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◆貴族の勤めと、とある旅行者



「…………そ、そんな!!それでは息子の足は二度と動かないとおしゃるんですか!」


「……せ、先生、嘘ですわよね。悪い冗談だと、嘘だとおしゃって下さいませ!

そんな、そんな!!あの子の足がこの先一生動かないなんて、そんな…………そんなのあんまりですわ!」


チャソ王国の貴族、ミュゼ家生まれのアルテジェニは、酷くぼんやりする意識のなか。

今まで聞いた事も無いような父や母の悲痛でいて、酷く取り乱し。時おりすすり泣くような。どこか胸を締め付けるような母親の圧し殺した泣き声と共に、両親を交えた聞きなれない幾人かの声を耳にする。


「も、申し訳ございません。私達王宮医師も出来る限りの治療を施したのですが…………」


「……………セバスよ、私はどうしたら良いのだ……………それに目覚めたあの子になんと伝えたら良いのか………」


「旦那様、お気をしっかりお持ち下さいませ。

旦那様が今しっかりしていなければ、坊ちゃまが目を覚まされた時、誰を頼ればいいのですか?」


「………そうであったな、セバス…………………」


「……………うっ、ぅぅぅ。……うっ、ぅぅぅぅ。」


「奥様、そんなに唇を強く噛まれては傷になってしまいます。

坊っちゃんが目を覚まされた時、その傷を見てお嘆きになりますよ。」


「……ありがとう、リダロ。そうね、あの子は人一倍心配症で、家族思いの子だから唇に噛み痕なんておっていたら、どうした事かと心配してしまいますわね。

………ぅぅぅぅぅぅ。」


まだまだ意識がハッキリとせず。ぼんやりとした意識であるものの。

父達の悲痛の声や、母のすすり泣く声を聞いていると2人から3人。アルテジェニにも聞き覚えがある声だと気付き。

何やら取り乱した様子の両親を必死で落ち着かせている。多分あの声は父付きの執事セバスに加え。

母付きのメイド長のリダロだろうとアルテジェニは夢うつつなような、酷くぼんやりした意識のなか確信し始め。

何か2人の身に大変の出来事が起こったのかと両親の身を心配する。


そうして側使え達の声がしばらく聞こえた後、何やらアルテジェニが聞いた事のない新たな男性の声が聞こえてきて


「私共も最善の力を尽くしたのですが、落馬する第四王子様を受け止めるさい。アルテジェニ様は腰の辺りを木に強く打ち付けたようで…………………ここだけの話。そこに馬から振り落とされた第四王子様の重み等が加わり。

……………残念ではございますが、……アルテジェニ様の腰から下は、この先自身の力で動かす事は、今の王宮医師の技術をもってしても不可能かと………

…その身を呈して第四王子様を助けていただいたのに……私どもの力不足でございます。誠に、誠に申し訳ごさいません。」


自分の不甲斐なさを懺悔するような、涙を圧し殺した声色の男性が話。


「……………………………………………………………………………そうか……………そうであるか………………………。

いや、君達王宮医師団が悪い訳ではないのだ。君達が精一杯手を尽くしてくれた事は分かっている。

………それに第四王子様が何の怪我もなく無事であったのだから、この国を守る1貴族として、第四王子様を身を呈して助けた息子も満足であったであろう。」


長い沈黙の後、家族にしか分からないような。何やら様々な感情を圧し殺した声色の父が、1つ大きなため息を飲み込むと、貴族の勤めをはたすよう。

先程話していた男性事、王宮医師団の男性に労りの言葉をかけ。

自身の息子が自分の足と引き替えに助けた幼い第四王子の無事を喜び言葉を述べ。


「…………旦那様、……そうですわね。

…あの子は貴族の嫡男らしく。身を呈して立派に王族である第四王子様をお助けしたのですから、母親の……………家族の私達があの子を誉めてあげなくては………」


父親と同様。様々な感情を圧し殺した様子の母が貴族の奥方らしく。第四王子を助けた息子の行動を褒め称える言葉をのべ。

リダロの様子から、普段から持ち歩いているお気に入りの扇子で隠しながら、また唇を強く、強く噛みしめ。

溢れ出そうになる涙や感情を必死に堪えている様子であった。



そんな一連のやりとりをぼんやり聞きながら……………と言うか、これは3年前の王家主催のお茶会で、幼い第四王子がイタズラ心をわかせ。勝手に用意された乗馬用の馬に一人でに乗ってしまい。


