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和菓子『かるかん饅頭』のラビ・ピヨのイースター祭


「あっ、ソルティーとお婆ちゃんだ!

ソルティー大丈夫なの?お熱下がったの?イースターエッグ参加して大丈夫なの?」


仲良しのお友達と町中に隠されたイースターエッグを探しだし、ゲットする『エッグハント』に参加していた。

町から無料で町民に配布された。可愛らしいウサギがモチーフのワンピースと卵形のポーチを斜めにかけた。

タリサやマヤラの両親になるアルフ達の孫にあたる兎族のシュトゥーは、シュトゥーと同じワンピース姿の妹のソルティーと祖母のアコラを見付け。嬉しそうに話し掛け駆け寄る。


「あっ、お姉ちゃんだ。うん!ソルティーお熱下がったの!

それでね。お熱下がったから『エッグハント」に参加したいってお母さんにお願いしたら、今日はお母さんお仕事で一緒に回れないよって、断られちゃったの。

そしたらね。たまたま『竹の子の煮物』をおそわけ?に来てくれていたお婆ちゃんが一緒にエッグハントに参加しくれるって言ってくれたの♪」


祖母のアコラに抱っこされ。大事そうにイースターエッグ特製の卵をモチーフに作られた卵形の白い篭を持つ。生まれつき体の弱いソルティーが姉のシュトゥーに話す。


「そうだったの。熱下がって良かったね!

それにソルティーもエッグハントに参加できて本当に良かった。前から今年のイースター祭のエッグハントにまた参加したいって話てたもんね。

お婆ちゃんもせっかくのお休みなのにソルティーと一緒にエッグハント参加してくれてありがとう!

あっ、けどソルティー。いくら熱が下がったと言っても無理しちゃダメだよ。

それにお婆ちゃんの言う事を良く聞いて、少しでも具合が悪くなったら、お婆ちゃんに言って無理せず家に帰るんだよ。」


まだまだ10歳と言う年ながら、年のわりにはしっかり者のシュトゥーは、妹の体調が戻った事に喜びつつ。『エッグハント』を妹と一緒に参加してくれている祖母に感謝の言葉を伝え。

幼いため調子にのると少し無理してしまう傾向のあるソルティーに、無理をしないように注意する。


「は~~~い!」


「フッフフ♪シュトゥーは本当にしっかり者だね。

大丈夫だよ。シュトゥーが心配しないように、ソルティーが具合が悪くなる前にちゃーんとお婆ちゃんが家に連れて帰るから。

だからソルティーもお友達と一緒にエッグハント楽しんでおいでね。」


祖母のアコラがシュトゥーの頭を優しく撫でながら話しかける。すると祖母に誉められたシュトゥーは、照れくさそうにハニカミながら


「えっ!?そんな事ないよ、私なんてまだまだだよ。

それに私、将来はお婆ちゃんの病院で、お婆ちゃんみたいに患者さんや妊婦さん達み~んなを安心させられる産婦人科の先生になりたいから、今は毎日お勉強にお手伝い頑張っているんだ。」


