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小松菜と卵のシューマイと大吉村の小松菜


何日間前までの暑さが嘘のように、急に少し肌寒くなったある日の事。


万次郎茶屋では、その日村に一軒だけある中華料理店を営む穂高とエタールの2人がお店の定休日を利用して、愛満を訪ねて万次郎茶屋へと遊びに来ていた。



「へぇー、なら穂高とエタールの2人が調理場担当に専念できるように接客担当で従業員雇ったんだ。

そっか、それなら2人とも安心して調理に専念出来るし。最近増えた沢山のお客さん達をお待たせせずにテキパキと接客出来るね。

あと、ちょっとした用事なんかで店を離れられるもんね。」


愛満のワガママからオープンする事になった。穂高とエタールが営む中華料理屋に従業員が増えた事に喜ぶ。

すると愛満に従業員が増えた事を話していた穂高も嬉しそうに微笑んで


「そうたい!最近ドンドンお客さん達が有り難い事に増えてきてたい。おちおち俺もエタールも休憩や、次の日の下ごしらえなんかで朝早くから夜遅くまで休みがなかったたい。

だけんエタールと話し合ってたい。俺の実家の家族や、大吉村の人達に声をかけてたい。俺の弟やエタールのお姉さん、妹さん達、大吉村の人達が何人かこっちに引っ越して来てくれてたい。働いて『よかよ』って言ってくれたけん。本当に大助かりばい!

あと俺の弟達やエタールのお姉さん、妹さん達が調理場に入る事にもなったけん。下拵えから皿洗い、厨房内のちょっとした雑用なんかが楽になって良かったばい!」


「本当ですね。大吉村から来て下さった皆さん達がテキパキと接客や片付け等をして下さる綺麗好きで働き者の方々ばかりで本当に助かってますし。

いつもニコニコと楽しそうに笑顔を浮かべ。積極的に自分達で仕事を探して働いてくれていて、一緒に働く私達も気持ち良く働けてるんです。

それに穂高の弟さん達も厨房で大きな中華鍋を振る穂高を見て、自分達も穂高のように中華鍋を上手に振れるようにと。ここ最近穂高に内緒で居残り練習してるんですよ。スゴい頑張り屋さん達でしょう。」


穂高も知らなかった弟達の頑張りや、大吉村から移住して来た他の従業員達の事を嬉しそうにエタールが教えてくれ。


「皆さんと一緒に働けて嬉しいと思うと共に、こんな素晴らしい人達が僕達の店の仲間に加わってくれた事に感謝の気持ちで日々いっぱいなんです。

それに家事や育児の合間の息抜きになるからと。うちの姉や妹達がパートタイマーで調理場の補助をしてくれる事になり。時間で見れば短い時間にはなるんですが、僕としてちょっとした事を気軽に頼めて助かってますし。忙しすぎてテンパりそうになる時なんかに心の支えにもなってるんです。」


愛満が振る舞った。温めた牛乳にお好みのインスタントコーヒーと黒練りゴマ、蜂蜜を溶かした『ハニーごまごまコーヒー』を飲みながら愛満は、忙しくてなかなか万次郎茶屋へと来店出来ない。穂高とエタールの中華店やお互いの近況等を話し。

【ちなみにこの『ハニーごまごまコーヒー』は、ホットでも冷たい牛乳でアイスで作っても美味しい!】


何やら決まり悪そうな穂高が愛満に話かけ。


「それでたい。…………今日は愛満にお願いがあるとたい。」


「えっ、お願い?なになに?僕ができる範囲であればいくらでも力になるよ。」


「ほんなこっね!ありがとうばい!実はたい。うちの中華店のメニューにたい、新しく小松菜を使った新メニューを発売したいとたい。」


「えっ!?小松菜?」


穂高の口からあちらの世界(日本)で聞き慣れた『小松菜』という葉野菜の名前が出てきた事に驚き。思わず聞き返す。


「ありゃ?愛満は小松菜しちょるんかい?

この小松菜はたい。大吉村を築いた1代目村長の故郷の野菜らしくて。たまたま村長が旅の途中に故郷の小松菜に似た野菜を見つけたらしいたい。

でな、それを大吉村に住む菜津奈(なずな)の先祖が村長から引き続き。代々菜津奈の一族が栽培する事になったらしいたい。

けど小松菜は葉物野菜やけん足が早くてたい。なかなか村の外に持ち出せんかったちゃけど、愛満から譲り受けた魔法箱で村の外へも持ち出せるようになってな。

そこでベイ肉みたいにうちの店を足掛かりに皆に知ってもらうため。こう皆がアッと驚くような珍しい料理にして販売したいたい。」


穂高が愛満に頼み。隣で穂高と愛満の話を聞いていたエタールからも


「それから、あと良かったらその料理にサナ兄さんの所の卵も使ってもらえませんか?」


何やらお願いされ。愛満が不思議に思いながらエタールに質問すると


「サナさんの所の卵?別に良いけど、どうして?」


「いや、実はですね。この前サナ兄さんが新しい組み合わせた美味しくて栄養満点にパワーアップさせた餌に変えたそうなんですよ。

すると餌の効果か夏の暑さにも負けず鶏達が卵を沢山産んでくれているらしく。

このままでは卵が余るかも知れないと気にしていたので………微力ながらではありますが、うちの店でもサナ兄さんの所の卵を料理に使って、少しでも力添えにならないかと思いまして…」


