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カラッと黄金色の「黄金唐揚げ」と、新たな問題



その日万次郎茶屋では、ここ数日のちょっとした米騒動を無事乗り越え。ひと安心した様子の愛満と愛之助の2人が、のほほ~んと朝の日課でもあるお茶の時間やお喋りを楽しんでいた。



「ふぅ~~~♪一仕事終え後のお茶は実に美味しいでござるね。」


「本当だね、愛之助。それにいつも茶屋(お店)の開店準備手伝ってくれてありがとね。

一人じゃ手が回らない事も多々あるから、愛之助が居てくれて本当に大助かりだよ。」


「えっ!そ、そうでござるか~♪…………いやいや、拙者は当たり前の事をしてるだけでござるよ。

それに兄者の手伝いをするのは弟の務めでござるよ。……………エヘヘヘ~~~♪照れるでござるね~~~♪

それにして愛満。この前は、無事に米騒動事件が解決して良かったでござるね~ぇ!

拙者、一時はどうなるかとハラハラドキドキしていたでござるよ!」


「うんうん、本当だよね。

僕もシャルさん達から話を聞いた時や、シャルさん家の蔵の中に大量の積み重ねられた米袋を目の辺りにした時は、どうなる事かと目眩を覚えたと共にハラハラドキドキしたし。

愛之助同様、一時はどうなるかと不安に(さいな)まれたんだけど、皆が力を貸してくれたおかげで、何とか無事解決出来て、本当に一安心したよ。

愛之助、その節はお世話になりました。ありがとう。」


愛満が日頃、(みずか)ら進んでお手伝いしくれる愛之助に感謝を伝えたり。

そんな愛満からの感謝の言葉に、愛之助が照れくさそうに笑みを浮かべ話の話題を変えたりと、2人がのんびりした雰囲気の中。

ここ数日の慌ただしかった騒動が無事解決出来た事にホッと胸を撫で下ろしつつ。

愛満お手製の『苺茶』で喉を潤しながら、お客さんやタリサやマヤラ達が茶屋へと訪れるまでの間、楽しげにお喋りに興じていた。


しかし!!!まさにその時、すでに新たな騒動が、タリサとマヤラ達と共に万次郎茶屋へと近づいて来ている事に、愛満と愛之助の2人は、今はまだ気付いてはいなかったのであった。



◇◇◇◇◇



チリーン♪チリーン♪


「愛満、愛之助、おはようー!遊びに来たよ♪」


「おちゃようー!マヤラもきちゃよ~♪」


今朝もまた元気良く鼻の頭や頬を外の寒さで真っ赤にしたタリサとマヤラの2人が万次郎茶屋へとやって来る。


「あっ、タリサとマヤラおはよう。今朝は特に気温が低かったから寒かったでしょ………………えっ!!」


「タリサにマヤラ、おはようでござ………………あっ!!」


短いながらも2人だけのお茶の時間を楽しみ。茶屋内のお持ち帰り用商品棚の整理をしていた愛満と愛之助の2人は、背中越しにタリサとマヤラの2人に声をかけられ。

作業していた手を止めて、振り返りながらタリサ達へと朝の挨拶を返すのだが、いつもと違う出来事に思わず驚きの声を上げ。


「え、えええっと、………………お、おはようございます、ライさん、サナさん、レムさん、」


「ライ殿、サナ殿、レム殿、おはようございますでござるよ。」


普段この時間帯には各々(おのおの)の仕事の関係状、忙しく働いている為、茶屋では見かける事のない。

【アルフ家の一族会議の中で話し合い決まったらしい。各々が分担して受け持って(担当して)いる。】

新たに畑担当責任者になったアルフ家六男レムや、卵担当責任者の五男サナ、鶏肉担当責任者の四男ライの3人が何故かタリサとマヤラの後ろに立っており。


各々の頭に生えた、少しずつ濃さの違うウサ耳と共に。

父親アルフに良く似た奥二重の糸目になり。笑うと目が隠れて(線になって)しまう。

ふんわりとした優しい雰囲気を持ち。愛満ともたいへん良く気が合う穏やか性格の。体格差等が有るものの顔立ちが似たライ達3兄弟を見つめ。

愛満は今回もまた、何やら新たな騒動が起きそうな嫌な予感をビンビン感じつつ。

何気ない(ふう)(よそお)いながら


「あの~、……それで今日はどうかしたんですか?

