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七夕菓子『索餅』と七夕と朝のお散歩



「女神様、女神様一族の皆様、おはようございます。愛満です。

今日は7月7日の七夕の日にあたるので、季節の和菓子と共に『索餅(さくぺい)』を作りお供えしに来ました。皆様で仲良く食べて下さい。」


「女神様、女神様一族の皆様、おはようございますでござるよ。愛之助でござる。

拙者もいつものように拙者達苺忍者隊が真心込めて育てた。今朝摘みたての苺をお供えしに来たでござるよ。

瑞々しくジューシーで美味しい苺でござるから皆様で仲良く味わって下さいでこざる。」


昨日まで降り続いた大雨が嘘のよう、少し暑いくらいに太陽がキラキラと光輝く、清々しい早朝の早い時間の中。

愛満と愛之助の姿は、2人が異世界にやって来てから365日休む事なく毎日行っている。早朝の日課の一つ。

女神様一族を奉る朝倉神社へと、その日愛満が朝早い時間から手作りし。万次郎茶屋で販売している季節折々の詰め合わせ和菓子セットに加え。

愛之助が手塩をかけ、真心いっぱいに育てた苺を奉納に来ていた。


そうして、いつものように奉納を終えた愛満達が女神様達へと感謝の心と共に手をあわせ。お参りしっていると何やら思い出したように愛満が遠慮しながら


「そして、………もし良ければでありますが

今日から2日間朝倉町で開催される『七夕祭』が何事もなく無事終えれますようにお守り下さいませ。」


今日から2日間 町で開催される『七夕祭』の無事を祈り。

愛之助が1日の中で一番好きな時間。愛満を一人占めでき、誰にも邪魔されずお喋りが楽しめる。早朝の散歩を(かね)た家路へと足を進めるのであった。



◇◇◇◇◇



「愛満、愛満!今日拙者がお供えした苺、女神様達みんな喜んでくれたでござるかねぇ?」


「そうだねぇ~。愛之助があんなに毎日こまめに真心込めて育てた苺だから、きっと喜んでくれたろうね。」


「そうでござるか!それは嬉しいでござる♪

あっ!それにしても、今日は朝から晴れておって良かったでござるね!

一昨日から雨が降り続き。今年の七夕祭りもまた去年のように雨になるかと思い。拙者、一昨日からヒヤヒヤしてたでござるよ。」


朝倉神社から自宅のある万次郎茶屋への桜の並木道を歩く、散歩を兼ねた帰り道。

愛満の隣で嬉しそうにニコニコと満面の笑みを浮かべた愛之助は、仕切りに愛満へ話題をふり話し掛け。

一昨日から降り続いた大雨が今朝は止み。晴れ渡った空を咲き誇る桜の花の間にチラリと見つつ。新たな話題にと、嬉しそうに愛満へと話し掛ける。


「本日だね。一時はどうなるかと開催委員の町の人達とハラハラしてたけど、今年は晴れて本当に良かった。

これで今年は晴れ空の下『七夕祭』が開催出来るし。夜は去年雨のため出来なかった。皆で夜空を見上げて天の川を観賞する。『天の川観賞会』が出来るね。

それから愛之助。ここ何日か毎日雨の中、いろいろアッチにコッチにと動き周り。お祭り準備手伝ってくれてありがとう。

竹の笹に飾り付ける小物や短冊、祭りのチラシ作り、他にもいろいろ手伝ってくれて本当に大変だったでしょう。

すごく助かったし。感謝の気持ちでいっぱいだよ。本当にありがとうね。」


ここ最近の雨空の下、七夕祭りの準備を頑張ってくれた愛之助を微笑ましそうに見詰めながら感謝の言葉を伝える。

そんな愛満の感謝の言葉に、兄者ラブの愛之助は照れくさそうにテレテレと照れ笑いを浮かべながら


「そ、そうでござるか(テレテレ)それほどでないでござるが~♪~♪♪

あっ、それより愛満。先程女神様達にお供えしていた『索餅(さくぺい)』と言うお菓子はなんでござるか?

何やら紐を編んだような見た目のきつね色の固そうな焼き菓子に見えたでござるが?

あっ、後、何故7月7日の七夕だからと言っていたでござるか?」


何やら照れ隠しするように話の話題を変え。

愛満が7月7日の七夕だからとお供えしていた『索餅』と言うお菓子が何なのか不思議そうに質問する。


「あぁ、それはね。『索餅(さくぺい)』とは、米粉と小麦粉、塩を練って程好い大きさにクルクルと形作り。揚げ焼きにしたシンプルな菓子になるんだけど、かつて中国では7月7日に亡くなった子供が悪鬼となり。

その霊を鎮めようと、その子が生前好物だった『索餅(さくぺい)』をお供えして鎮めたらしいんだよ。

で、その言い伝いがいつしか日本に渡り。七夕にはその『索餅』を食べ、無病息災を祈るようになっていったらしいんだよ。」


愛之助からの突然の質問に愛満は、そもそも『索餅』と七夕の日になる7月7日の繋がりを説明し始め。


「それにね。索餅は米粉と小麦粉を練ったものだっため。素麺の原型とも言われていてね。

いつしか索餅から七夕には『素麺』を食べるようになり。

あんまり知られていないかも知れないけど、七夕の行事料理は『素麺』になるんだよ。

だから七夕になると昔から婆ちゃんが織姫の織る五色の糸に見立てて、五色の素麺を茹でてくれたんだ。

だから最初は女神様達に去年みたいに五色の素麺をお供えしょうかと思ったんだけど、それじゃあ、少し味気ないかと思い。

今年は色とりどりの野菜を練り込んだ。五色の『索餅』を作ってお供えした訳なんだよ。」


異世界に来て以来。毎年7月7日の七夕の日になると和菓子と共に五色になる素麺を女神様達へとお供えしていたのだが、今年は野菜のペーストや身を練り込んだ五色になる『索餅』をお供えした訳を話し。


「後、他にも七夕にはお盆前に身を清める風習が結びついているから、夏野菜なんかの旬の野菜を天ぷらにした。

素麺や麺料理に相性ピッタリな『野菜の天ぷら盛り合わせ』なんかの精進料理も七夕料理にオススメなんだよ。」


「えっ!七夕料理に素麺は知ってたでござるが、七夕に精進料理でござるか!へぇ~~、知らなかったでござる。

それにしても夏野菜を使用した野菜の天ぷら盛り合わせでござるか!

う~~ん、拙者は野菜の天ぷらなら茄子の天ぷらが好きでござるよ♪愛満は何の野菜の天ぷらが好きでござるか?」


「そうだねぇ~。僕はクシ切りしたトマトを大葉で包んで天ぷらにしたトマト天ぷらが好きかな。」


愛満と愛之助の2人は、まだまだつきそうにない話に花を咲かせながら、行きよりもゆっくりした足取りで茶屋への散歩(帰り道)楽しむ(歩む)のであった。



◇◇◇◇◇



こうして今年もまた朝倉町主催の『七夕祭』は、女神様達が見守ってくれた事もあり。2日間大きなトラブルも無く。参加者達の笑顔に包まれた中、皆の頑張りのもと何事もなく無事終わる。





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