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お抹茶しること少年の母への優しさ



今年も残り少なくなってきた12月の今日この頃。


その日も、とある異世界の山奥にある朝倉町の万治郎茶屋(まんじろうちゃや)では、愛之助(あいのすけ)山背(やましろ)光貴(こうき)達3人は、いつものように開店準備のお手伝いを終え。万治郎茶屋名物の1つでもある冬季限定の炬燵に仲良く入り。

愛満お手製の今季新商品の『お抹茶しるこ』を飲みながらまったりしていた。

ちなみに愛満は、台所で何やら作業中の様子。




◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇




「ほへ~。いつ飲んでも愛満が作ってくれる『お抹茶しるこ』は、美味しいへけっ。」


「本当でござるね、光貴。

愛満が作ってくれるモノは、何でも美味しいでござるが、この『お抹茶しるこ』も、本当に美味しいでござる。

最初は、お汁粉に似てるでござるのに、お餅や白玉が入っておらぬのが、実に残念に思ったでござるが。

ガラスカップから見える小豆色のしること抹茶色の2層に分かれた層の見た目が、何だか可愛いでござるし。

お餅や白玉が入っておらぬのが、何だかホッとする美味しさでござるよ。」


と、12月から発売を始めたばかりの万治郎茶屋今季新商品の1つでもあるホットドリンクの『お抹茶しるこ』を飲みながら光貴と愛之助がしみじみ呟く。

すると口の上に小豆色と抹茶色のマーブル状の2色の髭をつけた山背も


「本当じゃのう~。ワシも最初はしること聞いて、甘く、旨味がギュッとつまった小豆の汁粉のイメージが強すぎて。

餅や白玉が入っておらんこともじゃが。抹茶特有の風味や味わいを感じる事が出来る。この『抹茶しるこ』が少し苦手だったのじゃ。

しかし、飲んでいくにつれ。今じゃ、この抹茶の層としるこの層が口の中で混ざりあい。口にふくんだ時の何とも言えぬハーモニーや小豆本来の優しい甘味、鼻からぬける抹茶の豊かな香りが病み付きなのじゃ。」


「はぁ~、本当に美味しいへけっね。

こんな寒い日にぬくぬく炬燵で、暖かい飲み物が飲めるなんて、 本当に最高で、至福の時間へけっ。』


と3人がのほほ~~んと炬燵で温まりながら、まったり飲み、話している話題の『お抹茶しるこ』は、と言うと。



タリサの兄のお嫁さんの弟家族で、姉夫婦から一緒に働かないかと誘われ朝倉町に移り住み。

良く母親と一緒に和菓子を買いに来てくれていて。

最近では、タリサとマヤラの母親でもある兎族のアコラが営む産婦人科で産まれた幼い弟と妹の双子の世話で、何かと毎日忙しい母親の為にと。

家のお手伝いをしては、コツコツ貯めた自身のお小遣いを握りしめ。

忙しい母親の為にと、和菓子や持ち帰りも出来るお抹茶を買いに来てくれている。タリサと同い年のルーティ少年から


『朝倉町に引っ越して来た時ね。

お父さんがお祝いにと連れて来てくれた。愛満の店の甘くて美味しい和菓子と愛之助がたててくれるお抹茶セットを食べてからね。

お母さん小豆と抹茶が大好きになったんだよ。

それでね。お母さんが言うには、寒い冬に食べると美味しさが倍増になる。大好きな小豆をたくさん使ったぜんざいや汁粉と抹茶セットが特に好きなんだけどね。

今、弟や妹のお世話で毎日忙しくてね。大好きなぜんざいや汁粉、抹茶をゆっくり食べる時間もないんだ………。

それでね、愛満。そんな忙しいお母さんの為に、小豆と抹茶を使ってあって、短い時間でもホッと出来る。お汁粉やぜんざいみたいな食べ物か飲み物を作れない?』

と質問、お願いされたのだ。


そこで、それならばとルーティ少年ために愛満が考え出したのが、短い時間で食べ、飲めるように。

事故防止で、喉につまらないようにと、あえてお餅や白玉を入れず。短い時間で、サッと飲める。


甘味のため砂糖を加え、熱湯でたてたお抹茶を更に茶漉しでこして、なめらかな舌触りにし。

愛満が炊き上げた自慢のゆで小豆と水をミキサーにかけたものを小鍋で温め。

見た目でも楽しんでもらえるようにと中身が見え。

持ち帰る時に中身が混ざらない。特別な持ち帰りカップをドワーフの凱希丸(ときまる)達と製作し。

オシャレに抹茶としるこが混ざらないように2層の層になるようにそっとそそいで作り上げたのが、短い時間でもリフレッシュでき。

一口すすれば心も体もトロ~リと和む『お抹茶しるこ』なのだ。



◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇



そうして、そんな少年の母への真心から生まれた『お抹茶しるこ』を飲むながら、愛之助達3人組があーでもない、こーでもないと楽しそうに話をしていると。万治郎茶屋の扉のベルが勢い良く鳴り。


チリーン♪チリーン♪


「うーぅ、寒い寒い!!愛満、愛之助、光貴、山背、おはよう~!今日もタリサが元気良くやって来たよ~!

それにしても外はすーんごく寒かったよ。ねぇ、マヤラ」


「あい!ほんちょにそちょは ちゃむちゃむじゃっちゃんじゃったよ。あっ!そうじゃ、よしみちゅ、みんにゃ おはよう。

マヤラもげんきにあしょびにきちゃよ。きょうもよろちくにぇね。」

『うん。本当に外は寒々だったよ。あっ!そうだ、愛満、みんな おはよう。

マヤラも元気に遊びに来たよ。今日も仲良くしてね。』


と愛之助コーディネート&プレゼントされたマイ○ロちゃんコーデに全身包まれたタリサとマヤラの2人が元気良くやって来て


「あ!タリサにマヤラ、良く来たでござるね。おはようでごじるよ。

外は寒かったでござろう。早くこっちに来て炬燵にはいるでござるよ。温かいでござるよ。」


「タリサ、マヤラ、おはようへけっ!」


「うむ、おはようなのじゃ。タリサもマヤラも寒いなか良く来たのう。

どれ、そんな頑張った2人のために、ワシが愛満から2人のための『お抹茶しるこ』を貰って来てやろう。」



と寒そうな様子の2人を迎える。


こうして、今日もまた万治郎茶屋の1日が始まるのであった。






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