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『ずんだアイス』と、畑仕事は大変だ!




「ハァ~~~、塩茹で枝豆は、いつ食べても上手いのう~♪……モシャモシャ……………モシャモシャ…………うんうん、枝豆LOVEなのじゃ♪」


今日も暑さにやられ。日課の水浴びを終えたガウン姿の山背は、山盛りの塩茹された枝豆を美味しそうに食べていた。



◇◇◇◇◇



とある日の事、朝倉町で自家製の和菓子やお茶を振る舞う万次郎茶屋を営む愛満の前には、背負い籠に山盛りに盛られた枝豆が置いてあり。

そんな背負い籠を挟むようにして、朝倉町で野菜農家や八百屋等を一家で営むアルフ家六男レムの四男になり。愛満と仲良しのレム家三男エルピコの直ぐ下の弟・野菜農家のオーガストが


「オーガスト、こんなに美味しい枝豆本当にありがとう。

けどまた今回もこんなに沢山の枝豆貰って本当に良いの?」


今回で5回目になる。レム家からの大量の枝豆のお裾分けに愛満が心配そうな顔をして訪ねる中。

愛満の問い掛けにオーガストは、日頃の畑仕事で程好く日焼けした健康的な小麦色の顔をクシャクシャにしながら満面の笑みを浮かべ。


「おう!大丈夫だぜ。それにこの枝豆、そもそも愛満から貰ってな。今まで家で育ててなかった新種の野菜苗を育て収穫した枝豆になる訳だしよ。

それを親父が新しい種類の野菜苗になるからって、また妙に張り切りまくちまって、…………ここだけの話。一時(いっとき)の間、スペースが空いてる畑を見付けたら、すかさず畑中に枝豆の苗を植えまくると言うか、なんか妙な行動に走り出しちまって、…………はぁ~~、アレが(なん)だったのかと聞かれても俺も良く説明できないんだけど、…………。

まぁ、そんな親父の頑張りの結果。今じゃ毎日採っても採っても、本当採りきれない程の枝豆の収穫量になっちまってて、………あん時、愛満に枝豆の苗を貰った時には考えもしなかった。本当スゴい豊作に恵まれている訳なんだよ。」


オーガストが苦笑いを浮かべながら自身の父レムの少々やらかした出来事(事件)と言うか、野菜にかける並々ならぬ情熱みたいな物が話の端々に感じられ。

父レムの頑張りのお陰で現在採れに採れている。枝豆が豊作な事を教えてくれ。


そんなオーガストの話を聞いて少し安心したと言うか、自分の軽い考えで、またもやレム家に迷惑をかけてしまい。申し訳なさで何とも言えない表情を浮かべる事しか出来ない愛満は