結果、まだまだ乗馬練習中の初心者の第四王子が上手く馬を操縦出来るわけもなく。

短い時間ながらも第四王子から目を離してしまった御付きの者達も加え。

周りに居たお茶会参加者の貴族達も意味なく無駄に騒ぐだけで、余計に第四王子が乗る馬を興奮させてしまい。

必死に手綱を握り締めていた。幼い第四王子の握力も力尽き。無惨にも幼い第四王子は馬から振り落とされそうになってしまい。


たまたまお茶会をサボっていたと言うか、……………普段なかなか足を踏み入れられない。

お茶会会場の王城内庭園を探索と言う名の大好きなデッサン作業を両親に内緒でしていた帰りのアルテジェニは、周りの者達に気づかれないよう。細心の注意をはらいながら、地~味に気配を消して両親の居るテーブル席へと帰っていた。


そう!まさにたまたま近くを歩いていたアルテジェニの元へと、運悪く馬から振り落とされた第四王子が飛んできて

第四王子を含めアルテジェニごと、後ろの大木に叩きつけられるという。

アルテジェニを含め。ミュゼ家には不幸な出来事であり。


何故か民衆の間では、遠く離れたテーブル席に居たアルテジェニが第四王子の危機を瞬時に察知し。身を呈して幼い第四王子を助けたとされる。

3年たった今でも民衆や貴族の間で人気を博す公演のモチーフになり。

今現在でも民主の酒場や、一部の貴族達の間で美談(事件)ともてはやされている。

知られざる両親と王宮医師団達とのヒトコマの夢なのだと理解したアルテジェニは、深い眠りから目が覚めるのであった。



◇◇◇◇◇



「う~ん。久しぶりにあの夢をみたなぁ。あんまり見ていて気持ちの良い夢じゃないから見たくないんだけど…………。

まぁ、見てしまったものはしょうがない。

え~っと、それで此処はどの辺りになるのだろう。」


あまり見たくはない夢から目が覚めたアルテジェニは、ブツブツと独り言を呟き。自身が乗っている乗り心地の良い馬車から外の風景を眺め。

うたた寝する前に使用してい愛用のスケッチブックや鉛筆を片付けつつ。

母お手製と言うか、メイド長リダロが主に作り。

リダロの周りをウロチョロして、(本人曰く)お手伝いを頑張ってくれ(頑張った)。旅に出る際持たせてくれた母お手製の、その昔勇者様が作り出したとされる『ツキー』の食べ掛けを口にし。


