表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
213/252

山背ご満悦の『イチゴフローズン・スペシャル』と汗疹と桃の葉湯



「それで、どぉお?アルフさん

汗疹(あせも)を発症した冒険者の人達と言うか、『鋼の時』のムスーリさん達、少しは良くなった?」


その日の夕方。『風呂屋・松乃』に愛之助や美樹達を含め。愛満宅に住む。

コチラの世界での愛満の大切な家族になる皆と『風呂屋・松乃』に風呂に入りに来ていた愛満は、何やら1人だけ早々と風呂を上がり。受付奥に在る事務所でとアルフと話し込んでいた。


「はい。やはり直ぐに愛満に相談したのが良かったのか、愛満が言うとおり。

汗疹用の塗り具と共に陰干しした桃の葉を布袋に入れ。風呂に浮かべた『桃の葉湯』に入るようにオススメした所。

みるみるうちに汗疹が良くなっていき。相談された冒険者の人達も大変喜んでおりました。」


「ほ、本当ですか!それは良かった。

…………………ハァ~~~!けど本当に良かった。アルフさんから魔法が効きにくい体質の冒険者の方達からの相談で、夏の暑さで出来た汗疹(あせも)が良くなる方法がないかと相談された時は、どうすれば良いんだろうと心配だったんですけど。

僕が婆ちゃんから習った家庭の医学と言うか、僕の故郷(日本)の身近な食材や植物を使った家庭の知恵薬が、誰かの役に立ったて事が嬉しいです。」


つい1週間前にアルフから相談を受けた。汗疹を発症させた冒険者達のその後の様子を聞いた愛満は、ホッとしたと共に、自身も祖母から習った治療法が誰かの役に立った事を嬉しくも有り。誇らしくも思い。『良かった、良かった』と安心した様子で話す。


するとそんな愛満の話を微笑ましそうに聞いていたアルフも


「本当に良かったですよね。

実は言いますと私も彼等に相談された時、魔法が効きにくい体質の方々とお会いしたのは初めてになり。

愛満に相談した後も、どうしてあげれば少しでも早く彼等の汗疹が治るのかと考え込む毎日だったんですよ。

ですから『(はがね)の時』のパーティーメンバーの皆さんの汗疹が良くなったと本人達から聞き。愛満と同じようにホッと胸を撫で下ろしたんですよ。」


顔を会わせれば、気軽に世間話する程の顔馴染みになり。『風呂屋・松乃』の常連客になる。

10人組の冒険者パーティー『鋼の時』からの悩みが無事解決した事にアルフもホッとしたと共に嬉しそうに話した。



◇◇◇◇◇



と言うのも『風呂屋・松乃』の大部屋の常連客にして、本人達曰く。ギルド内では、まぁまぁの高い位置にいるらしい。

アルフが先程話していた冒険者パーティーと言うか、ギルド『鋼の時』のメンバー達10人は(みな)、コチラの世界では、少々特殊な体質の産まれながらの魔法が効きにくい体質になり。


冒険者としては多岐にわたる知識や、敵をはねのける力は有るものの。

そもそも魔法が効きにくい体質から一般的な冒険者パーティー等では、他のパーティーメンバー達から嫌がられ。なかなか一般的なパーティーに参加出来ず。

言い方は悪いのだが、()わばギルド(冒険者)から弾かれた者達が、身を寄せ集まった冒険者パーティー(ギルド)になり。


ここ最近の暑さの中、長期間の依頼を終え。定宿になる『風呂屋・松乃』へと帰って来た所。

魔法が効く一般的な冒険者達ならば気軽(簡単)に魔法で身を清めるなり。体内に溜まった熱、怪我や疲労等をチャチャッと回復させる訳なのだが、魔法が効きにくい体質の『鋼の時』のメンバー達には、それが出来ず。


また魔法を使わず体の汚れを清めようにも依頼途中の間、大切な水を無駄にする事は難しく(出来ず)