「……へ、へぇ~、……あの時渡した枝豆の苗、そんなに上手くいっていると言うか、大なり小なりオーガスト達に何かしらの迷惑をかけてるみたいだね、…………申し訳ない。

けど何かオーガストの話を聞く限りでは、良いも悪いもレムさんスゴく頑張ってくれたみたいで、連日の外仕事大変だろうに本当スゴいよ。」


と話しつつも、何やら堪えきれなかった様子でオーガストから目線を()らして


「………ま、……まぁ~、それに伴いオーガスト達、レム家の皆さんにはご迷惑かけてしまったんだけど、…………何か本当ごめん。」


その昔、オーガストの父レムの兄にあたるシャル家へと稲を渡した時より被害は少ないものの。

また自身が渡した枝豆の苗から、その周りの家族達の仕事を増やしてしまい。居たたまれず、大変気まずい愛満は重ねて謝罪の言葉を述べた所。


「いやいや、それは親父が計画無しにやった事だし。それに終わった事だから愛満は気にしなくて良いんだぜ。

それによ、家の(八百屋)でも2日開けずに枝豆を買いにきて来れる程の枝豆好きのお客さん達が何人もいてくれてさぁ。

そのおかげで店も賑わって、逆にコッチの方が感謝の言葉を伝えたい程のスゲー人気なんだよ。」


父親の仕事が認められた事が嬉しいのか、オーガストがどこか誇らしそうに枝豆の売れ行きを話してくれていたと思ったら、次の瞬間には何やら重く長い溜め息をついて


「…………ハァ~~~、けどなぁ、……………本当、愛満は悪くないんだぜ。本当だぜ!だから全然気にしなくて良いんだけどさぁ~。

ちょっとだけ、ほんのちょっとだけ愚痴らせてもらうならば、」


愛満が落ち込まないように前置きをしながら、何やらオーガストがポツリポツリと愚痴り始め。


「それでも売り切れないほどの、日々の収穫や枝豆の在庫がまだまだあってな。

一応枝豆好きのお客さん達の強い要望で、これから来年の収穫時期までの間も販売できるよう。愛満から貰った魔法袋に溜め込んだりしてんだけどさぁ、……それでもまだまだ枝豆の在庫が有り余ってるんだよ。

で、家の畑で採れた野菜を使い。八百屋の横で野菜料理を主に販売しているエルピコ兄ちゃんの店でも簡単な枝豆料理を販売してもらってるんだけど、それでも追い付けなくて、…………。

更には一時、うちの家のおかずが枝豆達に占領されちまっててさぁ、…………。

その為か朝早くからの畑仕事を始め。日中の八百屋での仕事、なおかつソコに家族の為の飯作りでの枝豆料理のトリプルパンチで、お袋や妹達が枝豆を見るのも嫌がる程になちまって。

後ほら、この前エルピコ兄ちゃんが愛満の元へと簡単な枝豆料理教わりに来ただろう?」


「えっ、そうだったの!?………全然知らなかった。

……あの時エルピコ、ただ自分の店で販売出来る簡単な枝豆料理が何かないかとしか言ってなくて、…………そうだったんだ。軽く聞こえちゃうかも知れないけど、それは本当に大変だったね。全然気付かずにごめんね。」


オーガストの話に愛満が申し訳なさそうにして謝る中


「いやいや、さっきも言ったろう。これは家の問題であって、愛満が気にするような事は全然ないんだから、いつもみたいに笑って俺の愚痴を聞き流して欲しいだけなんだからさぁ、気にするなよ!

それにほら!俺、毎日畑仕事ばっかりしてるだろう。それに口が悪くて、人付き合いも苦手だし。ただ黙々と畑仕事をしている方が俺には似合ってるしよ。

……こう言ちゃぁ恥ずかしいんだけど、今は友達と言える友達が兄妹ぐらいしか居なくてさぁ、……だからなかなか愚痴を言い合える奴も居なくて、…………愛満には悪いんだけど、こうしてたまに俺の愚痴に付き合ってもらってる訳なんだよ。

へへへ、……いつも悪いな愛満、それにありがとう。」


苦笑いを浮かべたオーガストが気まずそうに頭をかいて謝り。

いつも自分の下らない愚痴に付き合ってくれて『ありがとう』との感謝の言葉を伝える。


オーガストの兄になり。愛満の友人にもなるエルピコから聞いた話だと、戦争の影響で朝倉町へとたどり着く前、オーガストには幼い頃から苦楽を共にした幼馴染の青年が1人おり。

それはそれは仲が良かったそうで、いつも2人でバカ笑いをしては楽しそうに過ごしていて、……………。

いつか2人で町の皆を守る為。町の騎士団に入るんだと言っては、獅子族や大熊族等々。大型種族に属する者が多い騎士団のなか、体格等で少々劣ってしまう兎族のオーガストや、オーガストの幼馴染2人は日々鍛練を繰り返しては体を鍛え。

