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和菓子『オレンジ求肥』と霙雨


その日 万次郎茶屋では、朝から止んだり降ったりの(みぞれ)まじりの雨で、不安定な天候になり。

花夜の所や外で遊べない事を愛之助達が、茶屋内の窓に張り付き、プンプン怒っていた。


「はぁ~~~!昨日までは風が冷たいだけで晴れていたでござるのに、どうして今日は霙まで降ってくるでござるかね。(おこ)でござるよ!」


「本当だよね。どうして霙が降ってくるんだろう!タリサもプンプンの怒だよ!」


「マヤラもおこにぇ!」


「そうへけっ!せっかく一昨日から花夜の調子が良いへけっから、今日も外で遊べると思ったへけっが、怒へけっ!」


するとそんな愛之助達の姿を見てクスクスと微笑ましそうに笑っていた愛満が


「そんな事言わないの。ほら、みんなが好きなオレンジを使ったお茶菓子の『オレンジ求肥(ぎゅうひ)』を作って来てあげたから機嫌なおしな!」


お皿に乗ったオレンジ色の『オレンジ求肥』や緑茶を愛之助達のお気に入りの炬燵の上に置いてあげる。


すると甘い物好きな愛之助達はチョロいもので、『えっ!茶菓子?オレンジ?甘い物?』と喜び。いそいそと霙や天候の事など忘れ、炬燵へと戻って来る。


「うわ~~~本当にオレンジ色のぎゅうひへけっ♪

それにコロコロとした丸い金柑サイズで可愛いいへけっ♪愛満、食べて良いへけっ?」


「本当だ!オレンジ色で小さい蜜柑みたい!」


大好きオレンジを使ったお茶菓子の求肥(ぎゅうひ)を早く食べたい光貴達が愛満に聞き。了解を得ると早速モリモリと食べ始めていく。


「………うんうん!求肥のモチモチした食感にオレンジの皮かな?それのほのかな酸味や甘味がプラスされて美味しいね♪」


「本当へけっね!それにぎゅうひから、ほのかなオレンジの風味が感じられ美味しいへけっ♪」


「本当に美味しいでござるね。オレンジ色で小さなオレンジ?蜜柑に見立て形も可愛いいでござるし♪

オレンジの風味や味わいが楽しめて満足できる1品でござる!」


「ほんちょうにおいちいにぇ♪マヤラオレンジちゅき!」


『オレンジ求肥』を誉めてくれる4人の感想を聞き。


「本当に!ありがとう。

実はね、今朝飲んだオレンジジュースが半端に余ったからね。

……あっ!ほら、この前なんかスゴく機能が良いミキサーを美樹が仕入れに着いて来て、手に入れたでしょう?

それでフルーツジュース作りにドハマりしちゃて。

今、国産のオレンジが旬だからって、美樹が毎朝旬の果物をジュースにしてくれてるのを、今朝はオレンジを使ってジュースにしてくれたんだ。」


今朝、オレンジジュースを飲んだ訳や美樹がフルーツジュース作りにドハマりしている事をサラッと暴露する。


「それでね、皆で分けて飲むにもオレンジジュースの量も足りないし。もったいないから、そのオレンジジュースを使い。

食べやすい大きさに刻んだオレンジピールと白玉粉、水飴、砂糖を使って『オレンジ求肥』を作ったんだ。

最初はオレンジピールを入れる予定は無かったんだけど、オレンジジュースだけで綺麗なオレンジ色にはなってくれても、味の方が少しぼんやりしててね。オレンジピールを足してみたんだ。」


愛満が『オレンジ求肥』が完成した裏話をする。

そうして愛之助達が『オレンジ求肥』を楽しんいると、茶屋の扉のベルが鳴り。


(みぞれ)や雨でぐっしょり濡れた山背が、背中のしょい籠や両手に沢山の『よもぎ』や『筍』を抱え。

せっかくの『よもぎ』や『筍」を濡れないように雨やみぞれと勇敢に戦い頑張った(守りきった)様子で、遊びに出掛けた丈山の家から帰って来る。


「……………ブルブル………頑張ったのじゃ…。」


そんな山背の姿に愛満達は大慌てでタオルやお風呂の準備をしてあげるのであった。



◇◇◇◇◇



その後お風呂に入り、骨の髄まで温まった山背は、湯気をポカポカ上げながら、愛満に作ってもらった『ヨモギと海老のかき揚げ』や『筍の天ぷら』、『筍のホイル焼き』、『筍と鶏モモ肉の照り焼き』をツマミに秘蔵の日本酒を楽しみ。


「…うむうむ♪どれもこれも旨くて、酒が進むのじゃ♪

それに帰って来る時は煩わしかった霙雨も、酒を飲みながら見ると格別じゃのう~~~!」


こうして、何気無い愛満達の1日が過ぎていくのであった。





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