おにぎらずと自然プールと海の日
「ヒョーェ!冷たくて気持ち良いへけっ!黛藍、プール冷たくて気持ち良いへけっね。」
「本当に冷たくて気持ち良いアルネ!毎日ムシムシして暑かったアルから、この自然プールとやらは最高アル!」
光貴と黛藍の2人がカラフルな浮き輪に乗り。楽しそうにプカプカと浮かぶなか。その近くでは美樹監修のもとタリサが
「そうそう、タリサ上手いぞ!平泳ぎ出来てるじゃないか!」
「本当に!僕、平泳ぎ泳げてるの………ヤッター!愛満、見てー!僕、美樹から習って平泳ぎ泳げるようになったよ!」
泳ぎを習っていたり。
「愛満ー!拙者も見てたもれ!今から華麗なバタフライを泳いで見せるでござるよ!」
「何を!ならワシは華麗な立ち泳ぎを見せるのじゃ!」
何やら水泳バトルを始めたりしていた。
◇◇◇◇◇
そもそも美樹や黛藍も交ざった愛之助達が何しているかと言うと、最近の夏真っ盛りの暑さで、外で思い切り遊びたくて満足に遊べず。
それに加え。照り付けるような暑い太陽の日差しで、日焼け止めを塗らねば、皮膚が弱い花夜などは軽い火傷のような日焼けをおってしまい。
更に下手したら日射病や熱中症になるとの大人達の注意等から、前のようにのびのびと遊べない事に少々ご立腹の日々が続いており。
とうとうその溜まりに溜まった鬱憤が昨夜の晩に爆発してしまい。愛之助と光貴の2人は愛満に泣き付いたのだ。
なので愛之助達から泣き付かれた愛満は、少々困惑しながらも美樹や黛藍、山背を交えた相談・話し合いをした所。
日本生まれ・育ちの美樹から、季節は夏なので、ここはパッーと海で海水浴がしたいとのリクエストが出た。
しかし山背から村から美樹が望む海水浴が出来る海までは、かなり距離があると静かに諭され(教えられ)
結果、美樹が望む海での海水浴は無理だとあえなく却下される。
しかししかし!このクソ暑い夏には海なりプールなり、広々した所で泳ぎ。
海水浴を楽しんだ後、ビールに始まり。焼きそば、焼きとうもろこし、焼きイカ、カレー、ラーメン、かき氷、ラムネ、ソフトクリーム等々。昔ながらの海の家で提供されている料理を味わい。
夏を体全身で満喫したいとの美樹の強い希望が、今度は食いしん坊達の支持を得る為。食べ物を話に交えながら再度提案され。
そんな美樹の話に食い付き。すっかり食いしん坊達からの支持を得た美樹の提案は無事とおり。
更には、それならば村の近くに在る浅瀬の湖を利用整備し。村人みんなが楽しめる『自然プール』を造ってみたらどうだろうとの黛藍の案と組み合わされ。
今朝早くから『植物園』近くの空き地にある湖を整備し。自然の岩を利用した巨大滑り台も造ったりと、朝倉村初の巨大自然プール園が完成したのであった。
◇◇◇◇◇
そうして美樹達が大人から子供用の自然プールで遊ぶなか。
愛満もマヤラや町のチビッ子達が遊べるように幼児組の為に造った。
大人のくるぶし程度の深さになり。日差し防止の屋根が設置され。小さい子供達が座って遊べる。溺れ防止の浅い自然ミニプールで監視員も兼ね。マヤラと2人水遊びしていた。
「どう、マヤラ。このプール楽しい?」
「あい!たのちい!しょれににぇ。みじゅがチャプチャプつめちゃくちぇ、きもちいいの~♪」
「そう、それは良かったね。」
「あい!よしみちゅもたのちい?」
「うん。僕も楽しいよ。それにマヤラのマイ○ロちゃんの水着も可愛いね。」
「かあいいでしょう!あいのちゅけがね、えらんでくれちゃんじゃよ!にいたんたちもおちょろいなんじゃよ。」
穏やかな時間の中、水遊びを楽しんでいると、水泳バトルをしていたはずの愛之助と山背がやって来て
「愛満~。拙者お腹が空いたでござるよ~。」
「愛満~。ワシも腹が空いたのじゃ~。ひもじいのじゃ~!」
「えぇ!もうお腹空いたの?まだお昼まで2時間もあるよ。それに2人とも朝ごはん5杯も食べてたでしょう?」
お腹が空いたと泣き付いてきた2人に驚いた愛満であったが、お腹を空かせたままでは可哀想とマヤラを連れ。休憩スペースに移動すると自宅から持参した。愛之助達大好きなカルピス・ミックスフルーツ味を2人へと手渡す。
すると大好きなカルピスを前に2人は嬉しそうに微笑みを浮かべ。
「おっ!カルピスのミックスフルーツ味でござるか♪ヤッタでござる!……………ゴクゴクゴク、ゴクゴクゴク……プハァ~~~、美味しいでござるよ!