近くに川や湖等、水辺が在るのもマレで……………。

魔法が効く者達のようには、なかなか上手く機能せず。

ハッキリ言って『鋼の時』のメンバー達にとって、夏の間の長期間の依頼は大変になり。

ある程度の蓄えが有るとしても、生きていく為には働かなくてはならず。

更には上の方のランク者になると比較的近場で終えれる低ランクの依頼を受けるのは暗黙のルールでご法度で………………。


長期間の依頼を終え『風呂屋・松乃』へと帰り着いた時には、体中のアチラコチラに強い痒みと共に赤く腫れ上がり。

少々厄介な皮膚の炎症(病気)汗疹(あせも)を発症していて


その為、無差別に起こる強い痒みを我慢するのが日々苦しく、大変で…………。

汗疹部分を掻いてしまった者等は、汗疹を更に悪化させ。

そこにプラスして、汗疹部分を掻き過ぎて擦り傷までこさえてしまっていたのであった。


そうして自身もなのだが、汗疹の症状に苦しくむメンバーの姿を見ていた『鋼の時』のリーダー・ムスーリは頭を悩ませ。

顔見知りでもある『風呂屋・松乃』の番頭アルフへと相談して、それをアルフがまた愛満へと相談した所。


愛満も物知りの祖母から習った。汗疹(あせも)や湿疹等に効くとされる。

肌の殺菌等をやっつけてくれるアミグダリンという成分が含まれた薬草になる。朝倉町に自生した桃の木の『桃の葉』を採取して、それを陰干しし。

一般家庭のお風呂サイズならば、陰干しした桃の葉一握りを布袋やネットに入れ。お風呂に浮かべたら完成する『桃の葉湯』をアルフへと教え。


加えて朝倉町に在るリサが院長を勤める病院と力を合わせ、見事完成させた。

桃の葉と同様。新芽から成長して淡い緑色になった『枇杷の葉』には、肌の殺菌をやっつけてくれるアミグダリンという成分が含まれており。

昔から日本で汗疹の特効薬として活用され。赤ちゃんのオムツかぶれにも効果てきめんで、かぶれやすい布オムツが主流だったつい数十年前まで、多くのお母さん達が助けられた『枇杷の葉の煎じ汁』を活用。

それと共に痒み等も抑えてくれる。汗疹用の塗り薬を『鋼の時』のメンバー達へと渡してもらい。


先程アルフ達が喜んでいたとおり。リーダー・ムスーリを含め、『鋼の時』のメンバー達を苦しめていた汗疹は、見事完治の方向へと進んでいるのであった。



◇◇◇◇◇



そうしてアルフと愛満の2人が汗疹に苦しんでいた。魔法が効きにくい『鋼の時』メンバー達がこれから先、病気になった時用のマニュアルと言うか

『鋼の時』のメンバー以外にも魔法が効きにくい人達が訪れた時の事を考え。少し相談して、今度改めて時間をつくり。リサを含めて話し合う事を決めたり。


その流れで何故か、最近のタリサやマヤラ達の万次郎茶屋での普段の様子。現在の山背の将棋の状態等々。

更には『風呂屋・松乃』へやって来たお客さん達からの王国を含め。各国の最近の話等を世間話しつつ。

ついつい長々と話し込み。2人で情報交換をしていた所。


愛満の姿が見えない事を心配して探しにやって来た。半べそ気味の愛之助と光貴の2人と共に

何やらやっちまった感溢れ、苦笑い浮かべる美樹と、そんな美樹に何やらプリプリ怒っている様子の黛藍

カップに入った食べ物…………愛之助達も大好きな『風呂屋・松乃』を訪れたら必ず食べる。

イチゴ味のフローズンの上にソフトクリームが乗った『イチゴフローズン・スペシャル』をモグモグ食べ進める山背の5人が、アルフ家長男・妻で、『風呂屋・松乃』の仲居頭グレエテの案内の元、愛満が居る事務所へとやって来て


「あ!愛満見っけたへけっ!」


「ハァ~~~!愛満、居たでござるよ!良かったでござる、良かったでござる~~~!」


半べそかきながら愛満に抱き付き。『良かった、良かった』とホッとした様子で話す。

そんな光貴や愛之助の様子に、訳が解らない愛満は頭に?マークを浮かべながら、何かあったのかと黛藍へと目で合図すると

まだまだプンプン怒ってる様子の黛藍が、隣に立つ美樹の腕をポカポカ叩き。


【ちなみに美樹曰く。黛藍に叩かれても全く痛くなく。逆にペットの猫や犬にじゃれっかれているようで微笑ましくもあり。

何やらホッコリしてしまい。ついつい笑みが溢れそうになる為。毎回それを我慢するのが大変な様子らしい。】


「もう!美樹のせいアルよ!光貴も愛之助もあんな不安そうな泣きそうな顔して居るのに、反省したアルか!

もぅ~~~!そこに正座して、少しは反省するアルよ!」


苦笑い浮かべる美樹を叱り。更には、その場に正座して反省するように即し。

何やら笑みを必死で我慢している美樹の様子に気付き。何処に笑みが溢れる要素が有るのかと更に怒りを爆発させ。愛満へと今の現状の訳を説明するのが不能になる中。

そんな黛藍達の姿を見ていて。何やら気をきかせた様子の山背が『イチゴフローズン・スペシャル』を食べる手を止め。


「……モグモグ………モシャモシャ……ハァ~~、しょうがないのう~、ココはワシが一肌脱ぐか………。

実はのう、愛満。愛満がアルフと何やら話があると言って、ワシらより先に風呂から上がったじゃろう。」


「う、うん。お風呂に入る前に皆に伝えていたと思うんだけど…………。」


「そうそう。そうじゃよのう~。

でじゃ。それをワシらも愛之助達も解っておったのじゃが、愛之助達はてっきり『風呂屋・松乃』のロビーで2人が話しとると思ってたみたいなんじゃよ。

で、ワシらが風呂から上がり。ロビーを見渡した所、愛満の姿もアルフの姿も見えんでのう~。

愛之助や光貴達が『愛満が居らん!愛満が居らん!』とヒドく心配しておった所。

美樹がイタズラ心で、もしかしたら愛満は早々と話を終え。また風呂へと戻って来ているかもしれないと話してのう~。

それを聞いて驚いた愛之助達が、また風呂へと慌てた様子で戻り。風呂やサウナなど隅々まで探したのじゃが、何処にも愛満の姿が見えん(居らん)事から更にパニックを起こしたのじゃよ。