あっ、もしかして3人で茶屋にお茶をしに来てくれたとか?」


少し冗談を交えながら話し掛け。立ち話も何だからと3人を近くのテーブル席に案内し。

おしぼりやレモン水を出して上げながらレム達に向き合うと、3人の中で一番上の四男ライが


「あのな愛満、…………………実はその~~…………この前シャル兄が村を訪れる人達に米を売る店を作ってもらったとルクチ兄から聞いたんだが、…………。

実は俺達も、俺の所は家族皆で大切に育て上げて美味しく育った『鶏の(部位)』だろう。

それにサナの所は『生の卵』、レムの所は季節に合った数種類の『野菜』達を安定して提供できるようになっているんだよ。

だからその~、……あのな、……俺達もシャル兄の所みたいに村を訪れる人達に、俺達が手間暇かけて大切に育てた自慢の『鶏の肉』や『生の卵』、『野菜』達を是非味わってもらいたいと思っているんだよ!

いや、シャル兄の話を聞いたから便乗しょうなんて気はないんだぜ。

ただ俺達3人も前々から家族みんなで力を合わせ、端正込めて育て上げた。

誰にも負けない旨い食材達を数多くの人達味わってもらいたいつうか、食べてほしいと、近頃顔を会わせれば話していたんだよ。

…………それでさぁ、…………もし!もしも!出来ればで良いんだが、俺達もシャル兄みたいに自分達の手で販売出来る小さな店でいいから、山道近く場所で店をやらせてもらえないだろうか?

あっ、勿論(もちろん)!店は自分達で掘っ立て小屋みたいな(もん)を建てるつもりだし。

愛満達には迷惑かけないようにするつもりだから、この通り!!

