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わんこ蕎麦とコケ玉作りとみどりの日

今回話の主人公は愛満達ではありません。

愛満達の話をお待ちして下さる方達には申し訳ないです。すいません。


その日朝倉町では、昨日5月3日から土日を入れた7日までの5日間の日程で開催されている。町主催の『朝祭り』のみどりの日限定のイベントが町のアチラコチラに儲けられた特設会場で開かれていた。


ちなみにみどりの日だけの1日限定イベントの1つで、朝倉町町長の愛満から日頃の感謝を込めた大盤振る舞いで、朝倉町にある『風呂屋・松乃、風呂屋、植物園』などの入場料が無料になり。朝倉町の町民や町を訪れる人達なら今日1日だけ、誰でも無料で利用できるようになっている。



◇◇◇◇◇



そうして日によって毎日変わる限定イベントの1つで、みどりの日限定開催になるイベント教室『自然に親しむと共にその恩恵に感謝し、豊かな心を育む』を掲げた。


朝倉町に住み。『花太郎侍』と言う、自身の大好きな時代劇から命名した。初めて見た人には良く意味の解らない店名がついた花屋を営んでいる。

ケットシー族で灰色の毛並みが美しいカハシが教師を勤める『コケ玉作り』教室が開かれていた。


「みニャさん、おはようございます。今日はコケ玉作りに参加していただき、誠に感謝です。

この教室は、身近にある自然に親しむと共にその恩恵に感謝し、少しでも参加者のみニャさんの豊かな心を育み。日々の生活で、少しでも心にゆとりを生み出せればと考え開催された教室になりますニャ。」


愛満宅で愛之助達と見た時代劇の影響から日々着流し姿で過ごすカハシが、今日も見慣れた着流し姿でたすき掛けしてコケ玉教室の参加者達へと挨拶した。


すると参加者達の中に居たカハシと顔馴染みのケットシー族の幼い子供達が


「あっ!カハシだニャ!カハシおはようニャ~♪」


「カハシ兄ちゃん、難しいおはニャしはいいから早くコケ玉作ろうニャン!」


「そうだニャ!早く早く!」


「ニャ~~♪コケ玉作り楽しみだニャンねぇ!」


「ねぇねぇ、カハシ兄ちゃん!コケ玉ってどうやって作るニャンか?」


次の説明に移ろうとしていたカハシに話しかける。


「こら!お前達カハシが頑張ってるんニャから、無駄口叩いて邪魔するんじゃニャよ!」


「本当だよ。大人しくしてニャきゃ、この後ポポロの店で串焼き魚買ってあげニャからねぇ!」


「そうだよ。他のみんニャがカハシのはニャしをちゃんと聞いてるんだから、あニャた達もおとニャしくして、カハシのはニャしを聞きニャさい。」


「えっ!?それは困るニャン!ちゃんと良い子にしてるから後でポポロ兄ちゃんのお店で串焼き魚を買ってニャン!」


「そうニャン!カハシ兄ちゃんの邪魔はしニャいニャい!」


隣に座る親達から注意され、この後買ってもらう予定の串焼き魚の約束を子供達が必死に取り付けたりと

他の参加者が思わずクスリと微笑んでしまう可愛らしいハプニングがあったりしたものの。カハシは気を取り直し。


「それでは、先ほどコケ玉どうやって作るニャンかと質問がありましたが、今日みニャさんと一緒に製作する『コケ玉』は、みニャさんの目の前に置いてあるケト土:赤玉土(7:3の割合)を事前に混ぜて良くこねた土を使い。

この見本の泥団子(テニスボール大)位の大きさに丸めて下さいニャ。」


事前に作っておいた泥団子を参加者に見せながらコケ玉作りの説明し。皆が楽しそうに泥団子を丸め終わるのを確認すると


「次は、この赤い実をつけるニャンテン(南天)という植物を泥団子に植え込み。

土が見えニャいように、準備してあるコケを土の回り貼って下さいニャ。この時キチンとコケで土が隠れているか回りの人達と協力して確認してみるのも良いニャ。

そしたら玉全体を×印を描くように糸をかけて固定していき。

出来上がった人から準備してあるバケツの水に完成したばかりのコケ玉を2~3分浸けて欲しいニャン。」


続けて説明して、一人で参加している参加者や上手く出来ない人達の元を回り。手助けしていく。



◇◇◇◇◇



そんなコケ玉作り教室が開催されているかと思えば、別の会場では大食い自慢の者達が集まり。



「おっ!ゼッケン三番を着けている山背選手、開始25分ながら今食べた『わんこ蕎麦』で100杯目突破しました!