で、もしかしたら自分達が見落としているだけで、愛満が風呂で溺れているかも知れぬや、何やら急に具合が悪くなり倒れたかも知れぬ。

心優しき人がもう発見してくれて、リサの所の病院に運ばれたかも知れぬと、悪い方悪い方へと2人の意識と言うか、妄想が膨らんでいってのう。現在の状態になったと言う訳なのじゃよ。

ハァ~~~、全く困ったもんじゃ…………。」


少々呆れた様子で、今の現状と言うか、こうなった訳を教えてくれ。

話し終えた最後の方、何やらとある事に気付き。ハッとした様子で


「……………おっと、ヤバいヤバいのじゃ!

話に気を取られてしまって、ワシイチオシの『イチゴフローズン・スペシャル』が溶けるとこじゃったわい!危ない危ない、危ないのう~!

さぁ、説明を頑張ったご褒美に、まずは一口………………モグモグ………モグモグ…………くぅ~♪旨いのう~♪

このイチゴ味のフローズンもソフトクリームも、それぞれ単品でも実にまた美味しいのじゃが!

程好(ほど)く溶けたこのフローズンとソフトクリームの2つを最後にグルグルと混ぜ合わせたフロクリも、また実に乙なのじゃよなぁ~♪」


自身が食べている。『風呂屋・松乃』売店コーナーで販売している『イチゴフローズン・スペシャル』の感想をボソボソと話。


(イチゴフローズン・スペシャルの前の)山背の話を聞き。また不安が振り返したのか愛之助と光貴の2人が瞳をウルウルさせ。


「愛満、ココに居たでござるね。先にお風呂から上がると聞いていたでござるが、拙者達が風呂から上がっても……す、姿がみ、見え…………見えなかったでござるから拙者、心の臓がキュッーとなるほど、…ほ、本当に心配したでござるよ!」


「ぼ、僕もスゴく心配したへけっ~!愛満~~~!」


愛満の存在を確認するように強く強く、愛満へと抱き付き。半べそをかきながら話。


そんな愛之助や光貴達の姿と共に、今だ続いている美樹と黛藍の2人のやり取り。

愛満へと説明を終え。勝手に空いてる席へと座り。

残り少ないカップの中身の『イチゴフローズン・スペシャル』を1人モシャモシャ食べ進める山背のマイペースな姿に、愛満は苦笑いを浮かべつつ。


()ずは、今だ不安がっている愛之助を安心させる為。

2人の肩を優しく擦りつつ。『大丈夫だよ、大丈夫だよ』と声をかけるのであった。



◇◇◇◇◇



こうして9月が目の前に迫る8月の下旬のとある日の1日は、少々慌ただしいなか過ぎていく。







【山背ご満悦の『イチゴフローズン・スペシャル』と汗疹(あせも)と桃の葉湯、の登場人物】


・『鋼の時』

10人組の冒険者パーティー

本人達曰く、まぁまぁの高いランクになるらしい

メンバー全員、魔法が効きにくい体質になる

今回、何やら長期間の依頼を終えて汗疹に苦しんでいるご様子


・ムスーリ

『鋼の時』のリーダー

コチラの世界では特殊体質の産まれながらの魔法が効きにくい体質

その為、色々と苦労してきた苦労人

仲間思い


自分達のように魔法が効きにくい体質の者達を差別せず、優しく接してくれるアルフを含め

『風呂屋・松乃』の従業員、朝倉町の住民達を気に入っている様子


・愛満

今回、アルフからの相談で色々と力を貸すご様子


・アルフ

タリサ、マヤラ達の父親、兎族、風呂屋・松乃の番頭兼支配人

今回、何やらお客さんと言うか、茶飲み友達になるムスーリ達の為に頭を悩ませ、頑張るご様子


・リサ

朝倉町に在る病院の院長

今回、何やら愛満のお願いから塗り薬作りに精を出すご様子


・愛之助、光貴

今回、美樹の要らない一言でパニックになるご様子


・美樹

今回、要らない一言を言って黛藍から怒られるご様子


・黛藍

今回、美樹の要らない一言でパニックになった愛之助や光貴を見て、美樹に激怒するご様子


・山背

今回、4人が大騒ぎするなか、1人呑気にモシャモシャと自身イチオシになる『イチゴフローズン・スペシャル』を満喫しているご様子


・グレエテ

アルフ家長男ルクチの妻、兎族、風呂屋・松乃の仲居頭

今回、何やら大騒ぎしていた愛之助達を発見して、愛満の居る事務所へと案内してくれる




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