桜マシュマロとホワイトデーとボタン
こねこね♪こねこね♪
「そうそう、粘土で作ったパーツを馴染ませるようにして形を整えるのじゃ。」
「………山背、こう?」
「うむうむ、そんな感じなのじゃ!」
山背が子供達に教えてくいく。その横の作業班では美樹が
コロコロ~♪コロコロ~♪
「こんな風に丸や四角、雫、星、ハートの形に形作っても可愛いでござるよ。
もちろん拙者の大好きな苺型やマイ○ロちゃん型、マイメロちゃんのいつもしているリボン型の押し型もオススメでござる!」
手で形作る簡単な丸や四角を説明しながら、愛之助が事前に用意したシリコン型のマイ○ロちゃんや苺、リボン、薔薇の小さな型を見せて説明する。
トントン♪トントントン♪ぷすぷす♪ぷすぷす♪
「手で形作り棒状に伸ばした粘土は、年長の者達がスライサーを両手に持ち、上からゆっくり2~3mmの厚さに切りるアルね。押し型で形作った粘土は型から出しアルよ。」
「……このくらいの厚さ?」
「そうそう、そんな感じな!そしたらボタンにするために針を使ってボタンの穴を2ヶ所、こういう風にプスプスと開けていくだぜ、いいかぁ?
そんで針やスライサーは危ねぇから、怪我しないように十分気をつけて使用するんだぞ!」
「「「は~~い!」」」
黛藍や美樹達が子供達に説明したり、怪我をしないように注意する。
◇◇◇◇◇
その日 万次郎茶屋では、苺忍者隊の男の子の隊員達や山背、美樹や黛藍達が集まり。何やら楽しそうに作っていた。
「よ~し、出来た!」
「僕も出来たへけっ!」
「拙者も出来たでござるよ!」
「僕も出来た!ねぇ愛満、後はこのボタンを天板の上に並べて焼いて冷めたら完成なんだよね?」
愛満の友達の1人でもある弥生が、マヤラ達やチビッ子組の子供達の手助けをしている愛満に話しかける。
◇◇◇
この弥生、愛満や愛之助達とも仲の良いお茶飲み友達の1人で、リーフやタイタンの話から朝倉町へと移住して来た半神族の人族になり。
今日も万次郎茶屋でまったりお茶や愛満お手製の季節折々の和菓子を楽しみに来たはずが、気がつけばチビッ子組に手を引かれ、万次郎茶屋一角で開かれていたホワイトデーお返しのボタン作り教室に参加していたのであった。
◇◇◇
「うん、そうだよ。それで焼き上がって冷えたら可愛くラッピングしてホワイトデーのお返しのボタンの詰め合わせの成だよ。
あっ、こっちの皆は作り終えたみたいだね。なら第一団を焼きますか!」
愛満は話し、余熱していたオーブンへと愛之助達が手作りした色とりどりの『ボタン』を焼き始める。
先程から言われている粘土とは、樹脂粘土の粘土になり。この樹脂粘土からアクセサリーやボタンが作れ。
様々な色合いの樹脂粘土を組み合わせては、三角や四角のモチーフ柄、ストライプ柄、花柄、レモン、ライム柄、マーブル柄などの様々な柄を作り出し。
ボタン用の押し型に押し付けたり、様々な形に手で形作り、皆でホワイトデーへのお返しの品を作っているのだ。
実は今年もホワイトデーの日が近付くにつれ。去年のようにはならないようにと愛之助達がホワイトデーのお返しの品をと考えていたのだが、なかなか良い品を思い浮かばず。困り果てた愛之助達が愛満へと相談。
すると愛満が樹脂粘土を使い、最近裁縫倶楽部の奥様方から聞いて知った。
村で不足している木ボタンの変わりにと色合いのカラフルなボタンを自分達の手で1から作り。ホワイトデーのお返しの品にしょうと考えたのだ。
ちなみに王都や栄えている街などでは、王族や貴族、大商人、成金用などにキンキラ金のボタンや宝石のボタンが売られており。
庶民用などには、石や木を加工したボタンが一般的に売られている。(朝倉町では木のボタンが一般的に使用される。)
◇◇◇◇◇
そうして樹脂粘土を使ったボタンが焼かれているなか、ボタンを作り終えた参加者達へと片付け手洗いをしてもらい。
「みんな、ボタン作りご苦労さま!
