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「牛肉とニンニクの芽の炒め」と美樹の思い出話



ジュ~ジュ~、ジュ~ジュ~

ゴーゴー、ゴーゴー


と、何やらフライパンで炒め物を炒める音や換気扇が回る音が台所内に響くなか。


「ホイホイッと………よっと、……………よしよし!こんなもんか。

あっ!わりぃわりぃ、黛藍………いや、ナイスタイミングか!

この『牛肉とニンニクの芽の炒め物』完成したからアッチのテーブルに運んでもらって良いか?」


「おっ!美樹が今朝『美味しい、美味しい』と話してた『牛肉とニンニクの芽の炒め物』完成したアルか?……………あっ!本当に美味しそうアルね!

オッケー、オッケー!了解したアルよ。

この『ゴーヤチャンプルー』と『茄子とひき肉の餡掛け煮』、『胡瓜と青じその梅わさび合え』、『トマトと新生姜のサラダ』なんかを運んだ後に持っていくアルよ。

ちょっと待っててアルね。」


「おぅ!サンキューな!」


何やら今朝、美樹が黛藍に『美味しい、美味しい』と自慢していたらしい『牛肉とニンニクの芽の炒め物』の肉料理が完成した様子で、一仕事やり終えた感満開の美樹が


「……えっと、……今日の晩飯のメインになる肉は炒め終わったとして、愛満が作り置きしてくれた茄子と鶏ひき肉を煮たヤツと、黛藍が好きなゴーヤチャンプルーだろう。

それに胡瓜の合え物、トマトのサラダなんかは黛藍が今さっき運んでくれてたとして

米は光貴がアッチでついでくれてて、飲み物関係は山背が準備すると言ってたし。

…………うんうん!後は愛満が作ってくれた冷製スープになる汁もんの『もずくスープ』をお椀についで運んだら晩飯の完成だな。

……………あっ!そうだ。確か冷蔵庫の中にオクラと長芋、明太子なんかを混ぜ合わせたネバトロが残ってたな。

どうせならアレを使って、光貴が好きな豆腐の上にかけて『おかず(やっこ)』にして1品加えるとするか!

…………うんうん!俺にしては上出来じゃねぇか!…………よし!これで彩りと共に栄養面もバッチリだぜ!」


指先確認しながら、し忘れた作業がないか確認しつつ。

少々時間はかかったものの。全ての作業を無事終えれた事にホッとした様子で胸を撫で下ろし。


更にはお昼に食べた海鮮丼の具材の1つになり。

小口切りにされ和えられたオクラや長芋、明太子が混ぜ合わされた『ネバトロ』なる物を光貴が好きな豆腐の上にかけてあげ。

『おかず奴』を本日の晩飯に加える事を思い付き。

美樹的にはバランスが取れた彩りや栄養面等に満足した様子で、思わずガッツポーズをとる。



◇◇◇◇◇



8月13日のその日、日本ではお盆初日になり。

家の門前や玄関口で麻幹や稲わらを燃やし火を焚き。先祖の霊を煙と共に家へと迎え入れる為、『迎え火』を焚くなか。


【ちなみに先祖の霊は送り火の煙に乗って家に入るといわれています。】


異世界の朝倉町に在る愛満宅では、女神様チートの1つ。お盆の期間帰省出来る自身の(チート)を使って、愛満と愛之助の2人が2日間だけのお盆帰省をしており。


そんな愛満や愛之助不在の愛満宅では、美樹が自身の好物の1つになる『牛肉とニンニクの芽の炒め物』の肉料理を大量にフライパンで炒め。腕を振るっていたのであった。



◇◇◇◇◇



「うんうん!いつ食べてもこの牛肉とニンニクの芽の炒め(もん)、本当に美味(うめ)なー!

