朝ごはんと何気無い朝の始まり
コケコッコーーーー♪
「………………もうお腹いっぱいで食べれないのじゃ……………ムニャムニャ…………」
「………くっ~、くっ~…………」
「…………………………」
その日愛満宅では、いつものように朝を知らせる鶏達の鳴き声が遠くの方から聞こえてくるなか。
昨日の夕方帰って来た愛満と愛之助のお土産話や、帰り際などに家族や村の人達からどっさり持たされた土産品の数々に大喜びし。
ある者(亀)は、お土産品の地酒の一升瓶の数々に頬擦りし。
別の者達は、飲み比べをして自分達の作る日本酒とのレベル差を痛感したり。
また別の者達は、婆ちゃんが持たせてくれた。お重一杯の『お稲荷さん』や『鮎の甘露煮』に歓喜の声をあげたりと、大喜びして宴会のようなものに発展し。夜遅くまで飲めや歌えとおおいに楽しんだため。
今日いつにも増して、各々が自室で深い眠りについていた。
◇◇◇◇◇
そんななか、何やら寝ぼけ眼の光貴は、美味しそうな匂いに釣られ目が覚め。
「………………う~ん、まだ少し眠いへけっ…………ふぁ~~ぁ!………うん!?…………なんか美味しそうなご飯の匂いがするへけっ!」
美味しそうな匂いのする場所へと、鼻をクンクンさせながら、ふらふらと歩き出した。
「お腹をくすぐる美味しそうな匂いへけっ♪………う~ん、この匂いはお味噌汁の匂いへけっね。良い匂いへけっ!今日のお味噌汁の具材は何だろうへけっ~~!
………うん!? この匂いは、甘い玉子が焼ける匂いにお魚が焼ける香ばしい匂いもするへけっ♪」
匂いの元を考えながら、ついついこぼれる笑顔を抑えきれずに少々危なげな足取りながら階段を下り。1階の長い廊下をふらふらと歩いていると
「愛満、『ほうれん草の胡麻和え』は大皿に盛り付けるアルか?それとも一人一人用に小鉢に盛り付けるアルか?」
「う~んっと、そうだね、今日は大皿に盛り付けようかなぁ」
「大皿アルね!解ったアル。」
「愛満、愛満!拙者も納豆、メカブ、オクラ、長芋、沢庵、鰹節、小ネギの『ネバネバ7納豆』の盛り付けまで完了したでござるよ!次は何をお手伝いしたら良いでござるか?」
台所で朝ごはんを作っている黛藍や愛満、愛之助達3人の声が聞こえてきて
「愛之助、ありがとう。なら次はね、この『牛肉と蓮根のきんぴら風』を大皿に盛り付けてもらおうかなぁ」
「このきんぴらを大皿にでござるね。解ったでござる。」
更なる美味しそうな匂いと共に、3人のやりとりから匂いの元の料理名が解り。
「……………ほうれん草の胡麻和えに……ネバネバ7納豆……………牛肉と蓮根のきんぴら風………名前を聞くだけでお腹が空いてきたへけっよ♪」
台所の出入口付近に座り込み。思わず料理名を呟いて、この後食べられる朝ごはんの事を考え一人ニマニマしていると
「ええっと、さっき愛満が『玉子焼き』を盛り付けていたでござるから、次は玉子焼きをテーブルへと運んで……………あっ、ついでに胡瓜や茄子のお漬物も運ぶでござるか
……………あれ、光貴起きてきたでござるか?昨日遅くまで起きていたでござるから、まだ寝てて良かったでござるよ。
それに廊下に座り込んで、朝は少し過ごしやすくなったとはいえ、まだ少し暑いでござるよ。
ほら、茶の間ならエアコンがついてて涼しいでござるから、廊下に座りこんでおらずに茶の間に行くでござるよ。」
盛り付け終えた朝ごはんのおかずを台所から茶の間のテーブルへと運んでいた愛之助に見つかり。光貴は声をかけられ。
エアコンの効いた涼しい茶の間へ連れていかれるのであった。
◇◇◇◇◇
そうしてその後、少々二日酔いに苦しむ者が居たりもしたが、愛満の力を借り復活すると、いつものように皆で美味しい朝ごはんをモリモリ食べ。
今日もまた、何気無い万次郎茶屋の1日が始まった。




