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花咲か爺さんとポチのキャラ弁とお花見



「愛満、ここでござるか?」


「そうそう、そっちの端を押さえていてね。」


その日 愛満達の姿は、朝倉町にある桜が咲き乱れる広大な桜園の一角にあった。


「よし、これで完成!お待たせ、みんな炬燵に座って大丈夫だよ。中に湯タンポが入ってるから、ずっと足で触って低温火傷しないように気をつけてね!」


キャンプ用品をフルに使い。寒さ対策バッチリの花見席を作っていた愛満は、周りでお手伝いしてくれていた愛之助達に声をかけ。皆で仲良く即席炬燵に足をいれる。


「ふぅ~~♪湯タンポが中に入ってるから温かいへけっね。」


「本当だ~♪足先からじんわり温かくなってきて最高だね!」


「ぬくぬくね♪」


清明を過ぎたとはいえ、まだまだヒヤリと寒さを感じられる今日この頃、鼻の頭や頬をほんのり寒さで赤くした光貴やタリサ達が即席炬燵の温かさに嬉しそうに話す。


そして、頭上に咲いてる桜の花々を観賞しながら楽しそうに


「桜綺麗でござるね♪」


「ほんちょにきれいじゃね♪」


「まるでお空中にピンクの絨毯を敷いたみたいへけっ~♪」


「風情があるのう~~♪」


「本当だよね!……あっ、けど、どうしてアッチの桜の花は枝が垂れされて咲いてるのに、コッチの桜の花は垂れてないの?

それに一重に咲いてる花や、沢山の花びらが集まって咲いてる花とかいろいろ有るのはどうして?」


タリサが桜の木や花びらの違いを不思議そうに愛満に訪ねる。


「あぁ、それはね。アッチに咲いてる桜の木は『枝垂(しだ)れ桜』と言ってね。『江戸彼岸桜(えどひがんざくら)』の変種で、枝が糸のように長く垂れ下がる品種になり。揺れる枝に咲く花が柔らかい風情を醸し出していて、美しいんだよ。」


「へぇ~♪桜の木にもいろいろな種類が有るんだね!知らなかった。」


「そうなんだよ。それにね、この沢山の花びらが集まって咲いてる花は『八重桜』と言ってね。一般に『里桜』の八重咲品種の品種になって、タリサ達が良く口にしている『桜花の塩漬け』はこの花を用いているんだよ。

他にも一重に咲いてる桜の花は『染井吉野(そめいよしの)』という品種の桜の木になってね。

学校や街路樹、花見の名所に多く植えられていて、桜と言えばこの花と言われるほどのポピュラーな桜になるんだ。」


愛満が桜の種類の事を話す。すると話を聞いていた愛之助も得意気に


「ちなみに『染井吉野』の元となった桜の種類の1つ、『大島桜(おおしまざくら)』は、桜餅などに使う『桜葉の塩漬け』の葉っぱになるでござるよ!

それにしても桜の木は、花も葉っぱも美味しく食べられ。木も燻製や染め物にも使える素晴らしい多才の植物になるでござるもんね。」


話し、皆で仲良く花見見物を楽しむ。



◇◇◇◇◇



そうして皆で花見見物を楽しみながら桜の花のお絵描きや、桜の花を使った押し花作りを楽しんだ愛満達は、お腹も空いてきた事もあり。持参した花見弁当を食べる事にする。


すると何やらいたずらっ子のようにニヤニヤして、少しもったいぶりながら一人一人用にお弁当袋に包まれたお弁当箱をバックから取り出していた愛満が


「実はね、今日は今年初めてのお花見だから、いつもと少し思考を変えて一人一人用にお弁当を作ってみたんだ。」


興味津々にお弁当箱が包まれたお弁当袋を受けとる愛之助達へと話し。各自がワクワクした様子でお弁当箱の蓋を開けていく。


するといつもと違うお弁当の中身に、タリサ達が


「うゎ~~~何コレ!?お爺さんがお弁当の中にいるよ!」


「本当でござる!?………あっ!このお爺さん、もしかしてこの前みんなで読んだ『花咲か爺さん』のお爺さんではござらんか?