おぉ!そういってる間にゼッケン17番のマリア選手が115杯のわんこ蕎麦を突破しました!」



『良いぞーーーー!いけぇーーーー!ゼッケン3番!』


『山背頑張れへけっよーーーー!!』


『がんばりぇーーーー!』


『お母さん頑張れ~~~!ゼッケン17番ーーーー!』


『凱希丸おじさん頑張れーーーー!』


『ゼッケン8番頑張れーーーー!』


ステージ上で頑張る参加者達への歓声や応援の声が上がるなか


「いやいや、しかし今年初のわんこ蕎麦の大会アルが、どの参加者達もスゴいスピードでお椀の中の蕎麦を食べていくアルね!」


「昨日予選大会で、あんなに沢山のわんこ蕎麦を食べた同じ人とは思えないスピードですねぇ。」


毎度お馴染みの美樹と黛藍2人の進行で、朝倉町初の『わんこ蕎麦大会』が進んでいく。


ちなみに初の食べ物系のイベントと言う事で、町民達や町を訪れた人達が面白がり。有り難い事に沢山の参加者達が集まり。

今行われている本選出場者達は、昨日朝から早くからおこなった選考会を勝ち残った20名の猛者達になる。


◇◇◇


そうして『わんこ蕎麦大会』が盛り上がっている一方で、猛者達がまるで水を飲む用に蕎麦を食べ進めている。

その蕎麦を作っている調理場のテントでは、愛満や婦人会のご婦人達がモクモクと白い湯気が上がる大鍋を前に


「ハァ~~~、湯がいても湯がいても蕎麦が雲のように消えていくわねぇ………。」


「本当に、あの人どんな胃袋してるのかしら………」


「………つ、疲れた。私、もう腕がパンパンだわ……………」


ついつい出てしまう愚痴を話していると


「ちょっと、早く次の蕎麦茹でなくちゃ!さっき出した蕎麦がもう無くなりそうだって配膳担当の人達が言ってたわよ!」


「えっ!」


「う、嘘でしょう!…………あぁ~~~~もう一体誰よ!3時間のデスマッチとか言って、3時間も続くわんこ蕎麦大会にしたのわ!」


昨日のうちに沢山茹でた蕎麦を魔法袋に仕込んでいたのだが、それでも足りない『蕎麦』コールに、蕎麦茹で担当者達はてんてこ舞いになりながら、次に茹でる蕎麦の準備し始めた。



◇◇◇



そんな蕎麦茹で担当達が大慌てになってる頃。婦人会の休憩所では15分の休憩タイムをとっている1人の女の子から、同じように大きなため息がこぼれていた。


「ハァ~~~、ナメコ茹でるの疲れた………。」


蕎麦にトッピングするナメコを茹でる担当者の1人。

婦人会に参加する母親からのお誘いと言う名のお小遣いを人質にとられ。無理矢理お手伝いさせられている17歳のハナが、だらしなく椅子に座りながら、大きなため息をつく。


するとそんなハナの大きなため息に隣に座る。ハナと仲の良い友人で、同じく母親にお願いされて婦人会のお手伝いしている17歳のマーレットが


「何、ため息なんてついてるのよ。ハナはナメコを茹でるだけでしょう?まだ良いじゃない。私なんて朝からずっーーと胡瓜の千切り切ってるのよ。

私、今日だけで一生分の胡瓜を見た気がするわ。」


「えっ!マーレット、胡瓜担当だったの!?それは何と言うか、御愁傷様。私は料理が全然駄目で、逆に足を引っ張りかねないからって、お母さんから一番皆の邪魔にならないナメコ担当に回されたんだけど……」


