黄色と言うか、淡い橙色でござるし。

お店の顔ともなる大切な看板にしても、可愛らしくもあり。美味しそうな見た目の輪切りにされた『さつま芋』の形をしているでござるよ♪」


寒さも深まるここ最近。アルフ家六男・野菜農家を営むレム家三男にして、愛満の友人でもあるエルピコが営む『大地の恵み店』で販売する『焼き芋』にすっかりハマってしまっているご様子の愛之助は、大好きな焼き芋の元でもある『さつま芋』を連想させる店構えに更にテンションを上げて話。


そんなさつま芋を連想させるお店横の店を指差しながら


「それに美味しそうなさつま芋のお店の隣には、拙者も好きでござるが、アルフさん大好きの『カステラ』を連想させるような。

茶色い焼き色をした屋根瓦に、これまた美味しそうな黄金色したカステラ色の壁が組み合わされておって

そんな屋根瓦の上には、まるで本物の巨大なカステラのような見た目の看板が設置されているでござるよ!

う~~~ん♪まるでカステラ独特の優しい甘い香りが此方(こちら)まで漂ってくる気がするでござるよ。

それに頭では偽物だと分かっておっても、実に美味しそうな見た目でござって、拙者お腹が空いてきたでござるよ。」


お店が『カステラ』の見た目に良く似ていて、お腹が空いてきたと話。

空腹を誤魔化すかのように水筒に残る『ホット生姜カルピス』をカップに移し、豪快にゴクゴクと飲み干し。

何やら元気を取り戻した様子で話を続け。今日1番の興奮した様子で


「それにそれに!拙者1番お気に入りの。

この目の前のお店は、美味しそうな苺色の瓦屋根が実に見事でいて、ソコに漆喰の白壁が組み合わされておって、まるで大好きなマイ○ロちゃんを連想させるような可愛らしい造りでござるよ!

更には、屋根に苺忍者隊の正装着に似た忍者服に身を包んだ小人族サイズの像が鬼瓦変わりに店を守っておって

本当に!本当に!本当に!本当に!本~~~当に!最高の組み合わせのお店でござるよ!

うんうん!やはり拙者の兄上になる愛満は世界一、……いや!宇宙1素晴らしい男になるでござるよ!!」


最後の方は我慢できなかった興奮爆発なご様子で、やはりブレないマイ○ロちゃん愛を交えながら、自身の(チート)をフルに使い建物を造り上げた愛満を褒め称え。


そんな愛之助の話に造り手の愛満は照れくさそうにテレテレと照れ笑いしながらも嬉しそうにハニカミつつ。


「愛之助もそう思う!

実はね。せっかくステリーさん達の(願い)を叶えるんだからと、ステリーさん達が好む可愛らしいパステルカラーのお店にしょうと思って(考えて)、今回頑張ってみたんだ。

それにタクのお母さんでもあるナコさんの支店にもなるこのお店はね。せっかく愛之助達が大好きな『苺』を使ったお菓子を専門的に販売するん訳だから見た目も可愛らしく。

苺色の屋根瓦に漆喰の白壁を組み合わせて、そこに木苺の実をつけた蔦を少し飾り付けにはわせてみたんだ。

あっ、もちろん!この木苺や蔦なんかは偽物になるんだけど、そこはちょっと遊び心を加えてね。

夜になると、この木苺の部分が優しい淡い光を放つようにしてあるんだ!」


何やら朝倉町に有る倶楽部の一つ。甘味倶楽部・部長のステリーの名前が出てきたり。

愛之助達の友達の1人。ケンタウロス族のタクの母親で、夫のヤマトや妖精・ピクシー族のササナ(ルルナのお爺ちゃん)、友人のコボルト家族と仲良く『純喫茶』を営むナコの名前が出てきて

またも何やら、そのナコが営むらしい。『苺菓子専門店』のお店になる。

愛之助的には、大好きなマイ○ロちゃんの色合いに良く似ている(見える)

お店の壁に設置した遊び心の一つ。木苺形のライトを少々ドヤ顔をした愛満が淡く優しい(ひかり)(ひか)らせ。


そんな木苺形の可愛らしいライトを見た愛之助は


「うわ~~~!スゴい!スゴいでござるよ、愛満!

こぉ~~、何て言って言いか解らないでござるが、まるで幻想的で、本当に本当に可愛らしいでござるよ!拙者の部屋にも1つ欲しいでござる!」


「ほ、本当に!愛之助もそう思う?