将来、町の騎士団に入る為にと頑張っていたのだが、先の戦争が始まり。刻一刻と戦争がヒドくなっていき。


ある日、オーガスト達が暮らす町から四つ離れた町で服屋を営む母方の両親や妹、弟達を少しだけでも安全な自分達の()へと連れて(保護)来る為。オーガストの幼馴染を始め。その父親や兄達男衆が安全を配慮し迎えに言った所。

運悪くオーガストの幼馴染家族が母方の両親家族が住む町へと着いたその日、敵国の兵士が攻め入り。

足の悪い祖父母を守る為、オーガストの幼馴染は必死で戦い。

(みずか)らの命と引き換えに祖父母や大切な家族を守りきり。その短い人生を終えたそうで、……………。


笑顔で見送った行きと違い。冷たくなって戻って来た幼馴染の(むご)たらしい亡骸を目にしたオーガストは、酷く取り乱し混乱して、落ち込んだ様子で日々(ふさ)ぎ込んでいき。

戦争が刻一刻と酷くなっていく中、家族皆でオーガストの事を気遣い見守りながら、命からがら何とかココまでたどり着いたらしく。


そんなオーガストの裏の一面と言うか、深い心の傷を知っている愛満は


「ううん、そんな事ないよ。

僕だってコッチに来るまで、村の爺ちゃんや婆ちゃんなんかの年のかなり離れた茶飲み友達は居ても、男友達と言える人は片手で足りるぐらいしか居なくてね。

しかも僕の住んでた所が少々交通の便が悪い所でね。男友達も皆、だいたい僕の家から結構離れた所に住んでいてさぁ。

……………今思えば全部、僕の言い訳になってしまうんだけど、僕がお酒が苦手な事もあり。気軽に酒を酌み交わす事もあまりなくって、……そんな事もあって、……友達と言いながら気軽に愚痴を言い合う事も出来なくてね。

だからね。今こうしてオーガストが僕に愚痴をこぼしてくれて嬉しいし。僕にとってオーガストは、とっくの昔に友達なんだから!友達が居ないなんて寂しい事言わないでよ!」


自分なりに友達の1人になる、オーガストを激励するように自分の素直な気持ちを伝え。


そんな愛満の話に照れくさそうに笑みを浮かべたオーガストが、照れ隠しするように頭をかきながら


「……あ、ありがとうな、愛満。そう言ってもらえて嬉しいぜ。」


と話して、少々照れくさい雰囲気を隠すように話を続け。


「でだ!ここ毎日毎日、親父や俺達男兄弟で頑張って沢山の枝豆を収穫している訳なんだが、それでもまだまだ収穫待ちの枝豆畑があるからさ。

ついこないだ親父達と話し合って決めた。残りの枝豆畑はそのままにして大豆へと持ち越す事にした訳なんだよ。」


どこか照れくささを隠すよう。オーガストは、いつもより少しだけ大きな声になりながら、かなりかいつまんでではあるのだが、今年レム家の残る枝豆畑の枝豆達を大豆へと持ち越す事を決めたと教えてくれ。

ここ最近、自分の中に溜まっていた愚痴を誰か他の人(愛満)へと話せて、少しスッキリしたような表情で


「まぁ、親父も張り切り過ぎたと今は反省している訳だし。

今回の件は俺達も1つ勉強させて貰ったと考えている訳だから、愛満も今後親父に会ったとしても、この件の事に特に触れなくて大丈夫だから、本当気にしないでくれよ。

って、こんな事愚痴ちまった俺が言えるような事じゃないけどな、…へへへ~♪

あっ、それとこんな事、俺達に枝豆の苗を分けてくれた愛満にお願いするのは、本当心苦しいんだけど、…………少しでも早く在庫の枝豆を減らす為。また暫くの間、こんくらいの量(大量)の枝豆を何にも言わずに貰ってくれたら助かるんだけど、………良いか?」


申し訳なさそうな表情を浮かべたオーガストが、まだまだ大量に在庫が有るらしい。オーガストの家の魔法袋に大量に収穫された枝豆を何も言わずに、また聞かずに貰い受ける事をお願いされ。

