「鶏飯」と、トレント族の多実木とピカピカの実
「どう?あった?」
「こっちには無いでござるよ。」
「こっちにも無いへけっ。」
「にゃいにぇ……。」
「あ~ぁ、もう!こんなに沢山の樹木が生えてるのに、どうしてピカピカの実をつけるリヒカの木が見つからないの!!」
何やらタリサがリヒカと言う名の木に実るらしい。ピカピカの実なる木の実が見当たらない事に悪態ついていると。愛之助達とは別の場所でピカピカの実を探してくれていた山背が戻って来て
「愛之助達や、そっちはどうじゃったか?
ワシの方は何とかピカピカの実を7つ見つけたのじゃが、その後はさっぱり見付からんかったのじゃ。」
少々申し訳なさそうにしながら自身が採って来てくれた。日本では絶対お目にかかれないような、……何やらキラキラと光輝く、ピカピカの実なる木の実を愛之助達へ見せてくれ。
「えっ!7つも採れたの!山背スゴいじゃ!
こっちはさっぱりだよ。ピカピカの実、全然見つからないんだ。
いつもならピカピカの実のキラキラ輝く光で直ぐに見つけられるのに、今年は全然見つかんないんだよ!おかしいよね!」
タリサが山背の功績を誉めながら自分達は1つもピカピカの実を見付けられなかった事を悔しそうに嘆き。自身が背中に背負っていた空の籠を見せ。
「そうか。タリサ達の方はピカピカの実、見付けられんかったのじゃなぁ……。
まぁ、そういじけるでない。もうちょっと探してみれば見付かるはずじゃよ。」
ガックリと肩を落とし項垂れ。テンション駄々下がりで落ち込んだ様子のタリサやマヤラ、光貴達チビッ子3人組を慰めてあげ。
何やら愛之助の所へ移動して、山背の慰めで少しヤル気を取り戻した様子のタリサ達に聞こえないように気を使いながら
「ちょいちょい愛之助や、少し耳を貸してくれんかのう。」
身長差のある愛之助にその場にしゃがんでもらいつつ。小声でコソコソと
「実はのう、愛之助。ここだけの話。タリサの言うように今年の森は何やらいつもとちっと違う様子にワシも感じられ。上手く言えんのじゃが、何やらおかしいと感じですおるのじゃよ。
それに毎年このくらいの季節なら各自が準備した籠一杯にピカピカの実が採れて良いものを今年はさっぱり見つかっておらんじゃろう。
普通冬の森と言えば秋の実りが終わり。紅葉した葉が散り落ちていき。はげ山と言うか、木々のほとんどの葉が落ちてしまってのう。何とも言えないセンチメンタルな気分と言うか、ワシ的には少々もの悲しい場所に感じてしまうのじゃが、…………。」
との山背の言葉に、思わず愛之助の視線が山背の頭に注がれる中。
「この森と言うか、この一帯の林の木々には何故か綺麗に色づいた葉が生き生きとした様子で生い茂っておってのう。
まだまだ実り豊かでいて、普通なら冬眠の準備なり、冬越しの準備をしておらねばならぬ動物達が何故かのびのび走り回っておるのじゃよ。なぁ、何やらおかしいと思うじゃろう?」
「山背もそう思うでござるか?拙者も先程から何やら違和感を感じているのでござるよ。」
「愛之助もか、………………しかしまぁ、この林一帯から悪い感じや邪気など全く感じられんし。ワシの敏感なアンテナにも何も引っ掛からん事じゃし、……………………う~~~ん、悪い事ではないと思うのじゃが、………………。
まぁ、そんな事より。早ようピカピカの実を見つけて帰らんとこの寒さじゃ、愛満もきっと心配しておろうし。皆風邪を引いてしまっては敵わんのじゃ!」
「うんうん、そうでござるね。
拙者もこの林からは、むしろ優しく回りを気遣うような。そんな心地好い波長しか感じられんでござるから、皆が風邪を引いてしまう前に残りのピカピカの実を探すとするでござるか!」
「そうじゃな。下手にタリサ達に知らせて怖がらせるのものアレじゃから、残りのピカピカの実を急いで探すとするかのう。」
コソコソと話し合い。愛之助達5人は、まだ探していない森の方へとピカピカの実を探し求めて歩き出すのであった。
◇◇◇◇◇
そんなクリスマス・イブの寒空の下。朝倉町が存在する山の数在る手付かずの林の1つで、愛之助達5人が何をしているかと言うと。