くぅ~~~!ビールに合うぜ!美味(うめ)美味(うめ)~~~!」


片手にはキンキンに冷えたビールが(そそ)がれたジョッキ。片手には牛肉と共にニンニクの芽を見事な配合で箸に掴み口にした美樹が吠えるなか。

美樹と同じく晩酌組の山背が口をパンパンに膨らませてモグモグさせつつ。


「……モグモグ…………モグモグ……今日の晩飯を美樹が作ると聞き。一時はどうなる事かと心配しておったが、この牛肉とニンニクの芽の炒め物とやらは、独特の旨味と共にガッツリした味わいで、本当に旨いのう~♪

白米にもじゃが、良く冷えたこのビールにも合うのじゃ!」


美樹が自称作ったらしい『牛肉とニンニクの芽の炒め物』を絶賛してくれ。

美樹の正面に座る光貴も口をパンパンにさせたまま。山背の意見に同意するように大きく頷き。

隣に座る黛藍に口の端に付いた肉ダレの事を教えてもらい。更には濡れ手拭いで拭いてもらいながら


「コクコク!……モグモグ……モグモグ……ゴックン

美樹、美樹!この『牛肉とニンニクの芽の炒め物』本当に美味しいへけっね!

この独特の甘辛い味付けと、少しクタッとしてるけどシャキシャキした食感のニンニクの芽が良く合っててへけっね。知らず知らずのうちに白米が進むへけっよ♪」


「本当本当!美樹、この『牛肉とニンニクの芽の炒め物』、白米と良く合って、本当に美味しいアルよ!」


嬉しそうに満面の笑みを浮かべ。グットサインをくれる。


そんな光貴や黛藍、山背達3人の言葉に気を良くしたホロ酔い加減の美樹は


「おっ!そうだろう、そうだろう!

この『牛肉とニンニクの芽の炒め物』はな。俺も向こうで良く食ってた肉料理の1つになるんだけどな。

昔付き合ってた彼女が作ってくれた料理の1つになってさぁ。

いつもはちょっとアレな料理ばっかりだったんだけど、この『牛肉とニンニクの芽の炒め物』はマジ美味くて!

余りの美味さに今の山背や光貴、黛藍達みたいにベタ誉めした訳んだよ。」


「ホォ~~~!歴代の料理下手や、少々ブッ飛んだ元彼女が多い美樹にしたら、こんなに美味い肉料理が作れる元彼女と出会えたとは奇跡じゃのう~♪」


「えっ!?美樹の元彼女さんから教わった肉料理へけっか!?ビ、ビックリへけっ!!」


「ほ、本当アルか?あの美樹から聞いた元彼女達の中にこんなに美味しい肉料理を作れる元彼女が居たとは………………何やら怪しいアル……………。」


美樹の離しに三者算用のリアクションが帰ってくるなか。

3人のリアクションに美樹は大きく頷きながら


「そうそう!そう思うよなぁー!

でだ!そんな元彼女を誉め称えた俺は、何故か元彼女からマジギレされてよ。

訳が解んねぇうちに別れる事になって、…………まぁ、スゲー嫉妬深くて、美容室に来る俺の担当するお客さんにも嫉妬するくらいで、束縛の激しい奴だったから別れた事は別に良かったんだけど………。

あの美味かった肉料理がもう食えないのかと思ってショック受けた訳なんだよ。」


相変わらずの女運の無さを披露して


【ちなみに美樹と元彼女さんが別れた訳は、普段自分(彼女)が作る料理をあまり食べてくれず。

(一応は美樹も元彼女が作ってくれる手料理を頑張って食べはするものの。見た目や味等から、本人の意思とは別に体が拒絶反応を起こしてしまい………………。)

口では誉めてくれるものの。少々行動(食べる量など)がアレな美樹の態度に不満を持っていた元彼女が、ちょっとした悪戯(いたずら)心で、スーパーで良く見かける市販品の牛肉とニンニクの芽が味付けされたパックを買い。

市販品だとは内緒でフライパンで炒め、手料理だと話して出した所。

美樹がいつにない食い付きでバクバク食べ進め。

元彼女の顔色が変わった事に気付かぬまま。『美味しい、美味しい』、『また食べたい』等とベタ誉めした事に腹を立て、ソレがキッカケで別れる事になる。】


「他にも元々俺の実家じゃ、昔母ちゃんが牛肉が何か苦手らしくて、小せえ頃から牛肉関係の料理を食ってこなかったんだよ。

で、俺も知らず知らずのうちに大人になっても牛肉関係を避けてて

ある日実家に帰ったら父ちゃんや母ちゃん達が、俺がまた食いたいと思ってた『牛肉とニンニクの芽の炒め物』を偶然食ててさぁ。

『ハァ?』ってなったんだけど、どうやら知らず知らずのうちに母ちゃんも俺も牛肉食ってたらしくて

ほら!前に母ちゃんが香菜にハマって、バカみたいに食ってたって話しただろう?