【聞かずにとは、オーガスト以外のレム家族が愛満の元へと枝豆をお裾分けに来た場合の為】


ビール好きには夏のキンキンに冷えたビールのお供に最適になるらしい。そんな枝豆&ビール好きの山背や美樹達を家族に持つ愛満は、二つ返事でオーガストと約束して


「本当オーガストもレムさん達家族みんな、枝豆で大変な思いをしたんだね。……………本当なんと言うか、オーガスト、ご苦労様。

後、そういう訳なら枝豆ありがたく貰い受けるし。逆にこんなに美味しい枝豆を毎回タダで沢山貰えてコッチの方がありがたいよ。本当ありがとう。

この貰い受けた枝豆、オーガスト達の頑張りに感謝して、皆で美味しく頂くね。」


オーガストと愛満の2人が、ちょっとした枝豆騒動の話をし終え。長話で乾いた喉を冷たく冷えた緑茶で潤していた所。


本日、タリサや光貴達のお助け先生を勤めていた。

無事2人の今日の分の夏休みの宿題を手伝いし終えた愛之助が、愛満達用のお代わりのお茶が入ったボトルを持ち。何やらオズオズした様子で近付いて来て


「お疲れ様でござるよ。

……あの、……その~、……………何やら悪いと思ったでござるが。少々2人の話が聞こえてきたでござるから、少し話を聞いてしまったでござるよ。…………申し訳ないでござる!

………そ、それでその~、…………毎日そんなに沢山の枝豆が採れるでござるなら、この連日の猛暑の中、毎日の収穫大変でござったでござろう?

オーガスト、連日の猛暑の中、本当にお疲れ様でござるよ。そして美味しい枝豆、感謝でござる。」


2人の話を無断で聞いてしまった事を詫びつつ。この連日の猛暑の中、毎日美味しい枝豆や野菜の収穫を頑張ってくれているオーガストへと労いの言葉をかけて、空になったオーガストのカップへとお代わりのお茶を注いであげ。

オーガストもお代わりのお茶を注いでくれる愛之助へと、お茶のお礼を含めた感謝の言葉を言い。


「いやいや、こちらこそありがとな、愛之助。

後、そうなんだよ。愛之助、良く解ってる!

ここ最近、夏なのはしょうがないとして、やっぱり外で作業してると汗が滝のように流れ落ち。本当、日に日に暑くなってきちまってさぁ~。

いくら朝方の涼しい時間帯を狙って作業してると言っても、こぉ~毎日の事だから、ついつい暑さや畑仕事の疲れがたまってきちまってるみたいで、………。

けど枝豆畑の他にも、今が旬の野菜畑の仕事を始め。八百屋やエルピコ兄ちゃんが頑張ってくれている『大地の恵み店』なんかがあるだろう。

で、俺も親父もお袋、兄妹達も仕事中はシャキッとするんだけど、やっぱりその後は疲れがドッときて、家に帰り着く頃には、なんかヘトヘトになちまっててさぁ。」


季節はすっかり夏になり。炎天下の下での畑仕事等で少々バテ気味の様子のオーガストは、恥ずかしそうに照れ笑いしながら、自身も気付かないオーガストの癖の1つになる。照れ臭い時に無意識に頭をかく動作をしながら


「まぁ、だからと言う訳じゃないけど、ここ最近ついつい仕事の後のご褒美と自分自身に言い訳しつつなぁ。

親父やお袋、妹達もそれぞれ好き勝手に買って来てるんだけどよ。

フフ所のアイスをアレもコレもと全種類欲張って買って来ては、昼飯変わりや風呂上がりなんかに食い過ぎちまってるんだよ。」


父親のレムに良く似た。糸目の穏やかで優しそうな顔立ちながら、幼い頃から今は亡き幼馴染と共に自主的にしていた鍛練や日々の畑仕事で鍛えられ。

見事に腹が6に割れた筋肉ムキムキの細マッチョの体格でいて、実は甘党になるオーガストは、小鼠族のフフが作り販売しているアイスにハマっている事を言い。


「フフの所のアイスでござるか?