明日のクリスマスの為と言うか、クリスマスには付きものの。聖樹事、クリスマスツリーへの飾付けを豪華にしたいとの並々ならぬ野望の元。
タリサ達曰く、この時期にだけリヒカの木に実るらしい。七色にピカピカと光輝く。魔法など存在しない日本で生まれ、育った愛満的には摩訶不思議に感じる。ピカピカの実を採りに来ていて。
このピカピカの実。子供達だけでも比較的簡単に見付けられ。危険なく採取でき。
一度採取すれば半年間は勝手にピカピカと七色に光輝く効能以外。中は空洞でかなり固く。少々の事では壊れない程に頑丈でいて、一応食べる事が出来るものの。まったく味もせず。ハッキリ言って美味しくもない為、基本観賞用の価値しかなく。
その光輝く見た目の美しさから、ちょっとしたプレゼント用等として密かな人気を博すだけの不思議な木の実になり。
先程の山背の説明通り。去年の今頃ならば一時間足らずで各自背負い籠いっぱいに採れているはずが、今年は山背が採取した7つ以外ピカピカの実がさっぱり採れておらず。
そんなこんなで愛之助達は、どうしたものかと頭を悩ませていて、…………………。
「はぁ~~~、………………こっちの方にも無いへけっ、…………。」
「ほんちょうにじょこちゃがちてもピカピカのみ にゃいにぇ。じょうちてじゃろう。」
「もう!どうして何処を探してもピカピカの実無いの!!意味わかんない!」
探しても探しても見付からないピカピカの実に光貴とマヤラが落ち込み。寒さで歩き回った疲れも合間ってタリサの怒りが頂点に達してしまい。怒り心頭の中。
何やらずっと誰かに後ろからつけられているような、そんな妙な気配を感じていた愛之助が後ろを振り返り。何か妙な所がないか探した所。
先程通った時には見なかったような気がする。タリサ位の高さの、小柄な木が生えていて
「あれでござる!?あんな場所にあのくらい木、先程まで植わっていたでござるか?
……………うーーん、…何もなかったような気がするのでござるが、……不思議でござるね?」
確か先程通った時には何も無かった筈の所に見慣れぬ木がいつの間にやら生えており。
その事を不思議に思った愛之助は、ブツブツと独り言を呟きながら、その気になる木の方へと確認するため歩み出そうとしていて所。少し前を歩いていたタリサが愛之助の元に走って来て
「愛之助~!山背があっちの方ならピカピカの実が有るかもしれないだってー!行くよー!」
と声をかけられ。今だ見慣れぬ木の事が気になるものの。
タリサに腕を引かれながら待ってくれていた光貴達の元へと合流したのであった。
◇◇◇◇◇
「………はぁ~~、………あれだけ頑張って歩き回ったのに結局採取出来たピカピカの実はこの3つと、山背が見付けてくれた7つ合わせて10個だけか、………………はぁーー、………燃え尽きたよ、…………燃え尽きちまったよ、……………そう、真っ白にな、………俺は燃え尽きちまったんだよ、……………。」
何やら聞き覚えがある言葉を呟きながら怒り心頭からのテンション駄々下がりのタリサは、その場にガクンと膝から崩れ落ち。
「にいたん、じゃいじょうぶ?どうちたの?にゃにがあちゃの!?あたゃまおかちくなちゃの?」
「タリサ、大丈夫へけっよ!ピカピカの実10個だけでも十分キラキラ光輝き綺麗へけっ!しっかりするへけっタリサ!」
との、突然その場に崩れ落ちたタリサを心配したマヤラや光貴の2人が慰めの言葉をかける中。
一方、タリサの事が心配であるのだが先程のように背後から誰かの気配を感じた愛之助は恐る恐ると後ろを振り返った所。
そこには先程視線を感じて振り返った時に見たのと同じような高さの小柄な木が生えており。
「………あれ?この木、先程見た木に似てるような、似てないような気がするでござるが、……………………。」
内心驚きながらも今度はその木に近付き。改めてじっくりとその木を観察しだして
「……………………むむむっ!!!間違いないでござる!この木、先程見た木でござるよ!!