朝倉町でただ一軒だけ有る。産婦人科医院で産科医をしている祖母のアコラに憧れているシュトゥーが話。話を変えるように


「あっ、そうだ!ねぇねぇ、ソルティー。ところでソルティーは何個イースターエッグ見付けられた?」


つま先立ちになりながら、祖母に抱っこされたソルティーが持つ篭の中を除き混む。

そんな姉のシュトゥーからの問い掛けに、少し自信満々の様子のソルティーが満面の笑みを浮かべ。


「えっとねぇ~♪私は、」


シュトゥー達が見つけたイースター・エッグの数を楽しそうに教えあって話す中。

その日 朝倉町では、街主催の第2回目になる『第2回イースター祭』が朝早くから開催されていた。



◇◇◇◇◇



そうして愛満が営む万次郎茶屋でも、朝早くからイースター祭の『エッグハント』に参加する愛之助達を送り出した後


「ありがとうございました。またどうぞ~♪」


「お買い上げありがとうなのじゃ~♪」


イースター祭で賑わっている店先に臨時のお店を出店し。街中を楽しそうに|『エッグハント』《イースターエッグを探し》している人々達へと。

イースター限定の長芋を使った軽い口当たりになる『イースター・ラビット饅頭』と『イースター・ピヨ饅頭』の可愛らしい見た目の2種類の『かるかん饅頭』を販売していた。


「フッフフフフ~♪愛満、今日はこんなに人が多いから本当に(ほんに)稼ぎ時じゃのう~♪」


「そうだね~。けど、まだまだ2回目になるイースター祭なのに。今年も町の人達や沢山の観光客の人達がイースター祭に参加してくれているよね。有難い事だよ。」


片方は儲け時、片方は街が目に見えて賑わい、発展している様子を嬉しそうに笑顔を浮かべ話。

目の前に並べられたイースター祭限定の2種類の『かるかん饅頭』を山背が見詰め。


「それにしても、愛満や。この2種類の『かるかん饅頭』は、兎やヒヨコの形をしておって本当に可愛らしいのう~♪

それにこの桜の花をモチーフにした箱に詰められておるのも、また可愛らしさを演出するのにプラスしておるのじゃ。

うんうん、実にナイスなのじゃ!」


イースター祭1日限定になる。兎やヒヨコの形をした2種類の『かるかん饅頭』や、その饅頭セットが詰められた桜の花がモチーフになった箱を誉めてくれる。


そんな山背の突然のお褒めの言葉に、愛満は嬉しそうに微笑み。


「フッフフフ~♪それはそれは、ありがとう。

そうだ!そんな嬉しい言葉を伝えてくれて、今日も朝早くから頑張ってくれている山背へのご褒美じゃないけど。

兎とヒヨコをモチーフにした『ラビット饅頭』と『ピヨ饅頭』にプラスして、山背へのサプライズプレゼントにもなる。

この山背をモチーフにした『亀饅頭』

光貴をモチーフにした『キリン饅頭』

黛藍をモチーフにした『パンダ饅頭』

そして美樹、愛之助、僕達の顔をモチーフにして作った『かるかん饅頭』の『茶屋家セット』をセットにしてプレゼントするね。」


テーブルの下に隠していた。卵形の白い2段のお重に詰め合わせた。かるかん饅頭の『茶屋家セット』と、大通りを歩くお客さん達にも見えるように大きなタライに氷水と一緒に冷たく冷やしている緑茶のボトルと一緒に山背へとプレゼントしてあげ。

山背のオデコから流れる汗を手拭いてサッと拭いてあげて、茶屋内で一休みしておいでと送り出す。


すると山背は愛満を1人にするのは悪いからと頑なに断り。

赤いクロスがかかって商品が並べられた。愛満が立つ隣のテーブルの影の方に行き。大通りを歩く人から見えにくいように自身の魔法バックから畳とミニちゃぶ台、座布団がセットになった物を取り出し。その場で、ちゃっかり休憩をし始め。


「ふぅ~~~♪最近とんと春のポカポカ陽気になってきたから、のど越しスッキリの冷たい緑茶が旨いのう~♪

あっ、愛満もソコの空いてる畳に座って緑茶でも飲まんかのう~?」


美味しそうに緑茶を飲むと、空いてる畳スペースを指差し。

そんなマイペースな山背の姿に、思わず吹き出しそうになっている愛満をお茶休憩に誘う。


「う、ううん。僕の方はまだ大丈夫だから山背は休めるうちにしっかり休んでおくと良いよ。」


「うん?そうかのう~、……………そう愛満が言うならしょうがないが………本当に大丈夫かのう?」


「うん、安心して。僕もちゃんと脱水症状対策に合間合間にお茶を飲んでるし。

疲れたら山背の、その空いた畳スペースで休ませてもらうつもりだから大丈夫だよ。心配してくれてありがとうね。」


「いやいや。当たり前の事じゃから、お礼など言わずに大丈夫じゃ。

しかし、そうかそうか。ならお言葉に甘えて、ワシは今のうちに休憩させてもらうかのう~。」


山背は愛満に断りの言葉をかけ。いそいそ自身がモチーフになった。亀の形をした『かるかん饅頭』をお重から取り出し。嬉しそうにニコニコと微笑みながら饅頭を頬張り。


「ムホ~~~♪なんじゃあ、この饅頭!!スゴーーく旨いぞ!

饅頭の皮がフアフアとした軽い口当たりをしておって、中に入っておるこし餡のなめらかな舌触りと良く合っておって旨いのじゃ!」


何やら感動した様子で、愛満に迷惑がかからぬように小声で話ながら夢中で饅頭を食べ進め。


「……モグモグ………モグモグ……うんうん、この饅頭旨いのじゃ!……モグモグ………モグモグ。

のう愛満、このかるかん饅頭とやらは、本当に旨いのう~♪

愛満が作ってくれる饅頭をいろいろ食べたはずなのじゃが、この食感や口当たりの饅頭は始めてなのじゃ!