うんうん!カルピスはいつ飲んでも美味しいでござるね♪
………………………う~ん、……しかし愛満~、やはり拙者、お腹が空いたでござるよ。」
「ゴクゴクゴク…………フゥ~~♪いつ飲んでもカルピスは旨いのう~♪それにこのミックスフルーツ味のフルーティーな味わいと旨さが最高なのじゃ♪
………………しかしのう~。愛之助と一緒で、ワシも立ち泳ぎや亀泳ぎ頑張ったから大好きで、最高の飲み物のカルピスを飲んでも、腹が空いて空いて仕方ないのじゃ。」
大好きなカルピスをすでに3杯お代わりして飲み干したものの。八の字眉でお腹が空いたと寂しそうに呟き。愛満を見詰める。
そんな愛之助達の姿にマヤラにカルピスを飲ませてあげていた愛満は、苦笑いを浮かべると小さなため息を一つつき。
「ハァ~。もう本当にしょうがないなぁ~。
まぁ、お腹が空いたならしょうがないから、ココは今日のお昼ご飯用に作ってきた『おにぎらず』を1人1個づつあげるね。
はい、コレ食べてお昼まで我慢するんだよ。」
「ヤッタ~♪『おにぎらず』でござる!
『おにぎらず』美味しいでござるもんね。拙者も愛満にお手伝いして今朝『おにぎらず』を作ったでござるが、バリエーション豊かで思い思いの具材を包むだけでござるし。
ご飯とおかずを海苔で包むでござるから、おにぎりのように握らなくてもいいでござって、難しくなく。沢山作れ簡単で、楽でござるもんね。
それに一番は、今日のように外で食べるさい。片手で食べれて楽チンでござるね。……………うんうん!『おにぎらず』とは素晴らしい料理でござるね。
それから了解したでござるよ!」
「ワシも解ったのじゃ。おにぎらず3個食べ、ココは我慢するのじゃ!」
「それで『おにぎらず』は、なに味が良いの?」
「あっ!そうでござった。ところで愛満。今日の『おにぎらず』は、全部でなに味があるでござるか?」
「『おにぎらず』の具材?えっ~と、ちょっと待ってね。
今日はオカズが無い分、食べごたえあるように沢山作ったから…………えっと
普通の具材のおにぎらずが『梅カツオ』でしょう。
それに『コーンツナマヨ』、『枝豆と塩昆布のおにぎらず』、『鮭と昆布ときんぴらごぼうのおにぎらず』、『スパム風おにぎらず』、『焼き明太子と大葉のおにぎらず』、『牛佃煮と玉子焼きのおにぎらず』、『鯵と野沢菜のおにぎらず』に始まり。
変わり種が『焼鮭と玉子焼き・子持ち昆布・いんげんのおにぎらず』と『海老フライと茹で玉子・レタス・人参サラダのおにぎらず』でしょう。
それから『半熟煮卵入りのピリ辛肉そぼろ、ほうれん草、人参、豆もやしのナムルのビビンバおにぎらず』に『照り焼きチキンときんぴらごぼう、レタスのおにぎらず』
『エビチリと玉子焼き、スナップエンドウ豆のおにぎらず』、『ソースカツと千切りキャベツのおにぎらず』
『甘酢餡掛け唐揚げと焼きナス、人参、蓮根のおにぎらず』の10から15種類の『おにぎらず』があるよ。」
「半熟煮卵!!拙者ビビンバのおにぎらずが良いでござる!」
「ワシも半熟煮卵が良いのじゃ!