【『ツキー』とは、日本で言う所の『クッキー』です。

『クッキー』の呼び名が時代の移り変わりと共に変な風に変わっていき。いつしか『ツキー』になった。】


シンプルな見た目ながらホッとする味わいの『ツキー』を『美味しい、美味しい』と味わいながらも、王都を旅立つ数日前の父とのやり取りをまたボンヤリと思い出し始める。



◇◇◇◇◇



コンコン


「父上、アルテジェニです。お呼びだと聞き伺ったのですが、入ってよろしいでしょうか?」


自室に居た所、父の執事のセバスから『旦那様がお呼びです。』との知らせを受け。父の書斎へとやって来たアルテジェニが入室の確認のための声をかける。


すると扉近くで待ってたかのよう。父みずから書斎の扉を開けてくれ。アルテジェニを出迎える。


「あぁ、アル、良く来たね。慣れない車椅子の操作は疲れただろう。さぁさぁ、部屋に入りなさい。」


「はい。ありがとうございます、父上。それでは失礼いたします。」


アルテジェニは父に感謝の言葉をのべながら、父に招かれるまま父親の書斎へと入室する。

そして父のベルの音で入室して来た執事のセバスが煎れてくれた紅茶や茶菓子でもてなされ。一息つくと早速自身が部屋へと呼ばれた訳を父に問い掛ける。


「それで父上。私に話とは何でございましょうか?」


「いや、話と言うのはだな……。アル、車椅子生活や最近の調子等はどうだい?不便な事や大変な所等ないかい?」


「お心遣いありがとうございます、父上。

まだまだ不馴れな点等多々有ったりしますが、なんとか周りの者達の力等を借り。日々の生活をおくれているところであります。」


「そうかそうか、それは良かった。………う~ん、それならば、あの話はどうしょうか………」


「どうしょうとは、いかがされたのですか?」


何やら考え込み出した父にアルテジェニが問い掛けると


「いや。実は、お前の母上やサナヤ達とも話し合ったのだが」


「母上や姉上達とですか?」


「ああ、まだまだ年若いお前が突然の車椅子生活を強いられ。なのにその事に不平不満など一言も漏らさず。1日1日と毎日の日々を送っておるのを見ておってのう。

この王都での車椅子生活は昔から木製なり、アルが乗っておるような車椅子に何処と無く似た。機能が大分劣る物があったものの。

まだまだ最近になって一部の冒険者達や貴族の間で話題になり、出回り始めた。

少々奇妙な見た目のその車椅子では、周り者達の理解力が足らず。いわれのない好奇の目や生活面等での不便さ、大変さがあるじゃないかと思ってね。

あ、勿論!私やエリューナ(お前の母上)、リュサーナ達を含め。この屋敷に居る者で、お前が乗る車椅子を変な目で見る者等居らんからな!」


最近一部の冒険者や貴族の間で密かに話題になっている。

父や母の伝を頼り。少々奇妙な見た目ながら高機能の最新版車椅子をつい最近何処からか手に入れ。

使用し始めたアルテジェニの体を含め。心、精神面を心配している様子をにじませ。


「現にお前が好きな外でのデッサンも今では気軽に出来ず。毎日自分の部屋か屋敷内で過ごしているらしいそうだし。

お前の姉上達が何度か外にデッサンしに行って以来。その後いくら誘っても外にデッサンしに行こうとはしないそうじゃないかい。

だからね。皆が自分達が知らぬうちにお前が外で嫌な思いをし。お前がいらぬストレスを心に抱え込み。私達に相談できずに苦しんでいるのではないかと私を含め。

お前の母上や姉上達、この屋敷に居る者達皆がお前の事を心配して、心を痛めているのだよ。」


アルテジェニが初めて聞く母や5人いる姉達、屋敷で働く者達の心のうちを知り。驚いていると


「それで、エリューナが自身の姉上でもあるエビュール婦人やスピーチュ婦人達に相談した所。

スピーチュ婦人のご友人で、唐家婦人の息子でもあり。お前の学友でもあった黛藍君が今住んでおる朝倉町を紹介されたそうなんだよ。

そしてその街は最近出来たばかりなのだそうなのだが、何やら街全体がバリアフリーなる。体が不十分な人々が快適に暮らせるように設備されていてのう。

更には少々体が弱かった黛藍君が、今では元気に日々を過ごしているそうなだ。」


「そうですか、……母上はわざわざ私のためにエビュール叔母様やスピーチュ叔母様達に相談までしてくれたんですね。……ありがたき幸せです。

………しかしこの国に私のような普段の生活に苦労している者が住みやすい街を設備してくれているとは……………そんな夢のような街があるのですね。

まったく知らなかったです。」


母の優しさに胸が熱くなったアルテジェニは、父親に心配かけまいと、気づかれないようにしながらも声を震わせる。


「それでの。話を聞いたエリューナ達が、自分の目で確かめねべば気がすまぬと、唐家婦人が進めてくれた朝倉町へとこの前視察に行ったそうなんだよ。

そうしたら唐家婦人の話に違わず。本当に素晴らしい街であったそうで、街全体に設備してあるバリアフリーはもちろんの事。

赤ん坊や家族連れ、高齢者への便利な設備が多数有り。

様々な怪我や病気、美肌に効くと言われる温泉や、アルも気に入るだろう美しい風景、光景がアチラコチラで見られ。

きっとアルを飽きさせないはずだとエリューナやリュサーナ達が嬉しそうに話していたよ。

それに食いしん坊のロリューの話では、甘い物から塩気の物まで、多岐にわたる美味しい食べ物が販売されていたそうなんだよ。」


「ほぅ。そのよう素晴らしい街に黛藍は住んでおるのですか、それはそれは羨ましいかぎりです。

それで父上、私にどうしろとおしゃりたいんですか?」


「そうそう!それでだ、アル。

どうだ?お前の学友でもある黛藍が移り住んだ朝倉町へ、お前も気晴らしに旅行に行ってみないかい?