少し照れくさそうにハニカミながら訳を話してくれ。そんな兄妹思いのエタールの話を聞いた愛満は、もちろん満面の笑みを浮かべ。


「そうだったんだ。それなら僕に任せてよ!この大吉村の小松菜と穂高の所のベイ肉、朝倉村の卵を使ったとっておきの中華料理の1品を伝授するね!」


力強い答えを返すのであった。



◇◇◇◇◇



「じゃあ、エタールはこのたっぷりの熱湯で茹でて、水にとり。水気を絞った小松菜を細かく刻んで、さらに軽く水気を絞っておいてね。

そして穂高には、このベイ肉を包丁で叩いて挽き肉にしてほしいんだ。細かく叩いてもいいけど、少し食べごたえをだすために粗めのひき肉もあっても大丈夫だよ。

で、僕はサナさんちの卵をフライパンでいり卵を作って冷ましておくね。」


いつものように万次郎茶屋で新メニュー作りをしながら愛満は、穂高とエタールの2人にテキパキと指示を出し。各々の下拵えが終わると


「次はね。この穂高がひき肉にしてくれたベイ肉をボールに入れ、1回良く混ぜる。そこに醤油、塩、砂糖、胡麻油を加えて、むらなく混ぜ合わせるんだ。

そしてエタールが細かく刻んでくれた小松菜と、あら熱をとって冷めたいり卵、片栗粉を加えてザックリ混ぜ。シューマイの皮で包んで蒸し器で蒸したら完成だよ。

どう?以外に簡単でしょう?じゃあ、混ぜ合わせるのは穂高にお願いしょうかなぁ。」


2人に説明しながら、愛満達3人のシューマイ作りは進んでいき。



◇◇◇◇◇



「うわー良い匂い~!それなに?何を蒸したの美味しそうな匂いだね!」


「本当へけっ!お腹を刺激する匂いへけっ。」


「う~ん♪おいちちょう(美味しそう)にゃにおいじゃね~(匂いだね~)!」


チビッ子3人組が鼻をクンクンさせ騒ぐなか。

山ほど作って蒸しあげた蒸し器に入った『小松菜と卵のシューマイ』を持った穂高が、美味しい匂いを嗅ぐために寄って来たチビッ子3人組と山背に四方を囲まれながら店内を進み。

大吉村の小松菜と穂高の家のベイ肉、サナ家の卵を使った『小松菜と卵のシューマイ』の試食会が始まる。



「う~ん美味しい!このシューマイ初めて食べたけど、中のいり卵がフンワリ柔らかく、しっとりした口当たりで最高ー!」


「本当に美味しいへけっ!それにこの小松菜の緑といり卵の黄色がお花みたいで可愛いへけっ。」


「おいちいね!」


「美味しいでござるね♪このまま食べても肉汁たっぷりで十分美味しいでござるが、酢醤油や溶き辛子を付けて食べてもサッパリ食べられ、またそれもそれで美味しいでござるよ!」


「ハフハフ、ハフハフ……うんうん。蒸したて熱々じゃから旨さ倍増で最高なのじゃ!…………ぐびぐび…クーゥ、旨い!ビールに合うのじゃ!」


いつの間にか山背がビール片手にシューマイを食べていたりと、万次郎茶屋の面々が口々に絶賛するなか。大吉村やお店で小松菜を食べた事のある穂高やエタールが


「ほんなこっ旨かなぁ~!食べると小松菜の香りが口の中でほのかに広がり、さっぱりした味で最高ばい!

それに愛満が言ってた通り、粗めに叩いたひき肉がベイ肉の食感や旨味を感じられて良かばい!」


「本当に小松菜の風味も感じられて美味しく。しっとり柔らかい口当たりで歯が弱いお年寄りにも良いかも知れませんね。

それにお店で出してる果実酒にも合いそうです。」


2人からも好感触の感想が得られ。無事『小松菜と卵のシューマイ』の試食会は幕を閉じるのであった。



◇◇◇◇◇



こうして穂高とエタールのお店の新メニューとして、大吉村の小松菜と穂高の実家のベイ肉、エタールの兄サナ家の卵を使った『小松菜と卵のシューマイ』が新たに中華店の新メニューとして仲間入りする。






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脱字、誤字が多々ある作品ですが、どうぞよろしくお願いいたします。



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