いや、その筈でござる、………いや、しかし、…………う~~ん、……けれど木が歩くなんて事ないでござるしな、………。」
何度も首を傾げながら愛之助が1人ブツブツと呟いていると
「あ、あああ、あの!先程からピカピカの実を探しているみたいなんですが、……………。」
突然木の幹に顔が浮かび上がり。愛之助へと話し掛けてきて
「えっ!えっ!木が喋ったでござるよ!……えっ!空耳でござるか!?えっ!!」
突然、目の前の木と思っていた物から話しかけられ。ビックリ&テンパりまくりの愛之助は右往左往して
「あ、あの!突然話しかけてしまってすいません。僕はトレント族の多実木という者です。
先程から皆さんが一緒懸命ピカピカの実を探してらしゃるのを見てまして、…………。実はお伝えしたい事があり。不躾ではありますが皆様の跡をつけさせて頂いておりました。」
実に丁寧な挨拶をされ。そんなトレント族の多実木なる人物からの挨拶に条件反射のように愛之助も
「あっ、丁寧な挨拶かたじけないでござる。
拙者、この近くの朝倉町なる場所の万次郎茶屋に住む。朝倉 愛之助と申す者でござる。何卒お見知りおきを。」
「いえいえ。こちらこそ丁寧な挨拶ありがとうございます。
それで、……誠に勝手ながら本題に移りたいのですが、………………実はですね。皆さんが先程からお探しているピカピカの実なんですが、今年連年になく豊作の年でして、…………。
いやはや、森に住む動物の皆さん達から『あんなに眩しいと眩し過ぎておちおち寝られない』や『あれは光の暴力だ!』、『キラキラし過ぎていて、たまに見る分は気分良いのだが毎日見てると何やら不安を覚える』等の相談や要望が多々ありまして、…………。
この森で暮らし。普段森にお世話になってる僕が森の皆の代表としてピカピカの実を探し採取しては、森の中にある僕の自宅の1つの木の祠に保存していってるんです。」
タリサ達が血眼で探していたピカピカの実が林の中に無い訳を説明してくれ。
「それでですねぇ。もしピカピカの実がまだお必要ならば僕の自宅へとお招きしますので、良ければ好きなだけピカピカの実をお持ち帰り下さい。」
多実木から有り難い申し出を受け。
「本当でござるか!?それは助かるでござるよ!
お~い!タリサ達!こちらのトレント族の多実木殿がピカピカの実わけてくれるでござるよ~♪」
いまだ落ち込んでいる様子のタリサ達へと声をかけ。多実木からの有り難い申し出を受ける事にした。
◇◇◇◇◇
「わざわざこんな遠くまでご足労願いまして、本当に有り難うございます。こちらがピカピカの実を保存している木の祠がある僕の自宅になります。……………………あれ?愛之助さん達どうかしましたか?」
ピカピカの実を分けてあげる為に愛之助達を自分の自宅へと案内し終えた多実木は、後ろを歩いていた愛之助に声をかけるのだが、一向に返事が無い事を不思議に思い。後ろに立つ愛之助達の方を向くと。
そこには何やらビックリした表情に口をあんぐりと開けたままの5人が立ち尽くしていて
「えっ!どうかしましたか?ここまでの間に何か不手際がありましたでしょうか!?」
多実木が心配した様子で愛之助達へと声をかけるのだが、愛之助達は樹木の間の開けた空間に突然現れた幻想的な光景に心を奪われており。
多実木の問い掛けで゛はっ゛と正気に戻った様子で、なんとかこの全身から沸き上がる感動を多実木に伝えようと絞り出すような声で
「ス、スゴいへけっ。」
「ピカピカだ!」
「何じゃここは!?ただの森の開けた場所のはずなのじゃが、何やら妙にキラキラしておるぞ、………それに心が震えるような美しさなのじゃ、…………。」
「ちゅごい!ちゅごい!ちたのくしゃがみじょりのじゅしゃんみちゃい!」
「ほ、本当にスゴいでござるよ!!樹木の間に開けた空間を上手く利用しておってでござって、そこにピカピカの実や草花を上手に使っていて、実にオシャレに飾付けしてあるでござるよ!