ナコさんも喜んでくれるかなぁ?……………。」


「うんうん!ナコ殿も喜ぶ可愛らしさでござるよ♪」


「ハァ~~~!なら良かった。ちょっとガリー過ぎるかなって、今になって心配してきてたんだ。」


今までになかったガリーな造りでいて、可愛らしいパステルカラーの店々が並ぶ。テイストの違う甘味店が集まる予定の一本道と言うか、甘味倶楽部念願の商店街に

今になって少し不安が出てきた様子の愛満が、愛之助の姿や言葉にホッと胸を撫で下ろしつつ。


「あっ、それからもちろん!屋根に設置した鬼瓦変わりの忍者達は、愛之助達『苺忍者隊』をモチーフに造っていてね。

ああして、このお店やこの辺りの通りを見守ってくれる事になるんだ。

それに苺菓子を専門に販売するお店だから、そこんとこも純分に配慮して看板も可愛らしく。愛之助が大好きな苺の形をした看板にしてみたんだよ。」


2人は小声でコソコソと楽しそうに完成したばかりの店々を眺め話し。明日皆が驚く顔を楽しみに家路へと帰るのであった。



◇◇◇◇◇



と言うのも、ハロウィン後から秋限定和菓子を販売する最終日&冬限定和菓子を販売する『立冬』までの期間

万次郎茶屋へと足しげく通っていた甘味倶楽部メンバー・ステリー達が、いつか自分達も小さくて良いから大好きな甘味屋さんを営んでみたいと茶屋で話しているのを耳にし。


更には、とある諸々の事情から苺菓子を専門に作っている。パティシエのケンタウロス族のヤマトとナコ夫婦

自称・純喫茶のマスターなる。カフェラテアート職人、妖精ピクシー族のササナ

ヤマトの友人になり。店でコック、接客を担当しているコボルト族のロッソ、ビアンコ兄弟家族が仲良く力を合わせて営む。

朝倉町で人気を博す『純喫茶』ファンのお客さん達からも、店がお客さんでいっぱいで賑わう時など、気軽にヤマトやナコが作る『ケーキ』や『タルト』等の苺洋菓子を持ち帰り出来るようになると嬉しいとの話を聞き。


またヤマト達に話を聞いた所。

日に一度は必ずお客さん達でお店がいっぱいになるながらも、最近余裕が出てきており。

実はコボルト族のロッソとビアンコの直ぐ下の弟に加え。

その友達で『赤い稲妻団』が営む孤児院に住む1人の少年、その兄の青年がヤマト達が作り出す洋菓子に強い興味を持ってくれ。

今年学園を卒業した青年を除き。2人はまだまだ学園に通う年ながらも、3人でヤマト達に弟子入りしてくれ。

1日勤務出来る青年を除いて、2人はアルバイトで菓子専門の調理場に入ってくれてるそうだ。


他にもコボルト族のロッソ達が仕切る調理場には、ナコ曰く、モフモフ好きの元冒険者の友人の1人(ナコの友人になる)

エルフ族の人物からの強い、……………そう、本当に強過ぎる願いを受け。コック見習いとして雇い入れたそうで、…………………。

自身が使える魔法を巧みに使いこなし。

日々ロッソ達の作業姿と言うか、フルフルご機嫌に動く尻尾や後ろ姿を見て身悶えながら、楽しそうに働くロッソ達の手助けをしているらしい。


なので、その日の仕込みを多目に作り。それを『持ち帰り専用店』に卸せば良いだけなので、自分達は大丈夫だと快くオーケーサインをくれ。


甘味倶楽部メンバーを始め。ヤマトやナコ達を含め。いろいろと話し合い。

それならばと今回愛満が自身の(チート)をフルに使って、愛之助が見守るなか密かに頑張り。

『純喫茶』が立つ横の小道を自身の(チート)を使って広げ、道を造り出し。

皆に迷惑がかからないようにと気遣って、夜も遅い深夜の時間帯に甘味ロード(商店街)を造り出した訳なのであった。



ちなみに愛之助的には、愛満の身を守るボディーガードを務めているご様子で、いつもの愛之助とは違い。

今日の愛之助は珍しい事に漆黒の服でフルコーディネートしており。

そこは勿論の事、マ○メロちゃんの刺繍が施されていて

とある漫画で読んだ。黒のスーツ姿に身を包んだボディーガード達を参考に、愛満のボディーガードを頑張っていた。



◇◇◇◇◇



そうして自宅へと帰って来た2人であったのたが、体は疲れているものの興奮してなかなか寝付けず。

更にはお腹も空いていて、2人仲良く『鮭茶漬け』を味わった後、お腹の中から温まり。ぐっすりと朝まで眠りにつけた。




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