……………うんうん、……………モグモグ……モグモグ………やっぱり旨い。」


『かるかん饅頭』をモシャモシャ食べながら、ちょっとだけ愛満へと話しかけ。

また小声で「美味しいのじゃ、美味しいのじゃ」と独り言を話ながら、かるかん饅頭を夢中で食べ進める。


そんな山背の可愛らしい様子を微笑ましそうに接客の合間チラチラ見ていた愛満は、お客さんの波が引き。一息ついた事もあり。


「山背、さっきはありがとね。

そんなに「美味しい、美味しい」と喜んでくれて、作り手としては、食べてくれた人が美味しいと言ってくれると本当に嬉しいから作ったかいがあったよ。

それにこの『かるかん饅頭』はね。長芋とメレンゲを使った饅頭生地になるから、山背がさっき感じた饅頭の軽い口当たりは、そのためになると思うんだ。」


かるかん饅頭の生地に長芋とメレンゲを使用している事を話と


「ホォ~~!饅頭の生地に山芋とメレンゲを使っておるのか!?それは驚きじゃのう~!

しかし山芋とメレンゲかのう~……………う~ん、まるでお好み焼きの生地のようじゃのう!」


「あっ、そうだね。生地に山芋とメレンゲなんて、山背の言うようにお好み焼きの生地みたいだね。フッフフフ~♪」


山背のお好み焼きみたいだとの話に愛満も納得しながら、ついつ笑みが溢れる中。愛満は話を続け。


「あっ、それでね。昔ながらの本当の『かるかん饅頭』には、メレンゲ(卵白)は使わないらしいんだ。

けど、この『かるかん饅頭』みたいにメレンゲ(卵白)を加えて作ると、独特のフカフカした軽い食感の饅頭になってね。

卵白無しで作るよりも失敗が少なくなるし。長芋が入ってるから冷めても柔らかく、深い味わいがでて美味しいんだ。」


「ホゥ~~、卵白無しの『かるかん饅頭』とやらも気になるところじゃが、本当にこのかるかん饅頭とやらは旨いのう~♪

作るの大変じゃったじゃろう?愛満、ありがとのう~。

…………モシャモシャ……モグモグ……………しかし、本当にこのワシ!!や光貴、黛藍、愛満達の茶屋家セットは見ておるだけで心が和むし。イースター祭限定の兎やヒヨコモチーフのかるかん饅頭も負けじと可愛らしく。それにいて美味しくも有り、全部まとめてナイスなのじゃ~♪」


愛満の話を聞き。特にワシの部分を強調して、更に『かるかん饅頭』や愛満宅住む人々がモチーフになった『茶屋家セット』の見た目や味の事を山背が誉めてくれ。

愛満は、そんな山背についつい溢れてしまう笑い声と共にお礼の言葉を伝え。


「ハッハハハ~♪ありがとう。特に山背をモチーフにした饅頭が良かったんだね。

了解了解。今度また山背をモチーフにした饅頭を作る時は参考にするね。」


お客さんの波が今だ引いている事もあり。山背との話を続け。簡単にでは有るのだが、『かるかん饅頭』の作り方を話始め。


「実は、山背がさっきから誉めてくれている。この『かるかん饅頭』そんなに難しくなくてね。

材料にしても手に入りにくかったり、難しい食材も要らないし。

長芋とメレンゲ用の卵白、砂糖、上新粉、こし餡だけで作れるんだ。作り方にしても、簡単に説明するなら

長芋と水、砂糖を混ぜ合わせ。ソコに上新粉を加えて、また混ぜ合わせ。

メレンゲ用に準備した卵白と砂糖を使って、メレンゲを作り。

そのメレンゲを長芋や上新粉を使った生地に2回に別けて加え。20分ぐらい生地を寝かせるんだ。

そして『かるかん饅頭型』や丸い型に寝かせた生地を半量入れ。丸めておいた『こし餡』を真ん中にのせ。その上からまた生地をかぶせ。最後は蒸し器で蒸したら『かるかん饅頭』の完成になるんだよ。

ねっ、難しく考えなければ以外と簡単でしょう?」


「ほうほう。そんな風にして、この『かるかん饅頭』は作られておるのじゃな!」


「うん。あっ、けど今日はイースター祭用の特別な饅頭だから、ソコに更に色付けしたり。焼印、目を書いたりしたりしたけどね。」


愛満と山背の2人が『かるかん饅頭』を話題にノホホ~~ンと話していると、また新たなお客さんの波が訪れ。

休憩を切り上げた山背も加わり。2人は忙しそうにお客さん達を接客するのであった。



◇◇◇◇◇



こうして街主催の2回目になる『第2回イースター祭』を参加者達は心行くまで楽しみ。

お店を持つ者達は、またとない儲け時と各店舗がイースター限定の商品を販売し、ガッツリお客さん達へと売り込み。儲けさせてもらうのであった。




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