拙者何やら感動してしまって心が震え、涙が溢れ落ちてしまう程の美しさでござるよ!
多実木殿。これは多実木殿が飾付けしたでござるか?」
目の前に広がる。今にも妖精やユニコーンが出てきそうな神秘的な美しい風景に今だうっとりしながらも興奮した様子で言葉を捲し立て
「えっ!本当ですか!?それはありがとうございます。
………いや~、元々があまりにも殺風景な見た目だったもので、誰も欲しがらないピカピカの実や手作りしたドライフラワー等を使って自分好みに飾付けしただけなんですけど、…………そう言ってもらえるなら嬉しいです。」
恥ずかしそうに照れ笑いする多実木のあまりのセンスの良さに、その後も5人は口々に褒め称え。
恥ずかしがりながらも気を良くした多実木から大量のピカピカの実を譲り受け。
◇◇◇
「いやいや。多実木っちの好意にすっかり甘えてしまい。こんなに沢山のピカピカの実を譲り分けてもらって、本当に助かったでござるよ。」
「本当に助かったのじゃ。多実木、ありがとうのう~。」
「多実木っち、助かったへけっ。本当にありがとうへけっよ♪」
「ありがちょにぇ、多実木っち!」
「本当に助かったよ!実は今回一緒に来れなかった友達の和調や花夜達にも帰ったらピカピカの実をわけてあげるって約束してたから、どうなる事かとドキドキしてたんだ。えへへ♪
多実木っち、本当にありがとう♪」
あの後、かなり打ち解けた愛之助達は多実木の事を親しみを込めて『多実木っち』と呼びながら口々に感謝の言葉をのべ。
一方、愛之助達からの感謝の言葉に多実木は恥ずかしいやら嬉しいやらで恐縮しきりでいて意味なくペコペコ頭を下げてしまい。
何やら和やかな雰囲気に包まれる中。グッドアイデアを閃いたとばかりに愛之助が
「そうでござる!こんな寒空の下、森にタリサ達と遊びに行くと愛満に言ったらお弁当を持たせてくれていたでござるよ。
だからこのお弁当、良かったら多実木殿も一緒に食べないでござるか?」
「あっ!それ良いね!ナイスアイデアだよ、愛之助!
ねぇねぇ、多実木っちも一緒に愛満のお勉強食べようよ!愛満が作るご飯は何でも美味しいんだよ!ねぇ~マヤラ♪」
「あい!よしみちゅのごはんほんちょにおいちいんだよ♪」
声をかけるも恐縮しきりの多実木は申し訳なさそうにしながら遠慮し。
「そ、そんなそんな!僕なんかが食べたら皆の分が減っちゃうよ。だから僕の事なんか気にせずに皆で食べてよ。」
「何言ってるでござるか多実木っち!拙者達もう友達なんでござるから遠慮せずとも大丈夫でござるよ!」
「そうへけっ!今日のお弁当も愛満が友達と分けて食べられるようにと多目に持たせてくれてるへけっよ!
それにご飯は皆で食べた方が美味しいへけっ♪」
「そうそう!同じ釜の飯を食べるとスゴく仲良くなるなんて言う、ことわざがあるぐらいなんだから!
だから多実木っちとは、もっと仲良くなりたいから一緒に食べようよ♪」
皆でやや強引に進めると多実木もしぶじぶ了解してくれ。
ややフライング気味に昼ご飯の準備をちゃっかりしていた小柄な甲羅爺さんが1人居るものの。6人は仲良く、愛満お手製のお昼ご飯を食べる準備を始めた。
◇◇◇◇◇
「うわ~♪何これ!?ご飯の上に鶏肉や椎茸、金糸卵、刻んだお漬け物なんかが盛り付けられてる!可愛いねぇ♪
ねぇねぇ、多実木っちも可愛いと思わない?」
「うん!鮮やかな色使いで本当に可愛いねぇ。」
「おいちょうねぇ~♪」
「これなんて言う丼へけっか?」
愛之助から渡された丼型のお弁当の蓋を開けたタリサ達が興奮気味に愛之助に話しかけ。
「まぁまぁ、タリサ達も落ち着くでござるよ。それにこの丼はまだまだコレで完成でないでござるよ。」
意味ありげに説明すると、一人一人の丼の中に白い湯気上がるスープを注いであげ。
「ジャーン♪コレで今日のお弁当の『鶏飯』の完成でござるよ!