そん時、良く食いに行ってた香菜料理のパクチー料理なんかに牛肉が使われてたみたいで

まぁ、俺も母ちゃんも父ちゃんにしろアレルギーが有った訳じゃないから良かったんだけど」


いつの間にか美樹の元彼女の話から母親の話に話題は変わり。


「おいおい、俺!今は家の母ちゃんの牛肉嫌いの話しはどうでも良いいだろう!………何やってんだよ!へへへ~♪」


何やら1人、ノリツコミみたいな事を披露しつつもビールがいつもより早いピッチでススみ。

顔を真っ赤にした酔っぱらい美樹君が、またまた自身の思い出話を話し続け。


「父ちゃんと母ちゃんが食ってた『牛肉とニンニクの芽の炒め物』をどうしたんだと聞いたらさぁ。

今日は1年に何回か有る『母ちゃん定休日』だって母ちゃんが言って

コレは父ちゃんがスーパーなんかで良く売ってる牛肉とニンニクの芽を味付けした商品を買って来て、フライパンで炒めた物だって聞いてさ。

ただフライパンで炒めるだけだし。簡単な事も相まって、それからは自分でも良く買って食ってたんだよ。

けど色々あってコッチに来てからは、あの肉料理の事も忘れてたし。愛満の美味い手料理で満足してたんだけど

ある日フッと、あの甘辛い味付けの『牛肉とニンニクの芽の炒め物』の事を思い出しちまって。

帰省する前に愛満にお願いして、今日の晩飯の為に仕入れて来てもらった訳なんだよ。」


そもそも愛満達の帰省1日目の夜の晩御飯の主菜(メイン)として、美樹オススメの『牛肉とニンニクの芽の炒め物』が登場した訳を話し終え。

更に続けて、そんな『牛肉とニンニクの芽の炒め物』の炒めるコツなどを話し始め。


「あっ、そうそう!この肉料理を炒める時のコツはな。

焼きすぎると肉が固くなっちまうから、ソコを気を付けながら焼き上げるのがコツで!

更には炒める時の油の量を考えなきゃ。炒めていくうちに肉からも油がドンドン出て来て、後で胃もたれする事になるから要チェックな訳なんだぜ!

まぁ、俺クラスになると油無しで炒めたり。

古いフライパンなんかで焦げ付きが気になる場合は、油用の霧吹きでフライパンに油を吹きかけてチャッチャッと炒める訳なんだがなぁ!

♪~♪~♪~~~♪~♪~~♪~~~♪~♪~~~♪」


最後にはご機嫌な様子で鼻唄を奏で始め。

結局、自身が『美味しい、美味しい』と話していた『牛肉とニンニクの芽の炒め物』を満足に食べないまま。

いつもより早いピッチでお酒を飲み過ぎた美樹は、畳の上にコテんと寝落ちしてしまうのであった。








【「牛肉とニンニクの芽の炒め物」と美樹の思い出話、の登場人物】


・美樹

今回、何やらいろいろと頑張ったご様子で、いろいろと思い出話を暴露する


・黛藍

今回、最近ハマっている緑のカーテンから収穫したゴーヤを使った

大好きな『ゴーヤチャンプルー』を晩ご飯に一人占めして食べれる事にお喜びのご様子


・光貴

今回、愛満にお昼ご飯に海鮮丼をリクエストし

お昼、夜とモリモリ美味しいご飯を食べつつも愛満と愛之助が2日間不在の為

皆に気付かれないように気を付けながらも、心の奥底では少々センチメンタルなご様子


・山背

今回、晩ご飯が肉料理だと美樹から聞き入れ

夜ご飯の為にと大量のビールを冷やしていたご様子


・愛満、愛之助

今回、自身の(チート)を使い実家に帰省する際、故郷に帰れない美樹、亮平達などを配慮して、始め帰省しないつもりだったのだが、美樹達からの強いススメも有り

心苦しくはあったものの、2日間だけの帰省を決めたご様子



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