はい、頑張ったご褒美の『ホットミルク』と『桜マシュマロ』だよ。
このホットミルクに桜マシュマロを浮かべて飲んでも美味しいよ。」
愛満が声をかけ、皆の前に白い湯気上げるホットミルクと桜マシュマロを置いてあげる。
すると愛満の話を聞いた子供達や愛之助達は、楽しそうにホットミルクに桜マシュマロを一つ、二つ、三つとカップに入れ。次いでに口にも一つ、二つと放り込み。
「うゎ!この桜マシュマロスゴいね。桜の香りが口中に広がる♪」
「ちゅごい!マチュマロちょけちゃよ!」
「本当でござる!マシュマロ特有のもにゅもにゃした食間でござるが、あっという間に口の中で溶けるでござるよ!」
「面白い食間で、甘くて美味しいね♪」
嬉しそうに話していると、ホットミルクに入れた桜マシュマロが溶けるのを楽しそうに見ていた光貴達が
「うわ~~~!桜マシュマロ溶けてきたへけっよ!」
「本当だ!ホットミルクの熱で桜マシュマロが徐々に溶けていくぜ!何だコレ、面白れえ!」
「ねぇねぇ、スプーンで混ぜて見てよ!コップの中のマシュマロが散らばって、桜の花弁が散らばったみたいで綺麗だよ♪」
「それに美味しい♪」
「うんうん、本当に美味しいアルね♪」
桜マシュマロの感想をみんなが楽しそうに話す。
そんななか愛満と同じテーブルに座り。まったりと桜マシュマロやホットミルクを楽しんでいる弥生が
「本当に美味しいね、愛満。けど桜の香りするお菓子なんて初めて食べたよ。前に住んでた王都なんかじゃ甘ければ甘いだけ美味しいなんて言う馬鹿な基準があったからね。」
「えっ!やっぱりその話本当だったんだ。前に凱希丸さんや他の皆も言ってたけど、まさか一番栄えてるはずの王都でそんな事は無いだろうと思ってたんだけど…………。」
「フッフフ~、それがまさかなんだよ。前に好意にしていた貴族の屋敷に招かれ、王都1人気と言われている菓子屋のケーキを食べた時なんて…………」
お互いに苦笑いしながら、王都でのお菓子事情を話し始めるのであった。
◇◇◇◇◇
そうして和やかな雰囲気のなか、次々とボタンが焼き上がっていき。
可愛らしくボタンの詰め合わせを袋詰めしたり、桜マシュマロとセットにしたホワイトデーのお返しをラッピングしていて、ホワイトデーのお返しを貰った村の老若男女達大喜びのボタン作りは無事終わるのであった。
ちなみに朝倉町では、愛の告白と共に日頃の感謝の印でチョコを渡すとも考えられているため。友チョコも盛んに交換されていた。
◆◆◆オマケ◆◆◆
「えっ!弥生、こんなにボタン作ったの!?
それにプレゼントするって……ありがたいけど、せっかく弥生が頑張って作ったのに勿体無くない?」
あの後、樹脂粘土のボタン作りにハマった弥生が沢山のボタンを持ち万次郎茶屋へとやっと来店し。お茶を楽しむ次いでだと愛満に、種類様々な大量のボタンをプレゼントしてくれる。
「そんな事気にしてるの?アハハハハハ~~♪気にしなくて大丈夫だよ。
あの後、残りの樹脂粘土貰って家に帰っていろいろ調べたら、同じような物を魔法で作り出せたし。
家にもこの3倍のボタンが、まだまだ有るんだよ。だから愛満が貰ってくれなきゃ家中がボタンに占領されちゃうよ。」
愛満の問いに笑って返す。そんな弥生の話しに、愛満は大量のボタンのプレゼントをありがたく受け取り。
せっかくならと弥生が話す貯まっていくだけのボタンを活用するため、『ボタン屋』さんを開く事を進め。
愛満の力を使い増築した店舗件自宅のボタンの形をした看板が目印になり。朝倉町初の半神族で人族の弥生が営む。
様々な種類の形や柄が有り、色とりどりのボタンを取り扱う『ボタン屋』さんが、朝倉町のご婦人方やオシャレ好きな人達から大歓迎されるなか、開店するのであった。