熱々の鶏スープをかけたでござるから皆温かいうちに美味しく食べるでござるよ。
あっ!あと、本当に熱々でござるから火傷しないように気を付けるでござるよ。」
スープの入っていた。空になった水筒をバッグに直しつつ。各自火傷しないようにと注意の言葉をかけながら『いただきます』の挨拶をして皆で食べ始めて
「う~ん、美味しい♪
それにね、白い湯気がモクモク上がっていて温かくて、何だか体の中がポカポカしてきた気がするの!
後、サラサラ食べれてスゴ~く美味しいの!」
温かいスープや薬味として加えた刻み生姜のおかげなのかピカピカの実探しで冷えきった体がポカポカしてきた様子のタリサが頬を赤く染めながら嬉しそうに教えてくれ。
「うんうん!上品で澄んだスープとご飯の上にたっぷり乗った具材や米とが良う合っておって本当に旨いのう~♪
しかもワシの好きな奈良漬けが刻んで入っておるのが、また良いのじゃ!」
「あふあふ!……………アツアツじゃけじょ、おいちいの~!」
「本当に美味しいへけっねぇ♪鶏肉もたっぷりで食べごたえがあるへけっ。
それにいろんな食感が口の中で一度に楽しめて面白いへけっ!」
タリサ達か4人が美味しそうに愛満が作ってくれたお弁当を食べる姿をコッソリ見ていた愛之助は
「そうでござろう、そうでござろう!
何たって愛満が急がしいなか拙者の為にと朝早くから二時間かけてコトコト骨付き鶏肉を煮込んでくれ。その旨味がつまったスープを使った1品でござるからね!
そりゃ美味しいのは決まっておるでござるよ!
ところで多実木っち。初めて食べたであろう。この『鶏飯』なる料理の味はいかがでござるか?口に合っていれば良いのでござるが。」
愛之助自慢の兄、愛満お手製の本日のお弁当『鶏飯』を皆が誉めてくれ。その事が自分の事のように嬉しい愛之助はニヤニヤと笑みを浮かべつつ。
フッと、今だ一言も声を発していない多実木の様子が気になった愛之助が声をかけた所。
何やら考え深げな様子でモクモクと鶏飯を食べていた多実木が
「えぇ、こんなにも美味しい食べ物を食べさせて頂き。本当にありがとうございます。何処と無く柑橘系の香りがして実に美味しいです。
それにしても温かい料理とは、こんなにも美味しいものなんですね。………初めて知りました。」
「そうでござるか!それは良かったでござる。
と、実はでござるね。このお弁当、拙者の兄者が拙者の為にわざわざ作ってくれたのでござるよ♪
だから美味しいと言ってもらえて本当に嬉しいでござる!
あっ!おかわりもあるでござるから遠慮せず言って欲しいでござるよ。」
「うん、ありがとう。
しかし本当に温かい料理とは心まで暖まり。こんなに美味しいものなんだね。………普段トレント族の僕は禁句の火にふれる事が出来ないし。食事と言えば光合成や森で採れる果実や木の実を食べてるだけだから、この身が朽ち果てるまで、こんな美味しい料理を食べれ日がくるなんて夢にも思わなかったよ。愛之助、ありがとう。」
嬉しそうに笑みを浮かべお礼の言葉を述べた多実木は、残りの鶏飯を大事そうに食べ進めた。
◇◇◇◇◇
こうして愛之助達は明日のクリスマスを楽しみに多実木をクリスマス会に誘ったり。探していたピカピカの実を大量にゲットと出来たりと。
クリスマスならぬクリスマス・イブにサンタさんからのプレゼントとのように新たな友達と巡り会えたのであった。