お前は大好きな絵さえ描ければ住む所はこだわらんと昔から言っていただろう。

何も好き好んで、こんな窮屈な王都に居るのも意味がないだろうし。」


「そうですね。………父上がそんなにお褒めになるのですから朝倉町とは、さぞ素晴らしい所なのでしょう。

それならば私は父上のご命令に従うだけであります。さっそく明日にでも出発いたしましょう。」


美しい風景や光景が描けるとの話を聞き。流行る気持ちを押さえながらアルテジェニが返事をする。


「…………そうそう、旅行は良いものだぞ。……って、えっ!明日にでもかい!?

いやいや、旅の準備もあるだろう。それにお前の母上や姉上達に旅の前の挨拶も必要だろうし。

そもそも、もうすぐ肌を刺すような寒い時期になっていくのじゃぞ。もう少し温かくなって過ごしやすい時期に行くのが良いんではないのか?」


明日にでも出発するとのアルテジェニの答えに驚き。

目を見開き驚いた様子の父親が、右往左往しながらアルテジェニへと、もう少し温かい時期に出発した方が良いと問うのだが

まだ見ぬ美しい光景を思い浮かべ。すっかりその事に心が奪われてしまっている様子のアルテジェニは、まだまだ慣れない手つきではあるものの。

何とか自身が乗る車椅子を動かして、呼び出された父の書斎を後にし。

早速、朝倉村への荷造りをアルテジェニ付きの執事になるツエーゲンやメイド達に手助けされながら身支度を始めるのであった。



◇◇◇◇◇



「ハァ~~~~、……………まったく父上や母上達には困ったものですね。

ご自分達が朝倉町への旅行を進めてくれたのにも関わらず。

出発のさいには、皆であんなに引き留めるものですから、せっかくの計画した予定の時間をずいぶん押してしまいましたよ。

ハァ~~~、これでは明後日のお昼頃には町へと着く予定でしたのに、かなり遅れてしまったではありませんか………ブツブツ………ブツブツ…」


数日前の家族皆からの見送りまで思い出したアルテジェニは、その日両親や姉達の言動を思いだし。改めて静かな怒りがわいてきて、ついついブツブツと小言をこぼしてしまう。


そうしてアルテジェニが静かな怒りを自分の中で処理しているなか、アルテジェニが乗る馬車が静かに停まり。


「坊っちゃま、お疲れさまでございました。ここが目的地の朝倉町でございます。」


アルテジェニ付きの執事のツエーゲンが静かに馬車の扉を開けてくれ。アルテジェニを車椅子へと移動させてくれる。


「ツエーゲン、ありがとう。

ほぉーー、ここが母上や姉上達が話してくれ。黛藍が住んでいる朝倉町になるんだね。………うーーん!実に素晴らしい!

それに母上や姉上達が教えてくれたとおり。王都では見た事もない美しい造りの建物や風景が広がっているね。

うんうん。父上が言っていたとおり。これは描きがいがあるよ。ねぇツエーゲン、ツエーゲンもそう思わないかい?」


「本当でございますね、坊っちゃま。

あっ、そうでございました。奥様の話では、この街には大変珍しい『植物園』なる美しい花々が咲き乱れる庭園も在るそうでございますよ。」


「本当かい!それは楽しみだね。」


自身がまだ知らぬ朝倉町の話にアルテジェニが期待を膨らませワクワクしていると、突然強い風が吹き。寒さのあまりアルテジェニは体をブルりと震わせる。

するとすかさずツエーゲンが肩掛けをアルテジェニにかけてくれ。


「申し訳ございません、坊っちゃま。ついついお話が楽しく、外に長くいすぎましたね。

風も強くなってきた事ですし。外に長くいるのも坊っちゃまのお体にもさわりますので、どこか近くの店でお茶でも頂きましょうか」


「ありがとう、ツエーゲン。そうだね。馬車の長旅で少々疲れもある事だし。

宿は父上達がオオスメの宿をとってくれているから、少しばかりお茶を楽しみ。この辺りのオススメな場所でも聞いてみようかね。」


ツエーゲンの提案にアルテジェニが賛成し。アルテジェニ達が乗って来た馬車や馬の世話を使用人達へと頼み。

幾ばくかのお金(お小遣い)と共に、今夜から世話(泊まる)になる宿の場所や名前を教え。

アルテジェニ達2人は、たまたま目に入った近くの店へと足を進めた。



◇◇◇◇◇



チリーン♪チリーン♪


「いらっしゃいませでござるよ。お2人様でござるか?