「あぁ、ハナは料理だけはからっきし駄目だったもんね。」


「…………黙秘権を発動します。」


ハナとマーレットが最後の方は少しおちゃらけて話していると、ハナ達と同じく母親達から駆り出された友達のカトレアとリリィが冷たいお茶を持って来てくれ。


「そうそう。ナメコを茹でるのも大変だろうけど、私も朝からずっーーと牛肉の甘辛煮を作ってるんだよ。

あんな大量の美味しそうな牛肉の甘辛煮を前に、まるで生殺しの気分だよ!」


「ちなみには私は小ネギ切りねぇ。

まぁ、これでも飲んで残り後少し頑張りましょう!

それに愛之助なんて、朝からずっーーと魔法で長芋をすりおろしてくれて、トロロを作ってくれてるのよ。愛満にいたっては朝から一手に錦糸玉子を作ってくれてるし。私達も頑張らなくちゃ!」


4人の中で癒し担当のリリィがハナを励ましの言葉をかける。

すると愛之助や愛満がトロロや錦糸玉子を作ってる事を知ったハナ達は


「うゎ~~~、誰が一番大変な錦糸玉子受け持つかと思ったら、愛満が頑張ってくれてるの!?……それはナメコ茹でるだけなのに文句いってる場合じゃなかったわねぇ。」


「私も胡瓜の千切りぐらいで根をあげていられないわ」


「私も牛肉の甘辛煮作りながら味見できない事を文句言わないわ!」


1人少々検討違いな事を言い騒ぐなか、改めて一番大変な錦糸玉子作りや何気に大変なトロロ作りをしてくれている愛満や愛之助達に心の中で感謝する。


そうして残り短い休憩時間を休憩所に有る無料ドリンクコーナーからお代わりした冷たく冷えたカルピスをチビチビ飲み。


「…………けどさぁ~、だいたい一体何処の誰がわんこ蕎麦のトッピングの件承諾したんだろうねぇ!」


「本当だよねぇ!それな無かったら私達もこうして駆り出されなかったはずだし!」


「あっ、そうだ!私も気になって愛之助にコッソリ聞いたらねぇ。

愛満も昨日の予選会終わりに初めて聞いたらしく、婦人会の会長達に謝りながら1人夜遅くまで準備してたそうだよ。」


「えっ!何それ!?なら結局誰がオーケーサインだしたのよ?」


「それが予選会突破者達が蕎麦だけじゃ食べた気がしないって予選会後に騒ぎ足してねぇ。

なんか騒ぎを納めているうちに、気がついたなぁなぁで決まっていたんだって」


「はぁ~~~~何それ!?意味解んねぇよぉ!?」


「…………???」


「あっ!私解るかも」


残り短い休憩時間の間中、4人はお喋りに花を咲かせるのであった。



◇◇◇◇◇



一方コケ玉作り教室では、参加者全員が各々にコケ玉を作り終え。教師役を務めたカハシが満足そうに参加者達のコケ玉を見つめ。


「最後にニャりましたが、今日みニャさんが作ったコケ玉は、部屋の風通しのよい明るい日陰に置いてもらったりして

部屋の中に置いたままにせず、たまには外気浴もさせてあげてほしいニャン。

他にも水やりは1日1回水を張ったバケツなどに浸し。冬場は2日に1回のペースで水やりを心がけて下さいニャ。

それでは、今日は『コケ玉作り』に参加して下さり。本当にありがとうごニャいました。」


話して、コケ玉作り教室は無事終わり。参加者達は嬉しそうに自身が手作りしたコケ玉を持ち帰り用の袋に入れ、持ち帰るのであった。



◇◇◇◇◇



こうして、みどりの日限定に開催された沢山のイベント達は、参加者達が楽しみ。関係者達から少しの愚痴が出たりしながらも2日目も無事終った。




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