うんうん!それはしょうがないでござるね。フフの所のアイスは目移りするぐらい種類が沢山有り。

どれもこれも頬っぺたが落ちてしまいそうになるほど美味し過ぎるでござるもんね。

うんうん!拙者も良く解るでござるよ。拙者もフフの所のアイスならば、兄者の愛満が作る。まるで芸術品かのような和菓子達と同じく。毎回ついつい食べ過ぎてしまうでござるもの!

うんうん!コレは誠にしょうがない事でござるよ!

それに外仕事の後や風呂上がりの後の冷たい食べ物は、それだけで美味しさ倍増の格別でござるから、拙者もこの夏はついついアイスを食べ過ぎてしまってるでござる♪」


オーガストと同じ。小鼠族のフフお手製のアイスクリームが大好きな愛之助は、途中アイスクリームと同じくらい大好きな兄・愛満お手製の和菓子の事を交えつつ。

オーガストの話に大いに納得してオーガストの話に共感する。


「そうだよなぁ!さすが愛之助、良く解ってる。

それに愛之助の言う通り。畑仕事した後や風呂上がりの後の冷たいアイスは、疲れが吹き飛ぶぐらいの旨さなんだよな。

後、俺だけかも知れないけどよ。甘くて旨いアイスを食うと、何だか体の疲れが吹っ飛んじまったような気がするんだよ。

さらにアイスと言えば、どうやら俺と親父の食の好みが似ているらしくてよ。毎回選ぶアイスの取り合いで戦いになっちまちゃうんだぜ。

親父も若くないんだからさぁ、アイスの1つぐらい息子に譲れよなと思うんだけどよ。

親父に言うと、ならお前はまだまだ若いんだから、ここは人生の先輩のワシに譲るのが筋だろうとか言い出すんだぜ。笑っちまうだろう。」


お互いいい年をして、父親レムとアイス1つを巡り争う事をオーガストが可笑しそうに話し。


「そうなんでござるか、それはそれで大変でござるねぇ。

拙者は基本、兄者の愛満が何かを選び時は拙者を先に選ばせてくれるでござるから争う事など滅多に無いでござるが、同じカルピス好きの山背とは、たまにカルピスを巡って争う事が多々あるでござるよ。」


「お~ぉ、カルピスか!ありゃあ、何とも言えない旨さだもんな!

あっ、確かカルピスと言ったら、万次郎茶屋の冷凍ケースで一年中売られてるカルピス味のシャーベットも旨いよなぁ!」


「あっ!万次郎茶屋のカルピスシャーベットでござるね♪

分かる分かるでござるよ!あのカルピスシャーベットは本当に美味しいでござるもんね。

実はでござるね、オーガスト。あのカルピス味のシャーベット。拙者達の数有るうちの好物の1つになるでござるよ。

しかしシャーベットでござるから基本暑い夏しか売れ行きが悪いでござろう。結果、悲しいかな夏しか食べらなかったのでござるよ。

だからその事を悲しいと拙者達が話し嘆いていたら、愛満がわざわざ拙者達の願いを叶えてくれ。

ああして万次郎茶屋では一年中の販売にしてくれたのでござるよ!」


いつの間にか愛満の隣の席にちゃっかり座り。オーガストと愛之助の2人がアイスやシャーベットの話でワイワイ盛り上がっていた所。


2人の話を聞きながら、何やら考え込んでいた様子の愛満が突然立ち上がり。


「オーガストやレムさん達が甘い物が好きなのは知ってたけど、スズ(オーガストの母)さんを含め。オーガスト達が最近アイスクリームにハマってるとは知らなかったよ。

あのね。それでじゃないんだけどアイス繋がりで2人の話を聞いてて思い出したのが、このオーガスト達が端正込めて育てた枝豆を使った。美味しい枝豆アイスと言うか、『ずんだアイス』の作り方を昔 婆ちゃんに習ってた事を思い出してね。

もしかしたらスズさん達がまた枝豆に興味を持ってくれるかも知れないから、僕ちょっくら台所へと移動して、この枝豆を使った美味しい『ずんだアイスクリーム』作ってくるよ!

