氷菓子『雪花氷』と包子屋のリニューアルオープン
その日 双方のお店の定休日を利用し。万次郎茶屋敷地内にある黛藍のお店『包子屋』では、愛満が自身が持つ力の1つを使い。
包子屋を増築したり。イートインコーナーを造ったりとリホームしていた。
◇◇◇◇◇
「ごめん~!黛藍、ちょっとこっち来て~!
新しく増築したイートインコーナーの広さは、このくらいの広さで大丈夫?
あっ!あとさぁ、調理場の方はどうだった?不備とか作り替えてほしい所とか無かった?」
自身の力を使い短時間で増築やリフォームを終えた愛満は、最後の確認とばかりに、何処か不備等は無いかと、自身が作り上げた店内の出来映えを満足そうに確認して回り。
本日7回目になる。新しくリフォームされた調理場の確認作業を何度もしている黛藍を呼び。
改めて不備等や気になる点は無かったかと質問する。
「とっても良いアルよ!!
前の調理場もスゴく良かったアルが、今度の調理場は増築されたぶん前よりも広々していてアルね。使い勝手がスゴく良くなったアル。
それにこれなら斗真達と一緒に調理していてもぶっかったりしなくて安心アルよ!」
大満足した様子の黛藍からお墨付きをいただき。
どんな所等が良かったか等を聞きながら、愛満が黛藍へとリニューアル記念としてサプライズプレゼントとする。
とある可愛らしい施しを施したイートインコーナーへと黛藍の目を目隠しで隠してもらいながら移動し。つい先程完成したばかりのイートインコーナーをお披露目する。
「じゃ、黛藍。目を隠してる手を離しても良いよ。
ジャ~ン、ジャジャジャ~~~ン♪これが包子屋に誕生した新イートインコーナーになります!」
「ウワァ~♪な、何アルか!?スゴい可愛いアルよ!
テーブルと椅子が包子屋のマスコットキャラクターのパンダ君になってるアルよ♪可愛い!可愛いアル♪
あっ!それに壁や床にも小さくでアルが隠れパンダ君が描かれているアルよ。
あっ!窓の形もパンダ君になってるアルよ!
本当にスゴいアル!あちらこちらに包子屋のマスコットのパンダ君がいっぱいいるアルよ!
でも、どうしてアルか?先まで何も無かったアルよ!?」
黛藍が少し前に見た時には何も無かったはずのイートインコーナーが黛藍、愛満もお気に入りの『包子屋』マスコットキャラクターのパンダ君を使い。
店内のあちらこちらをオシャレに、また可愛く飾付けられ。全面的にパンダ君を取り入れられたデザインを見た黛藍が興奮気味に満面の笑みで話し。隣に立つ愛満へと問い掛ける。
そんな黛藍の質問に、黛藍と同じ満面の笑みを浮かべ。黛藍の様子を微笑ましそうに見つめていた愛満は、サプライズ成功とばかりにニヤリと笑い。
「どう?ビックリした?