ささ、どうぞ。こちらのテーブル席にご案内するでござるよ。」


王都ならば露骨に嫌な顔をされ。下手したら入店を断られ事が多々あるなか。

アルテジェニ達が初めて訪れた朝倉町のこの店では、満面の笑みを浮かべた。かなり手が込んだ髪型をした女性?………………青年事。愛之助が2人を車椅子対応のテーブル席へと案内してくれ。

アルテジェニ達が席につくと同時に、ほんのりレモン風味の無料になるらしい水と暖かいおしぽり、メニュー表を持ってやって来た。この店の亭主になるらしい愛満が


「ようこそ いらっしゃいませ。

おや?初めてのお客様ですかね。私、この茶屋の亭主 愛満と申します。今日はうちの茶屋をご利用いただき、誠にありがとうございます。

うちの茶屋は甘い和菓子と言う菓子やお茶、ちょっとした軽食などが楽しめるお茶屋になり。こちらがメニュー表になります。」


メニュー表を手渡してくれた。


「へぇ~、和菓子と言う甘い菓子ですか………。ツエーゲン、聞いた事あるかい?」


「申し訳ありません、坊っちゃま。(わたくし)も勉強不足で和菓子と言う菓子を存じ上げません。」


「いやいや、いいんだよ。

それで愛満殿、和菓子と言う菓子はどんなものなのかな。良かったら教えてもらえないだろうか?」


「えっと、そうですね。口で説明するのもあれなんで、もしよろしかったら、あちらの方にある和菓子ケースに実物が置いてありますので。

よろしかったら見てもらい。お選びいただくというのはどうでしょうか?」


愛満が、初めて耳にした和菓子と言う言葉に興味津々のアルテジェニに提案し。

王都ではまだまだ珍しい車椅子になるのだが、慣れた手つきの愛満がアルテジェニが乗る車椅子を器用におしてくれ。

アルテジェニ達は和菓子が並ぶ和菓子ケースへと現物を見に行き。

四季折々が取り込まれた和菓子を前に、あれやこれやとさんざん悩みに悩んだ結果。


途中兎族の可愛らしい2人の男の子の兄弟の1人から『餡子(あんこ)』なる和菓子を使用した。秋限定の『栗羊羮』を大プッシュされ。


更にはチャソ国では、大変珍しいキリン族の少年から、これまた秋限定の和菓子『芋きんつば』なる和菓子をオススメされたり。


自称万次郎茶屋看板ボーイなる亀族のご老人からは、自身のツルツルした光沢放つ頭と良く似た。秋限定の『栗饅頭』をオススメされたりと、少々時間がかかったものの。


アルテジェニ達2人は、好きな茶葉が選べ。急須と秋限定の和菓子が5個セットになった『秋限定和菓子セット』を注文する事を決め。

少々食べ過ぎですよとツエーゲンに注意されるなか。アルテジェニは、すっかり仲良くなったタリサやマヤラ、光貴、愛之助、山背達と楽しい時間を過ごし。

明日からの朝倉町で過ごす事になる日々に期待を膨らませるのであった。








◆貴族の勤めと車椅子、の登場人物


・アルテジェニ

チャソ王国貴族 ミュゼ家の嫡男

3年前の不慮の事後で下半身付随になり、車椅子生活に

性格はのんびり屋さんで、自身の好きな絵が描ければ良い

元学友の黛藍とは友人関係になる


・ミュゼ家

ミュゼ家当主、子煩悩の優しき父親


エリューナ

ミュゼ家奥方、子煩悩の優しき母親


リュサーナ

アルテジェニの5人居る姉のうちの1人


ロリュー

アルテジェニの5人居る姉のうちの1人

姉妹の中で一番の食いしん坊


・ミュゼ家使用人

セバス

ミュゼ家当主付きの執事


リダロ

ミュゼ家奥方付きのメイド長


ツエーゲン

アルテジェニ付きの執事、アルテジェニにとっては兄のような存在

アルテジェニより3才年上

セバスとリダロの息子


・他

エビュール、スピーチュ

ミュゼ家奥方エリューナの2人の姉


唐家奥方婦人

スピーチュの友人にして黛藍の母、ササ族




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