あっ、オーガストや愛之助達は、そのままお喋りしてて良いからね。じゃ、ちょっと行ってきます~!」


何やらワクワクした様子で、オーガストから貰った枝豆を持ち。突然の話に呆気にとられた様子のオーガストや愛之助をその場に残して、1人台所へと移動して行く。



◇◇◇◇◇



「みんな お待たせ~!枝豆を使って作った『ずんだアイス』が出来たよ。」


あの後、自身の(チート)を上手く活用してアイスクリームを手早く作り出した愛満は、出来立て冷え冷えの『ずんだアイス』を持ち。茶屋内へと戻って来て


「えっ?アイチュ(アイス)よしみちゅ(愛満)アイチュ(アイス)ちゅくって(作って)きちゃの(きたの)しゅごいー(スゴイー)ちゅごいねー(スゴイねー)よしみちゅ(愛満)

あっ、ちょれで(それで)ちょの(その)アイチュ(アイス)、マヤラもたびぇれるの(食べれるの)?」


「ウヮ~~!それ何?何のアイス?何か緑色の粒々したのが入ってて美味しそうだね!」


「本当へけっ!スゴく美味しそうへけっが、ずんだとは何のアイスへけっか?」


あの後、暇を持て余したオーガストや愛之助、今だガウン姿の山背を交え。

今日の分の宿題を終えたタリサやマヤラ、光貴の6人でトランプ遊びをしていたのだが、愛満の声と共に愛満が押すワゴンの上に乗ったアイスに目敏く気付いた3人のチビッ子組が、愛満の回りをウロチョロしながら話しかけ。


そんなタリサ達の様子を愛満は微笑ましそうに見ながら


「これはね。オーガストが持って来てくれた枝豆を使って作った『ずんだアイス』になるんだよ。」


「ずんだアイス?」


「さっきも言ったへけっが、ずんだって何の事へけっか?

う~~ん?オーガストが今日持って来てくれた食べ物と言ったら枝豆しかないへけっから、もしかして枝豆の事へけっか?」


じゅんだ(ずんだ)えだまめ(枝豆)?」


光貴が『ずんだ』を『枝豆』の事と正解を口にしながらも、今だ愛満の話にピンときてない様子のチビッ子3人組は、不思議そうな顔をして聞き。


「うん。光貴、正解!この『ずんだアイス』はね。

オーガストがお裾分けしてくれた枝豆を贅沢に使った。枝豆とバニラアイスクリームが混ぜ合わさったアイスクリームになるんだよ。

しかも僕の婆ちゃん直伝のアイスクリームになって、美味しいと思うから食べてみてよ?」


少々婆ちゃん直伝と自慢気に話す愛満は、それぞれの前に器に盛った『ずんだアイス』や、冷たい抹茶ティーを置いて上げ。食べてみてと進め。

早速、見慣れぬアイスクリームに興味津々の様子のタリサ達が、少々枝豆とアイスクリームが合うのか疑心暗鬼しながら恐る恐る『ずんだアイス』を一口食べ。


「うわっ、何コレ!初めて『ずんだアイス』食べたけど美味しいね。

何かね、上手く言えないんだけど程好い(ほどよい)甘さの中に枝豆の香りがあって美味しいの♪」


「………モグモグ…………うんうん、本当へけっ♪枝豆の風味や甘味が良い味だしてるへけっよ。

それに見た目にしても枝豆の鮮やかな緑色とアイスクリームの色合いが綺麗に混ざり合ってへけっね。どことなく若草色の色合いをしてて綺麗へけっよ!」


つめちゃ(冷たい)くておいちいね(美味しいね)!」


と口々に初めて食べる『ずんだアイス』の感想を教えてくれ。

愛満から『ずんだアイス』を受け取った山背や愛之助達も初めて目にする『ずんだアイス』を味わいながら


「本当に旨いのう~♪

ワシは枝豆と言ったら、塩茹でした枝豆が一番じゃと思っておったのじゃが。この『ずんだアイス』もまた枝豆特有の風味や食感等が楽しめ。甘いアイスクリームとも良く合っておって、これはこれで実に旨いのじゃ!」