あのね。斗真さん達が新たに包子屋にやって来る事もあって、黛藍のお店のユニフォームをアオザイ風の服にリニューアルすると愛之助から聞いたから
どうせならと思って、イートインコーナーを黛藍の好きな包子屋のマスコット、パンダ君をモチーフにしたデザインにしてみたんだ。………気に入った?」
「うん、うんアルよ!!愛満、ありがとアル。スゴく気に入ったアルよ!」
つぶらな瞳をウルウルと潤ませ。泣いてるような、笑っているような、泣き笑いの表情を浮かべた黛藍が感激した様子で愛満の両手を取り。
ガッチリ握手をすると嬉しさが隠しきれないのか、知らず知らずのうちにブンブン上下に動かしながらお礼の言葉を愛満に伝える。
◇◇◇◇◇
そもそもなぜ包子屋がリホームしているかというと
実は黛藍が王都に住んでいた時に祖母から習い。親友の美樹大好物の包子を手作りし。1人『包子屋』切り盛りしている為。
持ち帰り・食べ歩き専門の包子や肉まん、柚茶、柚ジュース等を販売するだけの小さなお店の形になっているのだが、常連さんやお客さん達からのお店で座ってゆっくり食べたい、『包子屋』の料理をいろいろ食べてみたい等の要望が多数有り。
美樹も含めた長い話し合いの末。
黛藍も頑張りたいといったヤル気を見せた事や、それならば従業員を数名雇い。
少し店の規模を広げ。気軽に飲み食い出来るイートインコーナーを開設する事に決定したのだ。
そしてなぜ飲食店ではなくイートインコーナーかと言うと
初め飲食店のような、注文を受けたらお客さんの席まで配膳するお店に変えようかと話し合っていたのだが、それでは従業員をたくさん雇わなければいけなくなり。
経営や人間関係を含め。黛藍がいろいろと大変になりそうなので、美樹達が心配し。
話し合いに話し合いを重ねた結果。
某ハンバーガー店の用に受け渡し口でお客さんに料理を提供し、あとは自由にイートインコーナーで飲み食いしてもらい。
食べ終わったら各自でゴミ等はゴミ箱に捨ててもらい。返却口にトレーごと返してもらうようにしたら、そんなに手間隙かからないんじゃないかと言う美樹の意見が取り入れられ。
『包子屋』にイートインコーナーを増築する事が決まったのである。
更に従業員には、定期連絡の手紙で今回の事をついポロリと、親切心から美樹が書いてしまい。
黛藍ラブの父親や兄弟、実家の者達の熱い!熱いバトルが開催された結果。
見事勝ち残った黛藍の乳母や乳兄弟になり。
今は黛藍の生家で執事やメイドとして働いている斗真家族が調理場や洗い場、レジ、商品の受け渡し等の調理・接客担当に家族みんなで朝倉村に移住して来る事が決まっていて
朝倉村に住む黛藍の姉からの情報では、そのバトルで実家の美しい庭が半壊するほどの激しい戦いだったとの情報を得て。
膝から崩れ落ちる美樹の姿が有ったとか無かったとか……………。
◇◇◇
そうして黛藍のお店『包子屋』のリホームや村に移住して来る包子屋従業員家族用の一軒家をお店近くに建ててあげたりと愛満達が忙しくしながらも黛藍と2人。造り忘れ等が無いかと最後の点検をしつつ話していると
「そうだ。愛満、黛藍のお店で販売できる夏限定の冷たいデザートはないアルか?」
「えっ!冷たいデザート?」
「そうアル。冷たいデザートアルよ!」
「うーん、そうだね。有る事は有るけど、リニューアルオープンに加え、新メニューまで大丈夫?
あんまり無理しない方がいいんじゃない?」
夏真っ盛りの暑さの中のリニューアルオープンで、黛藍の体調を心配した愛満が聞く。
「大丈夫アルよ!斗真達も一緒に働いてくれるアルから、冷たくて甘い新メニュー食べた…増やしたいアルよ!」
「う~ん、本当に大丈夫?…………う~ん……本人がヤル気ならしょうがないかなぁ。黛藍もヤル気満々みたいだし…………。
まぁ、黛藍がそこまで言うなら解ったよ。」
半分以上は自分が食べたいがための欲望がチラチラ見え隠れする様子があるのだが
父親や兄弟には効果覿面のキラキラまぶしいパンダスマイルを振り撒く黛藍に見つめられた愛満は、心配しながらも可愛らしいパンダスマイルにやられ。しぶしぶとした様子で了解すると
「本当アルか!?ヤッターアル!愛満ありがとうアルよ!大好きアル♪
それでそれで!黛藍のお店の冷たくて甘い新メニューは何アルか?」
飛び上がらんばかりに喜んだ黛藍に抱き締められ。興奮した様子で新メニューの事を質問されるのだが
「ちょ、ちょい!ちょっと落ち着いて黛藍!そんなに強く抱き締められたキツイよ!それに顔が近い、近いよ黛藍!」
興奮して力加減が解らなくなってる黛藍を落ち着かせつつ。
フカフカして、とても心地好い弾力のある大きなぬいぐるみに抱き締められような感触の愛満は、ついついニヤケてしまう口元を引き締めながら黛藍を宥め。一つ深いため息をつくと
「ハァ~~~、………………えっとね。黛藍願望の冷たくて甘い新メニューのお菓子はね。名前が『雪花氷』と言って氷菓子になるんだ。
僕の故郷にも凍らせた氷を削って甘いシロップや練乳、小豆をかけて食べる『かき氷』があるんだけど、それは別のお店で販売する予定だから
黛藍のお店では牛乳、練乳、好みのフルーツを一緒に冷やし固めて削り。フルーツ入りのソースをかけた『雪花氷』を販売しょうと思うんだど、どう?包子屋の新メニューは『雪花氷』で大丈夫?」
「冷やし固めた牛乳と練乳、フルーツを削った『雪花氷』アルか!?うんうん!『雪花氷』でオッケーアルよ!