俺達にも店をやる許しをくれないだろうか、頼む。」


ライの話に3人が頭を下げる中。


それぞれの家族が育てている(生産)食材を販売する店の許可を貰えないかとライ達からお願いされ。

ライの話を聞いた愛満は、もちろんシャル1人だけに力を貸し。他の人達と言うか、ライ達3人へと力を貸さないでは筋が通るはずもなく。

そんなつもりもなかった為、3人の願いを気持ち良く了解した。



◇◇◇◇◇



そしてその後、ライ達3人や、それぞれの家族を茶屋へと呼び寄せ。3家族を交えた話し合いを開く事になり。


話し合いの末。3家族で一軒の店を経営するのでは、後々商品の品数が増えたり。

また来店するお客さんの来客数等々の経営面等から店舗が手狭になったり。

果ては何代か後に店の経営権を巡り、親族同士で争いにでもなって(起きて)は大変だからとも考え。

★鶏の肉を取り扱うライ家には『鶏肉店』

★鶏の卵を取り扱うサナ家には『玉子屋』

★季節折々の旬の野菜を取り扱うレム家には『八百屋』

等の日本育ちの愛満には馴染み深い店のスタイルを持ちかけ。


更には、そのまま『肉屋』や『卵屋』、『八百屋』だけではお客さん達には理解してもらえないといけないからと言い。

【ここだけの話。面白味がないからとも愛満が考え。】


各々の店の隣に持ち帰り専門の

★鶏の肉担当のライ家には『鶏肉屋』の隣に、持ち帰り専用の鶏肉を使った『唐揚げ店』


★鶏の卵担当のサナ家には『玉子屋』の隣に、持ち帰り専用の鶏の卵を使った『厚焼き玉子専門店』


★畑担当のレム家には『八百屋』との隣に、持ち帰り専用の『大地の恵み店』

【基本自宅の食事に(プラス)1品に出来る野菜料理や、手で摘まめる『フィンガーフード』と言うか、食べ歩き等が出来る野菜料理を主に考えた。

『焼き芋』・『焼きとうもろこし』・『じゃがバター』・『茹で枝豆』等の手間暇かからず。気軽に作れ、また食べれる。

旬の野菜を使用した野菜料理を提供するお店になる。】


等の店のスタイルを3家族に愛満が提案し。それぞれの家から認証を得る。


そうしてまた、シャル家だけ特別ではエコヒイキなるからと心配した愛満が勿論の事、ライ達3家族へと、それぞれの要望を聞き。

将来それぞれの家の子供達が役割分担を決め。実家から独立した後の事等を考え。

一家族が快適に生活出来る住居部分と組合わさった店舗を自身(愛満)(チート)を使い建てて上げ。


他にも店舗の場所は、ドワーフ族の凱希丸やエルフ族の3兄妹が住む山道に面した側で良いとの事なので、ライ達の兄シャル家族が営む『米商店』が立ち並ぶ(場所)の前。

凱希丸の店舗兼自宅の隣へと、仲良く三軒並びで立ち並ぶ事になり。


また日本と言うか、和風な物が大好きな愛満が建てた為、…………欲張った為。

そこは勿論の事。2階建ての和風な作りの店舗兼自宅が三軒立ち並んでいた事を報告する。



◇◇◇◇◇



「ではでは、サナさんの所とレムさんの所の店に出す料理を紹介し終えたので、次はライさんの所のお見せで出す『唐揚げ』作りに移りますね。」


万次郎茶屋の広々した台所で、何故か興味津々な様子の愛之助やタリサ、マヤラ達3人を始め。

ライ家やサナ家、レム家の家族を交えた。大人数の料理教室を開催しつつ。


レム家には『焼きとうもろこし』、『じゃがバター』、『茹で枝豆』等々の作り方と共に簡単な提供の仕方。


サナ家にはプレーンタイプの『厚焼き玉子』の他、様々な具材を巻いたり、卵液に加えて作る。4種類からの計5種類の厚焼き玉子の作り方を伝授した。


そして最後にライ家族の店に出す『唐揚げ店』の『唐揚げ』の作りを教え為。作業に取りかかる。


【ちなみにレム家が販売する事になる『焼き芋』は、専用の焼き芋を焼く機械を八百屋に装備したので、後日機械の操作や芋の下処理、上手な焼き方等を交え。レム家の皆さんに教える事になっており。

ここだけの話。愛満が大好きな『焼き芋』は、《秋冬》は定番の温かいホカホカの焼き芋。

《春夏》は冷して甘さが凝縮した冷たい焼き芋にした。

愛満期待の2種類の『焼き芋』を楽しめるように考え(閃き&思いつき)

《春夏秋冬》の一年中焼き芋が楽しめる販売法をとる(教える)予定であった。】



「では、皆さん。僕がやってるように目の前にある『鶏もも肉』を筋切りして、大きめの一口大に切り分けて下さい。

出来ましたか?

なら次は、さっき切り分けた鶏もも肉を酒、醤油、粉ざんしょう、塩コショウ、ゴマ油、葱と生姜の切れ端を加え。

手で良く揉み込んで5分から10分おき、鶏肉に味をしっかり漬け込んでいきますよ。」


愛満も自身の祖母から習った何種類かの『唐揚げ』の作り方の1つを説明しつつ。


「それから今回、僕的には作りやすい5人分の量で唐揚げを作っていて、置き時間も5分から10分になり。

また量もこれくらいの量になってるんですけど、お店で販売する事になった時はきっと量も今より増え。もっと大量になり。

沢山作る事になるので、今みたいに鶏もも肉に下味をつける場合は、店に装備してある魔道具の冷蔵庫に一晩なおして、冷蔵庫の中で漬け置きにしておくのがオススメになります!

後、味付けの分量や味なども自分達で作り込んでいくうちに自分達の味が決まってくるので、日々研究していくのも面白いですよ!

僕も婆ちゃんから習った『唐揚げ』のレシピにですね。

爺ちゃんや婆ちゃん達と3人で旅行に行ったさい、町の中華料理屋さんで食べて美味しかった『粉ざんしょう』入りの唐揚げをヒントにして。

このレシピの下味の中に『粉ざんしょう』を足し込んでみたりして、日々美味しい唐揚げを作れるように研究しているんですよ。

だからライさん達も大変だとは思うんですけど、ちょっと頑張ってみるのも面白いですよ!」


今作っている、愛満にとっては作りやすい分量だと言う『唐揚げ』の作り方と、これからライの家族が店で出す『唐揚げ』の作る量が違ってくる為。

お肉を漬け込む時間や調味料の量等が変わってくる事等を話し。

愛満自身も祖母から習い。自分の味にするためコツコツ研究して頑張っている。

この『唐揚げのレシピ』を、今度はライ家(お店)の『唐揚げレシピ』にする(進化)ため、ライ達にも頑張ってみないかと提案する。


「あっ、それにですね。この鶏もも肉の下味用に使用した生姜や葱も切れ端だけ使うのはもったいないので、後で唐揚げにかけて食べれる『葱塩ソース』や『生姜ソース』の作りをお教えしますね。