「………モグモグ…………モグモグ…………………うんうん、……ほほぉ~、………へぇー、そうきたでござるか、………なるほどでござるね。」


ずんだアイスを一口食べる事に愛之助が、何やらブツブツと一人言を話して


「……うんうん、………これはこれはフフが営むアイスクリーム店、全種類のアイスクリーム制覇した。このアイスクリーム好きの拙者をもってしても、この『ずんだアイス』とやらは初めて味わうアイスクリームになるでござるよ!

うん、実に美味でござる!

こぅ~、なめらかな舌触りのアイスクリームの中に砕いたピーナッツほどの枝豆の粒が散りばめられておって、それがまた食感の違いが楽しめ。実に良いでござる。

…………モグモグ………………うんうん、しかしこう言っては何でござるが、やはりアイスクリームは偉大でござるね。

冷たくて美味しいだけでは無く様々な種類の味の違いを楽しめ。とろけるような口どけでいて、そこに風味等を味わえ。

愛満が作る和菓子と共に、これこそまさに最高の甘味の1つになるでござるよ!」


との、どこぞかの評論家のような感想を述べる中。『ずんだアイス』を食べて固まっていたオーガストが


「こ、これが家の枝豆を作ったアイスなのか!?

アイスクリームでありながら枝豆独特の風味や食感を楽しめ。

さらに淡い黄緑色した色合いのアイスクリームの中に、まるで宝石かのようにキラキラと耀く。美しい緑色した色合いの小さな(刻まれた)枝豆の粒が散りばめられていて、一口一口、口に含むと枝豆独特の豆の香りが口の中で広がり。

それがアイスの甘さと共に相まって、最高過ぎるぜ!

あ~~~ぁ、コレは震えが止まらない!…………よ、愛満!このアイス、作るのは難しいのか?」


とある美食家のように饒舌(じょうぜつ)に語りだした後、愛満にこの枝豆を使ったアイスクリームを作るのは俺でも出来るのかと聞き。

いつもと様子の違うオーガストの問いに愛満は少し驚いものの。自分が作り。しかもそれが婆ちゃん直伝のレシピになる為、嬉しそうに笑みを浮かべ。


「ううん、そんなこと無いよ。

今日作った『ずんだアイス』は皆に早く食べてもらいたくて、ちょっとズルして、最初から最後まで魔法を使って作ったんだけどね。

婆ちゃん直伝の『ずんだアイス』のレシピを紹介すると、柔らかく茹でた枝豆の薄皮を取り。半分をすり鉢なんかですり潰してね。そこに砂糖と、一つまみの塩と混ぜ合わせて

残り半分の枝豆を粗みじんにして、少し柔らかくした市販のバニラアイスクリームにすり潰した枝豆と粗みじん切りした枝豆をザッと混ぜ合わせて、冷凍庫で凍らせたら完成なんだ。

まぁ、家の姉ちゃん何かは枝豆を茹でるのがめんどくさいと言って、たまに『ずんだアイス』を作る時、市販の冷凍枝豆なんかを使って作ってたけどね。

けどやっぱり美食家を気取るつもりはないんだけど、採れ立ての生の枝豆を使った『ずんだアイス』と、冷凍枝豆を使った『ずんだアイス』じゃ何かちょっと違った気がして、…………せっかく食べるなら少しでも美味しい方が良いからねぇ。」