ほら、横に『ポチ』もいるでござるよ!」


「言われてみれば、そうへけっ!お爺さんが咲かせた桜の花もお弁当の中で沢山咲いてるへけっもんね。

それにお爺さんが被ってた赤い帽子をお弁当の中のお爺さんも被ってるへけっから間違いないへけっよ。」


「ほんちょじゃ!はなしゃかじいしゃんとポチがおべんちょうのにゃかでたのしちょうにおはにゃみしているにぇ♪」


「本当じゃのう~♪実に良くできておって、旨そうなのじゃ!」


愛満が朝早くから端正込めて作ったお弁当の中身を嬉しそうに除き混み話す愛之助達に愛満も嬉しそうに微笑み。

おしぼりや持参した保温カップ入りの豚汁を渡すと、愛之助達は待ちきれなかった様子でおしぼりで手を拭き。

『いただきます』と食事の挨拶を口々にすると、自身のお弁当の中身を嬉しそうに見ながらモグモグと食べ始める。


「う~~~ん♪美味しい!花咲か爺さん食べるの可愛そうかなっと思ったけど、食べたら鮭お握りで美味しいね!

それに顔や着物、帽子が海苔やチーズ、ハム、カニカマで作られていて、全部食べれるのがスゴいや!

愛満、忙しいなか、こんな美味しいお弁当作ってくれてありがとう♪」


「……モグモグ……モグモグ……このお弁当、見た目だけじゃなく、味もスゴく美味しいでござるね。

拙者はポチから食べたでござるが、はんぺんと海苔で作られており。はんぺんの中に拙者が大好きな明太子マヨネーズが入っておって美味しかったでござるよ!

それにお花の形をした『だし巻き玉子』も可愛いでござるし、特にこのコリコリした竹の子の食感が楽しめた、照り焼き味の『つくね団子』が美味しかったでござるよ♪」


「どれもこれも頬っぺが落ちそうなほど美味しいへけっ!

僕、愛満が作る煮物大好きへけっだから、今日の花形に形どられた人参や大根、蒟蒻なんかが入った可愛いらしい煮物が一番美味しかったへけっよ!」


「かぁ~~~!本当に旨いのう~♪ワシの好きな辛子蓮根の明太子版の『明太子蓮根』が入っておって最高なのじゃ!

それに手間隙かかっただろうに、わざわざ蓮根が花の形になっておって、見た目からでも楽しめるのじゃ。

あぁ~~~この場にお酒が無いのが残念なくらいじゃ!」


「……モグモグ……はぁ~おいちい♪このさくらのはにゃ、なにゃんでできてるんだろうとおもちぇちゃらハムでできてるんだね。おいちい♪」


皆が美味しそうにお弁当を食べるなか、それぞれのコップに緑茶をそそいであげていた愛満が


「皆が美味しいって言ってくれて良かった。

まだまだ少し肌寒いけど、今年初めてのお花見になるから、いつものお弁当と少し思考を変えて、見た目からでも楽しめて皆の思い出に残るようなお弁当をと考えたんだ。

それで、この前皆が楽しそうに読んでた『花咲か爺さん』の絵本を元に桜繋がりで、この『花咲か爺さんとポチ』のキャラ弁を作ってみたんだ。」


話し、皆が美味しそうにお弁当を食べてくれている姿を見て、嬉しそうに微笑むのであった。



◇◇◇◇◇



こうして、愛満達のお花見は和やかな時間のなか過ぎていく。


ちなみにその後、タリサ達の話から『花咲か爺さんとポチ』のキャラ弁の事が母親のアコラに伝わり。

アコラから娘達に伝わって、朝倉町の中でちょっとしたキャラ弁ブームが広まり。一時期の間、万次郎茶屋にてキャラ弁当作りの教室が開催される事になるのであった。





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