その半熟卵入りのビビンバが1つとシンプルな梅カツオ、スパム風を1個づつ食べたいのじゃ!」
1人1個づつと説明したにも関わらず。3個とか話す傍若無人な事を言う者が居るなか。お腹ペコペコの愛之助と山背に『おにぎらず』を手渡す優しい愛満なのであった。
「う~ん、美味しいでござる!このピリ辛の肉そぼろやほうれん草、人参のナムルが空腹の五臓六腑に染み渡るでござるよ!
それにこの満天の太陽の下、おにぎらずを頬張るのもまた1つの夏の楽しみのような気がするでござるね♪」
片手に『おにぎらず』、片手に4杯目のカルピスのお代わりが入ったコップを持った愛之助は、満面の笑みと共に満足そうに頷きながら『おにぎらず』の感想を愛満へと述べる。
すると愛之助の隣に座り。両手に具材の違う『おにぎらず』を持ちモリモリと『おにぎらず』を食べ進めていた山背も
「本当に美味しいのう~!肉そぼろの旨味がご飯に染み込んでおって、そこに半熟煮卵の濃厚さが口の中で混ざり合い、実に幸せなのじゃ!
それに愛之助が言っていたとおり、片手で食べられのも楽で良いのう~♪」
実に満足そうに、そして幸せそうに『おにぎらず』を美味しそうに食べ進める。
◇◇◇◇◇
そうしてその後、愛之助達が『おにぎらず』を食べ終え。ペコペコお腹を落ち着かせ。またプールの方向へと遊びに戻る頃。
何やら自然プール園入口の方からガヤガヤと楽しそうな話し声が聞こえてきて
「お~い!タリサ~!マヤラ~!光貴~!愛之助~!みんな来たよ~!」
「オ~~~イ!!来たよ~~~!!」
「うわー!大きな湖だー!スゴい~!」
「滑り台もあるよ!」
「本当にスゴいだっぺね!」
「あっ!タクにルルナに花夜達に凱希丸さんも皆いる!
オ~~~イ!みんな~こっちだよ!」
「コッチ、コッチへけっよ~!」
「こちじゃよ~!」
遅れてやって来たタリサ達の友達、タク達の声に気付いたタリサ達が大声で呼び合うなか。
急ではあったのだが、朝のうちに自然プール園の事を愛満から聞いた愛之助達が友達でケンタウルス族のタクや妖精族のルルナ、花夜家族、ドワーフ族の凱希丸、タリサやマヤラ達の年の離れた兄弟家族達へと自然プール園への招待状を出していて。
更には子供達から自然プールの噂を聞き付けた村人達、大人数になる人々が、思い思いに水着変わりになる服やお昼ご飯等が詰め込められた荷物を持ち。自然プール園へとやって来たのであった。
◇◇◇◇◇
こうして愛之助と光貴のお願いから完成した自然プールは、夏の期間中の間、子供から大人までの老若男女に人気をはくす事になり。
いつしか自然プールの周りには、夏限定の海の家なる物が立ち並び始め。(※美樹の企みからになる)
利用者達への安全の為の監視員を雇用したりと、村に新たな雇用をうみだし。村人達から村にやって来た者達にも受け入れられ。
元々村に在った浅瀬の湖を利用して造られた『自然プール園』は、朝倉村の新たな人気スポットへとなっていく。