自身の姉の話を交えて、自身も祖母から習った。市販のアイスクリームを使った『ずんだアイス』のレシピをオーガストへと簡単に説明。更に何か思い出した様子で


「あっ、それから今日は枝豆で作った『ずんだペースト』や粗みじん切りした枝豆、バニラアイスクリームを良く混ぜ合わせて作ったから、綺麗なと言うか、光貴が誉めてくれた若草色のような『ずんだアイス』になってるけどね。

お好みで『ずんだペースト』や粗みじん切りの枝豆をバニラアイスクリームにサッ混ぜ合わせてマーブル状のずんだアイスにしても良し。

マーブル状の『ずんだアイス』だと滑らかな食感のバニラアイスクリームや、枝豆独特の風味を楽しめる『ずんだペースト』

そこに粗みじん切りされた枝豆独特の違う3種類の食感や味、風味等が楽しめ。

さっき食べた『ずんだアイス』とは、また違った美味しさが楽しめと思うよ。どう?スゴく簡単でしょう。」


現在オーガスト達が食べている『ずんだアイス』とは、また少し違った『マーブル状のずんだアイス』の作り方を教え。


愛満が『ずんだアイス』のレシピの説明をしてる間中。何度もお代わりを繰り返して『ずんだアイス』をペロリと食べ終えたオーガストは、愛満の話に納得した様子で大きく頷き。

忘れないようにと『ずんだアイス』のレシピを紙に書いてもらい。その紙を無くさないように大事に胸ポケットに直して、何やら大仕事をやり終えた様子感満載で、またお代わりの『ずんだアイス』を頼み。

アイス好き仲間の愛之助達共々、心行くまで『ずんだアイス』を楽しむのであった。



◇◇◇◇◇



そうして、すっかり『ずんだアイス』を気に入ったオーガストは、愛満の好意から家族分のお土産にと大量の『ずんだアイス』、『マーブル状ずんだアイス』を受け取り。

その後、持ち帰った家でも家族皆で美味しく食べ。

更には枝豆をあんなに毛嫌いしていたオーガストの母親のスズや姉、妹達家族皆もその美味しさを気に入り。


その味の虜になったレム家族は、まだまだ有り余ってる枝豆を使い。愛満の許可も取り。

小鼠族のフフが営むアイスクリーム屋とコラボした。レム家三男エルピコが営む『大地の恵み店』で、フフお手製のバニラアイスクリームを使い。愛満の婆ちゃん直伝の『ずんだアイス』を販売し始め。お客さん達からの人気を得るのであった。






《『ずんだアイス』と畑仕事は大変だ!の登場人物》


・オーガスト

アルフ家六男レム家四男坊

父親レムに似た糸目でいて、穏やかで優しい性格の持ち主

お腹が6つに割れた筋肉ムキムキの細マッチョ

とある出来事から心に大きな傷を持つ

現在、自ら畑仕事を手伝い野菜農家になる

父親や兄達と一緒に毎日畑仕事に汗水垂らす働き者で、日々の畑仕事で真っ黒に日焼けしている


・エルピコ

アルフ家六男レム家三男坊

愛満に負けず劣らずのちまっ子、おっとりした性格、愛満の友人の1人

野菜料理を主に販売する『大地の恵み店』を経営している


・愛満

安定の婆ちゃん子

今回もそんな婆ちゃんから習ったレシピが役に立つご様子


・愛之助

安定のお兄ちゃん子

カルピスとアイスクリームを愛する若者

たまに1本のカルピス原液を巡って山背と争う事が多々あるらしい、………

今回、何やらタリサや光貴達のお助け先生を頑張り中のご様子


・山背

暑さに非常に弱い、見た目:二足歩行の陸亀

最近の日課は水風呂に入る事で、水風呂後の姿は唐草模様のガウンになるらしい、…………


・タリサ、マヤラ、光貴

安定の食いしん坊チビッ子3人組




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