それに愛満の説明を聞くだけで、何だか美味しそうな予感がするアルよ!」
またまた黛藍が跳び跳ねんばかりに喜ぶなか。『包子屋』のリニューアルオープンは順調に進んでいくのであった。
◇◇◇◇◇
「はい、どうぞ。これが黛藍のお店の目玉商品『雪花氷』だよ。
この前食べた『かき氷』と違って牛乳と練乳を冷やし固めて削ったミルク氷や
そこにマンゴー等のフルーツを加えて冷やし固めて作ったミルクフルーツ氷を使った一品なんだ。」
愛満が『雪花氷』の事を説明しながら、その日の夜。黛藍と2人で作った『マンゴースペシャル』になる。マンゴーアイスやマンゴーソース、生のマンゴーを飾り付けられた『雪花氷~マンゴースペシャル~』
ミルクプリン、練乳、キウイや苺、桃等のフルーツが盛り沢山に飾り付けられた『雪花氷~果物畑~』を夕食後開催された。『雪花氷』試食会に嬉々と参加している愛之助達に振る舞う。
そんな始めて目にする『雪花氷』の数々に
愛之助達は美味しそうな雪花氷を前に感動を隠しきれない様子を見せつつ。はやる気持ちを抑え。
少し前に『かき氷』を無謀にも勢い良く一気に食べ。頭を抱え込んだ山背の姿を思い浮かべながら、焦らず、急がず。一口一口と慎重に食べ進めていき。
そんな愛之助達の姿に、自身のお店の新メニューになる『雪花氷』の感想を待ちきれない黛藍が矢継ぎ早に質問し。
「どうアルか?美味しいアルか?売れると思うアルか?美味しいアルよな!?」
「うん。スゴく美味しいよ!ミルク氷もフアフアで美味しいし。
添えてあるフルーツも瑞々しくてミルク氷と一緒に食べると本当に最高なの♪」
「本当に美味しいでござるよ。口の中でミルク氷がフワッととろけるような口どけで、これはいくらでも食べれるでござるよ♪
それから黛藍、安心するでござるよ。この『雪花氷』は絶対売れるでござるよ。拙者が太鼓判をおすでござる!」
「こおりがにぇ、フアフアちてるの♪…………うんうん!ほんちょにおいちい♪」
「ワシのマンゴースペシャルもマンゴー色のフアフア美しいマンゴーミルク氷に、マンゴーアイスや濃厚なマンゴーソース、瑞々しいマンゴーの果肉が口の中で合わさり。
一口食べたら、まるで常夏の楽園にいるような最高の気分になるのじゃ!」
「僕もマンゴースペシャル食べてるへけっが、こんなに美味しいならきっと爆発的に売れると思うへけっよ!」
「俺も初めて雪花氷食ったけど、フワフワな氷の食感に口に入れるととろけるような口どけで本当に旨いんだなぁ。
それに向こうで食べなれたかき氷とまた違った食感で驚いたぜ!」
黛藍も大満足の感想を皆からもらい。黛藍大満足のなか、愛満宅での『雪花氷』試食会の時間は過ぎていく。
◇◇◇◇◇
そうしてその後、村へ移住して来た斗真家族達にも一通りのレシピの作り方や味を知ってもらうため。
『包子屋』のメニューを作ってもらったり。食べてもらったりしながら『包子屋』の仕組みを覚えてもらい。
リニューアルオープンの日まで大きなアクシデントやトラブルも無く。
お客さん達が心待した『包子屋』のリニューアルオープンは、黛藍の満面の笑みと共に無事終わるのであった。