そしたら店で販売する唐揚げの種類が『葱塩ソース』と『生姜ソース』で三種類に増え。お客さん達からも喜ばれると思うので!」


白葱の青い部分(上の部分)や生姜の余り等。

唐揚げの下味用に使用して残った『白葱』や『生姜』の余りをもったいないからと、唐揚げの味変に使用できる2種類のソースを教える事も提案し。

そろそろ唐揚げの下味の時間も良い頃になってきたので


「じゃあ!そろそろ鶏肉の下味の方も良い頃なので漬け込んでいた鶏肉から葱と生姜を取り除き。

濃い目に溶いた水溶き片栗粉を適量加え、鶏肉にまんべんなく絡め。

鶏肉に水溶き片栗粉がまんべんなく絡まったら、次に片栗粉をしっかりと、たっぷり鶏肉へとまぶして、これで唐揚げの衣の出来上がりです。

ちなみに2種類の片栗粉を使用した唐揚げ衣を使う理由は、外はパリパリ、中はジューシーな唐揚げにする為に、このようにしっかりと片栗粉をまぶして下さい!」


唐揚げを揚げる直前に『水溶き片栗粉』と『片栗粉』の2種類の片栗粉を使用した衣をつける事や訳を教え。


「次に170℃の温度の揚げ油で、ときどき動かしながらじっくりと揚げ。

ほぼ鶏肉に火が通ったら180℃に温度を上げ、カラリと揚げたら黄金唐揚げの完成です。

ちなみに唐揚げを揚げるさいに僕が気を付けているポイントは、鶏肉に衣をたっぷりつけ。

最後は高温にして揚げ所や、揚げている時の泡の大きさや音に注意しているんですよ。

まぁ、少し詳しく言わせてもらえるならば、やや低めの温度と言うか、170℃の温度で唐揚げをじっくりと揚げている時にですね。

初め大きな泡と音がでるんですけど、火が通ってくるとそれがだんだん小さくなっていき。

更に(しばら)く揚げて、ほとんど火が通ったら火を強めて高温にしてサッと唐揚げを揚げると、余分な油が唐揚げから抜け、カラリとした美味しい唐揚げが揚がるんですよ。

…………って、長々と話しすぎましたね。

では皆さん、揚げ立てでとても熱いので、火傷しないように気をつけて唐揚げを味見してみて下さい。」


愛満が唐揚げを揚げている途中から、ずっと唐揚げの揚がる良い匂いにお腹を刺激され。

鍋の中の唐揚げに興味津々な様子だった台所に居た人達は、いっせいにバットの中の唐揚げに手を伸ばし。

思い思いに唐揚げを頬張ると幸せそうな笑みを浮かべ。『美味しい、美味しい』と味見のはずの唐揚げを食べ進めていき。


「はふはふ~~~……ぁ、(アチ)~!……け、けど旨!!

く~~~ぅ、本当に旨いぜ!それに愛満がさっき言ってた通り。この唐揚げ、外はパリパリしてて、なのに中は肉汁溢れるジューシーさで、何個でも食える旨さだな、コレ!」


「う~~~ん、本当美味しいわ~ぁ♪

それに鶏肉がこんなに美味しくなるなんて、今まで『焼く』か『蒸す』ぐらいしか調理法を知らなかったから、鶏肉を油で揚げるなんて驚きだし!

本当に美味しくて、二重の驚きよ!」


「お父さん、お母さん、この唐揚げという食べ物美味しいね。

美味しそうな焼き?揚げ色に、外はパリッとして食感に、ふっくらホクホクジューシーで!僕、毎日唐揚げでも大丈夫だよ。」


「本当本当!あまりにも旨くて1個食ったら止まらなくなりそうな旨さだぜ!」


思い思いの『唐揚げ』の感想を言いながら、こうしてまた朝倉村に新しいお店が3軒増えたのであった。




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